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ちょっと息抜き 米国連邦債務上限の抜け道

2013年01月15日

ちょっと息抜き 米国連邦債務上限の抜け道

 先週末(1月11日付け)の「日本銀行はヘッジファンドでない その2」に対して、コメントをいくつか頂いています。もう一度整理して記事にするつもりですが、本日はちょっと息抜きです。

 米国連邦債務が法律上の上限に近付いているので、いくつか「抜け道」が議論されています。例の1兆ドルのプラチナ記念硬貨の話などです。

 他人(米国)のことなので、気楽にいろいろと考えてみます。

 米国連邦法では、連邦政府の債務に上限を定め、その設定を連邦議会に委ねています。そのため2011年8月1~2日に上下院で連邦債務上限を14兆2900億ドルから16兆3940億ドルに引き上げたのですが、再び2012年末に上限に達してしまいした。

 まあその都度、歳出削減とか増税とかの議論になるので、それはそれで良いような気がしますが、最も簡単なのは連邦債務上限の設定は行政の範囲内(つまり大統領の権限の範囲内)との判断を、連邦最高裁判所に求めることです。

 1971年8月にニクソン大統領は、議会にも諮らずドルと金の交換を停止してしまいました。ドルの交換性の変更は行政の範囲内であると勝手に判断したのです。

 もっと単純そうなのは、連邦政府が保有する資産(例えば金など)を売却することです。米国連邦政府は8133トンの金を保有しているはずで、時価換算すると4400億ドルほどになります。

 多分、連邦政府の財産は米国民のものなので勝手に売却できません。また債務上限の問題なので担保にして借り入れることもできません。そこで連邦政府の金のコストは1オンス=35ドルのままだと思うので、例えば1オンス=1000ドルほどに「値洗い」して、そこで2600億ドルほど連邦資産が増えたら、現行上限内でもあと2600億ドルの国債が発行できると「こじつける」方法がありそうです。これで2~3ヶ月はもちます。

 例の1兆ドルのプラチナ記念硬貨は、金・銀・銅貨は発行が制限されているのでプラチナ硬貨にするとの案ですが、もっと重要なことは、これは連邦政府(財務省)の通貨発行権の行使です。多分米国でも貨幣は補助通貨として政府が発行しているのだと思いますが、高額の記念硬貨は立派な通貨です。

 通貨とは通貨発行権者が「1兆ドル」と決めれば、例えコストが10セントの「そら豆」でも、1兆ドルの価値を持ちます。

 それでは米国の通貨発行権者は誰なのか? 連邦法には米国の通貨発行権は米国政府(正確には米国議会)にあると、はっきり書かれています。

 それでは米国政府は通貨(ドル)を発行しているのか? 発行しているのはFRB(連邦準備制度理事会)です。

 FRBは米国政府と同じと考えれば良いのか? 実は全く違います。

 FRB(連邦準備制度理事会)とは、1913年にウッドロウ・ウィルソン大統領が議員の大半がクリスマス休暇の間隙に強硬裁決して発足した純粋の民間銀行です。正確にはユダヤ系の銀行がすべての株式を保有しています。

 それではFRBがドルを発行しているのは連邦法違反なのか? 通貨を発行すれば違反です。しかしFRB発行のドルは、連邦政府の負債(国債)を買入れ、それを小口に分けた無利息・無期限の「資産(国債)担保付債券」なのです。だから連邦法違反ではありません。

 少し前までは米国国債にはかなりの利息が支払われていましたが、「資産(国債)担保付債券」は無利息です。従って米国国債の利息がまるまるFRBの利益であり、株主のユダヤ系銀行の利益だったようです。今はFRBの利益は国庫に納付されているはずです。

