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ヘッジファンドの巨人たち(2016年)

2017年05月23日

ヘッジファンドの巨人たち(2016年)


 毎年この時期に前年のヘッジファンド主宰者の高額所得ランキングが発表されるので、それに合わせて毎年書いている話題です。ヘッジファンドそのものの収益ではなく、あくまでも主宰者の個人所得ランキングです。

 昨年(2016年)のヘッジファンド業界平均のリターンは5.4%しかなく、11.9%だったS&P500にリーマンショック以降8年連続で負けています。毎年1.5~2.0%の運用報酬に加えてリターンの20%の成功報酬を受け取るヘッジファンドが、タダみたいな運用手数料のS&P500などインデックスファンドに負け続けていることになります。

 さすがに昨年はヘッジファンド業界全体で700億ドル(8兆円)の資金流出となったようですが、それでも業界全体で3兆ドルほどの残高があります。

 また昨年の上位10名の所得合計は76億ドル(8500億!)と、信じられない金額ですが、それでも2014年の116億ドル、2015年の100億ドルから減っています。

 さて2016年の高額所得ランキング1位は、クォンツ型ヘッジファンドの雄・ルネッサンス・テクノロジーズ創業者のジェームス・シモンズ氏で16億ドル(1800億円!)でした。天才数学者のシモンズ氏は79歳で、もうとっくに第一線を退いているはずですが、前年の17億ドルに続いて2年連続の1位となりました。前年(2015年)は後から出てくるグリフィン氏と同額の首位でしたが、昨年は単独首位(たぶん初めて)となりました。

 またルネッサンス・テクノロジーズ現CEOのロバート・マーサー氏はケンブリッジ・アナリティカの最大のスポンサーであり、トランプ政権にもスティーブ・バノンを送りこんでいます。2月23日付け「ケンブリッジ・アナリティカとは?」に書いてあります。

 そして2位が、世界最大規模のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツ創業者のレイモンド・ダリオ氏で14億ドルでした。ブリッジウォーターは複数のヘッジファンドを運用していますが、典型的なグローバル・マクロ型です。

 そして3位と4位には、トゥー・シグマ・インベストメンツ共同創業者であるデヴィッド・シーゲル氏とジョン・オーバーデック氏が、同額の7.5億ドルで初めて上位にランクインしています。

 このトゥー・シグマ・インベストメンツは2001年創業で、2人の共同創業者が微妙に違う専門分野を生かして共同開発したクォンツ型・AI型のヘッジファンドです。まさに時流の先端を走っており、急成長・急拡大しているヘッジファンドです。

 さらに5位がディストレスの雄・アパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパー氏で7億ドル、6位が前年同額首位だったシタデルのケネス・グリフィン氏で6億ドルと「常連」が続きます。ちなみにグリフィン氏が主宰するシタデルは2016年のパフォーマンスが5%ほどだったようで「たった5%でも6億ドル?」と批判を浴びそうです。

 さらに7位には、エリオット・マネジメントのポール・シンガー氏が5.9億ドルでランクインしています。シンガー氏はなぜか今までランキング上位に入ったことがありませんが、本紙が考える「正真正銘のワル」です。

 この「ワル」というのは決して悪い意味ではなく、絶対に不可能と思える相手に勝負を仕掛け、時には国家権力まで動員して何年かけても「勝ってしまう」投資手法です。今回のランク入りは、デフォルトしたアルゼンチン国債を捨て値で買い集め、アルゼンチン政府の債務カット要請を頑として受け付けず、債務カットに応じた投資家への支払いを差し止めてまで保有全額を満額償還させてしまいました。24億ドルの収益だったと言われています。

 今回のランクインは、この報酬が遅れて反映されたものと思われます。2014年7月29日付け「アルゼンチンがなぜデフォルトするのか?」に書いてあります。また最近のシンガー氏はサムスン電子の資本再編を攻撃しており、こちらは2016年10月13日付け「正真正銘のワルに狙われたサムスン電子」に書いてあります。

