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ウェルズ・ファーゴはいったい何をやっていた?

2016年09月13日

ウェルズ・ファーゴはいったい何をやっていた?


 本日配信のメルマガ「闇株新聞 プレミアム」でも簡単に取り上げたのですが、もう少し詳しく解説します。報道だけでは全く納得できず、要するに違和感だらけの事件となります。

 米消費者金融保護局(CFPB)は9月8日、米大手銀行のウェルズ・ファーゴが顧客に無断で預金口座開設やクレジットカード発行などの違法行為を繰り返し、同行が1億8500万ドル(190億円)の罰金をCFPBに支払い、また顧客への損害賠償として500万ドル(5億円、少なすぎますが間違いではないようです)を支払うことで合意したと発表しました。

 巨額罰金ビジネスの米国政府機関では、総額1億9000万ドルの和解金は決して大きくありませんが、どう考えてもよくわからない事件です。

 何よりもウェルズ・ファーゴでは、こういう違法行為が2011年以降継続的に行われており、顧客に無断で開設された口座が150万件、発行されたクレジットカードが56万枚、当然にそれらはタダではないため(米国では預金残高が一定金額を下回ると手数料が自動的に徴収されます)顧客から不正に徴収された手数料総額が260万ドル(少なすぎますが間違いではないようです)という大がかりな事件となります。

 さらにウェルズ・ファーゴは2011年以降、5300人もの従業員をこれら違法行為にかかわっていたとして懲戒解雇しています。またその背景には無理な営業ノルマや実績に基づく報酬体系があるとも言われています。

 要するにウェルズ・ファーゴでは、従業員が営業ノルマの達成や実績報酬を得るために150万件以上の口座を不正に開設させ、56万枚以上のクレジットカードを不正に発行させ、2011年から5年ほどの間に5300人もの従業員が懲戒解雇されたことになります。

 これに対してウェルズ・ファーゴの経営陣が、お咎めを受けた事実はなさそうです。

 これで納得しろと言われてもできませんが、とにかく米国政府機関と和解してしまったため、これ以上の情報が出てくるとも思えません。「何か大きなものが覆い隠されてしまった」と感じますが、他の大手銀行からも似たような話が出てくるような気もします。

 これは世界の大手銀行が米国政府に巨額罰金を支払ったマネーロンダリングや経済制裁国との取引やMBS不正販売のような大口取引や投資銀行業務ではなく、ごく普通の預金者を相手した純粋のリテール銀行業務で大規模な違法行為が行われていたことになり、それだけ銀行業界のイメージ低下も大きいような気がします。

 だから米国政府機関も「さっさ」と和解して問題が拡散しないようにしたような気もします。

 さらに今回問題が発覚したウェルズ・ファーゴとは、リーマンショック以前も以降も投資銀行業務に見向きもせず、ひたすら純粋のリテール銀行業務に特化して業容を拡大させ、今では世界最大の株式時価総額の銀行となります。全企業の時価総額でも世界10位(8月31日現在)です。

 またウェルズ・ファーゴの2016年4~6月期決算では純利益が55億5800万ドル(5660億円)もあり、大雑把に言うと年間2兆円以上の純利益を稼ぐ超高収益銀行でもあります。ちなみに今回の罰金と損害賠償の合計は195億円で、その1%以下です。

 先週末のウェルズ・ファーゴの株価は48.72ドルと、直近高値(8月31日)の50.80ドルからそれほど下落しているわけではなく、先週末の時価総額も2458億ドル(25兆円)もあります。日本のメガバンクグループで時価総額最大の三菱UFJフィナンシャル・グループは7.5兆円です。

 またウェルズ・ファーゴはウォーレン・バフェットのコア保有銘柄でもあり、現在もコカ・コーラやプロクター&ギャンブルなどと並んで大量に保有しています。

 要するにウェルズ・ファーゴの時価総額25兆円、年間純利益2兆円というイメージと、2011年から繰り返されてきた違法行為の細かさと、195億円という和解金額の少なさが、どうしても結びつきません。

