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アップルの変調

2018年02月13日

アップルの変調


 株式時価総額が世界最大であるアップルについて、最近になってネガティブなニュースが増えているように感じます。

 アップルの株価は本年1月18日に史上最高値の179.26ドル(終値、以下同じ)となり、その時点の時価総額が9095億ドル(邦貨換算でちょうど100兆円)となっていました。

 先週末(2月9日)の株価は156.41ドルまで下落しており、時価総額も7963億ドル(邦貨換算で86兆5000億円)となっています。この間にアップルの時価総額は1132億ドルも減少しており、比率にすると12.4%の減少となります。

 この間のNYダウも、同じ1月18日の26017ドルから先週末の24190ドルまで7.0%下落していますが、明らかにアップルの下落幅の方が大きいことになります。

 アップルの最初のネガティブなニュースは、昨年(2017年)12月28日に旧機種のiPhoneを意図的に減速させていたことを認め、謝罪したことです。

 アップルは旧機種の製品寿命を長くするためだと弁明しましたが、すぐに保証期間の切れたiPhone6以降の機種についてバッテリーの交換費用を79ドルから29ドルへ引き下げると発表しました。しかし新機種へのアップグレードを促進するために、旧機種の速度を意識的に遅くしたと取られても仕方がない状況でした。

 通常であれば大型集団訴訟となるはずですが (小口の訴訟はあるようですが)、不思議なことにアップルがこの件で批判されたとか、旧機種へのさらなるサービス追加に迫られたことはなく、アップルの株価もその昨年12月28日の171.08ドルから本年1月18日まで上昇していたことになります。

 またアップルのクックCEOは本年1月17日、昨年末に成立した大型減税を受けて海外に貯めている2520億ドルの現金を米国に還流させ、380億ドルを納税し(もちろん大型減税による大幅な優遇税率が適用されるとしています)、今後5年間に300億ドルを米国内で投資して2万人の雇用を新たに創出すると公表しています。

 トランプ政権にとってまさに優等生の公表ですが、皮肉なことにアップルの株価は翌18日に史上最高値の179.26ドルとなったものの、そこから下落に転じています。

 またアップルは2月1日に2017年10~12月期の決算を発表し、売上高が前年同期比13%増の882億9300万ドル(邦貨換算9兆6500億円)と四半期ベースで過去最高となり、純利益も同12%増の200億6500万ドル(2兆1900億円)と同じく過去最高となりました。

 価格が10万円をこえる新製品iPhoneX(テン)の販売が好調だったようで、顧客満足度を常に高めて製品単価を上げるアップルの基本戦略がまだ機能していることになります。

 しかし世界を見渡せば2017年はスマートフォンの世界販売が2007年の発売開始から初めて微減(0.1%減)となったようで、アップルの2018年1~3月期のスマートフォン売上予想も市場予想を下回っています。

 それでも前年同期比では13~17%増加となっていますが、拡大することが常識だったiPhone の販売高も減速に向かっていることになります。

 この決算発表を受けたアップルの株価は、2月1日の時間外取引で170ドルを回復したものの、翌2日からはまた下落に転じています。

 米株式市場全体の下落理由は、トランプ政権の昨年末の大型減税や、先週末の歳出上限の引き上げなど、安直な財政赤字拡大に頼った政策であるため、米国長期金利(10年国債利回り)が「好ましい金利水準」と考えられていた2.75%を大きく上回ってしまったからです。

 アップルに対しては、少なくとも海外に貯め込んだ2520億ドルの現金に、一回限りですが優遇税率が適用されるため、アップルは最も大型減税の恩恵を受ける米国企業となります。また金融資産が巨額であるため、最近の米国金利上昇も追い風となります。

 そのアップルの株価が、ずるずると下落していることになります。

 また2016年11月のトランプ当選直後のNYダウ安値は17888ドルで、そこから先週末まで35.2%上昇していますが、アップルの株価はその時点の108.84ドルから43.7%も上昇しています。しかしこれもびっくりするほどアップルの株価上昇が突出していたわけでもありません。

 アップルに限らず、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックなどの時価総額上位銘柄も、程度の差があるもののやはり株価が下落しています。

 この辺を考え合わせると、米国株式市場はすでに牽引役を失っていることになります。過去の経験で何か理屈をつけて「戦争」が始まりますが、北朝鮮は素通りするような気がしています。


