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ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車  その2

2018年04月18日

ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車  その2


 3月30日付け「同題記事」の続きです。仏ルノーと日産自動車の会長を兼務するカルロス・ゴーン氏は4月16日、日本経済新聞とのインタビューで、両社の資本関係を見直す考えを示しました。

 ここで現在のゴーン氏は仏ルノーのCEOに専念しており、つい先日その任期が4年間(2022年まで)延長されましたが、筆頭株主(15%)であるフランス政府には、マクロン大統領をはじめゴーン氏更迭の意見もかなりあったようです。

 ゴーン氏は昨年4月1日付けで、日産自動車CEOの座を西川廣人(さいかわひろと)氏に譲り、代表取締役会長となっています。この西川氏を始めとする日産自動車の日本人経営陣は、ひたすらゴーン氏やルノー本社の意向を「目いっぱい忖度して」出世してきたはずです。

 現時点の資本関係は、ルノーが1999年の第三者割当増資引受、その後の新株予約権行使も含めて約8000億円で日産自動車の43.6%を保有しています。また日産自動車もルノーの筆頭株主であるフランス政府と同額の15%を保有していますが、ルノーの連結子会社であるため議決権はありません。

 ちなみにルノーはこの日産自動車に保有させている15%の株式と、保有以来の現金配当で、出資金額の8000億円はすっかり回収しています。

 また度重なる不正で経営危機となっていた三菱自動車も、2016年5月に日産自動車が2373億円の第三者割当増資を引き受けて34%の株主となり支配下に入れており、やはり間接的にはルノー傘下となります。三菱自動車もゴーン氏が代表取締役会長となっており、CEOは益子修氏ですが、もちろんゴーン氏の傀儡です。

 ここで2017年通年の世界販売台数では、トップはVWの1074万台(前年比4.3%増)でしたが、日産自動車と三菱自動車を加えたルノー連合が1060万台と世界第2位に浮上し、トヨタ自動車の1038万台(同2.1%増)を抜いてしまいました。

 と言っても2017年通年の世界販売台数では日産自動車が581万台、親会社であるはずのルノーが376万台、本日(4月17日)の株式時価総額も日産自動車が4兆7630億円、ルノーが282億ユーロ(3兆7388億円)などと、完全に「親子逆転」となっています。

 さてここからが本題ですが、ルノーの筆頭株主であるフランス政府は、かねてよりルノーと日産自動車(自動的に三菱自動車もついてきます)の経営統合を求めており、実際には合併させてすべてフランスの会社にしようと考えています。

 その急先鋒がマクロン現大統領で、2015年にはオランド政権の経済・産業・デジタル大臣として、2年以上保有する株主の議決権を2倍にするフロランジュ法を強引に承認させてしまいました。この時は「まだ」日産自動車CEOも兼任していたゴーン氏が、一応は日産自動車の少数株主の利益も代弁する立場でもあったため反対に回り、辛うじて日産自動車がルノーと合併して日本の会社ではなくなる事態だけは回避できました。

 ところが現時点では、そのマクロン氏は仏大統領に大出世しており、ゴーン氏はルノーCEOとして堂々とルノーの(あるいはフランス政府の)利益を最大限にすることに専念すればよく、日産自動車の西川CEOはもちろんゴーン氏やルノーの意向を最大限に忖度するため、日産自動車がルノーと経営統合(というより合併)することに何の障害もありません。

 つまりもう外堀は完全に埋められており、内堀もほとんど埋められている状態となります。

 日産自動車の方がルノーよりもあらゆる面で大きいため、フランス政府とすれば日産自動車をルノーと合併させてフランスの会社にしてしまう経済的メリットは、大変に大きいはずです。

 ルノーCEO更迭の予想が多かったゴーン氏が4年の任期延長となった背景には、在任中にルノーと日産自動車を経営統合(実際には合併)させることが条件になっていると感じます。

 さて本日(4月17日)付けの日本経済新聞には、ルノーと日産自動車が統合新会社を作り、両者を傘下に入れる案が浮上していると書かれていますが、そんな日本の地銀の形だけの経営統合のような「生ぬるい」経営統合をルノーもフランス政府も認めるはずがありません。

 また日産自動車が現在15%保有しているルノー株式を25%まで買い増せば、日本の会社法によりルノーが持つ日産自動車株の議決権が消滅するとも書かれていますが、それはあくまでも日本の土俵で戦った場合であり、もう完全に外堀が埋められた状態では全く意味がありません。だいたい西川CEO以下の日産自動車経営陣がゴーン氏やルノーと戦うはずがありません。