 要するに違和感だらけの事件であり、今後の展開も全く想像できない大変に気持ちの悪い事件となります。銀行業界に限らず何か世界のよくない出来事の「きっかけ」になってしまうような気もしています。


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■世界経済 » アメリカ | 2016.09.13
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百家争鳴となりそうなジャクソンホール

2016年08月25日

百家争鳴となりそうなジャクソンホール


 ここのところ何度か書いていますが、円相場や日経平均に限らず世界中ほとんどの金融市場が狭い取引レンジに収まる「安定期」に入り、たぶん「年内いっぱい」くらいはこの状態が続くと考えています。

 これは世界の経済や金融情勢や投資家動向が落ち着いてきているからではなく、例えば日本で円高・株安になると追加金融緩和期待が盛り上がり実際に日銀のETF買入れ枠が倍増され、米国では景気回復の兆しが見えるとすぐに利上げ予想が優勢となり株式市場にブレーキがかかるなど、市場が勝手に金融政策(など)の方向を斟酌してしまうからです。

 わかりやすく言えば、金融当局と市場参加者と評論家諸氏が寄って集って(たかって)各市場を狭いレンジに押し込めてしまっていることになります。

 これは往々にして世界の各金融市場が「本来あるべき水準」から大きくかい離していくことになり、ある日突然、何かのきっかけで大混乱に陥ることになります。それでも世界的なボラティリティ低下は始まったばかりで「まだまだ大丈夫」と考えます。

 さてそんな中で本年も8月25~27日にジャクソンホールでシンポジウムが開催され、FRBのイエレン議長をはじめ世界の中央銀行総裁などが一堂に会します(まだ本年の最終的な出席者は公表されていません)。
 
 ジャクソンホールのシンポジウムとは、FRBのカンザスシティ地区連銀が毎年この時期にワイオミング州北西部の谷間にあるジャクソン市で開催するものです。この地域はイエローストーン国立公園に近い避暑地で(その代わり冬は極寒です)、ジャクソン市はこの谷間にある最大都市ですが、それでも人口は8000人程度の田舎町です。

 日本では最近までそれほど注目されていませんでしたが、歴史的には重要な「密談」がシンポジウムの合間に行われていたり、講演で思いもかけなかった重要発言が飛び出したことがあります。最近では2010年8月にバーナンキ議長(当時)が市場で全く想定されていなかった量的緩和に言及し、実際に同年11月からQE2(6000億ドルの長期国債買入れ)が実施されたことがあります。

 本年のシンポジウムでは、昨年欠席したイエレンFRB議長が26日に講演する予定で、早くも世界中が注目しています。

 イエレン議長の講演内容に限らずシンポジウムにおけるほとんどすべての論議は、まさに世界中の金融当局者が「各市場を狭いレンジに押し込める」ためのものとなりそうです。

 さらにそれをうけて世界中のエコノミストや評論家の類(たぐい)が同じように喧噪し、それを見た世界中の市場参加者が同じように動くため、ますます「各市場が狭いレンジに押し込められる」ことになります。

 さらにこうなると、仮に世界の経済や政治に「突発的事件」が起こっても、ますます各市場の混乱を鎮める力が働くと予想(期待)されるため、一時的ショックがあっても短時間で「各市場はまた狭いレンジに押し込められる」ことになります。

 オバマ政権が完全に世界の政治に対する指導力を失っているように(米国内でもすっかり失っていますが)、FRBも世界の金融市場に対する指導力を失っています。

 だいたいFRBが、中国経済や英国のEU離脱の影響や新興国経済(例えばブラジルやメキシコなど)にいちいち気を遣うので結果的に身動きが取れず、やはり「各市場が狭いレンジに押し込められていく」わけです。

