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「これだけは言っておきたい」東芝のこれから

2017年03月16日

「これだけは言っておきたい」東芝のこれから


 昨日に引き続き東芝ですが、本日は単なる解説ではなく「オール日本として東芝はどうすべきなのか?」を考えます。

 ここまでくると、「東芝は刑事事件化すべきか?」「上場は維持されるのか?」「半導体事業はどこが買うのか?」「経営陣の責任はどうする?」「今後のコンプライアンス体制はどうあるべきか?」などと評論している段階ではなく、オール日本としての利益をどう守るか?を真剣に考えるべき段階にきています。

 現時点における東芝のこれからは、半導体事業を分社化して(たぶん)海外企業あるいは海外ファンドに売却してしまい、米子会社ウェスティングハウス(以下、WH)は法的整理してもしなくても「ほとんどの損失」を押し付けられたあと、すっかり健全になって米国企業に「捨て値で」売却してしまうシナリオしか見えてきません。

 半導体事業については産業革新機構が出資するとも伝えられていますが、これはあくまでも半導体事業を取得する海外企業を資金的に「援助」するだけです。将来的にはいくばくかの売却益が得られるかもしれませんが、東芝にとっても日本にとっても虎の子の半導体事業の経営権を「丸ごと」海外企業に売り渡してしまうことになります。

 1999年の日産自動車も2016年のシャープや三菱自動車も、いくら資本が注入されても会社自体の経営権を「丸ごと」売り渡しているため、その資本はすべて経営権を取得した海外企業が自由に使えることになります。

 東芝は半導体事業を分社化して売却するため、少なくともその資金は東芝が使えます。つまり「いくらかは」学習効果が働いていることになりますが、その資金もすべてWHの損失処理に使われ、その健全になったWHの経営権は「捨て値」で米国企業に売却されるため、結局はあまり変わらないことになります。

 そもそも東芝が買収した時点のWHは、軍事部門など「高収益部門」は米軍産複合体に売却されており、買収後も高収益の工事は米国エンジニアリング会社に奪われていました。

 この軍産複合体、米国エンジニアリング会社、そして(たぶん)健全になったWHを「捨て値」で買収する米国企業とは、具体的にベクテル社のはずです。

 ベクテル社とは、インフラ関連施設(石油コンビナート、原子力を含む発電所、ダム、港湾、空港設備)の建設に圧倒的強みを持つ世界最大規模の総合建設会社(非上場)です。2013年9月13日付け「軍産複合体の正体」に書いてあります。

 さてここからが本題ですが、半導体事業を売却すれば1.5~2.0兆円が入ります。しかしWHは仮に法的整理しても親会社の東芝が債務保証している8000億円、米国政府が債務保証しているサザン電力の83億ドル(9500億円)、米国で建設中の4基が2020年に稼働できないと(できません)失う減税分5000億円、それに今回計上するはずの損失7000億円の合計約3兆円は、逃れられないように思われます。

 それに中国の4基(三門、海陽発電所の各2基)でも同じくらい覚悟しておく必要があります。つまり(さすがに最大に見積もってですが)合計6兆円となります。

 ということは半導体事業を海外企業に売却して、その資金でWHの海外原子力事業から撤退するという現時点のシナリオは「そもそも成り立たない」となります。ハミ出した損失は、結局オール日本で負担することになります。

 ここで絶対に必要なことはWHの法的整理あるいは東芝の損失負担あるいは売却などの交渉に、東芝の現経営陣を関与させないことです。ロクな結果にならないのでオール日本で「徹底的に強い態度で」臨むべきです。

 さらにWHの過去からの損失についてWHの現在・歴代経営陣、さらにそれに関わった東芝の現在・歴代経営陣の「不正」を日米捜査当局で協力して徹底的に洗い出し、東芝の(オール日本の)損失をできるだけ軽減することが絶対に必要です。

 ところで現時点で、WH経営陣が不当に圧力をかけたとして(これもよくわからない説明ですが)東芝の2016年10~12月期決算を承認していないPwCあらた監査法人は、プライスウォーターハウスクーパースのメンバーファームです。

 考え過ぎかもしれませんが、その監査だとWHが法的整理あるいは売却となったときに東芝の責任が過大になる可能性があります。つまりいい加減な新日本監査法人と交代したPwCあらた監査法人は厳格かもしれませんが、オール日本にとって将来的に不利な監査判断となる可能性も考えておかなければなりません。

 その辺が「どうにもならない」のであれば、WHではなく東芝そのものの法的整理を考えた方がよくなります。少なくともそれくらいの「ブラフ」をかけながら交渉に臨むべきです。繰り返しですがここからの損失はオール日本の損失となるからです。

 半導体事業の売却などは「その辺を見極めてから」ゆっくり取り掛かればいいわけです。「誰にでもできるような楽な交渉」は慌てずに後回しにすべきです。

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■企業 | 2017.03.16
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決算発表を再延期した東芝 上場廃止の可能性は?