 さて昨年(2016年)は、1位、3位、4位とクォンツ型・AI型ヘッジファンドの主宰者が上位を占めました。たまたまだったかもしれませんが、今後のヘッジファンド業界はますます「人間が頭で考える」から「機械(コンピュータ-)が瞬時に判断する」スタイルに重心が移っていくような気がします。

 投資信託では受け身(Passive)のインデックス運用が主流になりつつありますが、本来はその対極にあるはずのヘッジファンドにクォンツ化・AI化の波が押し寄せると、金融市場の相場変動メカニズムが変ってくる可能性があります。というよりもうすでに変わりつつあるような気がします。

 そんな予兆も感じられる昨年(2016年)のヘッジファンド高額所得者ランキングでした。



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■闇株的見方 » 株式 | 2017.05.23

ロシア疑惑で特別検察官任命 その行方は?

2017年05月19日

ロシア疑惑で特別検察官任命 その行方は?


 米司法省は5月17日、昨年の大統領選にロシア政府が干渉した疑惑(以下、「ロシア疑惑」)の捜査を指揮する特別検察官にロバート・モラー元連邦捜査局(FBI)長官を任命したと発表しました。

 「ロシア疑惑」については、FBIのコミー前長官が5月9日にトランプ大統領によって解任されたものの捜査は継続しています。また共和党が多数を占める連邦議会でも、下院の監視・政府改革委員会、上院の情報特別委員会と司法委員会が、コミー前長官とトランプ大統領の「ロシア疑惑」を巡る会談メモの提出を求めており、行政府(FBI)と立法府(連邦議会)が入り乱れています。

 そこでより公正な立場での捜査で米国民の信頼を回復するため(米司法省)に、今回の特別検察官任命となりましたが、特別検察官はFBIの捜査や連邦議会の調査を妨げるものではなく、今後は「三つ巴」となります。

 つまりそうでなくても停滞しているトランプ政権の行政執行と議会折衝が「ほぼ完全に止まる」と考えてよさそうです。同日(5月17日)の米国市場では、NYダウが372ドル安の20606ドル、為替が1ドル=110円台後半となりました。

 特別検察官に任命されたロバート・モラー氏は、2001年9月の同時多発テロ直前に就任し、オバマ大統領に任期(10年)の2年延長を求められ2013年まで就任していました。その経験や見識は申し分ないと評価されています。その後任が先日解任されたコミー前長官でした。

 さて最大のポイントは、この特別検察官の法的立場と権限が及ぶ範囲です。わかりやすくいえば「解任」される恐れがあるかどうかです。

 まず現行の特別検察官(special counsel)とは1999年に制定された連邦法により設置され、米大統領や閣僚や政府高官が関与した事件や疑惑を捜査する独立性の高い役職で、司法長官が司法省の外から臨時に任命します。期限はとくに定められていません。

 特別検察官は捜査権と訴追権を併せ持ち、捜査権だけで訴追権のないFBI捜査官より強大な権限となります。ついでに言えば日本の検察庁も(正確には各検察官が)捜査権と訴追権を併せ持つ「強大な組織」となります。

 特別検察官は任命されると60日以内に捜査予算をまとめ、司法長官から承認される必要があります。また特別検察官の捜査は日常的に監督を受けることはありませんが、「捜査や訴追に向けたあらゆる進展」を司法長官に報告することになります。

 今回のモラー氏はローゼンスタイン副司法長官が任命していますが、これはセッションズ司法長官自身が「ロシア疑惑」に関与した可能性があるため、この捜査に関与できないからです。したがって報告もローゼンスタイン副司法長官に行うことになります。

 つまり現行の特別検察官の立場と権限は「結構あやふや」であり、しかもトランプ大統領の指揮下にある司法省の権限が大きく残されているように思えます。実際に現行の特別検察官が任命されたケースは1度しかなく、しかもテキサス州のカルト集団に絡む捜査というローカルなものでした。
 
