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日本郵政と野村不動産

2017年05月24日

日本郵政と野村不動産


 やや時間がたってしまいましたが先々週末(5月12日)の夕方遅く、日本郵政が野村不動産ホールディングス(以下、野村不動産)を買収する検討に入ったと、主要メディアが一斉に報じました。

 本誌はその週明けの5月15日にメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で取り上げていましたが、最新状況も加えて解説します。

 日本郵政は2015年に6200億円で買収したオーストラリアの物流会社が、早くも4000億円の減損処理となり、2017年3月期決算は民営後初めてとなる289億円の純損失となりました。

 これは「何でそんな高値で買収したのか?」より以前の問題として、典型的な官製国策会社であり日本国民のために良質なサービスを提供することが(無理ですが)義務であるはずの日本郵政が、何でわざわざ日本国民に全くメリットのないオーストラリアの物流会社などを買収したのかは、もう永久に理解不能です。

 この問題の買収は当時の西室社長が主導されたもので、また西室氏は2005年まで東芝の会長でもありウェスティングハウス買収も主導されていたはずで、どうも海外の問題企業を高値で買収することがお好きなようです。

 そこで7月にも予定されている日本郵政株の追加売り出しを、国民のために少しでも有利に進めるために「必死で考えた結果」が野村不動産の買収であるなら、まだわからないでもありませんが、もちろん違います。

 日本郵政の社長は西室氏が2016年3月に病気で退任したため、ゆうちょ銀行社長だった長門正貢氏が「タナボタ」で昇格していました。長門氏は日本興業銀行の出身ですが、2006年に富士重工副社長に転出していた「傍系」です。

 そこで長門社長は何とか巨額損失の火の粉が降りかからないよう画策し、さらにそれすら利用して総務省出身の高橋亨・日本郵便会長の代表権をはく奪し、(あまり巨額損失と関係のない)石井雅美・かんぽ生命社長らを解任し、しっかりと焼け太ってしまいました。

 野村不動産の買収も、そんな流れの中で出てきたはずです。野村不動産は1957年に野村證券から分離・独立したマンション分譲事業、戸建て分譲事業、法人仲介事業、投資・開発事業を手掛ける不動産会社で、2006年10月に東証1部に上場しています。

 また2017年3月期決算は、売り上げが5696億円、営業利益が772億円、純利益が470億円となかなか好調でした。また日本郵便による買収のニュースが流れる直前の5月12日終値は2028円で、そこで計算した予想ベースのPERは8.8倍、PBRは0.8倍、配当利回りが3.45%と、確かに買収対象とすれば申し分ありません。

 しかし野村不動産とすれば、わざわざ買収される必要は全くありません。ましてやその相手が官製国策会社の日本郵政となれば社風も価値観も全く違い、せっかくの営業力が大きく削がれてしまうためプラスがありません。

 そこで問題の5月12日夕方遅くの報道ですが、これは日本郵政側のリークだったはずです。一般的には報道機関が流すニュースは会社側の正式発表ではないため、インサイダー情報とはなりません。その代わりに報道された会社は「本日の一部報道について」とのIRで「当社が決定したものではない」と公表するもので、確かに日本郵政は当日夜遅くIRしていますが、野村不動産は本日に至るまで無視したままです。

 たぶん日本郵政は野村不動産に買収を持ち掛けたものの、ほとんど相手にされていなかったと考えます。そこで買収を既成事実化するためのリークだったはずです。

 さらに野村不動産の株式は、野村證券グループが3分の1超を保有しています。これは野村證券グループさえ説得すれば経営の主導権を握れるため、7月の日本郵政株の追加売り出しに際して主幹事の座を提供すれば(拒否すれば平幹事にも入れない)、何とかなるだろうということなのでしょう。

 本日(5月23日)の野村不動産の株価は2430円と、5月12日の終値(2028円)から2割近く高止まったままです。ただここのところ新しいニュースが全く出てこず、依然として何の進展もないようです。

 要するに日本郵政による典型的な「勝手買収」であり、普通であればそのまま立ち消えになりますが、そこは強大な官製国策会社の日本郵政であるため、「あっと」驚くような結果となるかもしれません。

 まあ野村證券グループなど野村不動産の株主も、日本郵政がお得意の「高値掴み」をしてくれるなら、それはそれで「あり」なのかもしれませんね。


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■企業 | 2017.05.24

自ら「破滅」に向かっているとしか思えない東芝

2017年05月16日

自ら「破滅」に向かっているとしか思えない東芝


 東芝の迷走が続いていますが、その根本的要因は現経営陣に「生き残るための戦略」が全くなく「その場限りの取り繕い」に終始するため、日に日に自分の首を絞めているとしか思えないところです。本日はそこに絞って解説します。

