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VWの排ガス不正 子会社社長を逮捕

2018年06月19日

VWの排ガス不正 子会社社長を逮捕


 2015年9月に発覚した独フォルクスワーゲン(以下、VW)ディーゼル車の排ガス不正につき、独ミュンヘン検察は本日(6月18日)VWの高級車子会社であるアウディのルパート・シュタートラー社長を逮捕しました。同氏はVW本社の取締役も兼ねています。

 この件についてはすでにVWの10名近い幹部社員らが逮捕されていますが、主要子会社の現職社長が逮捕されたとなると、捜査も新たな段階に入ったと言えます。

 VWはつい先日(6月13日)に独検察に対して責任を認め、10億ユーロ(1300億円)の罰金を受け入れると表明していたはずですが、まだまだ続きがあったようです。実際に6月11日に独ミュンヘン検察がシュタートラー社長を、不正に絡んだ詐欺容疑などの容疑で、新たに捜査対象に加えたと発表していました。

 それでVWが慌てて責任を認め、10億ユーロの罰金も受け入れると表明したはずですが、効き目がなかったようです。現職社長の逮捕となれば、当然のようにVWの会社ぐるみの不正になってしまうため、今後の展開から目が離せません。

 その排ガス不正とは、環境を汚す窒素酸化物などを検査時には基準値内に抑え、走行時は基準値をはるかに(10~40倍だそうです)こえて燃費を上げるようにプログラムされた不正ソフトを搭載していたもので、VWはこの不正ソフトを搭載したディーゼル車を全世界で1100万台も発売していたようです。

 2015年9月の事件発覚を受けてVWトップのマルティン・ヴィンターコーン社長が辞任していましたが、後に米国で起訴されています。不正ソフトを搭載したディーゼル車は米国でも販売されていたからですが(48万台ほどだそうです)、米国当局はVWに2兆円以上の罰金を課すといわれています。

 久々に見る米国政府の「巨額罰金ビジネス」となります。

 VWは今回の処理のために65億ユーロ(8700億円)を費用計上していますが、全然たりません。

 さてVWといえば年間販売台数が1000万台をこえ、トヨタ、ルノー・日産・三菱自動車連合、GMと世界販売台数トップを争っている巨大メーカーです。

 ところが不正ソフトを搭載したディーゼル車を販売していたのはVWだけではなく、ダイムラーも100万台以上のベンツを販売していると言われており、あのゴーンCEOのルノーに至っては1990年頃から経営陣全体が「不正な戦略」を進めていたと言われています。

 確かに不正ソフトを搭載したディーゼル車の販売台数はVWが突出していたとはいえ、ダイムラーもルノーもこの問題を追及されたことはありません。

 穿った見方をすれば、ルノーはフランス政府が主要株主であり、ドイツでも高級車のダイムラーと大衆車のVWの違いであると言わざるを得ません。さしずめ同じような金額の粉飾決算でもオリンパスは刑事事件化して逮捕者が出たものの、東芝は刑事事件化すらしていないことと同じようなものです。

 ところでこの不正ソフトを搭載したディーゼル車であることがなぜ発覚したのかというと、たまたま米環境団体の依頼を受けたウエストバージニア大学工学部がVWのディーゼル車の排ガスを測定して不正を発見したものです。ちなみにそこで用いた測定装置は、日本の堀場製作所のものでした。

 つまり米国よりはるかに多い不正ソフトを搭載したディーゼル車が走っている欧州で、同じような測定が全く行われていなかったことになりますが、大変に違和感があります。

 そしてこの問題から世間の目をそむけさせるため、欧州自動車各社が「急に」EV(電気自動車)に力を入れるようになったはずです。

 欧州ではこの排ガス不正については、なぜか大問題にはならず、欧州全体で隠蔽しているような気がしていましたが、今回のアウディ社長の逮捕で新たな段階に入ったはずです。

 ちょうど米国と欧州(EU)の間で通商問題が波乱含みとなっており、この問題も新たに蒸し返されることになりそうです。


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■企業 | 2018.06.19

えっ、東芝が7000億円の自社株買い?

2018年06月14日

えっ、東芝が7000億円の自社株買い?