 あまり過大な期待をかけない方がいいかもしれません。司法省が(トランプ大統領が)早期の幕引きを狙って任命した可能性もあります。

 ところで1999年までは独立検察官(special prosecutor)という役職があり、はるかに強大な権限と独立性を保証されていました。

 これはニクソン大統領が1973年10月20日に、ウォーターゲート事件を捜査していたコックス特別捜査官を解任してしまった反省から1978年に制定されたものです。コックス解任については3月31日付け「土曜日の夜の虐殺(Saturday Night Massacre)とは?」に書いてありますが、結局ニクソンも1974年8月に辞任に追い込まれました。

 ところがこの独立検察官の強大な権限は時の政権にとっても大きな恐怖となりました。クリントン大統領のアーカンソー州知事時代の「ホワイトウォーター疑惑」を捜査するために任命されたケネス・スター独立検察官は、その潤沢な予算を使ってホワイトハウスを責め立て、途中で出てきた大統領のセクハラ疑惑で史上2例目の大統領弾劾裁判にまで持ち込んでしまいました。

 それで独立検察官制度は1999年に失効して、現行の「結構あやふや」な特別検察官制度となったわけです。結局のところ「ロシア疑惑」はうやむやになり、トランプ政権の政治・外交を一層停滞させる結果にしかならないと感じます。

 トランプの命運は、来年(2018年)11月の中間選挙で大敗し、民主党が過半を占める下院が発議して弾劾裁判が招集されるまでは「安泰」と考えます。弾劾裁判は上院の3分の2以上の賛成で罷免となりますが、今のところ中間選挙後でも罷免は難しいと考えています。



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■闇株的見方 » 社会 | 2017.05.19

カスペルスキーはサイバー犯罪における「救世主」なのか?

2017年05月17日

カスペルスキーはサイバー犯罪における「救世主」なのか?


 カスペルスキー(英語名:Kaspersky Lab.)とは、モスクワに本社を置くサイバーセキュリティー会社で、1997年にユージーン・カスペルスキーとナターリア・カスペルスキー(元妻だそうです)が設立した非公開会社です。

 カスペルスキーが販売するウイルス対策ソフトは、比較的安価で効果が大きいと評価が高く、現在は世界30地域にオフィスを構えて200か国以上で販売しているそうです。2004年には日本法人も設立しており、CMにAKB48を起用していたこともあります。

 創業者のユージーン・カスペルスキー(51歳)は1987年にソビエト連邦の秘密警察だったKGBに入局し、主に暗号解読に関わっていたようです。KGBは1991年にソビエト連邦とともに消滅しますが、現在のロシア政府にはプーチン大統領をはじめ多数の元KGB幹部がいるため、現在のカスペルスキーもロシア政府との関係を維持している(させられている?)と考えたほうがよさそうです。
 
 さてそんなカスペルスキーの名前が、ここのところ頻繁に出てきます。5月12日から、全世界約100か国を狙った史上最大のハッカー攻撃が行われ、英国の病院システムなどに深刻な被害が出ていますが、カスペルスキーは刻々と増殖するサイバー被害の最新状況をモニタリングするサイトを開設し、被害が大きい(重点的に攻撃されている)地域にその具体的な対策方法を発信しています。

 これだけなら自社製品の販売促進ですが、それ以外にも今回のサイバー攻撃に関するさまざまな分析を公表しています。

 そもそも今回のハッカー攻撃は、ウィンドウズXPなどすでにサポート期間が終了している旧システムの脆弱性を突いたもので、もとはといえばNSAが密かに開発した「身代金ソフト」が使われています。それが何らかの形でハッカー集団の手に渡っていた(要するに何者かに盗まれた)ことになります。

 そしてカスペルスキーは、今回のハッカー攻撃で使用された一部コードに、北朝鮮のハッカー集団とみられるラザルス(Lazarus)グループが過去に使用していたものが含まれると公表しています。

 同じようなコメントが米国サイバーセキュリティー大手のシマンテックからも出されていますが、要するに今回のサイバー攻撃に北朝鮮が関与している可能性が強いといっていることになります。