 今年のジャクソンホールでも、イエレン議長が世界の金融市場を混乱させるような発言をするはずがなく、全く気にする必要はありません。

 利上げするとか延期するとか延々と議論しても、そうしているだけで高給がもらえるエコノミストや評論家の類(たぐい)が失業しないだけで、本当に見極めなければならない(たぶん来年ですが)大混乱の予兆は見極められません。

 要するにそういう時期にジャクソンホールのシンポジウムが開催されるわけです。さぞかし百家争鳴となりそうですが、あまり気にしないことです。

 まだ夏休みを取られていない読者の方がいらっしゃいましたら、ゆっくり取られても大丈夫です。

 本誌は遅れに遅れているオリンパス新刊本を「ねじり鉢巻」で完成させています。題名は「誰も書かなかったオリンパス事件の真相」になりそうです。本当に新事実がテンコ盛りになっています。

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■世界経済 » アメリカ | 2016.08.25
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トルコ・クーデター失敗の影響はどこに出る?

2016年07月19日

トルコ・クーデター失敗の影響はどこに出る?


 現地時間7月15日の夜(日本時間16日未明)、トルコ軍の一部勢力が突然ボスポラス海峡にかかる2本の橋とトルコ最大のアタテュルク国際空港を閉鎖し、公営テレビ局も一時占拠して「国の全権を掌握した」との声明を出しました。

 トルコ南西部のマルマリスで休暇中だったエルドアン大統領は、すぐさまテレビ局CNNトルコを通じて市民に「街頭に繰り出して軍の反乱に抗議するように」と呼びかけました。多数の市民がそれに応じたのですが反乱軍が市民に発砲したため200人以上の死者と1500人以上の負傷者が出ました。

 空路でイスタンブールに戻ったエルドアン大統領はすぐさま軍の指揮系統を立て直して鎮圧に乗り出し、ほぼ半日のうちに反乱軍はほとんど投降してクーデターは失敗に終わりました。クーデターに関与したとして100名以上の軍幹部、6000人以上の兵士を含む7500人以上が拘束されていますが、その数は時間の経過とともに増えています。

 またエルドアン大統領は多数の判事や警察官を含む9000人もの公務員を解任し(一部は拘束し)、死刑制度復活に言及し、さらに米国在住の宗教指導者・ギュレン師をクーデター「首謀者」として米国に身柄引き渡しを要求しています。

 つまり結果的にエルドアン大統領は国内の「反対勢力」を一掃し、ますます権力基盤を強化したことになります。

 ここでクーデターの鉄則とは、最高権力者(ここではエルドアン大統領)の身柄をまず拘束することです。実際に反乱軍はエルドアン大統領が滞在していたマルマリスのホテルを襲撃していますが、エルドアン大統領はとっくに脱出していた後でした。

 また同じようにクーデターの鉄則は軍の大半をまとめて結束するか、参加しない部隊を無力化する(すぐに動けないようにする)ことですが、実際には「軍のほんの一部が勝手に動いただけ」にしか見えません。トルコ軍は総勢51万人もいますが、クーデターに関わったとして拘束された軍幹部や兵士は数千人です。

 つまり軍の最高司令官(エルドアン大統領)を拘束せず、たかだか数千人の軍幹部と兵士だけでクーデターを起こせば、すぐに制圧されることは明らかです。つまり全くお粗末なクーデターだったことになります。

 この辺からエルドアン大統領の自作自演説まで囁かれています。さすがにそれも無理がありますが、エルドアン大統領が事前に察知していながら素知らぬ顔で対応を進めていた可能性はあります。

 さて今回のクーデターでは米国のオバマ大統領、ドイツのメルケル首相、それに安倍首相まで「トルコの民主的体制を尊重すべき」と早々とエルドアン大統領支持を表明していますが、実はこれは少し説明が要ります。