 本誌は東芝については、2015年の不適切会計(不正会計のことです)から始まって、2016年末に発覚した米原子力子会社・ウェスティングハウスの巨額損失、債務超過解消のため「虎の子」の半導体事業の売却など、数えきれないほどの記事を書いてきました。

 そして6月12日付け「東芝が半導体事業会社を売却」で一連の東芝シリーズが完了し、主要事業が無くなってしまった東芝については、改めて取り上げることもないだろうと考えていました。

 ところがまだまだ「続き」があったようです。東芝は本日(6月13日)午前11時(立会中です!)に「株主還元の方針に関するお知らせ」なるIRを発表しました。

 要は半導体事業会社の売却完了で9700億円もの利益と、1兆4500億円ものキャッシュができたので、さっそく7000億円ほどの自社株買いをして株主価値の向上に努めるというものです。

 その中には自社株買いの総額については、天然ガスの液化に関する加工委託契約や証券訴訟等、今後顕在化しうるリスクの規模を保守的に(多めにという意味だと思いますが)見積もり、また構造転換等に必要とされるコストや今後の安定配当の実現などを勘案して、7000億円が妥当であるとの解説がなされています。

 この天然ガスの液化事業とは、株式市場では総額1兆円規模の損失が出ると囁かれているシロモノですが、これまで東芝サイドから今後顕在化しうるリスクとの認識が示されたことはなく、不正会計等による株価下落の弁済を求める損害賠償請求も昨年末で1396億円となっており(発表されていませんがもっと増えていると思われます)、それに構造転換や安定配当のためともなれば、できるだけ手元資金を厚くしておくべきであることは誰にでもわかるはずです。

 だいたい2017年3月末時点における5529億円の債務超過を解消するために、海外のヘッジファンドや「物言う株主」に6000億円もの第三者割当増資を強行せざるを得ず、営業利益の9割を稼いでいる半導体事業をわざわざ日米韓連合に2兆円で売却してしまう必要に迫られたはずですが、早くも「すっかり忘れてしまった」ような大盤振る舞いとなります。

 その理由としては、昨年(2017年)12月に払い込まれた6000億円の第三者割当増資を引き受けた海外ヘッジファンドや「物言う株主」が揃って巨額の株主還元を求めており、とくに6月27日の定時株主総会では三井住友銀行出身の車谷(くるまたに)会長兼CEOの取締役選任に反対するなどの観測もあるからと考えられます。

 この日本の株式市場では史上3番目の大きさとなる7000億円もの自社株買いが発表されると(繰り返しですが株式市場は立会中でした)、東芝の株価は316円から後場の始めには一時351円と11%も上昇し、先週末比21円高の337円で終わりました。

 もちろんその恩恵は東芝の全株主に及びますが、東芝の株価は2015年の不正会計発覚前は500円をこえていたため、まだ多くの株主が損失を抱えたままであるはずです。しかも昨年(2017年)12月に海外のヘッジファンドや「物言う株主」だけが応じた第三者割当増資の払い込み価格は262.8円でした。

 ここで本誌は自社株買いを含む株主還元がいけないと言っているわけではありませんが、今回の東芝に関しては現在に至る状況や、まだ潜在的に残る数多くのリスクを考え合わせると、仮に海外のヘッジファンドや「物言う株主」に詰め寄られても、手元資金として絶対に確保しておかなければならない資金であるはずです。

 ところで2018年3月末の東芝の株主資本は、前年度末の5529億円のマイナスから、1兆3360億円も改善して7831億円のプラスとなり、債務超過を解消しています。

 半導体事業会社の売却代金の2兆円は、9700億円の利益と1兆4500億円のキャッシュを東芝にもたらすようです。2017年3月末現在で東芝は債務超過でしたが税務上では損失が確定しておらず赤字ではなかったため、仮に2018年3月以前に売却が完了したなら3400億円ほどの税金がかかるはずでした。
 
 実際には2018年3月期に、増資で入った6000億円でウェスティングハウス関連の保証分を6500億円支払い損失を確定し、さらに同じくウェスティングハウスが正式に破綻したため東芝の出資分や債権などが税務上も損失となったため、合わせて4458億円も税金費用が減少していました。