 ところが今回のサイバー攻撃が始まる約1か月前の4月3日、カスペルスキーは「悪名高いサイバー犯罪組織のラザルス(Lazarus)を追跡調査し、金融機関からの大規模な金銭窃取(せっしゅ。こっそり盗み取ること)の回避に貢献した」と公表していました。

 これは具体的には2016年2月4日から5日にかけて、バングラデシュ中央銀行から8100万ドル(92億円)が窃取された事件を、カスペルスキーが1年以上かけて追跡調査したものですが、その事件の詳細は日本ではあまり報道されていないため少し解説しておきます。

 これはバングラデシュ中央銀行がNY連銀に預けている外貨準備が狙われたものですが、まず外貨準備というものは大半がドルなので、日本を含めた世界の外貨準備の大半はNY連銀にあることになります。また世界各国の金準備もその大半がNY連銀の地下金庫にあります。

 そして問題の日、バングラデシュ中央銀行からNY連銀に対して合計8億5100万ドル(現在の為替で970億円!)をドイツ銀行経由で、フィリピンのリサール商業銀行とスリランカのパン・アジア・バンキングなどにある複数に口座に送金するよう「指示」が送られます。

 ドイツ銀行を経由しているのは、バングラデシュ中央銀行がドル資金の決済にドイツ銀行を利用していたからと思われます。そしてこれらの「指示」はバングラデシュ中央銀行が送ったものではなく、そこにあるパソコンに何らかの方法で侵入したウイルスがバングラデシュ中央銀行のシステム全体に拡散し、外部からの不正な「指示」をそのままNY連銀に送っていたことになります。

 実際は最初に「指示」が送られたフィリピンのリサール商業銀行あての4件・8100万ドルは送金完了となり、その次のパン・アジアへの2000万ドルも一旦着金します。しかし金額の大きさに疑問を感じたパン・アジアがこれを保留にしてドイツ銀行に問い合わせ、ドイツ銀行がバングラデシュ中央銀行に問い合わせたため、不正であることが発覚して残る送金もすべて停止されました。

 ただフィリピンのリサール商業銀行に着金した8100万ドルは、すでに複数のカジノ運営会社や仮想通貨交換会社などに送金されており、全く回収できませんでした。

 そこで最初にこのバングラデシュ中央銀行にウイルスを送り込んだ犯罪組織が、北朝鮮が関与していると考えられるラザルス(Lazarus)グループであり、今回のサイバー攻撃にもその形跡があるとカスペルスキーは警告しているわけです。

 これだけだとカスペルスキーはサイバー犯罪に対する「救世主」となりますが、元KGBで今もロシア政府と深く結びついているはずのカスペルスキーの存在感が大きくなればなるほど、また違った不安も出てくることになります。



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■闇株的見方 » 社会 | 2017.05.17

「バフェット」と「バフェットでないもの」の違い

2017年05月10日

「バフェット」と「バフェットでないもの」の違い


 本日(5月9日)の日本経済新聞夕刊の記事(4面のウォール街ラウンドアップ)を見て、思わず予定を変更して書いた記事です。

 記事そのものが間違っているわけではありませんが、まさに「バフェット」と「バフェットでないもの」の違いに注意しなければならないと言いたくなる内容です。

 まずその記事に入る前の「前段」です。

 先週末の5月6日、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの定時株主総会が、本社のあるネブラスカ州オマハで開催されました。人口43万人のオマハに、毎年4万人ほどの株主が訪れるそうです。

 バフェット氏は今年の株主総会で、保有するアップルをさらに評価する発言を繰り返したため、週明け8日のアップル株はさらに上昇して153ドルとなり、時価総額が初の8000億ドル(90兆円)となりました。

 バフェット氏は昨年(2016年)3月にアップル株に初めて投資し、昨年末にかけて買い増していましたが、本年1月末の決算発表前に7000万株以上を大量取得し(その時点の株価は121ドル)、合計1億3300万株を保有しています。バフェット氏の保有するアップル株式の時価総額も200億ドルをこえたことになります。