 政府債務上限の問題は、突き詰めれば通貨発行権を米国政府に取り戻せばよいだけの話なのです。でもそう言ってしまうと、なかなか微妙な問題になってしまうようです。

 ジョン・F・ケネディは、これをやろうとして暗殺された(Executive Order 11110)との説も、結構根強いようです。

 人(米国)のために考えるのもこれくらいにして、明日からはまた真面目なテーマに戻ります。

 最後に、コメントを頂いていたソフトバンクのイーアクセス売却ですが、総務省の電波行政対策以外の意味はありません。ただ全株式の1%にすべての議決権を与えて、その3分の2以上をわずか数十億円で売却して大丈夫なのかなあ?とは思います。

 イーアクセスの資産は保全できても、一番肝心な割当帯域の保全が出来なくなるように思うのです。

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米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その5

2012年08月31日

米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その5

 このシリーズの最終回です。これまでは米国政府が「民間企業」であるはずのFNMA、FHLMC、AIGを、新しい法律を作ってまで「公的救済」してきたことを書きました。

 しかし投資銀行に対しては明確に「公的救済」を拒否していました。1999年に投資銀行と商業銀行の兼業を禁止していたグラス・スティーガル法が完全撤廃されたのですが、金融危機当時の投資銀行の専業大手は(財務体質の弱い順に)ベアー・スターンズ、リーマン・ブラザース、メリルリンチ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスでした。

 まさにこの順番で経営危機が露呈し、2008年3月にまずベアー・スターンズをJPモルガンが吸収合併しました。今から考えるとJPモルガンが、一番最初に一番良い条件で投資銀行を手に入れたことになります。

2008年9月になってリーマンとメリルが危機に陥ります。問題はこの時点で「吸収合併」する体力がある金融機関がバンカメしか残っていなかったことです。

 バンカメは西海岸を発祥とするバンク・オブ・アメリカの持ち株会社の名前ですが、その実態はノースカロライナ州・シャーロットで開業し、全米で数多くの銀行を吸収合併して巨大化して行ったネーションズバンクでした。

 その時点では投資銀行業務をほとんど行っておらず、最初リーマンの吸収合併を勧められても全く興味を示しませんでした。しかし2008年9月14日に「かなり唐突に」メリルの吸収合併を決めます。

 メリルはもともと個人営業に強みを持っていたのですが、何故か当時のスタンレー・オニールCEOが「狂ったように」MBS業務にのめり込み、急速に財務体質が悪化していました。そのオニール退任後にCEOとなったのがゴールドマン・サックス出身でNYSE・ユーロネクストCEOだったジョン・セインです。

 セインは「瀕死の」メリルを何と500億ドルでバンカメに売りつけます。その時点のメリルの時価総額を70%も上回っていました。同年3月のベアー・スターンズの救済でも、同時並行のリーマンの救済でも、必ず「保有するMBSの含み損」が最大の問題となったのですが、非常に不思議なことにバンカメのケネス・ルイスCEOがこの点を問題にした形跡が全くありません。

 まあ「ゴールドマン・サックスで揉まれたジョン・セイン」に「規模だけ大きな田舎の銀行トップのケネス・ルイス」が、まんまと言いくるめられたのでしょう。

 さすがのケネス・ルイスも同年12月になって、メリルの直近の四半期決算が220億ドルもの赤字になることを知って「騙された」と気がつきます。合併は2009年1月1日付けでした。そこで不測の事態が発生した時に買収を撤廃できるMAC条項の適用を真剣に考えるのですが、既に両社の株主総会が承認しているためどうしようもありませんでした。

 米国政府はTARPからバンカメに200億ドルの追加出資(優先株の引き受け)を行い、何とか予定通りに合併を完了させました。しかしジョン・セインは合併数日前の年末に巨額のボーナスを自分やメリル社員に支払い、合併直後にさっさと辞めてしまいました。

 さてバンカメが興味を示さず「進退が窮まっていた」リーマンに、運命の2008年9月14日のほんの数日前に「思わぬ話」が飛び込んできました。英国のバークレイズが興味を示してきたのです。

 実はリーマンの最大の問題は、すでに救済合併されていたベアー・スターンズも含めた他の投資銀行に比べてMBSの資産内容が「飛びぬけて悪かった」ことで、バークレイズも520億ドル相当を買収対象から外してきました。その520億ドルはどう見ても100億~170億ドルもの含み損を抱えていました。