 もともとトルコは1923年にムスタファ・ケマルがオスマン帝国王家のカリフを追放し、西洋化による近代化を目指すイスラム世界初の世俗国家として建国されました。

 つまりトルコはその他のイスラム諸国とは大きく違い、イスラム教と政治が分離されています。そして建国以来その世俗主義を主導しているのがトルコ軍なのです。

 それに対してエルドアン大統領の最大の目的は、トルコを世俗国家から「イスラム国家」につくりかえることです。トルコは人口の99%がイスラム教徒でスンニ派が多数を占めていますが、そのトルコをサウジアラビア(ワッハーブ派=最も厳格なスンニ派)やイラン(シーア派)のような「イスラム国家」につくりかえようとしています。

 これは世俗国家とイスラム国家のどちらが好ましいかという議論ではなく、今回のクーデター失敗で(世俗国家を主導している)軍も完全に掌握したはずのエルドアン大統領のもとで、一気に「イスラム国家化」が進むことになります。

 イスラム教とは、唯一無二で全能の神がすべてを(もちろん政治も)支配すると教えますが、実際には誰もその神の教えを聞くことができないためイスラム教の最高指導者(エルドアン大統領になるはずです)が神の教えだとして発言すれば、すべてのトルコ国民がそれに従うことになります。

 つまりイスラム教とは、国家や国民をまとめるためには強力な効果を発揮します。それを悪用するイスラム国(ISIS)のバクダディーでも、それなりに国家体制を作り上げています。

 しかしトルコが「イスラム国家」になってしまうと、世界のバランスから見るといろいろ困ったことが出てきます。それは近いうちに続編で解説します。

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■世界経済 » ヨーロッパ | 2016.07.19
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そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その2

2016年07月08日

そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その2


 昨日の続きですが、英国のEU離脱はあくまでも英国議会がEU本部に対して離脱を「通告」して初めて手続きに入ります。さらに英国議会が「離脱」を通告するかどうかは先日の国民投票の結果になんら縛られません。こんな「最初からわかっていたはず」の議論が今頃になって出てきています。

 離脱を主導した保守党のボリス・ジョンソン氏はすでに表舞台から消えており、同じく離脱の急先鋒だった英国独立党のファラージ党首に至っては「(EU残留に伴うデメリットについて)間違った説明をしていた」と辞任しており、ここから実際に離脱を主導すると政治生命が絶たれてしまうため「誰も何もしなくなる」はずです。

 次期保守党党首(すなわち首相)の有力候補であるメイ内相はもともと残留派で、早くもEU離脱の「通告」は年内行わないと表明しています。すなわち英国保守党の(すなわち多数を占める英国議会の)方針は、早くも「離脱カード」を温存しながらEUにおける英国の立場を強化する方向に変更しているようですが、さんざん振り回されたEU加盟国は「とりあえず出ていけ」となるはずで、混乱は続きそうです。

 いつも書いているように最大の問題は、こんな英国内の「茶番」で世界の金融市場が大混乱になり、ここにきてもっと「憂慮すべき兆候」が現れてきたことです。まあ「茶番」がなければ「憂慮すべき兆候」がここで出てくることもなく、見えないところで問題がさらに膨らんでどこかで大爆発となるため、いい「ガス抜き」になったとは言えなくもありません。

 さて昨日その1)で書いた英国の不動産ファンドの解約停止は、そこから39億ポンド(5000億円)の不動産運用資産を持つヘンダーソン・グローバル・インベスターズなどが加わり、合計7社になりました。

 これはもう立派な「パニック」であり、実際に不動産融資額が大きいRBS、ウニクレディト(伊)、モンテパスキ(伊)、バークレイズ、ソシエテ・ジェネラル(仏)など株価が2~5割急落しています。そして本来は何の関係もないはずの日本や世界の不動産、不動産ファンド、銀行業績などに「間違いなく」伝播すると身構えておくべきです。