 かくして日本から(日本の株式市場からも)歴史ある自動車会社が消えてしまうことになります。本誌がいつも書くように、会社を安直に海外(ファンドでも会社でも)に売却してしまうとロクなことになりません。


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■企業 | 2018.04.18

フェイスブックの危機 トランプの危機

2018年04月06日

フェイスブックの危機 トランプの危機


 ようやく日本の報道でも取り扱いが「森友学園」より大きくなってきましたが、本誌は3月17日に第一報が伝えられた直後から、フェイスブックもトランプ大統領も「原爆級」のダメージを負うと考えています。

 フェイスブックのザッカーバーグCEOは4月4日、世界で21億人いるとされる会員の大半について、個人情報が悪用されるリスクが「あった」と電話による記者会見で認めました。「あった」と過去形になっているのは、すでにその対応を始めているというだけで、問題はすでに「起こってしまった」事実への対応であるはずです。

 その「起こってしまった事実」とは、3月21日付け「トランプ大統領を誕生させた最大の武器が明るみに」で書いたように、2016年11月の大統領選挙でトランプ側のデータ分析会社であるケンブリッジ・アナリティカの関連会社がフェイスブックから会員の行動パターンを読み取れるデータを会員の「お友達」も合わせて8700万人分も(当初の発表では5000万人分でした)不正に取得していたというものです。

 直接の実行犯は(なぜか最近の報道では名前が出なくなっていますが)ケンブリッジ・アナリティカのアレクサンドル・コーガン博士(ケンブリッジ大学教授)で、フェイスブックに対しては「研究目的」であると偽って「それでも有償で」取得していたものです。

 これらデータの分析は、最初にケンブリッジ・アナリティカ(の前身会社)が接近した同じケンブリッジ大学教授のミハエル・コジンスキー博士が2013年に考案したOCEANという心理統計モデルを、コーガン教授がそっくり「パクった」もののようです。

 これらのデータは属性毎に細かく分類され、それぞれに最も有効な宣伝手法が考えだされ、見事に対立候補のヒラリー・クリントンを「いやな女」に仕立て上げてトランプ大統領を僅差で(総得票数では負けていた)当選させました。

 トランプとヒラリー両候補が獲得した一般投票数の合計は1億2880万票ほどだったため、不正に取得されたその最大8700万人も、たぶん米国人で実際に大統領選に投票しそうな会員を選んでいるはずで、その効果は「絶大だった」はずです。

 ケンブリッジ・アナリティカは2016年6月のEU離脱を巡る英国の国民投票でも、英国独立党のファラージ党首側について、確信犯的な無責任発言を繰り返させて「EU離脱」としてしまい、直後にさっさと(無責任発言の責任を取らされないように)辞任させていました。

 またケンブリッジ・アナリティカは英国法人ですが、実質オーナーは最強ヘッジファンドであるルネッサンス・テクノロジーズCEOのロバート・マーサーで、正真正銘の超保守派(超タカ派)です。親中国のヒラリーだけは米国大統領にしてはならないと考えたはずで、ホワイトハウスに送り込んだバノンは解任されたものの、最近になってトランプ政権は再び超保守派(超タカ派)に旋回しており、依然としてトランプ政権に強い影響力を維持しているようです。

 さてここで表題にあるフェイスブックの危機とは具体的に何を指すのでしょう。

 ザッカーバーグCEOは4日の記者会見では、会員の電話番号による検索機能を廃止し、会員データは売っているのではなくより良いサービスを提供するために利用していると強調し(会員データを外部に販売していることは否定していない)、会員データの不正流出と個人情報が悪用されるリスクはあくまでも別問題であるなど、強気な姿勢を崩していません。

 ザッカーバーグCEOは4月10日に、上院の司法委員会と商業委員会、11日には下院エネルギー・商業委員会の公聴会でそれぞれ証言する予定ですが、その態度によっては辞任に追い込まれる可能性もあり、フェイスブックも議会や政府によって大幅に事業内容を制限される恐れもあります。最も怖いのは上院の司法委員会でしょう。

 フェイスブックの株価は、事件発覚前日(3月16日)の185ドルから、昨日(4月4日)の155ドルまで16.2%も下落し、時価総額も900億ドル(9.5兆円)が吹っ飛んでいます。

 それではトランプの危機とは何でしょう?