2017年03月15日

決算発表を再延期した東芝 上場廃止の可能性は?


 東芝については書くべきポイントが「山ほど」ありますが、本日は上場廃止の可能性に絞ります。あまり状況が正確に伝わっていないと感じるからです。

 東芝は本日(3月14日)まで延期していた2016年4~12月期の連結決算発表を再延期しました。正確に言うと、本日まで延期が認められていた2016年度第3四半期報告書の提出期限の再延長を関東財務局に申請し、4月11日までの再延期が認められました。

 通常は報告書類の提出延期が1回でもあると、東証はその段階で監理銘柄(確認中)に指定します。そして延長された期日までに提出できないと東証は即座に整理銘柄に指定し、1か月後に自動的に上場廃止とする「緊張感のある」措置となります。

 ところが東芝は2015年5月と8月に2回も提出書類の提出延長を行っていますが、東証は1度も東芝を監理銘柄(確認中)に指定していません。つまり東証は即座に上場廃止となるリスクのある監理銘柄(確認中)に東芝を1度も指定せず、本日も再延期となったにもかかわらず指定していません。

 つまり東証は東芝には「大甘」で対処していることになります。

 ところでその東証は本日、東芝を監理ポスト(審査中)に指定していますが、これはどう考えればいいのでしょう?結論を先に書くと、全く心配する必要はありません。

 その理由は東芝が2015年9月15日に特設注意市場銘柄に指定されてから1年半が経過し、明日(3月15日)までに再提出されるはずの内部管理体制確認書の内容によっては「上場場廃止が決定されることもありますよ」という単なる注意喚起にすぎません。

 そもそも2015年5月と8月に東芝を監理銘柄(確認中)に指定しなかった東証は、報告書類がやっと提出された直後の同年9月15日に「辻褄を合わせるように」特設注意市場銘柄に指定していました。

 この特設注意市場銘柄への指定とは、1年後に内部管理体制確認書さえ提出すればほぼ自動的に解除となる悠長かつ緩やかなもので、その時点でも東芝には歴代3社長の刑事責任追及の可能性があったものの、逆に上場廃止のリスクがなくなっていたことになります。

 ところが東芝はその1年後の2016年9月15日に内部管理体制確認書を提出したものの、同年12月19日に解除見送りとなり、2017年3月15日までに再提出となっていました。

 これは東芝に対しては大甘の東証にしては珍しい決定で、東芝が同年12月27日に唐突に発表した米国原子力事業の巨額損失に関連しているとも思われましたが、全く関係のない軽微な報告漏れがあったからのようです。

 そして明日(3月15日)に内部管理体制報告書が再提出となるため、東証も一応は「再提出でもあるため、その内容があまりにもお粗末だったら上場廃止することもあるんですよ」という程度で監理銘柄(審査中)に指定しただけです。

 またしても「辻褄を合わせるような」本日の監理銘柄(審査中)への指定は、今回再提出される内部管理体制報告書をまた3か月ほどかけてゆっくり審査しますよという「何の緊張感もない悠長なもの」にすぎません。

 これらの東証の動きを見る限りは東芝に対する大甘の対処は続いており、東芝の上場廃止リスクは「あまり大きくない」と考えます。

 東芝が再延期された4月11日にも報告書を提出できないと8営業日後に上場廃止になるとの報道もありますが、これは関東財務局が再々延期を認めなかった場合で、やはり政治的配慮が働いて回避されると考えます。東証も「役所的」ですが、財務局は「役所そのもの」だからです。

 また東芝は半導体事業売却などによる資本増強が完了しないため2017年3月期には債務超過になるはずですが、債務超過は1年以内に解消すれば上場廃止にはなりません(2部指定になるかもしれません)。

 さらに東芝は米国子会社・ウェスティングハウスの法的整理を検討するとも言われています。それにより東芝の損失負担が軽減されるかどうかは別問題としても(ほとんど軽減されないと考えますが)、東芝本体の財務内容に大きな影響を与える「重要な子会社」が法的整理となると、前例がほとんどないとはいえ親会社東芝にとっては立派な「上場廃止事由」に該当するはずです。