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■企業 | 2018.02.13

ソフトバンクが傘下の携帯事業会社を上場させる?(修正・追加あり)

2018年01月16日

ソフトバンクが傘下の携帯事業会社を上場させる?(修正・追加あり)


 昨日(1月15日)にアップした本記事の中で、携帯事業会社の「時価総額」についてやや不正確・説明不足となっていたため、そこを加筆・修正してあります。また本日(1月17日付け)のアップはお休みさせていただきます。

 以下、本文です。

 本日(1月15日)付け日本経済新聞の1面トップで、ソフトバンクグループ(以下「ソフトバンク」)が傘下の携帯事業会社を東京証券取引所第1部に年内にも上場させる方針を固めたと出ています。これは国内の携帯事業会社のことです。

 本誌は最近のソフトバンクについては、批判するより応援することが多かったはずですが、もしこの報道の通りなら「ちょっと」問題があります。

 報道では上場時に携帯事業会社の3割を売り出して2兆円を調達し、戦略投資に充てるとされています。だとすると携帯事業会社の「時価総額」を6.7兆円と見積もっていることになります。

(ここから2パラグラフが加筆・修正した部分です)

 2017年4~9月期の携帯事業会社のセグメント利益は4339億円で、ソフトバンク全体の営業利益が8748億円であるため、約半分を稼ぎ出しています。ここで携帯事業会社の年間純利益を、単純に2017年4~9月期分の2倍にして税金等として3割を控除すると6000億円ほどになります。

 つまり携帯事業会社の「時価総額」は、同事業の年間純利益である6000億円の約11倍となる6.7兆円としていることになり、かなり「控えめな」価格設定のようです。やはり2兆円の売出しともなれば、あまり贅沢は言っていられないのでしょう。

 それではどこが問題なのかといえば、親会社であるソフトバンクと連結子会社である携帯事業会社がともに上場するわけですが、ここで仮に親会社であるソフトバンクが携帯事業会社株式の3割を2兆円で売り出すと、これまで決算で全額取り込んでいたセグメント利益が「ずっと」3割減ることになります。

 またソフトバンクの資産は、その携帯事業会社の営業資産が2兆円減り、株式売却代金として2兆円の「現金」と入れ替わるため、資産総額は変わりません。

 しかし携帯事業こそ規制に守られた高収益事業の典型で、その携帯事業が稼ぎ出す巨額のセグメント利益が、ここまでのソフトバンクの活動を収益面と資金面から支えていたはずです。

 つまり携帯事業会社株式の3割を売り出した瞬間に、親会社であるソフトバンクの連結営業利益から携帯事業のセグメント利益の3割が「ずっと」失われ、規制に守られた高収益事業の営業資産から2兆円が「現金」と入れ替わってしまいます。これは親会社であるソフトバンクの企業価値を間違いなく減少させることになります。

 ソフトバンクから正式発表があったわけではありませんが、本日(1月15日)のソフトバンクの株価は、朝方に先週末比525円高(5.8%高)までありましたが、終値は288円高(3.2%高)の9223円となりました。少なくとも株式市場はポジティブに受け取ったことになります。

 それではその2兆円で、もっと儲かる事業に投資すればいいではないか?となりますが、規制に守られた高収益事業を凌ぐ投資機会など簡単に見つかるはずがありません。

 さらに問題があります。携帯事業会社が上場するときは、当然にその経営は親会社であるソフトバンクから独立していなければなりません。もちろん7割を保有するソフトバンクから経営が独立しているはずがありません。

 というより親会社が65%以上を保有する連結子会社は東証1部に上場できない規定になっているはずです。その辺は東京証券取引所の自主規制法人が「忖度」してくれるとでも考えているのでしょうか? またその連結子会社が海外の市場に上場しているなら、この規定が緩和されるという「聞いたこともない抜け道」も見つけ出したようで、携帯事業会社はロンドン取引所にも上場するようです。

 ソフトバンクは2017年9月末現在で約14兆円の有利子負債を抱え、2017年3月期には年間4600億円もの利息を支払っていました。そこで10兆円ファンドのアイデアが出てきたはずですが、今回の携帯事業の株式上場も「新たな投資資金」を確保するために出てきたはずです。

 しかし「新たな投資資金」を得るために、これまでさんざん儲けさせてもらった携帯事業を「切り売り」することを孫社長が決断したのであれば、ビジネスの優先順位を間違えていると感じます。