 最終的にバークレイズは運命の2008年9月14日の当日になって「英国当局が承認しない」との理由で断ります。ロンドン証券取引所の上場基準では一定以上の買収に対しては株主総会の決議が必要とされているのですが「例外は認められない」というものでした。

 ただ後から考えると、仮にバークレイズが了承していても取り残される100億~170億ドルの含み損を抱えるMBSは結局処理できず、いずれにしてもリーマンは「破綻」しかなかったような気がします。

 しかし当時の財務省、FRB、金融界の落胆は大きく、さらにバークレイズが破綻後のリーマンを格安で買収していったため「英国に嵌められた」と感じたはずです。その「怨念」が今年になって突然のLibor不正操作事件となって、バークレイズ、ロバート・ダイヤモンドCEO(当時は交渉の前面に立っていた社長)、アリスター・ダーリング財務大臣(最後通告をした担当大臣)らへの「復讐」をしているような気がしてなりません。

 5回に渡って4年前の米国金融危機を振り返ってみました。本当はモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスも「かなりの危機」だったのですが、紙面の都合でまたの機会にします。

 昨年4月26日付け「三菱UFJ銀行モルガン・スタンレー証券の巨額損失の裏側 その2」に、三菱UFJの米国モルガン・スタンレーへの1兆円出資の裏側を書いてありますので読んでみて下さい。

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米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇 その4

2012年08月30日

米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇 その4

 4日続けて同じ話題なのですが、どうしても本日を入れてあと2回となります。

 米国金融危機で「最も危険だった日」は2008年9月14日(日曜日)のはずです。休日にもかかわらずリーマンが破産申請し(実際に破産法の適用を申請した時は日付が変わっていました)、メリルがバンカメの傘下入りを決めた日です。

 ところが恐らく、この日の米国当局にとっての「最大の恐怖」はAIG(American International Group)だったはずです。少なくとも前年までは「世界で最も強大な保険会社」だったはずのAIGは「いつの間にか」巨額な不動産関連の不良債権を抱え込み、さらに巨額のCDS(Credit Default Swap)を引き受けており、「膨大な追加保証金」などで資金繰りが急速に悪化していました。

 つまりこの日(9月14日)になってやっと、資金ショートが500億ドルにのぼり9月17日にも破綻することが「わかった」のです。

 AIGの生命・損害保険契約者は数千万人にのぼり、個人年金の保証金額も数百億ドルに達していました。1兆ドルのバランスシートを持ち、大規模なデリバティブ事業を通じて世界中の金融機関・政府・企業と取引がありました。間違いなくシステミックリスクがあり、FNMAとFHLMCと同じように米国政府として「潰せない」企業だったのです。

 ところが翌9月15日(月曜日)にAIGは格付各社によって格下げされたため、膨大な「追加担保」が新たに発生し、資金ショートが850億ドルにもなってしまいました。

 ここにきてFRBは、AIGの保険子会社などを担保に850億ドルの融資に踏み切ります。条件はLIBORプラス8.5%(!)で期間が2年でした。

 もちろん保険会社はFRBの融資対象ではなく、あくまでも「緊急時でかつ十分な担保があれば」という例外措置の発動でした。この時点ではFRBですら「AIGは資本不足ではなく、単なる流動性不足である」と信じていたようです(注)。

(注)ガイトナーNY連銀総裁(当時)は、「健全な保険会社の上にヘッジファンド(本社)が乗っかっているようなもの」と絶妙の説明をしていました。

 ところが、そのAIGは2008年通年で992億ドルという「途方もない赤字」を出し、間もなく「資本も全く不足している」状態であることが分かり、後日難産の末に発効する7000億ドルのTARP(Troubled Asset Relief Program・注)から438億ドルもの資本注入を受けることになります。