 そうなると東芝の上場廃止リスクは、東証がどこまで大甘の対処を続けられるかにかかっています。どこかで保身のために豹変する可能性もあります。

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■企業 | 2017.03.15
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カルロス・ゴーンが日産自動車CEOを退任する意味

2017年03月03日

カルロス・ゴーンが日産自動車CEOを退任する意味


 本誌がいつも「ルノーに食い尽くされている」と書く日産自動車ですが、2月23日の午前8時に突然カルロス・ゴーン氏が社長とCEOを退任して代表取締役会長となり、西川廣人(さいかわひろと)氏が4月1日付けで代表取締役社長・単独CEOになるとの「そっけないIR」が出されました。

 西川氏は2016年11月に共同CEOとなっていましたが、IRから一週間たつものの記者会見も行われていません。

 そうはいってもゴーン氏は親会社・ルノーのCEOであり、引き続きグループを引っ張ることは変わりません。また日産自動車は2016年10月に2373億円を出資して三菱自動車の34%を取得し支配下に入れており、ゴーン氏はその三菱自動車の代表取締役会長も兼ねています(CEOは益子修氏)。

 ゴーン氏は「三菱自動車の再建などにもっと力を割かなければならない」さらに「今こそ西川氏にCEOを引き継ぐタイミングであると判断した」とだけ話しています。

 ゴーン氏といえば2013年8月にルノーでNo.2だったタバレスCOOを「自分の地位を狙っている」との奇怪な理由で解任しています。タバレス氏は直後にライバルのプジョー・シトロエングループ(PSA)CEOにスカウトされています。

 また日産自動車が2014年3月期に大幅減益となり円安で潤う日本の自動車会社で「一人負け」となったときも、名目No.2の志賀COOと実質No.2のドッジ副社長を閑職に追いやり、西川氏を含む3人にCOO職を分担させたものの、自らは何の責任も取らずに居座っていました。

 ゴーン氏は「権限はすべて抱え込み絶対に手放さないタイプ」のようで、これはレバノン系ブラジル人でありフランスでは決してエリート(特権階級)ではないゴーン氏の処世術であるはずです。そう考えると今回の退任は、実質的な権力構造は変わらないとは言え、やはり違和感があります。

 ゴーン氏にとって最優先課題とは、ルノーCEOとして実績を上げてフランス社会での評価を上げることであり、日産自動車や三菱自動車を「超一流」に仕上げてもほとんど意味がありません。

 そこで本誌がいつも書くように「日産自動車をせっせと食い尽くし、そのうち残骸だけにしてしまう」となるわけです。

 ルノーは1999年3月に日産自動車の第三者割当増資を14.64億株、2002年3月にワラント行使で5.4億株を、それぞれ1株=400円で引き受け、合わせて8016億円で日産自動車の44.4%を取得して支配下に入れました(現在の持ち株は43.4%)。

 ここでルノーが出資した8016億円は、その後の配当とワラント行使に合わせてルノーの15%を2470億円で取得させたため(議決権なし)、もうすっかり回収しています。さらに日産自動車は、本来はルノーが投資すべきタンジール工場(モロッコ)の建設費やアフトワズ(ロシア)への出資金の大半を負担し、ルノーに生産ラインや開発チームを提供し、国内資産を極限まで売却させられています。

 先ほどのゴーン氏の発言も「これからは三菱自動車を本格的に食い尽くすために力を割く」、日産自動車は「もうあらかた食いつくしてしまった」あるいは「これからは西川氏に任せておけば引き続き食い尽くしてくれる」という意味にとれます。西川氏はその忠誠心でゴーン氏に引き上げられたはずだからです。

 さて西川体制となる日産自動車の今後は、以前よりゴーン氏の経営陣に対するプレッシャーが少なくなるはずで、経営の緩みは避けられないはずです。

 それより最大の懸念は大統領選挙を控えたフランス政府の(ルノーを通じた)日産自動車への支配強化(子会社化)が再燃することです。前回(2015年)は日産自動車CEOも兼ねるゴーン氏が逆に抵抗した形となって、日産自動車が「日本の会社でなくなる」事態は回避されました。

 フランス次期大統領は、極右のルペンか、2015年に日産自動車への支配強化(子会社化)を主導した張本人であるマクロンの「どちらか」と考えます。

 つまりルペンかマクロン大統領、フランスでの評価を上げたいルノーのゴーンCEO、そのルノーとゴーンCEOに忠誠心を示す日産自動車の西川CEOの組み合わせでは、次に日産自動車への支配強化(子会社化)が出てくると今度は回避できないような気がします。