 2017年11月28日付け「ネットの中立性とは?」で書いたように、米国では通信インフラ会社とコンテンツ会社とプラットフォーム会社の垣根がさらに低くなっています。

 現時点でソフトバンクグループの中で最も高く売れる会社は通信インフラ会社のスプリントで、売らないならコンテンツ会社のソニー・ピクチャーズを買収すべきと考えます。

 たまには半導体やライドシェア以外の会社も見てみるべきです。


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■企業 | 2018.01.16

人類史上最大の富豪の「作り方」

2018年01月11日

人類史上最大の富豪の「作り方」


 アマゾンのジェフ・ベゾスCEOの個人資産(金融資産だけ)が、1月10日現在で1051億ドル(11兆8000億円)と人類史上最大になったようです。同時点で個人資産が933億ドル(10兆4000億円)のビル・ゲイツを上回っています。

 昨年(2017年)10~11月にもジェフ・ベゾスの個人資産が「瞬間的に」ビル・ゲイツを上回ったことがありましたが、今回は「かなり」引き離しており、このままトップを確保していくことになりそうです。

 ジェフ・ベゾスの個人資産の大半は7890万株(発行済み株数の16.3%)を保有するアマゾン株式で、その株価は2017年に56%、2018年に入っても7%上昇しているからです。

 公表されているアマゾンの最新の決算は2017年7~9月期ですが、純利益は2億5600万ドル(前年同期比1.6%増)と、マイクロソフトの66億ドル(同16%増)と比べると「かなり」見劣りがします。

 直近のアマゾンの時価総額は6030億ドル(67兆円)で、実績ベースのPERは250倍、PBRは30倍もあります。

 これに対して時価総額が最大のアップル(時価総額が8860億ドル=99兆円)は、PERが18倍、PBRが6倍、ビル・ゲイツのマイクロソフト(時価総額が6800億ドル=76兆円)は、PERが32倍、PBRが9倍となっています。

 ところでアマゾンはヘッジファンド(DEショー)を退職したジェフ・ベゾスが1994年に設立し、1997年にIPOしています。設立当時は書籍のみをネット販売していましたが、ベゾスは当初から顧客データを整備して「何でも」販売することを考えていたはずです。

 そして設立当時から積極的な設備投資を行い、その生産性向上で生まれる付加価値もどんどん顧客に還元し(サービス向上と値下げに振り向け)、ベゾス自身も含む株主に対して配当支払いも自社株買いも全く行っていません。

 またベゾス自身もアマゾンから受けとる年俸は8万ドル(900万円)で、ストックオプションも巨額ボーナスも受け取っていません。ちなみにフェイスブックCEOのマーク・ザッカーバークの年俸は1ドルだそうです。

 つまりベゾスはアマゾンからほとんど何も受け取らず、アマゾンも付加価値のほとんどをサービス向上や値下げで顧客に還元して利益を積み上げようとはしていません。つまり株式市場も目先の利益や株主還元などに拘らないアマゾン株式を、「これからも販売対象とシェアの拡大は間違いなく、その気になればいつでも巨額収益をあげることができる」と評価していることになります。

 そしてこの時点で(巨額収益をあげるまえに)ジェフ・ベゾスCEOは人類史上最大の個人資産となったわけです。IPO時点からしばらくのアマゾンは巨額赤字が続きましたが、ジェフ・ベゾスは全く気にせずに巨額の設備投資を行っていました。

 そしてアマゾンは連結売上が15兆円(2016年)となった現在も、そのままIPOしたばかりの日本の新興企業並みの「高株価」を維持していることになります。もしジェフ・ベゾスがアマゾン設立あるいはIPO時点から想定した通りに人類史上最大の個人資産となったなら、悪魔級の天才ということになります。

 いずれにしてもアマゾンは、アクティビストや機関投資家の攻撃に押されて目先の収益を積み上げ、積極的な配当支払いや自社株買いを行い、社外取締役まで受け入れて株価を上昇させようとしている大半の上場企業とは「対極」をなすことになります。

 現時点では、その「対極」にいる企業はアマゾンしか思いつきませんが(かなり以前のマイクロソフトが少し似ているような気がしますが)、その「対極企業」としてのアマゾンの株価の適正水準は誰にもわからないはずです。