 東芝は本日(5月15日)昼前、「2016年度通期業績見通しに関するお知らせ」なるIRを発表しました。上場企業は各四半期決算期末から45日以内に決算短信を発表することになっていますが、本来なら期日である本日に東芝はその決算短信も発表できなかったことになります。

 何でも、これ以上PwCあらた監査法人との関係を悪化させたくなかったからだそうですが、まずこれが「奇妙」です。なぜなら決算短信自体は監査法人の「意見」が不要で、本決算の2016年度通期決算(2017年3月期)では、6月末までに監査法人の「意見」が表明された有価証券報告書を財務局に提出すればよく、まだ1か月半もあるからです。

 だいたい東芝は2016年度第3四半期(2016年10~12月期決算)も期日の2月15日から2度にわたり延期し、やっと4月11日に決算短信を発表しましたが、この時も2016年度から監査を担当するPwCあらた監査法人の「意見」が表明されていないまま発表しています。

 通期決算(東芝なら今回の2017年3月期)以外の四半期決算は、決算短信と同時に四半期報告書を財務局に提出する必要があり、それには監査法人の「意見」が必要です。つまり東芝は2016年10~12月期決算では、この四半期報告書が提出できていないまま決算短信だけ発表したことになります。

 だったら本日も決算短信だけ発表してしまえばよかったはずです。決算短信とは迅速な情報開示のために東京証券取引所が提出を求めるものですが、これで決算短信発表のタイミングが難しくなってしまいました。

 いくらこれまで東芝に対しては「寛大な措置」を続けていた東証でも、現在は(決算の遅れが理由ではありませんが)管理銘柄(審査中)に割り当てているため、それだけ東芝は自ら上場廃止に近づいてしまったことになります。

 だいたい東芝は3月29日に米子会社・ウェスティングハウス(以下WH)の破産法適用を申請して無理やり連結決算から外していますが、東芝はその瞬間からWHの損失負担を巡って米国側と「単独」で戦うことが必要となったはずです。

 そういう状態でプライスウォーターハウスクーパース傘下のPwCあらた監査法人が、東芝の意向に沿った決算を承認するはずがありません。WHの損失負担を巡って米国側が不利になる恐れがあるからで、それでPwCあらた監査法人が承認を頑なに拒んでいるはずです。

 つまりこの期に及んでPwCあらた監査法人との関係を悪化させたくないなどと「気を遣っている」段階ではありません。どうせ6月末まで待っても承認されるはずがないため、有価証券報告書も提出できず今度こそ一発退場(上場廃止)となるか、ここでPwCあらた監査法人の要求を丸のみして今後WHの損失を無限に押し付けられるかの「2択」でしかありません。

 どうせなら2017年3月期決算でPwCあらた監査法人を解任し、仮監査法人を選定し(間に合えば6月末の株主総会で正式選任し)、念のために財務局に有価証券報告書の提出期限を1か月延長してもらい(これはたぶん認められます)、7月末までの2か月半で必死に決算処理を完了させるしか「生きる道」はなかったはずです。

 実際にその動きはあったようですが、東芝は4月末に漫然と諦めてしまいPwCあらた監査法人と「心中」することにしてしまいました。だったら余計に本日は決算短信を提出して東証との関係だけでも維持しておくべきだったはずです。決算短信には監査法人の「意見」が不要だからです。

 要するに東芝の現経営陣には、そういった生き残るために必要最低限の戦略もないことになります。

 さらに奇怪なことに、本日IRした「2016年度通期業績見通し」では、4月11日の発表では8300億円になっていたWHに対する親会社保証と貸倒引当金の合計が、何の説明もなく9800億円に「増額」されています。

 そこを記者会見でアナリストに質された平田専務取締役は「いやあ、把握できていませんでしたね」と答えただけだったようです。まるで他人事です。

 さらに本日は、半導体メモリー事業の分社化・売却について、協業先の米ウェスタンデジタルが「差し止め」を国際商業会議所(ICC)の国際仲裁裁判所に申し立てたとも報道されています。

 これも他人事の現経営陣では、ますます泥沼に嵌ってしまうだけとなりそうです。かくして東芝は自ら「破滅」に向かっていくことになります。


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■企業 | 2017.05.16

摩訶不思議なオリンパス元取締役への巨額賠償命令

2017年05月02日

摩訶不思議なオリンパス元取締役への巨額賠償命令


 オリンパスについては新刊本を準備中であるため、発刊までは新しい記事の掲載を控えていますが、東芝など今後の巨額損失事件にも影響する摩訶不思議な巨額賠償命令が言い渡されたので解説しておきます。