 したがってこの半導体事業売却にかかる税金も2500億円ほどで済むはずで、アドバイザーへの報酬支払いの1200億円を差し引いてもキャッシュが1兆6300億円残るはずです。売却直前に東芝が半導体事業会社から吸い上げた1180億円の特別配当や、東芝自身が半導体事業会社に再出資した3505億円も計算に入れると1兆3975億円となります。

 会社発表の1兆4500億円とは微妙に違いますが、こんなところなのでしょう。


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■企業 | 2018.06.14

東芝が半導体事業会社を売却

2018年06月12日

東芝が半導体事業会社を売却


 東芝が懸案となっていた半導体事業会社(東芝メモリ株式会社)の売却を2018年6月1日に完了させました。最大の障害と思われていた中国の独占禁止法による審査が5月17日に承認されたため、そこから大急ぎでクローズ(売却完了)させたようです。

 そもそも半導体事業の売却は、2016年12月末に発覚した原子力子会社・ウェスティングハウスの巨額損失により東芝本体が2017年3月期で5529億円もの債務超過に陥ったため、上場を維持するには2018年3月期で債務超過を解消させる必要があったからです。

 ところがこの債務超過自体は、2017年12月に払い込まれた6000億円の第三者割当増資で解消しています。つまり東芝はこんな時期になって稼ぎ頭の(注)半導体事業会社をわざわざ売却する必要はなかったことになりますが、それでも三井住友銀行出身の車谷(くるまたに)CEOを中心とする東芝経営陣は、予定通りベインキャピタルを中心とした日米韓連合に2兆円で売却したことになります。

(注)2018年3月期に半導体事業会社は4605億円の営業利益を稼ぎ出していますが、これは売却予定の事業であるため東芝本体の2018年3月期の連結決算から「まるまる」外しています。その結果、同期における東芝本体の連結営業利益はわずか640億円しかありませんでした。

 ところでこの6000億円の増資は、全額がゴールドマン・サックスのアレンジで「物言う株主」を含めた海外ファンド60社に割り当てられています。またこれ以外に市場で買い集めていた海外ファンドも含めると、発行済株数の半数以上が「物言う株主」を含めた海外ファンドが保有していることになるはずです。

 この日米韓への半導体事業会社の売却は、昨年(20717年)10月24日に開催された臨時株主総会で承認されていますが、この6000億円の第三者割当増資はその後に発表されて払い込まれているため、当時の東芝の株主の中には海外の「物言う株主」の持ち株比率はまだ少なく、すんなり承認されたようです。

 さて同じく6月1日にリリースされた東芝のたった4ページのIR資料から、この複雑怪奇な半導体事業の売却スキームを解明してみましょう。実はこれまでも全体の構図を正しく伝える資料が東芝から出ておらず、細部にわたって「わからないこと」がたくさんありました。そのすべてではありませんが、かなり明らかになりました。

 まず東芝は半導体事業会社の譲渡に先立つ2018年3月29日に、半導体事業会社からその他余剰資本金を原資とする特別配当金を1180億円受け取り、2018年3月期に特別利益として計上しています。

 これは2018年3月期における半導体事業会社の営業利益が4605億円であるため、税金などを控除してもかなりの金額が資本勘定に組み込まれていたはずです。半導体事業会社は2018年3月期の全期間において東芝の100%子会社だったため、資本勘定全額を特別配当として吸い上げてもよかったはずですが、ベインキャピタルとの株式譲渡契約により1180億円だけ受け取って、あとは「持参金」として置いてきたようです。

 そして東芝自身が半導体事業会社の受け皿となる特別目的会社に対し、なんと3505億円も再出資しています。その内訳は特別目的会社の議決権がある普通株を1096億円(議決権比率が40.2%)、転換権付優先株式で2409億円(同じく発行される優先株の40.8%)となっています。

 またHOYAが全額普通株で270億円(議決権比率が9.9%)出資し、ここまでが日本勢で確かに議決権の50.1%を維持しています。

 さらに将来的に資本参加を検討し、東芝が保有する議決権を間接的に行使できる「指図権」を産業革新機構と日本政策投資銀行が、議決権ベースで16.7%ずつ付与されています。しかし「指図権」といっても聞いたことがなく、それこそ産業革新機構も日本政策投資銀行も、全くリスクを取らず儲け分だけ横取りするスキームでしかありません。