 例えればトヨタ自動車が、キャッシュフローをすべて新規設備投資と値下げに回して利益水準を10分の1以下とし、配当支払いも自社株買いもすべて止めると宣言したら株価が上昇するはずがありません。

 ということはアマゾンの株価水準は、よく考えると「とんでもなく高い」となるかもしれません。比較できる「対極企業」がないからです。

 ウォーレン・バフェットが何十年もコツコツと有望企業を傘下に入れ、5000億ドル(56兆円)の時価総額となったバークシャー・ハサウェイはPBRが1.4倍しかありません。つまり3500億ドルもの企業価値(時価総額の5000億ドルをPBRの1.4で除したもの)を積み上げたバフェットに比べて、少し安直であると感じてしまいます。

 ジェフ・ベゾスが人類史上最大の個人資産(金融資産だけ)となったことを受けて、アマゾンの株価も冷静な目で見られるようになるかもしれません。


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■企業 | 2018.01.11

楽天が携帯電話事業に参入する!?

2017年12月19日

楽天が携帯電話事業に参入する!?


 楽天は10月14日、携帯電話事業に参入すると唐突に発表しました。国内の携帯電話市場はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手三社による寡占状態となっており、携帯電話料金が高止まっています。

 具体的には楽天が通信規格(4G)の周波数帯割り当てを総務省に申請し(これは比較的簡単に認められるはずです)、自前で回線や基地局を整備し2019年からサービスを開始するようです。

 またサービス開始時に2000億円、2025年までに最大6000億円を借り入れ、10年後を目途に1500万以上の契約件数を目指すようです。発表から数日経過していますが、これだけしかわかりません。つまり楽天は携帯電話事業への参入を以前から用意周到に練り上げていたとも思えません。

 また楽天の2017年1月~9月期決算短信を見ると(楽天は12月決算)、営業利益が1200億円、9月末の現預金が6400億円、有利子負債が9600億円となっており、「これくらいのリスクだったら大丈夫」と考えたのかもしれません。

 要するに大手三社の寡占状態である携帯電話事業に参入して、どのように収益化していくのか、どのようなサービスを利用者に提供するのか、何よりもどれくらい電話料金が引き下げられるのかなどが、全く伝わってきません。

 よくある三木谷社長の「思いつき」なのでしょうね。さらに楽天も「規制に守られた寡占企業になりたい」と考えたのかもしれません。

 ところで国内では大手三社から通信回線や設備を借りて携帯電話事業を行う仮想移動体通信事業者(MVNO)が700社以上あり、楽天も2014年からNTTドコモの回線・設備を借りて、子会社の「楽天モバイル」が携帯電話事業にすでに参入しています。

 また11月には同じMVNOのフリーテルを買収して、約140万の契約者数となっています。しかし今回の発表は、自ら周波数帯や設備を保有する「4番目の通信キャリア」となるわけです。

 楽天の株価は、発表前日(12月13日)の1140円(終値、以下同じ)から本日(12月18日)は1026円と、ちょうど10%下落しています。

 また大手三社の株価も下落しており、同期間でNTTドコモが2881円から2687円(6.7%下落)、KDDIが3221円から2890円(10.2%下落)、ソフトバンクが9365円から9080円(3.0%下落)となっています。早くも競争激化による収益の落ち込みを気にしているようです。

 11月28日付け「ネットの中立性とは?」に書いたように、米国では携帯電話やケーブルテレビなど「通信インフラ企業」、放送や映画など「コンテンツ企業」、それにフェイスブックやグーグルなど「通信インフラにタダ乗りして巨額収益を稼いでいる企業」を巻き込み、新たな大型再編に突入しています。

 AT&Tによるタイム・ワーナー買収は司法省に提訴されましたが、12月14日にはディズニーが21世紀フォックスの映画・テレビ事業の大半を負債込み661億ドル(7.4兆円)で買収すると発表しています。

 そんな中で楽天は「大変に遅ればせながら」携帯電話事業に参入することになります。どうせなら6000億円などとケチくさいことを考えずに、「コンテンツ企業」も買収して、コンテンツを併せ持つ通信インフラ会社を目指したらどうなのでしょう。

 ソニー・ピクチャーズなんかどうでしょう?