(注)一度否決された後、2008年10月2日に上下院で同日に承認されました。ちょうど大統領選の直前だったため、格好の政治材料に使われたようです。その名の通り最初は「不良資産買入れ基金」だったのですが、その後より大きな効果が見込まれる「健全な金融機関への資本注入」に使われます。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーもそれまでに銀行持ち株会社になっていたため資本注入を受けることが出来ました。
 しかしその後は、このAIGやGMや(健全な金融機関として資本注入を受けた後、さらに資本不足に陥った)シティやバンカメなどへの「後ろ向きの資本注入」にも使われることになります。

 このAIGに対する438億ドルの資本注入の際、(資本注入の窓口である)FRBがSIV(特別目的会社)のMaiden LaneのⅡとⅢで、AIGのMBSやCDSを525億ドル分引き取ります。同年3月にベアー・スターンズのMBSを300億ドル引き取った時に作ったSIVの別シリーズです。

 同時に最初の融資850億ドルの金利・LIBORプラス8.5%も、LIBORプラス3%まで下げました。これはその後の資産売却などで返済されています。

 つい先日の2012年8月23日に、このMaiden Laneの資産売却が完了し94億ドルの利益が出たことが発表されていました。最初にMaiden Laneで引き取ったベアー・スターンズのMBSはまだ評価損となっているようです。

 ここで同じように2008年9月14日時点でFRBの融資対象でなかったリーマンとメリルが、なぜ同じように救済されなかったのかを考えてみましょう。

 それは最初から「民間で解決するもの」と決められていたからです。つまりこれら投資銀行はAIGやFNMAやFHLMCと違って、不特定多数の米国民を危機に陥れることはなく、また米国や世界の金融市場は揺るがせても「米国やドルの信認が揺らぐ」ほどのものではなく、逆に「国民の税金が毀損した時のダメージ」の方が大きいと判断していたとしか考えられません。

 もちろん米国政府は、メリルもリーマンも救済に向けて努力を惜しまなかったことは事実ですが、それはあくまでも「どこかが救済合併できるように取り計らう」ことでした。

 それでは次回はこのシリーズの最終回として、メリルとリーマンの救済の舞台裏を詳しく書くことにします。

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米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その3

2012年08月29日

米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その3

 具体的にFNMAとFHLMCの救済方法を見ていきましょう。

 まず2008年7月30日に「住宅公社支援法」が成立します。これは両社の督権権限を完全に新設する連邦住宅金融庁(FHFA)に与え、財務長官に両社への融資限度(当時は22億5000万ドルずつだった)を「無制限に」引き上げる権限と、財務省に両社の株式を臨時に取得する権限を与えました。後の2つは2009年12月31日までの暫定措置でした。

 しかし当時は、権限が与えられたと言っても連邦住宅金融庁(FHFA)とは、はなはだ頼りなかった前身の連邦住宅公社監督局を改称しただけで依然として両社に「弱腰」であり、財務省も「無制限の融資」をちらつかせるだけで危機が沈静化すると思っていたようです。

 ところが両社の「資産内容の劣化」「資金繰りの悪化」「株価の下落」が一向に止まらず、ついに2008年9月7日(日曜日)に両社の「公的救済」が発表されます。この内容は最後まで両社に全く知らさられず、両CEOに「全面承認のための取締役会の招集」と「クビ」が告げられたのが9月4日の夕刻でした。

 この「公的救済」の最重要ポイントは、財務省が両社それぞれ1000億ドルを上限に上位優先株式を購入し(つまり資本注入)、同時に両社の普通株式の79.9%を購入する権利(ワラント)を得ると言うものです。

 つまりそれまでの「無制限の融資」だけでは資本の増強にはならず、しかも2009年末までの暫定措置だったので、ほとんど効果が無かったからです。

 そして財務省(つまり米国政府)が購入する上位優先株式には10%の配当が支払われるのですが、両社が既に発行している普通株式や優先株式などは無配となりました。つまり法的整理ではないので既存の普通株式や優先株式が「消滅」したわけではないのですが、実際にはほとんど無価値となりました。両社の普通株式は2010年7月に上場廃止(時価が1ドルを回復できなかったため)となりました。