 そんな予感がする今回の日産自動車のゴーンCEO退任でした。


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■企業 | 2017.03.03
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東芝の資本増強を巡る「それぞれ」の思惑

2017年02月24日

東芝の資本増強を巡る「それぞれ」の思惑


 リクエストいただいている三井住友フィナンシャルグループとりそなホールディングスの系列をこえた傘下銀行再編も、カルロス・ゴーンが社長とCEOを退任すると発表した日産自動車も気になりますが、本日はやはり緊急性のある東芝の続編です。

 東芝は2月14日に予定されていた2016年4~12月期の決算発表をその日になって1か月延期しました。その代わり同日夕方に東芝が独自に発表した予想決算では、米国を中心に原子力事業で7125億円の損失が発生したため4999億円の連結最終赤字となり、2016年12月末現在の自己資本が1912億円のマイナスになっていました。

 理屈の上では東芝はまだ正式の四半期報告書(監査法人の承認が必要)を提出していないため、現時点では債務超過ではなく財務制限条項にも抵触しておらず、80行とも言われる取引銀行も「とりあえず」パニックになる必要はありません。

 そしてその2月14日を挟んで東芝の資本増強方法が大きく「変質」しています。年間1000億円以上を稼ぐ「虎の子」の半導体事業を分社化して外部から資本を受け入れ、これからもどれだけ赤字を垂れ流すかわからない原子力事業を抱えたままという基本構造は変わりません。中国で建設中の原発4基も大幅減損となった米国の4基と同じくらい工事が遅れており、同じくらいの損失が発生する恐れもあります。

 2月14日までは分社化する半導体事業への外部からの資本は20%未満としていましたが、それでも3000億円以上のオファーが複数寄せられていたはずです。東芝が独自に発表した2017年3月末時点の予想債務超過額は1500億円なので、これで「とりあえずは十分」だったはずです。

 ところが2月14日の夕方、綱川社長が半導体事業の過半数以上の売却を示唆し、100%売却の可能性も排除しないと発表してしまいました。確かに買い手が少数株主となるだけの20%未満に比べて、過半数以上あるいは100%売却したほうが半導体事業の魅力(価値)が高くなりますが、それはすなわち半導体事業が東芝のものでも(たぶん)日本のものでもなくなってしまうことを意味します。

 しかしこれでせっかく20%未満でもあったはずの3000億円のオファーは「未来永劫」に消えてしまい、東芝の支配権がなくなってしまう過半数以上の売却でなければ「どこも」手を挙げず、結果的には今後の資本増強の主導権を自ら放棄する「最悪の発表」だったはずです。

 それでは誰が東芝の背中を押したのでしょう?

 それは銀行、とりわけ三井住友銀行、みずほ銀行のメインバンクだったはずです。それだけ多額の資金が東芝に入るため(売却比率が上がるだけでなく半導体事業そのものの価値が上がるため)資本も厚くなり貸付金回収のリスクも軽減されると「勝手に」考えているはずです。

 すっかり「余裕」が出てきたメインバンクは、資本増強そのものは4月に入ってもいいのでできるだけ高く売却するよう東芝に指示しています。半導体事業そのものの価値を当初の試算である1兆5000億円から(だから20%で3000億円だった)、2兆円以上に引き上げているようです。

 その銀行の「余裕」をみてもっと「気が大きくなった」東芝は、今度は分社化した半導体事業の3分の1ちょっとだけを残して支配権を維持し、3分の2近くを「複数社」に分けて売却するという「とんでもない夢物語」を考えているようです。当然に3分の1ちょっとの東芝をこえる比率を1社に売却しないことになります。

 そんな条件で納得する(支配権のない半導体事業を高値でライバル会社と分けあうおめでたい)会社があるはずがありません。半導体事業の価値の2兆円以上というのは、あくまでも1社が半導体事業を支配できるなら競争となって高い価値になるというだけで、東芝が支配権を維持したまま過半数以上を何社かに分けて売却するなら意味がありません。

 さらにもっと「大きな」問題があります。

 従来の分社化した半導体事業の20%未満の売却であれば、東芝は連結ベースでその資産をすべて計上できますが(だから20%未満の売却資金はタダであり資本増強となる)、もし3分の2近くを売却してしまうと、3分の1ちょっとしか保有していない東芝がその資産をすべて計上したままで良いのかは微妙となります。

 いくら3分の2近くを売却しても、その資産をすべて計上できないなら(東芝が少数株主とみなされるとその3分の1ちょっとも資産計上できない)、単に資産が現金に変わっただけで簿価を上回った売却金以外は資本増強とはなりません。
 
 もちろん監査法人が認めればいいはずですが、「あの」新日本監査法人から交代したばかりのPwCあらた監査法人は「なあなあ」では認めてくれないはずです。

 東芝もメインバンクも、その辺を理解しているのか大変に心配になります。それともオール日本で何でも容認される東芝なので、そんな心配も不要なのでしょうか?