 またバフェット氏は総会で、今年になって保有株式の3分の1を売却したIBMについては「投資した2011年当時はうまくいくと思ったが間違いだった」と認め、逆に昨年後半から大量に投資している航空株については「もう経営悪化につながる価格競争に陥ることはないだろう」と擁護しています。

 バフェット氏は1965年にバークシャー・ハサウェイの経営権を取得して以来、現在までにその株価を約2万倍にしています。その間のS&P500は150倍程度のはずです。

 昨年から投資しているアップル株がさらに上昇しているなどの「無数にある成功例」や、IBMのような「たまにある失敗例」について、今さらコメントするつもりは全くありません。バフェット氏の投資は、成功例も失敗例も「見ているだけで勉強になる」からです。

 さてここからが本題です。表題の「バフェット」と「バフェットでないもの」の違いとは、単に運用実績が神様のようなバフェット氏と、投資実績が凡庸な担当者の違いではありません。

 その日経新聞で紹介されている「バフェットでないもの」とは、バフェット氏がアップル株に投資したら実際に株価が上昇したことを見て「アップルと同じような企業がある」とか、バフェット氏が珍しくアマゾン株に投資しなかったことを悔やんでいることを聞いて「アマゾンはまだまだ上がる」など根拠不明の理屈で投資資金を募っている新興ヘッジファンド担当者のことです。

 明らかにバフェット氏の威を借る狐のような輩(やから)がいるわけですが、実際にそう聞いてしまうと「バフェット氏のバークシャー・ハサウェイはもう株価が2万倍になっているので、バフェット氏のような投資手法なら(ここが間違い!)資金を預けてみようか」と考えてしまう投資家が世界中に結構いるものです。

 だいたい悲惨な運用実績になってしまいます。

 もともとバフェット氏は、投資家から高率の手数料や成功報酬を受け取るヘッジファンドを強く批判しています。そして総会でもタダみたいな運用手数料でリーマンショック以降すべての年でヘッジファンドの平均実績を上回るインデックスファンドを広めたバンガードを称賛したようです。

 さて本日の記事は、近々「ビットコインとビットコインでないものの違い」という記事を書こうとしていたところに本日の記事を見たため、ついバフェット氏に変更してしまったものです。

 本誌はビットコインを含む仮想通貨については懐疑的ですが、直近で1700ドル台と史上最高値を更新中のビットコイン価格については需給関係を反映したものであり、別に幻想とも詐欺話とも思っていません。

 ところが最近ビットコイン価格の急上昇を見て「数年前にビットコインに投資していたら今頃は大富豪でしたよね。ところがこのコイン(何とかコイン)はこれから売り出すため、いま投資しておけばあなたも大富豪ですよ」という詐欺話が日本で頻発しています。

 これはビットコインの価格変動を見て利用しているだけの単なる詐欺話で、絶対に信用してはいけません。だいたいバフェット氏とビットコインを比較すること自体、大変にバフェット氏に失礼ですが、ついこういう記事になりました。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.05.10

中国経済のどこが問題なのか?

2017年05月09日

中国経済のどこが問題なのか?


 中国人民銀行は本日(5月8日)、4月末の外貨準備が3兆300億ドルとなり、3か月連続で増加したと発表しました。ようやく中国からの外貨流出に歯止めがかかったようです。

 中国人民銀行は2005年7月に人民元の対ドルレートを1ドル=8.28元から緩やかに上昇させる為替政策に転じ、2014年1月に1ドル=6.05元の高値まで誘導しました。

 一方で中国の外貨準備は2005年の8000億ドルから増え続け、人民元が上昇を止めた半年後の2014年6月に3兆9900億ドルのピークとなりました。つまり中国の外貨準備は「人民元が対ドルで上昇している間に増え続けていた」ことになります。