 トランプも直接ケンブリッジ・アナリティカによる会員データの不正取得に関わっていた可能性は低いと思いますが、それでも第19代大統領のラザフォード・ヘイズ以来の「いかさま殿下(資格に疑問の余地のある選挙人20名がヘイズに投票して185:184で辛勝した)と呼ばれるようになり、ヘイズと同じように1期でお役御免となりそうです。


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■企業 | 2018.04.06

ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車

2018年03月30日

ついにルノーに丸ごと食われてしまう日産自動車


 2日続けてイレギュラーな時間での更新となりますが、日本企業を安直に海外企業に売り渡してしまうと徹底的に食い尽くされると何度も警告している典型例の日産自動車が、いよいよ最悪の事態になりそうなので急遽記事にしました。

 ルノーと日産自動車は合併し、統合後の新会社を上場することを協議していると、本日(3月29日)Bloombergが報じています。

 ルノーは日産自動車の43.6%を保有する親会社であり(そのコストの8000億円は配当などでもうすっかり回収しています)、日産自動車もルノーの15%を保有していますが(議決権なし)、両社は一応組織的・会計的には別会社となっていました。

 それが今度は統一会社となり、日産自動車は(ブランド価値があるため日産自動車の名前は残すかもしれませんが)完全にルノーの一部分となり、統一会社の上場市場はもちろん東証ではなく、パリ証券取引所となるはずです。

 また日産自動車の単独決算も発表されることはなくなり、ルノーのためにせっせと資金や生産設備や技術陣を(タダで)提供していくことになります。今までも同じような状況ではありましたが、日産自動車は一応東証に上場しているため、その株式価値(日産自動車の方がルノーより大きい)が毀損しないように「手心は」加えていました。

 実は2015年にも日産自動車をルノーと統合させる計画がマクロン(現大統領、当時はオランド政権の経済・産業・デジタル大臣)主導で進められ、ルノーの19.74%を保有するフランス政府の議決権を2倍にする法律を、株主総会前に一時的にルノー株を買い増してまで承認させていました。

 ところがこの時点ではゴーン氏がルノーと日産自動車のCEOを兼任していたため、結果的には日産自動車の少数株主に対しても責任のあったゴーンCEOが反対したかたちになり日産自動車が日本の会社ではなくなる事態は回避できました。

 ところが2017年4月にゴーン氏が日産自動車CEOを退任してルノーCEOに専念しており、マクロンも大統領に大出世しているため、もう誰も日産自動車をルノーの一部分にしてますます食い尽くしても反対しません。

 ゴーン氏はブラジル生まれのレバノン人で、あからさまな身分差別のあるフランス社会では決してエリートではなく、「絵にかいたようなエリート」であるマクロン大統領に反対することは決して得策ではありません。

 フランス社会では決してエリートではないゴーン氏はルノーCEOとして「日産自動車を食いつぶしてでも」ルノーの業績を上げなければなりません。先日ゴーン氏のルノーCEO任期が異例の4年延長となりましたが、そこでゴーン氏がマクロン大統領に囁いたルノーの業績拡大策の中に、日産自動車との統合が入っていたような気がします。

 日産自動車は西川(さいかわ)CEO以下、日本人の経営陣はここまでルノーとゴーンCEOへの忠誠心だけで出世してきたため、諸手を挙げて経営統合に賛成するはずです。また日産自動車の日本人の少数株主も、ここまでゴーンCEO(当時)の経営手腕を無条件に支持しているようで、ルノーとの経営統合を承認する株主総会も「すんなり」承認してしまうはずです。

 つまりどう考えても(今年中かどうかはわかりませんが)日産自動車はルノーの一部分となり、その日産自動車の子会社となった三菱自動車とともに、グループで年間生産1000万台クラブに(ルノーの一部分として)入ることになります。

 いくら考えてもそれを排除することはもう不可能で、本誌が数年間にわたって考えて主張してきた「日産自動車をルノーから取りもどそう」も完全に不可能となってしまいました。

 そうはいってもシャープは鴻海グループに入って業績が拡大し、三菱自動車もルノー・グループ入りして(正確には日産自動車の子会社となった)最悪期を脱しており、東芝も(まだ中国当局の独禁法審査が長引いていますが)ベインキャピタルなどにグループ入りすれば「もっとよくなる」と考えられているようですが、どれも海外の親会社から食い尽くされても業績が良くなっているため、最初からもっとまともな日本人経営者が頑張れる体制にしておけば何の問題にもならなかったはずです。

 このニュースはまだBloombergが報じているだけで、不確定なニュースである可能性もありますが、本誌はかなり前からそうなると予想していたため、この段階で記事にしました。


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■企業 | 2018.03.30

アマゾンの次の一手 「預金口座」を提供!?