 もともとソニーが1989年に48億ドル(5000億円)で買収したコロンビア・ピクチャーズのことですが、ソニーは減損を繰り返し現在の簿価は1145億円になっているはずです。

 ネイマールがいなくなったFCバルセロナに4年間で257億円も支払うより、はるかに目立つと思うのですがね。


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■企業 | 2017.12.19

東芝の6000億円の第三者割当増資からわかってきたこと

2017年12月05日

東芝の6000億円の第三者割当増資からわかってきたこと


 東芝が11月19日(日曜日!)に発表した6000億円の第三者割当増は、本日(12月5日)から払込期間に入っています(12月8日まで)。

 東芝のIR資料には、各割当先とは12月5日に払い込むことで合意していると(わざわざ)強調していたため、東芝から払い込み完了のIRが出るものと注目していましたが、夜になっても出てきません。

 払い込みは完了してIRが出ないだけなのか(確かに任意開示です)、本日は全額の払い込みが確認できなかったのかなど、余計な心配をしなければなりません。東芝が12月5日に払い込まれるとの「余計な」IRを出していなければ何の心配もいらなかったはずです。

 ところで今回の6000億円の第三者割当増資は、ゴールドマン・サックスがすべてアレンジした60社のオフショアファンドに全額が割り当てられています。最近になってゴールドマン・サックスが200億円の手数料を「独り占めする」との報道もでています。

 本誌の海外勢嫌いは今に始まったわけではありませんが、それは日本の株式市場で「あきれるような」狼藉を働き、それを当局も含む日本勢が全く批判していないケースに限ります。

 東芝の今回の第三者割当増資は、11月19日の発表時点で払い込み価格が262.8円と決められており、発表前の需要調査期間まで含めても貸株を利用した売却は限定的だったようです。

 この状態の東芝に6000億円ものリスクマネーを短時間でかき集めたゴールドマン・サックスは、その情報漏れを発表までほぼ完全に防いでいたところも含めて久々に「やるじゃないか」と言わざるを得ず、その報酬が200億円でも別に腹が立ちません。

 ただそう思うのは「ここだけ」で、半導体事業の売却も含めた「東芝を徹底的にしゃぶり尽くす全体像」を見ると、とてもそうは言えません。

 まずこの半導体事業の売却については、何度も「決して表に出ない複数のアドバイザーが巨額報酬を山分けする」と書いていましたが、11月14日付け「東芝の現在位置を確認しておこう」にも書いたように、その総額が1200億円であることがわかっています。

 総額2兆円のディールであるため、その報酬率が6%となりますが、これはベイン・キャピタルが率いる「買い手側のアドバイザー報酬」まで東芝が負担する金額です。

 東芝の発表では弁護士費用とアドバイザーへの報酬となっていますが、いくら弁護士費用がかさんでも10億円以内のはずで、1200億円はほぼアドバイザーへの報酬です。ただ7000億円を貸し付ける日本のメガバンクも「かなり」手厚い報酬を金利とは別に受け取ります。

 本誌も今までそのアドバイザーの具体名を挙げていませんでしたが、もちろんゴールドマン・サックスがその中心にいます。半導体事業の売却が2018年3月末までに完了しないと債務超過が解消できないとパニックになっている東芝経営陣に、「お任せください」と囁いて独占したのが今回の6000億円の第三者割当増資だったはずです。

 もちろん東芝経営陣は6000億円の増資が成功しても、半導体事業は必ず売却すると「確約させられている」はずです。またゴールドマン・サックスは買い手を取りまとめるベイン・キャピタルまで手玉に取っているようです。

 しかしこれだけではウエスタンデジタル(WD)が差し止めてしまいます。そこは最近になって売却される半導体事業が再上場した際にWDが経営に関与する妥協案が出ており、これもゴールドマン・サックスのアレンジである可能性があります(ここだけは未確認です)。

 つまりゴールドマン・サックスは間違いなく東芝に「もっと高い立場」で関与しており、今回の6000億円の第三者割当増資も(200億円の報酬も)その一環に過ぎません。

 まだあります。半導体事業を売却し、その他の事業も次々売り払っている東芝の今後の経営は、ゴールドマン・サックスがアレンジしたアクティビストを含むファンドが支配できる議決権を今回の増資で確保するため、その東芝に残った有形・無形の資産もすべて自由にすることができます。

 これがやっとわかってきた「東芝を徹底的にしゃぶり尽くす全体像」で、その中心にゴールドマン・サックスがいることになります。今回の増資で200億円の報酬を独り占めしたことなど、全体像のほんの一部にすぎません。



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■企業 | 2017.12.05
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