 ただ財務省(米国政府)も10%の配当を得ると言っても、つい最近まで毎四半期ごとに追加で上位優先株式を購入しており(つまり毎四半期ごとに追加の資本注入が必要だった)、その残高が両社で1900億ドル近くになっていました。ほとんど当初の上限(1000億ドルずつ)に近づいていたのですが、オバマ政権になってから念のために2000億ドルずつに引き上げられていました。

 それ以外に、財務省(米国政府)が両社の保有する住宅ローン関連証券(MBS)を取得することになっていたのですが、これは巧みに2008年11月~2010年6月のQE1としてFRBに1兆2500億ドルもの住宅ローン関連証券(MBS)を取得させてしまいました。  

 その「かなりの部分」がFNMAとFHLMCの保有していた証券だったはずです。つまりQE1とは、確かに景気を回復させるための金融量的緩和だったのですが、その「本来の目的」はこの両社の公的支援策の重要な一環だったのです。もちろん現在もこれらMBSはFRBの資産にしっかりと組み込まれています。

 付け加えますと、これはFRBの権限内で行われている対市場オペレーション(資産購入)なので、その「損失」はFRBの責任(結局は税金ですが)となります。

 つまり米国政府は、健全な住宅ローン市場の壊滅を防ぎ、1兆ドルを超える両社債券を保有する海外投資家に対する体面を保つという「国策的見地」から、FNMAとFHLMCを「丸抱えで救済」したのです。

 今年になって8月17日に、財務省は公的資金の「回収」を強化すると発表しました。今まで上位優先株の10%の配当だけを回収していたのですが、両社の全利益を回収するとしました。ようやく毎四半期ごとに追加で上位優先株式を購入する必要が無くなったからのようです。

 両社の収入は「住宅ローンの保証料」と「保有する住宅ローン関連証券のポートフォリオと調達コストとの利鞘」なのですが、後者については意味が無くなっているため2008年には1兆8000億ドルほどあったポートフォリオを2022年までに5000億ドルに減らすことになっていました。因みに2012年6月末現在では1兆2541億ドルになっています。

 これを2018年まで前倒しします。つまりポートフォリオの売却は利益ではないのですが、その売却代金も回収するのです。しかし財務省の出資分を回収するために、また新たに7500億ドルほどの住宅関連証券が市場に出てくることになります。

 次回はAIGの救済についてです。

 結論だけ言っておきますと、すべて2008年の9月に起こった救済劇の中で「米国政府が暗黙に保証していた」FNMAとFHLMCの救済は「特別なもの」だったことは分かるとしても、純粋の民間企業のなかでもAIGの救済は同時並行だったメリルとリーマンと全く違っています。

 さらに昨日書いた2008年3月にJPモルガンに救済合併されたベアー・スターンズも、メリルやリーマンと随分違っているのですが、これは単純に米国金融界の状況が悪化していたからです。

 メリルとリーマンの「運命が違った理由」も次回にします。

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米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その2

2012年08月28日

米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その2

 昨日の続きです。FNMAとFHLMCの救済劇について書き始めたところでした。

 2007年8月9日に、仏銀最大手のBNPパリバが傘下のモーゲージ担保証券に投資する3つのファンドを凍結したと発表します。欧米金融機関の「問題発覚」第1号でした。

 この日を境に欧米の信用市場が急速に逼迫して、モーゲージ関連の巨額損失が相次ぐことになります。しかしNYダウが最高値の14164ドルをつけるのは、その2か月後の10月9日のことでした。

 よくこの金融危機はサブプライム問題だと言われるのですが、正確に言うと2007年時点で13兆ドルに上った米国内の全モーゲージ(住宅用と商業用の合計)の担保不動産の価値が2兆ドルほど下落し、その2兆ドルを全世界(特に欧米)の金融機関が負担したという構造と言えます。ピークの残高が1兆3000億ドルだったサブプライムローンは、引き金にはなったものの問題のすべてではありません。