2018年03月07日

アマゾンの次の一手 「預金口座」を提供!?


 最近何かと本誌に登場する回数が増えているアマゾンですが、昨日(3月5日)の株価も1523ドルと最高値を更新し、時価総額も7375億ドル(78兆円)とマイクロソフトを完全に引き離し、第2位のアルファベット(グーグル)に肉薄しています。

 ただアマゾンの予想PERは330倍をこえており、マイクロソフトの28倍、アルファベットの34倍と比べて突出しており、アマゾンは「稼ぎ出すキャッシュフローを惜しげもなく設備投資や値下げを含むサービス向上に使っている」ところが評価されているようです。

 1月22日には、レジ不要の実店舗である「Amazon Go」の営業を、まだ試験段階ではありながら開始しています。

 さてそんなアマゾンの次の一手が「預金口座」の提供であると、本日(3月6日)付けのThe Wall Street Journalが報じています。

 アマゾンはすでにJPモルガン・チェースなどの大手銀行との間で当座預金口座に似た商品を作り上げ、顧客に提供する計画について協議しているようですが、現時点では詳細が全くわかりません。

 ただThe Wall Street Journalの報道には、若者や、銀行口座を持たない(持てない)顧客にアピールできる商品の開発を目指しているとも書かれています。
  
 この辺からも、アマゾン自身が銀行免許を取得して銀行業に進出することは検討していないことがわかります。もともと米国は銀行業界が高額報酬で雇うロビイストが強力であるため、小売りなど他業種が銀行業務に進出することは(日本などに比べて)簡単ではありません。

 つまりアマゾンは、現在も将来も自ら銀行業務に進出することは考えておらず、銀行との協議で開発される商品や仕組みを使って、アマゾンの顧客だけにサービスを提供しようとしているはずです。

 ところでアマゾンは、日本でも2014年頃からアマゾン・レンディングというサービスを始めています。これは法人でありアマゾンとの取引期間が長く取引量も多いことが条件となりますが、基本的に法人顧客がアマゾンで販売する商品手当のために、最高額で5000万円まで貸し付けているものです。

 つまりアマゾンはその出店商品が「担保」となり、アマゾンとの取引実績だけが融資の「判断材料」となるため、いわゆる信用調査機関も使わず申し込みから3日以内に融資が実行されるようです。また金利は8.9~13.9%(年利)と結構高く、その貸し倒れリスクとの比較では「大儲け」できているはずです。

 その融資する資金は豊富な自己資金である可能性が強いですが、仮に外部から調達するなら日本では年利1%以下のはずで、「貸出先がない」と悲鳴をあげる日本の銀行も「少しくらい工夫すれば」似たような仕組みができるような気がします。

 そこで本題であるアマゾンの銀行サービスに戻ります。詳細がほとんどわからないため、勝手に推測してみます。米国市場だけです。

 まずアマゾンが米銀に、各州とか各市町村に銀行口座(日本でいう余計な機能のついていない)普通預金口座を1つずつ開設します。アマゾンはその銀行口座とだけ取り引き(資金移動)できるスマホのアプリのようなものを開発して顧客に配ります。

 あとはアマゾンの顧客がそのアプリでアマゾンにおける買い物を決済し、資金が一時的に不足すれば(アマゾンとの取引実績から判断した)融資を行い、逆に資金が長期間余るようであれば提携金融機関が提供するMMFのようなものに振り替えられるといったものでしょう。

 そう書くと、なんだアリババの余額宝と同じようなものではないか?となるはずですが、先ほど書いたように米国ではアマゾンのような巨大異業種企業に銀行業や投資顧問業が認められることは(ほぼ)考えられず、アマゾンは米銀などが提供する仕組みを利用するだけで「利益」のほとんどを吸い上げてしまうことになります。