 2011年に発覚したオリンパスの巨額損失隠し事件につき、東京地方裁判所(大竹昭彦裁判長)は菊川・元代表取締役らに対し、合計587億円余をオリンパスに支払うよう命じました。

 その内訳は、刑事事件でも有罪となった菊川氏と山田・森の両元取締役副社長がそれぞれ587億8596万8936円、それに対して下山・岸本の両元代表取締役がそれぞれ1億円(下山氏は亡くなっているため3名のご遺族に引き継がれます)、中塚・元取締役が2986万円、残る元取締役全員はすでに和解済みで請求なしと、かなりの差がつけられました。

 この請求金額は全員の連帯債務であり(それぞれに上記の上限があります)、請求金額合計も最大請求額と同じ587億円余となります。現実的ではありませんが例えば菊川氏が587億円余を支払うと、残る全員の支払いは免除されます。

 もちろん本誌は587億円もの賠償命令が「不当だ」とか「やり過ぎだ」と言っているわけではありません。新刊本の中でも明らかにしますがオリンパス事件とは刑事裁判で認定されたように「指南役」に主導されたものではなく、100%オリンパスが立案・実行したもので、その最大の責任は菊川・山田・森の各氏らオリンパス幹部にあると確信しています。

 それでは今回の裁判所の決定は、どこが摩訶不思議なのでしょう?

 巨額損失に係る事件が発生すると、必ず株価下落で損害を被った株主は会社に対して損害賠償請求訴訟を提起します。また株主は関与した取締役らに直接損害賠償請求訴訟を提起することもありますが、普通は損失額を取締役らが会社に弁済することを求める株主代表訴訟を提起します。

 オリンパスの場合は株主から合計856億円の損害賠償を請求されていたはずですが、オリンパスも元取締役19名に対し合計36億1000万円の損害賠償を請求していました。これも連帯債務であり、最大請求金額は菊川氏の36億1000万円で、同時にこの金額が請求金額の総額となっていました。

 実は会社(オリンパス)が元取締役に損害賠償を請求するのは「親心」でもあります。放っておくと元取締役に対して株主代表訴訟が件数も金額も際限なく提起されるため、会社があらかじめ「妥当な金額」の損害賠償を請求しておきます。そうするとその後の株主代表訴訟を回避できる効果があるからです。

 これは会社が元取締役らに損害賠償を請求すると、株主がその後に株主代表訴訟を提起できなくなるという意味ではありませんが、もともと株主代表訴訟は勝っても賠償金は会社に支払われるため、会社が代わって請求すれば同じことだからです。

 あの東芝も、すでに株主から502億円の損害賠償を請求されているはずですが、東芝は2015年11月に歴代3社長を含む5名の元取締役らに対し合計3億円(だけ)の損害賠償を請求しています。もちろんこれも「親心」で株主代表訴訟が提起される前に「素早く」請求したのですが、さすがに後から合計32億円に増額しています。

 そこで今回のオリンパスの巨額賠償命令に戻りますが、菊川氏はオリンパスから36億1000万円、山田氏は30億1000万円、森氏は28億1000万円をそれぞれ請求されていましたが、それが3名とも突然に587億円になってしまいました。

 一応は民事裁判なのでオリンパスの請求金額以上の賠償命令となることはないはずですが、どうも株主代表訴訟が1件提起されており、それが東京地方裁判所で併合されたため、その株主代表訴訟の請求金額がそのまま適用されてしまったようです。

 まあ菊川氏の場合、36億1000万円でも587億円でも「支払える金額ではない」ことは同じかもしれませんが、大変に摩訶不思議な東京地方裁判所の決定となります。株主代表訴訟は請求金額に関わらずタダみたいな裁判費用でいつでも提起できるため、せっかく会社が「親心」で妥当な損害賠償を請求していても、株主代表訴訟が加われば突然に天文学的な賠償命令になってしまうことになります。

 東芝の歴代3社長らへの損害賠償請求でも、同じことが起こりそうです。

 ちなみに今回の決定を言い渡した大竹昭彦裁判長は、東京電力の勝俣・元代表取締役ら5名に対して提起されている総額5兆5045億円という史上空前の株主代表訴訟(昨年その請求金額が東電の損失拡大により9兆482億円に増額されています)の裁判長も務められています。

 東京電力は勝俣氏らに「親心」がなかったことになりますが、大竹裁判長も「大きい金額」がお好きなようなので、東京電力でも「アッと驚く」巨額賠償命令が見られるかもしれません。