 さて昨日はその2)の追加金融緩和の途中でした。リーマンショック以降のイングランド銀行(中央銀行)の金融緩和・量的緩和は大変に「控えめ」で、ここからの追加緩和には「それなりの」効果があるはずです。これも最大の問題は、すでに極限まで金融緩和・量的緩和を行っており、そのはっきりとした弊害が目立ち始めている日本(日銀)までが円安・株高を狙った安直な追加緩和に踏み切ってしまいそうなところです。

 それを織り込んでか昨日(7月6日)の国債市場では20年国債利回りまで一時マイナスになってしまいました。現在はプラス圏に戻っているようですが、10年国債利回りがマイナスになった時の状況から考えると、近いうちに20年国債のマイナス利回りも定着してしまうような気がします。

 つまり日本経済とは、極端な元本リスクを取らなければ「現金を20年間運用してプラスにならない」と市場が判断していることになり、これは強烈なデフレ圧力となります。つまり「円の現金」の価値が最も増加するため「強烈な円高圧力」になるわけです。

 そこを日銀は(旧大蔵省ですが)全く理解していないため、追加緩和=長短金利のさらなる低下=資金需要の増加=経済回復=(その前に安直な)株高という「バラ色の構図」に拘り続けています。

 もちろんここで(次回の政策決定会合は7月28~29日)追加緩和に踏み切ってしまうと、日本はもっと強烈なデフレ圧力に襲われるだけでなく、ますます「海外からを中心とした怪しげな投資話」が跋扈することになってしまいます。


その3  世界の政治に与える影響

 英国のEU離脱(茶番)が世界に与えた最も確実な影響とは「重要な投票でよく考えずに雰囲気だけで投票してしまうととんでもないことになる」と世界中が認識したことです。

 EU内でも少なくとも年内は反EUの勢力は後退するはずです。来年春に行われるフランス大統領選挙では、同じくEU離脱を掲げる国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が有力候補です。じゃあこのルペン党首が「フランスがEUから離脱した場合の政治的・経済的損失」を理解しているのかというと「全く理解していない」はずで、今回の英国の「茶番」でルペン仏大統領の目(芽?)がなくなったと考えます。

 同じように大統領の目(芽?)がなくなったのがトランプのようです。対立のヒラリー候補の私用メール問題については先日FBIが大変唐突に「不起訴」としてしまい、それを待って(そう指示した?)オバマ大統領が異例の「ヒラリー支持」を表明しています。

 米大統領の本選は投票1か月前の米国の(世界のではありません)状況によって決まるため、まだまだ確定とは言えませんが、ほぼヒラリーで「決まり」となってしまいました。本誌はかねてより「日本にとって最悪の大統領候補はヒラリー」と主張していますが(2番目の最悪はトランプですが)、どうもそうなってしまいそうです。

 歴史上はじめて「中国に大変に親しい米国大統領」が出現する恐怖はしっかりと認識しておかなければなりません。これが今回の英国の「茶番」が引き起こした「もっとも憂慮すべき」ものとなりそうです。

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■世界経済 » ヨーロッパ | 2016.07.08
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そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その1

2016年07月07日

そろそろ出始めた英国EU離脱の「憂慮すべき兆候」 その1


 英国のEU離脱決定から約2週間が経過し、そろそろ「憂慮すべき兆候」が思いもかけない方向から出始めています。いくつか列挙しますが、1回では書ききれないので明日も続けます。


 その1  英国の不動産ファンドが解約停止に追い込まれた

 昨日(7月5日)までに少なくとも3つの英国商業不動産ファンドが顧客との取引停止(要するに解約停止)に追い込まれています。この3つとはスタンダード・ライフ・インベストメンツ、M&Gインベストメンツ、アビバ・インベスターズのことで、これら3つの不動産運用総額は91億ポンド(1兆1600億円)に上ります。

 市場では早くも、2007年8月にBNPパリバ傘下の3つのMBS(モーゲージ担保付き債券)ファンドが解約停止に追い込まれ、そこから1年1か月後にリーマンショックを含む世界金融危機となったことを「連想」する向きがでています。