 この辺がアマゾンの次の一手なのでしょう。


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■企業 | 2018.03.07

アップルの変調

2018年02月13日

アップルの変調


 株式時価総額が世界最大であるアップルについて、最近になってネガティブなニュースが増えているように感じます。

 アップルの株価は本年1月18日に史上最高値の179.26ドル(終値、以下同じ)となり、その時点の時価総額が9095億ドル(邦貨換算でちょうど100兆円)となっていました。

 先週末(2月9日)の株価は156.41ドルまで下落しており、時価総額も7963億ドル(邦貨換算で86兆5000億円)となっています。この間にアップルの時価総額は1132億ドルも減少しており、比率にすると12.4%の減少となります。

 この間のNYダウも、同じ1月18日の26017ドルから先週末の24190ドルまで7.0%下落していますが、明らかにアップルの下落幅の方が大きいことになります。

 アップルの最初のネガティブなニュースは、昨年(2017年)12月28日に旧機種のiPhoneを意図的に減速させていたことを認め、謝罪したことです。

 アップルは旧機種の製品寿命を長くするためだと弁明しましたが、すぐに保証期間の切れたiPhone6以降の機種についてバッテリーの交換費用を79ドルから29ドルへ引き下げると発表しました。しかし新機種へのアップグレードを促進するために、旧機種の速度を意識的に遅くしたと取られても仕方がない状況でした。

 通常であれば大型集団訴訟となるはずですが (小口の訴訟はあるようですが)、不思議なことにアップルがこの件で批判されたとか、旧機種へのさらなるサービス追加に迫られたことはなく、アップルの株価もその昨年12月28日の171.08ドルから本年1月18日まで上昇していたことになります。

 またアップルのクックCEOは本年1月17日、昨年末に成立した大型減税を受けて海外に貯めている2520億ドルの現金を米国に還流させ、380億ドルを納税し(もちろん大型減税による大幅な優遇税率が適用されるとしています)、今後5年間に300億ドルを米国内で投資して2万人の雇用を新たに創出すると公表しています。

 トランプ政権にとってまさに優等生の公表ですが、皮肉なことにアップルの株価は翌18日に史上最高値の179.26ドルとなったものの、そこから下落に転じています。

 またアップルは2月1日に2017年10~12月期の決算を発表し、売上高が前年同期比13%増の882億9300万ドル(邦貨換算9兆6500億円)と四半期ベースで過去最高となり、純利益も同12%増の200億6500万ドル(2兆1900億円)と同じく過去最高となりました。

 価格が10万円をこえる新製品iPhoneX(テン)の販売が好調だったようで、顧客満足度を常に高めて製品単価を上げるアップルの基本戦略がまだ機能していることになります。

 しかし世界を見渡せば2017年はスマートフォンの世界販売が2007年の発売開始から初めて微減(0.1%減)となったようで、アップルの2018年1~3月期のスマートフォン売上予想も市場予想を下回っています。

 それでも前年同期比では13~17%増加となっていますが、拡大することが常識だったiPhone の販売高も減速に向かっていることになります。

 この決算発表を受けたアップルの株価は、2月1日の時間外取引で170ドルを回復したものの、翌2日からはまた下落に転じています。

 米株式市場全体の下落理由は、トランプ政権の昨年末の大型減税や、先週末の歳出上限の引き上げなど、安直な財政赤字拡大に頼った政策であるため、米国長期金利(10年国債利回り)が「好ましい金利水準」と考えられていた2.75%を大きく上回ってしまったからです。

 アップルに対しては、少なくとも海外に貯め込んだ2520億ドルの現金に、一回限りですが優遇税率が適用されるため、アップルは最も大型減税の恩恵を受ける米国企業となります。また金融資産が巨額であるため、最近の米国金利上昇も追い風となります。

 そのアップルの株価が、ずるずると下落していることになります。

 また2016年11月のトランプ当選直後のNYダウ安値は17888ドルで、そこから先週末まで35.2%上昇していますが、アップルの株価はその時点の108.84ドルから43.7%も上昇しています。しかしこれもびっくりするほどアップルの株価上昇が突出していたわけでもありません。

 アップルに限らず、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックなどの時価総額上位銘柄も、程度の差があるもののやはり株価が下落しています。

 この辺を考え合わせると、米国株式市場はすでに牽引役を失っていることになります。過去の経験で何か理屈をつけて「戦争」が始まりますが、北朝鮮は素通りするような気がしています。


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