 2011年に発覚したオリンパス事件ですが、いまだに「新たな驚き」が飛び出してくる事件でもあります。新刊本では新事実も含めて「余すところなく」盛り込もうとしています。


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■企業 | 2017.05.02

ヤマトHD(ヤマト運輸)の潜在的事業価値を再評価すべき

2017年04月28日

ヤマトHD(ヤマト運輸)の潜在的事業価値を再評価すべき


 メルマガ「闇株新聞 プレミアム」では「株式市場の今後の勝ち組・負け組」をシリーズで掲載していますが、最近の闇株新聞は東芝以外の個別企業がほとんど登場しないため、シリーズの予定企業から1社を選んで取り上げます。

 宅配最大手のヤマトHD(以下、ヤマト運輸)が、9月にも宅配便の基本運賃を5~20%引き上げる方針を固めたようです。運賃の引き上げは消費増税時を除くと27年ぶりとなります。

 具体的にはインターネット通販業者など割引が適用されている大口顧客にはさらに大きな値上げ幅を求め、応じなければ取り引きを打ち切る方針のようです。

 日本国内の2016年度・宅配個数シェアは、ヤマト運輸が46.3%、佐川急便(非上場)が33.9%、(以下、宅配専業ではありませんが)日本郵便が11.9%、西濃運輸が3.9%、福山通運が3.5%となっています。

 つまり日本の宅配市場はヤマト運輸と佐川急便の2社による寡占体制が出来上がっています。そしてこの2社はすでに全国的な集配のための店舗網をほぼ作り上げており、各家庭・各オフィスまでの「ラスト数百メートル」の集配体制がほぼ出来上がっていることになります。

 拡大する宅配市場に限らず今後の日本の消費動向を考えると、「ラスト数百メートル」の集配体制を寡占するヤマト運輸と佐川急便の「潜在的事業価値」は大変に大きいはずです。現時点では上場会社はヤマト運輸だけです。

 例えば携帯電話事業では3社による寡占体制が出来上がっているため通信料金が高止まり3社とも巨額利益を享受していますが、宅配事業では寡占2社が「寡占メリット」をほとんど享受していません。
 

 さらにその「しわよせ」が現場の労働環境に押し付けられていますが、ここにきてヤマト運輸は過去の未払い給料(主に残業代)を遡って百億円単位で支払うようで(すでに2017年3月期決算をこのために減額修正しています)、ここも改善していくようです。

 それではその宅配事業における「寡占メリット」はどこが(誰が)享受していたのかですが、かなりの部分をインターネット通販業者が享受していたと考えます。
 
 通販業務とは注文された品物を正確に顧客の元に届けて初めて完了となるはずですが、今までは大半の通販業者がそこを低価格で宅配業者に丸投げし、宅配現場における追加コスト(再配達やクレーム処理)もすべて押し付けたままでした。大量に発注するため、通販業者が宅配業者に対して「優位性」があるとされていたからです。

 その結果、通販業者=高成長企業=高株価、宅配業者=ブラック企業=低株価とのイメージが定着してしまっています。

 ヤマト運輸の持ち株会社であるヤマトHDの時価総額は1兆円弱、PERは減額修正したため50倍ですが、PBRは1.7倍と、低株価とまでは言えないものの「普通の株価」です。

 これに対して通販世界最大手のアマゾン・ドットコムの時価総額は48兆円、PERは180倍、PBRは22倍もあります。アマゾンは通販専業ではなく、また日本において宅配コストが割安なので急拡大したわけでもありませんが、今回のヤマト運輸の値上げ(あるいは取引打ち切り)は日本の事業において少なからずの影響があるはずです。

 アマゾン日本法人に対しては数年前から佐川急便が取り引きを打ち切っており、今回は残ったヤマト運輸がやっと「本格攻勢」に出るわけです。

 また日本の通販会社で「最大の勝ち組」と言われるスタートトゥディの時価総額は7500億円ですが、PERは43倍、PBRは27倍もあります。

 もちろんこのスタートトゥディも、宅配コストが割安なので高成長企業のイメージを維持しているわけではありませんが、少なくともこれまでの通販業者と宅配業者の「力関係」「イメージ格差」「株式市場の評価」などが修正されていくきっかけにはなりそうです。

 本誌は「寡占に胡坐をかいた割高な価格設定」にはもちろん大反対ですが、今回のヤマト運輸の値上げと過去の未払い給料の清算は、適正な価格体系や労働条件を模索する「正当すぎるもの」と考えます。

 これらを含めてヤマトHD(ヤマト運輸)の潜在的企業価値を再評価すべきと考えます。また時価総額が48兆円のアマゾンが、1兆円のヤマト運輸を買収しようと考えても全く不思議ではありません。