 それよりも特に欧州の金融機関がこれらの損失をすべて表に出していないとも言われ、不動産市況の更なる下落が、再度の金融危機を引き起こす構造は何も変わっていません。

 しかし当時のモーゲージ市場の混乱は、かえってFNMAとFHLMCのシェアを上げるという皮肉な現象となり、新規のモーゲージ組成に占める両社の割合が危機前の46%から76%へ跳ね上がっていました。それだけ社債発行による資金調達と(いくら低い自己資本比率が認められているとはいえ)資本増強が必要となってきていたのです。

 しかし2008年3月にベアー・スターンズが行き詰まり、最終的にJPモルガンが救済合併するのですが、最後になってジェイミー・ダイモンCEOが300億ドルの不動産関連資産(商業用と住宅ローン担保証券)の引き取りを拒否します。

 そこでこの資産を担保にニューヨーク連銀から300億ドルの融資することにした(つまり最終的な損失をFRBに押し付ける)のですが、当然にFRBは損失が発生した場合の補填を財務省に求めます。それよりも銀行持ち株会社でない投資銀行のベアー・スターンズにFRBが「いくら担保があるとは言っても」融資すること自体が非常に「無理筋」だったことになります。

 ところが財務省は反財政赤字法により議会が認めていない「損失補填」ができません。そこで苦し紛れに、財務省の「FRBの措置を支持する」という曖昧な書簡(注)と、モーゲージ運用大手・ブラックロックのローレンス・フィンクCEOに書いてもらった「十分な調査をしたところ、融資は十分な担保によって裏付されている」というもっと曖昧な書簡と、最後の最後にジェイミー・ダイモンが呑んだ11億5000万ドルの劣後ローン(つまりこの金額までの損失はJPモルガンが負担する)の三点セットで強行してしまいました。

(注)こういった書簡は当時の財務長官ヘンリー・ポールソンの「得意技」のようです。その後、モルガンスタンレーの株価が急落している時にも三菱UFJに対して「米国政府は海外投資家の投資活動を支持する」という曖昧な書簡で、まんまと1兆円を投資させています。

 そしてこの300億ドルの資産はMaiden Lane LLC(Maiden Laneはニューヨーク連銀の前の通りの名前です)というSIV(特別目的会社)が保有し、FRBの資産にしっかりと計上されています。そしてこの方式はAIG救済の時にも使われるのですが、これはAIG救済のところで解説します。

 だいぶ話が横道にそれてしまったのですが、要するに不動産とモーゲージを取り巻く市況が日に日に悪化していく中でFNMAとFHLMCの資金調達(増資と債券発行)も非常に困難となってきます。両社の決算も赤字が続き、2008年7月11日には両社の株価が急落してFNMAが10.25ドル、FHLMCが7.75ドルとなりました。

 その時点からホワイトハウスと財務省は、両社を公的救済するために議会と折衝を始めます(注)。その理由は間違いなく「米国政府が暗黙に保証」していると理解されている両社の発行ないし保証する債券が5兆ドルあり、少なくとも1兆ドルは海外投資家が保有しており、まさに「米国の信用」が問われることになるからでした。

(注)米国の行政の最高責任者は大統領で、その下に財務省など各省庁があり行政の実務を行います。一方大統領には議案提出権がなく、法律改正や新規立法はすべて議会の権限となります。議会はまさに「有権者の利益を代表して」これらの立法に当たります。つまり米国では、政府(行政・大統領)と議会(立法)の関係が非常に明確に分かれているのです。

 とにかく米国政府としては「救済」以外の選択肢が無かったのですが、問題が山ほどありました。ホワイトハウスが共和党のブッシュ政権(しかも任期があと半年もない)で、議会が民主党に過半を握られていることもあったのですが、それよりも両社や住宅関連事業に関係する議員も多く、政府の介入を快く思わないのが議会の基本的な考えでした。

 さらに両社に対して唯一法的監督権限のある連邦住宅金融庁(FHFA)も、その7月に設置されたばかりでお世辞にも強大な権限があるとは言えませんでした。

 まだまだ続きます。

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