 リーマンショック直前のMBSおよびその担保となる住宅ローンの劣化は誰もが認識していましたが、現在の英国を含む世界の不動産市況がそれほどバブルとは誰も認識していなかっただけに、英国のEU離脱(これも本当の離脱になるのかどうかもわかりませんが)をきっかけに、今後の日本を含む世界の不動産および不動産ファンドへ影響が拡散する恐れがあります。

 これは悲観論を言っているのではなく市場心理とはそういうものだからです。またそうなると特に欧州の銀行の資産内容も悪化することにもなり、当の英国だけでなく日本を含む世界経済にもかなり影響が出る可能性があります。100%英国内の政治問題だったEU離脱が、世界経済に本当に深刻な影響を与える「最初の兆候」となるような気がします。


その2  英国の金融緩和期待・ポンド安・英国株高

 本日(7月6日)、ポンドは一時1ポンド=1.2796ドルと1985年以来のポンド安となり、対円でも一時1ポンド=128.79円と、欧州債務危機と超円高が重なった2011年10月の1ポンド=116.95円にも接近しています。

 6月24日の国民投票開票作業が始まったばかりのころは、まだ残留予想が支配的だったこともあり1ポンド=1.50ドル、1ポンド=160円あたりの水準でした。

 ところが英国株(FT指数)はポンド安の恩恵もあり、国民投票前日(6月23日)終値の6338ポイントから先週末(7月1日)には6557ポイントと本年最高値となり、本日も現地時間正午時点で6480ポイントと依然として国民投票前の水準を上回っています。

 「とばっちり」を受けた方の日経平均が本日も290円安の15378円(終値)と、6月23日の16238円を大きく下回っていることと大違いです。

 このポンド安と英国株高の背景には、イングランド銀行(中央銀行)による金融緩和がほぼ確実視されていることがあります。

 実はイングランド銀行の政策金利は2009年3月以来ずっと0.5%に据え置かれています。そのあとからECBをはじめスイス、スウェーデン、デンマーク中央銀行がマイナス金利(運用側だけですが)を導入したため、英国は同じく政策金利を0.5%に据え置いたままのノルウェーと並ぶ「欧州の高金利国」となります。

 さらにイングランド銀行は同じく2009年3月から資産を購入する量的緩和を続けていますが、その上限は何度か拡大されたものの総額3750億ポンド(48兆円)と「ささやか」であり、しかも2012年10月からは新規の買い入れを停止しているため直近のイングランド銀行の準備預金は3000億ポンド(38兆円)しかありません。

 日銀の当座預金は300兆円をこえていますが、要するにイングランド銀行には金融緩和の余力がタップリあり、その効果もそれなりに期待できることになります。

 ここで最悪の事態とは、「とばっちり」で円高・株安に襲われている日本でも「何だ、やっぱり追加緩和すれば円安・株高になって、GPIFの運用成果もよくなるのではないか?」などの安直な考えから、日銀の追加緩和がまたぞろ現実味を帯びてきてしまうことです。

 日銀の追加緩和とは、日銀が買い入れる国債など資産額を「もっととんでもなく異次元」にしてしまうことと、マイナス金利のマイナス幅をもっと拡大させる組み合わせとなります。

 それを受けて本日(7月6日)の国債利回りは、2年国債がマイナス0.34%(つまり0.1%ずつ2回程度の金融緩和=マイナス幅の拡大を織り込んでいる)、10年国債が一時マイナス0.285%、20年国債まで一時マイナス0.005%、30年国債も一時0.015%と、軒並み史上最低を更新しています。

 国債利回りがここまで低下する「恐ろしさ」と「さらなる追加緩和の恐ろしい弊害」、それに世界を見回して目につくほかの「憂慮すべき兆候」などは明日に続きます。


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■世界経済 » ヨーロッパ | 2016.07.07
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