 海外勢ではベインキャピタルが2120億円、韓国のSKハイニックスが最大の3950億円を出資しますが、これで議決権の49.9%であるため単純計算ですが普通株は1360億円となるはずです。

 ベインキャピタルとSKハイニックスの議決権が公表されていませんが、同業のSKハイニックスは独禁法の関係で向こう10年間は15%以上の議決権を保有できないため、普通株は最大でも408億円となり、ベインキャピタルは残る952億円となるはずです。

 そしてアップルなど米4社が優先株で4155億円、それに邦銀が6000億円を特別目的会社に貸し付けて、合計が2兆円となります。

 この中で気になるところは、東芝はこの半導体事業会社の売却で約9700億円の売却益が出るようですが、その同じ東芝が40.2%の最大議決権となる(優先株も含めて)3505億円も再出資しています。つまり40.2%もの議決権を取得する東芝は、その半導体事業会社の売却スキームの決定に優先的地位にいたはずで、売却価格などの決定を有利に進めることができたはずです。だとすると問題になるはずです。
 
 何よりも東芝は半導体事業会社を2兆円で売却して9700億円の売却益を計上しておきながら、自らが3505億円も出資したことになります。普通であれば最初からこの3505億円を売却対象から外しておくべきで、この3505億円分だけ売却益が大きくなっていることになります。厳密に言えば決算操作に該当するはずです。

 最後に東芝はこの半導体事業会社の売却で、なんと1200億円もの報酬をアドバイザーに支払っています。2兆円の6%となるため、東芝は売り手と買い手の双方の報酬を支払っていることになります。


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■企業 | 2018.06.12

かくも節操のないゼロックスの「買収白紙撤回」

2018年05月15日

かくも節操のないゼロックスの「買収白紙撤回」


 米事務機器大手のゼロックスは5月13日(日本時間14日午前)、1月31日に合意していた富士フイルムホールディングス(以下、富士フイルム)による買収合意を解消すると発表しました。

 ゼロックスの現経営陣が、かねてから今回の買収案に反対していたカール・アイカーン、ダーウィン・ディーソンら「物言う株主」の意向を受け入れ、買収合意解消を決めてしまったようです。しかしこれに至るまでのゼロックス経営陣の迷走ぶりは、まさに表題にある「節操のない」ものとなります。

 そもそも1月31日に発表されていた富士フイルムのゼロックス買収案とは、まず合弁会社(富士フイルムが75%、ゼロックスが25%を保有)である富士ゼロックスが金融機関から6710億円を借り入れて富士フイルムの保有する75%を自社株買いし、ゼロックスの完全子会社となります。そして富士フイルムはその6710億円でゼロックスの第三者割当増資を引き受けて50.1%の株式を取得し、連結子会社にするというものでした。

 その6710億円の根拠は、富士ゼロックスの企業価値を約9000億円と算定し、その75%という計算です。しかし発表当時のゼロックスの時価総額は直前の株価上昇もあり約90億ドル(約1兆円)あったため、その50.1%を取得するためには倍額を少しこえる第三者割当増資が必要となるため6710億円では足りません。

 そこでゼロックスの株主に25億ドル(2750億円)の特別配当を支払い、ゼロックスの企業価値を引き下げて何とか6710億円で収まるように考えたようです。つまり富士フイルムの資金負担はゼロとなります。

 一見してゼロックスがタダで手に入るように見えますが、そのからくりはゼロックスの50.1%しか取得していないからで、さらに少なくとも収益が上がっている富士ゼロックスの75%と、業績が縮小しているゼロックスの50.1%を交換したことにもなります。

 最大の問題は、ジェイコブソンCEOらゼロックスの現経営陣が大半残留して引き続きゼロックスの経営にあたり、「親会社」となった富士フイルムも4名の取締役を送り込みますが取締役会の過半数を握るわけでもなく(経営を支配できるわけでもなく)、何よりもカール・アイカーンら「物言う株主」を含むゼロックスの既存株主もそのまま残ってしまうことです。