 中国人民銀行は貿易黒字や海外からの投資に伴い流入する外貨(ドル)を一元的に買い入れて見返りの人民元を中国国内に放出し、中国経済はその拡大する国内流動性で未曽有の経済発展を遂げました。つまり中国経済は、ドルを裏付けとした人民元を国内で流通させる「実質的なドル本位制」なのです。

 その後の人民元は1ドル=6.2人民元を挟んだ動きでしたが、中国人民銀行は2015年8月に「突然」1ドル=6.45元まで下落させ、その後も中断を挟んで2016年12月には1ドル=6.95人民元となってしまいました。

 その間に中国の外貨準備は減り続け、人民元が安値となった直後の本年(2017年)1月には3兆ドルを割り込んでしまいました。つまり中国の外貨準備は「人民元が対ドルで下落している間に減り続けた」ことになります。

 そもそも中国が2015年8月に「突然」人民元を引き下げた理由は、低迷する中国経済を貿易主導で活性化させるためだったはずですが、予想以上の外貨流出・人民元安・外貨準備急減、さらには中国経済への不安拡大・上海株式の急落などを招いてしまい、世界の株式市場にも「少なからず」の混乱が広がりました。

 2016年の1月早々にも全く同じことが繰り返され、2月中旬には世界中のほとんどの株式市場が安値(日経平均は14952円、NYダウは15973ドル)となってしまいました。

 さすがに中国政府も2016年半ばから資本規制を強化し、500万ドル以上の海外M&Aを事実上凍結したこともあり、現在は1ドル=6.9人民元を挟んで落ち着いており、外貨流出(外貨準備の減少)にも歯止めがかかっているように見えます。

 さてそれで問題は解決しているのでしょうか?

 まず外貨流出規制は中国の国内資金を再び国内不動産に向けてしまい、上海など大都市を中心に「すさまじい」不動産価格の上昇となっています。これを見て「中国の不動産はバブルであり、いずれ弾けて中国経済は大混乱に陥る」と心配されていますが、本当の問題はこれではありません。

 もともと中国のGDPに占める消費の割合は38%くらいで、総資本形成(官民の投資のことです)が46%くらいあります。「くらい」としているのは中国の国内経済統計はあまり信用できず、正確な数字を拾い出しても意味がなく傾向だけ把握できれば十分だからです。

 ちなみに日本のGDPは消費が56%、総資本形成が23%くらい、米国のGDPは消費が68%、総資本形成が17%くらいで、中国の経済は日米に比べて圧倒的に官民の投資(総資本形成)が大きいことになります。

 いくら中国のGDPが6%台後半だといっても、もともと中国は計画経済であるため、どうしても採算性のよくわからない投資を積み上げて「辻褄を合わせている」ことになります。いくら投資が多くても、それが付加価値の増大につながる「真面目な投資」であればいいわけですが、どう見てもそうではなさそうです。

 さらにその投資資金の大部分は外部負債を積み上げて(つまり借金で)賄っています。2015年末における中国の負債総額は168兆元(3120兆円)もあり、その時点で中国GDPの249%もあります。さらに直近でもGDP増加分の2.5~3倍のペースで負債総額が積みあがっています。

 わかりやすく言うと最近の中国経済は地道に付加価値を積み上げているわけではなく、官民を挙げて不動産(だけではありませんが)投資にのめり込み、しかもその資金は安直に負債(借入れ)で賄っているだけとなります。

 そして曲がりなりにも中国経済の信用の裏付けになっている外貨(ドル)は、ここ2年ほどの間に1兆ドルも「逃げ出している」ことを忘れてはなりません。中国経済はここ2年ほどの間に想像以上に劣化していると考えるべきです。

 地道に外貨を稼げなくなり安直な投資(投機)に走るようになった中国経済は、人民元を多少下落させたところで「ちょっと前までの勢い」を取り戻すことはできません。

 人民元の下落はその「中国経済凋落の始まり」を象徴しているはずです。


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■闇株的見方 » 経済 | 2017.05.09
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