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■企業 | 2017.04.28

オール米国の報復を受ける東芝

2017年04月11日

オール米国の報復を受ける東芝


 最近、東芝と北朝鮮ばかり書いているようですが、また東芝です。

 東芝は3月29日に米子会社・ウェスティングハウス(以下、WH)の米連邦破産法適用を申請しましたが、その日を境にオール米国の対応が大きく変わり、報復が矢継ぎ早に加えられています。
 
 まず東芝がWHの連邦破産法適用を申請した先は、もちろん米国の裁判所です。裁判所もオール米国と考えると、東芝がこれでWHの損失負担が軽減される判断が下されると考えているなら「おめでたい」というしかありません。
 
 WHはもちろん米国企業なので支援先選定にも対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が必要であり、東芝に有利な支援先(外国企業)は出てきません。

 もし本気でWHの損失負担を軽減するつもりなら、東芝本体を破産させて日本の裁判所と法律を含むオール日本で、オール米国と戦うしかありません。もちろん東芝の現経営陣にはそんな度胸はなく一見安直に見えるWHの破産法申請に走ってしまいました。

 さらに4月4日付け「明確な上場廃止基準に抵触していた可能性のある東芝」に書いたように、監査法人のPwCあらた監査法人が東芝の2016年3月期決算に疑義を挟み、2016年10~12月期の決算も再々延期された期日の4月11日までに承認することはありません。

 PwCあらた監査法人は英国が本部のプライスウォーターハウスクーパース(以下、PwC)傘下ですが、WHの監査はPwC米国法人が担当しているため、これもオール米国と考えると東芝に「やさしい」監査が行われるはずがありません。

 2016年3月期が修正に追い込まれると2期連続債務超過で上場廃止となるはずですが、これは過年度決算の修正は遡及しないため上場廃止とはならないとのご指摘を頂きました。確かにオール日本で「東芝に最も過保護な東証」の見解はそのようで、さらに2016年10~12月期決算に監査法人の承認がなくても、すぐに上場廃止にはならないかもしれません。

 ただオール米国のPwCあらた監査法人のままでは東芝にとってリスクがあまりにも大きく、即刻解任してしまうべきです。決算発表がさらに遅れますが、そこはオール日本の関東財務局と東証が何とかしてくれるはずです。

 そして極めつけが4月6日、米国際貿易委員会(ITC)が東芝半導体事業のドル箱製品であるNAND型フラッシュメモリが、台湾の旺宏電子(マクロニクス)の特許を侵害しているとして調査を開始しました。

 クロとなれば少なくとも米国では東芝製のNAND型フラッシュメモリが締め出されるため、分社化したばかりの半導体事業売却に大きな障害となります。

 それ以前に日本政府は半導体事業売却に外為法の事前審査が必要としており(これだけなら正しい措置ですが、オール米国の意向も入っており実質的に米国企業グループに売却せざるを得なくなるはずです)、そこへオール米国のITCがクロと判定すれば(間違いなくそうなります)、いよいよ米国企業グループに「捨て値」で売却するしかなくなります。

 ここにきて日本政策投資銀行、産業革新機構それにいくつかの日本企業が集まったオール日本で半導体事業の入札に参加する動きが出ています。ただその内容は5000億円程度で全体の3分の1強を取得し、それで経営のイニシアティブを確保しようという「とんでもなくおめでたいアイデア」でしかなく、オール米国でなくても相手にされません。

 以前から本誌は、半導体事業は誰にでも(東芝の現経営陣にでも)売却できるので、何も急ぐ必要はないと主張していますが、こうなると冗談ではなく売却をいったん中止するべきです。ここまできたら東芝本体が消滅する事態も想定し、せめてオール日本で資産(半導体事業)の散逸を防ぐべきです。

 やはりどう考えても3月29日を境に、東芝の運命は大きく暗転しています。WHの米連邦破産法適用申請は、パニックになっている銀行の要求に簡単に応じてしまったもので、オール日本の利益とまでは期待しなくても東芝そのものの利益も大きく損なってしまいました。

 ここで、もうとっくに東芝株式を売却したと思っていたエフィッシモ・キャピタルが、さらに買い増していたようです。4月7日に提出された大量保有変更報告書では持ち株比率が9.84%と前回提出の8.14%から増えています。

 エフィッシモはもちろんオール日本の一員として頑張っておられるわけではなく、最後は(東芝経営陣に重大な判断ミスがあったとして)巨額損害賠償請求まで考えておられるかもしれません。違っていたらごめんなさい。


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■企業 | 2017.04.11
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