 「物言う株主」であるかどうかは別にしてもゼロックスの一般株主は、投資先が買収されることによるプレミアムを一切受け取ることができません。25億ドルの特別配当もゼロックスの資産から支払われるため、それだけゼロックスの企業価値が低下することになり、差し引きでは何のプラスにもなりません。

 さてそこからの動きですが、カール・アイカーンやダーウィン・ディーソンら「物言う株主」の申し立てを受けてNY州の裁判所が4月27日、富士フイルムのゼロックス買収を一時的に差し止めてしまいました。

 さらに5月1日になって、(富士フイルムによる買収後にも残留して経営にあたることになっていた)ジェイコブソンCEOを含むゼロックスの現経営陣が、カール・アイカーンら「物言う株主」と電撃的に和解し、ジェイコブソンCEOを含む7名の現取締役が辞任して「物言う株主」が推薦する6名の取締役候補を受け入れると発表してしまいました。6名にした意味は、富士フイルムが推薦する取締役候補は4名なので(取締役の定数は10名)、すでに過半数を押さえてしまったことになるからです。

 ところが5月3日になって、今度は大株主が期限内に提訴を取り下げなかったとしてジェイコブソンCEOを含む現経営陣が和解と辞任の撤回を発表してしまいました。

 そして今回(5月13日)、ジェイコブソンCEOを含む現経営陣が、カール・アイカーンら「物言う株主」と再び和解し、現経営陣の辞任と、「物言う株主」の推薦する取締役候補の受け入れ、さらに富士フイルムによるゼロックス買収まで白紙撤回してしまいました。

 今回の理由は、4月15日までに合弁会社である富士ゼロックスの財務諸表が提出されなかったというものですが、3月決算の富士ゼロックスが4月15日までに財務諸表を提出できないことを、長く合弁会社の株主だったゼロックスの現経営陣が知らないはずがありません。

 富士フイルムによるゼロックス買収の最終決定権は両社の株主総会にありますが、ゼロックスの取締役会が一度承認した富士フイルムによる買収を白紙撤回しても、それだけでは法に触れるわけではありません。

 一般論ですが企業の経営陣は、自らの損得勘定より株主の利益を優先しなければなりません。ところがどうもジェイコブソンCEOを含むゼロックスの現経営陣は、高額の退職金と引き換えに、富士フイルムによる買収を白紙撤回したと噂されています。

 富士フイルムの古森会長を含む経営陣は、「訴訟も考える」と言っているようですが、それが米国の裁判所である限り、富士フイルムに有利な決定が出ることはまずありません。

 富士フイルムがすぐにやるべきことは、富士フイルムの取締役会でもゼロックス買収と、富士フイルムと富士ゼロックスの取締役会では自社株買いを、それぞれ白紙撤回してしまうことです。ゼロックスがすでに白紙撤回していますが、富士フイルムと富士ゼロックスもそれぞれの取締役会で承認しているため、同じように白紙撤回しておく必要があります。

 現時点のゼロックスに興味を示す企業は多くないはずで、これらの白紙撤回でゼロックスの株価も一層下落するはずです。それでもどうしてもゼロックスを買収したいのであれば、今度はTOBでゼロックスの全株を正々堂々と取得するべきです。また収益の上がっている富士ゼロックスは当分の間そのまま75%を保有しておくべきです。


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■企業 | 2018.05.15

スプリントとTモバイルが合併合意

2018年05月02日

スプリントとTモバイルが合併合意


 ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)が83.02%を保有する米携帯電話第4位のスプリントと、ドイツテレコムが62.28%を保有する同3位のTモバイルUSが4月30日、2019年前半をめどに合併することに合意したようです。

 米携帯電話は、ベライゾンとAT&Tの2強がトップを争い、次世代通信規格「5G」を巡る巨額投資負担も必要となるため、Tモバイルもスプリントもそれぞれ単独での生き残りが難しいと考えられており、ここ数年は何度か合併交渉を行っていました。

 ソフトバンクは2013年7月に、当時は米携帯電話第3位だったスプリント(当時はスプリント・ネクステル)の78%を216億ドル(当時の為替で約2兆円)で買収すると、翌2014年夏には同4位のTモバイルを買収しようとしましたが、FCC(連邦通信委員会)に自由な価格競争が阻害されると反対され、引き下がりました。