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■企業 | 2017.02.24
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東芝が決算発表延期に至った背景

2017年02月15日

東芝が決算発表延期に至った背景

 
 東芝は本日(2月14日)正午に予定されていた2016年4~12月期の連結決算発表を、その直前になって見送りました。

 その理由は「内部統制の不備を指摘する内部告発があり、新たな不適切行為の疑いが浮上したから」などと言われていますが、それは決算発表見送りの理由としては「奇妙」です。決算発表とはその時点で確定した数字をできるだけ早く公表するものであり、仮にあとから不適切行為が発見されればまたできるだけ早く公表すべきものだからです。

 昨日(2月13日)夕方に配信したメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で、東芝は本日の決算発表で昨年末に公表した原子力関連の巨額損失を計上してしまうと2016年12月末時点で債務超過となり、その時点で財務制限条項に抵触して1兆4000億円ある有利子負債の大半が期限前償還を求められてしまうため、東京証券取引所などが「何らかの配慮」をするのではないかと指摘していました。

 昨年末の公表とは、原子力子会社の米ウェスティングハウス(以下WH)が2015年末に買収していた米原発エンジニアリング会社のストーン・アンド・ウェブスター(以下S&W)で数千億円規模の損失が発生するという「奇怪」なものですが、それでも公表された損失はそこから最速の決算で(つまり本日予定されていた決算で)計上しなければなりません。

 東芝は稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、その20%未満の株式を第三者に売却して2000~3000億円の資本を増強し、債務超過を解消しようとしていますが、それでも本日(2月14日)に巨額損失を計上してしまうと「いったんは債務超過」となり、財務制限条項に抵触してしまいます。

 そこで金融機関は東芝に期限前償還を求めて回収に走らないと、今度は金融機関に株主代表訴訟のリスクが出てきます。

 そこで本日に巨額損失を計上すべきと主張する監査法人と、「3月末までには資本増強で債務超過を回避するので、そこを何とか」と抵抗する東芝との間で、調整がつかなかったと考えます。

 東芝の監査法人は昨年6月に「あの」新日本監査法人からPwCあらた監査法人に交代したばかりで、簡単に譲るわけにはいかなかったのでしょう。

 そこで出てきた妥協策が本日の決算発表を1か月延期し、監査証明の必要な四半期報告書の財務局への提出も「許容されている限度いっぱい」の1か月延期し、ともに3月14日としたと考えます。

 たぶんその3月14日までに半導体事業の分社化・一部売却による資本増強にめどをつけ、そこで2016年12月末時点の債務超過回避を再度監査法人に頼むか、あるいは一時的に債務超過となってもまもなく資本増強で解消できるので財務制限条項には目をつぶってくれと金融機関に頼むつもりなのでしょう。
 
 とりあえずは「時間稼ぎ」しただけです。

 いずれにしても資本増強がますます「待ったなし」となるため、本日夕方になってやっと記者会見した綱川社長は「分社化した半導体事業の過半数以上の売却」も言及しました。

 東芝の半導体事業にはまだまだ競争力がありますが、支配権のない20%未満の株式売却では買い手にとって魅力が乏しいはずです。しかし支配権を完全に売り渡す過半数以上の売却となると世界中で「奪い合い」となり、かなりの高値(本日は1兆円を割り込んだ東芝全体の時価総額より高値)で売れるはずです。

 ただそれでは東芝は唯一の有望事業である半導体事業を(たぶん)外国企業あるいは外国ファンドに売り渡してしまうことになり、ここからどれだけ損失が積み上がるかわからない原子力事業だけの会社になってしまいます。

 確かに日米原子力協定があるため、東芝は(日立も三菱重工も)原子力事業を切り捨ててしまうわけにはいかず、日本政府も原発を止めてしまうわけにもいかず、結果的に東京証券取引所、(歴代3社長の刑事責任追及を頑として見送った)検察庁も官邸も経済産業省も財務局も、東芝に対しては徹底的に過保護で対応することになります。

 そして今度は金融庁が金融機関に対して「東芝に対しては過保護に対応するように」と指導するのかもしれません。

 かくして原子力事業会社となる東芝は、東京電力と同じように国策企業としてゾンビのよう生き残っていくことになりそうです。


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