 ところが2015年6月にTモバイルが契約者数でスプリントを抜いて第3位に浮上し、その後もスプリントは引き離されていくばかりでした。それでも強気のソフトバンク・孫社長は、トランプが大統領に当選するとすぐに会いに行き、トランプもFCC委員長に規制緩和派のアジット・パイ氏を指名し、再び合併の機運が高まりました。

 ところが2017年6月に開始された2度目の合併交渉では、すでに業績や時価総額でTモバイルに大きく差をつけられていたにもかかわらず、スプリントが(ソフトバンクが)経営主導権の確保にこだわったため、これも当然のように破談になってしまいました。

 そして今回は3度目の合併交渉が始まったばかりでしたが、スプリントが(ソフトバンクが)あっさりと経営主導権を諦め、Tモバイル主導の合併を呑み今回の合意に至りました。

 報道されている合併案とは、Tモバイルとスプリントは完全に合併して新会社を設立し、Tモバイルの親会社であるドイツテレコムが新会社の議決権の41.7%、スプリントの親会社であるソフトバンクが同27.4%を保有し、残る30.9%が両者の少数株主が保有することになります。

 また新会社の取締役14名のうちTモバイル側がCEOのレジャー氏(元・TモバイルCEO)を含む9名を選び、スプリント側は孫社長とクラウレ・スプリントCEOを含む4名だけとなるようです(残る1名は不明です)。またクラウレ氏は「ちゃっかりと」85億円相当のゴールデン・パラシュート(早期にクビになったら支払われる)もせしめたようです。

 また合併比率はTモバイル1株に対してスプリント9.75株の割合で新会社の株式が交付されますが、発表後となる4月30日の終値で見るとスプリントは14%も下落して1株=5.61ドル、Tモバイルも6.2%下落して1株=60.51ドルとなっています。

 両方とも株価が下がってしまった理由は、株式市場では今回の合併もFCCの承認が得られないだろうと懸念しているからのようです。また今回は合併する両社とも親会社が米国外の企業であるため、対米外国投資委員会(CFIUS)の承認も必要となります。

 以前よりも規制緩和的になっているはずのFCCですが、2017年11月にはAT&Tによる850億ドルのタイム・ワーナー買収を、同業買収ではないにも関わらず差し止めてしまい(タイム・ワーナー傘下にトランプ批判の急先鋒であるCNNがあるからだと思いますが)、本当に規制緩和的なのかどうかもわかりません。

 つまり承認されるかどうかは、全くの五分五分と考えられています。

 ソフトバンクはスプリントの経営主導権を実質放棄した代わりに、4兆円をこえるスプリントの有利子負債(年間の利払いが2700億円だそうです)を新会社に押し付け、今後も膨大に必要となる「5G」関連の投資も直接は負担する必要がなくなり、直近で14兆円もある連結有利子負債もかなり軽減することができるはずです。

 またソフトバンクといえば本年初めに国内携帯電話事業を別会社にして新規上場させ、その3割程度を売り出して2兆円ほど資金化する計画を発表していました。1月16日付け「ソフトバンクが傘下の携帯事業会社を上場させる?」に書いてあります。

 この辺から考えられることは、孫社長はすでに内外の携帯電話事業に対する情熱を失っており、せっせと投資資金を回収してAIやEVなど世界の新規事業への投資に軸足を移していることになります。また昨年スタートした10兆円の「ビジョン・ファンド」の投資先選定も急いでいるようです。

 今回のスプリントは、完全株式交換なのでその「投資収益」を弾くことは難しくなりますが、スプリント買収時はドルを80円台で事前に調達していたはずで、少なくともプラスであることは間違いありません。

 ただソフトバンクの収益や財務体質の拡大を支えてきた「規制に守られて大儲けが約束された官製寡占事業」まで投資資金の回収対象と考え、その膨大な利益を提供してくれた国内の利用者に十分な還元をすることもなく、世界中の「まだまだこれから」という新規事業ばかりに巨額資金をつぎ込む現在の孫社長の姿は、見ていてやや不安になります。


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■企業 | 2018.05.02
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