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「今年はバブル元年」ではなかったのか?について

2017年04月19日

「今年はバブル元年」ではなかったのか?について


 本誌は昨年末から今年初めにかけて「今年はバブル元年」と書いてきました。ちょうどその頃は、大統領就任前のトランプの経済対策への期待からドル高と世界的な株高となっていた時期でしたが、そう考えた理由はリーマンショック以降の世界的な金融緩和・量的緩和の効果は経済活動に向かわず、ますます本格的に投資活動に向かうと感じたからです。

 つまりトランプの出現により米国だけではなく世界的に経済活動が活発化して、株式や不動産などの価格が上昇すると考えたわけではありません。むしろ逆でリーマンショック以降の世界経済の趨勢的な成長鈍化は止まらず、それを見て世界的な金融緩和・量的緩和は想定以上に継続されることになり(FRBが多少利上げしても歴史的には超低金利のままです)、想定以上に溢れ返る資金が世界の株式市場などに一層流れ込むと感じたからです。

 つまり「バブル」になるための条件は「世界の経済活動が想定ほど活発化せず世界的な金融緩和・量的緩和が想定以上に継続されること」であり、逆に「バブル」にならない条件は「世界の経済活動が想定以上に活発化して世界の金融緩和・量的緩和が本当に終焉してしまうこと」と考えます。

 「バブル」とはもちろん株式市場だけで膨らむわけではありませんが、不動産市場や商品市場は鈍化する世界経済に影響されるため、すぐに「バブル」にはなりにくいはずです。

 それに対して株式市場は各国の高収益企業の「集合体」であり、いくら低金利だといっても自分で設備投資をして事業収益を追及するより「はるかに楽で高い収益が期待できる」ため、真っ先に「バブル」になるはずです。

 じゃあ昨年までは(より正確にはトランプが当選するまでは)世界の株式市場はバブルではなかったのか?ですが、その通りバブルではなかったはずです。

 その理由は2つあり、1つは世界の経済活動が本格的に活発化しなければ(その通り活発化していません)株式市場もそれほど上昇しないという「過去からの固定観念」にとらわれていたこと、もう1つはリーマンショック以降も世界は何回も「イベント=突発的な悪材料」に見舞われ、その都度大きく下落していたからです。

 リーマンショック以降の「イベント」は経済問題だけに限っても、2度のギリシャショック(ギリシャだけでなくアイルランド、ポルトガル、2度目となった2012年7月にはスペイン、イタリアにも飛び火)、2度の中国ショック(2015年8月と2016年1~2月、ともに人民元の急落・中国からの外貨流出に伴う経済不安拡大)、英国ショック(もちろん2016年6月のEU離脱)、それにトランプの出現も当初は「イベント」と考えられていました。

 ただこういう「イベント」が続いているうちに、世界の株式市場は同じように下落するものの、2016年になるとだんだん下落幅が少なく下落時間も短くなり、いつの間にか高値を更新するようになっていました。それだけ世界の株式市場はイベント(悪材料)に対する耐性が備わってきたことになり、それも「そろそろバブル」と考えた理由でした。

 ここまでが昨年末から今年初めにかけて「今年はバブル元年」と考えた理由です。そして本年に入ってからの日経平均(終値)は、1月4日の19594円をやっと3月13日の19633円で上回ったと思えば、今週初めの4月17日には18355円の本年最安値となり、本日(4月18日)も18418円となっています。

 確かに北朝鮮情勢が今も緊迫していることや、トランプ政権がとくに内政面でもたつき早くも期待感が剥げ落ちていることや「ドルは高すぎる」と言い出しているからですが、こういう「言い訳=後講釈」ではなく、より冷静になって考えてみます。

 繰り返しですが「バブル」になるための条件は「経済活動が想定ほど活発化せず金融緩和・量的緩和が想定以上に継続されること」です。そして米国経済は早くもトランプの経済政策への過剰な期待感が剥げ落ち、FRBの利上げペースも「本年あと2回」から「せいぜい1回」あるいは「ゼロ」となり、FRBの資産縮小も年内は見送られると考えます。2.6%まで上昇していた米10年国債利回りもすでに2.2%まで低下しています。

 つまり米国経済に限らず日本も含む世界経済はさらに「バブル」になるための条件を満たしていることになり、今回の世界の株式市場の調整も短期間・小幅であるはずです。

 日本の株式市場については、それに加えて北朝鮮情勢という「もう1回あったイベント」に見舞われていることになり、極端な状況となればさらに下落するかもしれません。しかしそこも昨年から続く世界的な傾向である「イベント」に対する耐性が備わっていると考えるべきで、仮に調整(下落)が急激であればそれだけ反発も早いはずです。

 日本の株式市場については、経済活動が本格的に活発化しそうもないことに加えて、日銀が長期金利(10年国債利回り)をゼロ近辺に「釘付け」して上昇を食い止めているため、もっと直接的に「バブル」になるための条件を満たしていることになります。

 つまり日本の株式市場はイベント(北朝鮮情勢の緊迫化)がもう1回あったため、スタートラインが少し後退したものの、さらに「バブルになる条件が揃ってきた」と考えます。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.04.19
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トランプ相場は終わったのか?

2017年03月23日

トランプ相場は終わったのか?


 昨日(3月21日)のNYダウは、前日比237ドル安の20668ドル(終値、以下同じ)となり、それを受け本日(3月22日)の日経平均も414円安の19041円となりました。

 NYダウも日経平均も昨年11月のトランプ当選をきっかけに上昇していましたが、ここにきてトランプ大統領の掲げる新政策(とくに経済政策)に対して懐疑的な見方が出始めて、調整色を強めています。

 具体的には、いつまでたっても具体化しない「大規模減税」、米国第一主義の掛け声だけで一向に形の見えてこない通商問題、これも掛け声だけの銀行業界の規制緩和、早くも迷走している完全撤廃するはずだったオバマケアなど、よく考えると何も前に進んでいません。

 昨日付け「ところで米国債務上限引き上げはどうなっている?」にも書いたように、すでに棚上げ期限が切れている(これはオバマの怠慢ですが)債務上限引き上げに対しても、トランプ大統領は議会に国防関連予算を大幅増額するとした予算教書の「原案だけ」を提出している状態です。

 これは1月20日のトランプ大統領就任直後から補佐官などホワイトハウス事務局メンバーや各閣僚の指名・議会承認がドタバタした上に遅れに遅れ、ようやく目途がついたと思っても各省庁幹部の政治任用が進んでおらず、予算案などの議会折衝や各国との通商交渉を進める体制に「全く」なっていません。

 じゃあ少し我慢していたら解決するのか?というと、全くそんな気配もなく、ますます混迷してしまいそうです。ここにきてようやく米国株式もその辺を懸念し始めたようで、米国以外の(とくに日本の)株式市場にも影響がでています。

 さてそれでは米国だけでなく世界の株式市場は、このまま調整期間に入り、さらに状況によっては「もっと大きな調整」に見舞われてしまうのでしょうか?

 結論から言うと、そうは思いません。

 メルマガ「闇株新聞 プレミアム」では毎週のように繰り返していますが、現在の世界の株式市場は「バブル初期」に入っていると考えます。

 それはリーマンショック以降の世界的な金融緩和・量的緩和により未曽有の緩和マネーが世界中に溢れ返っていますが、それが一向に経済活動に向かわず、したがっていつまでたっても世界経済が本格的に拡大せず、世界的なインフレと長短金利の低下傾向が続いているため、ますます世界の株式市場に資金が向かうことになるからです。

 (米国は一時的に上昇していますが)世界的に長短金利の低下傾向が続いているため、株式投資に対する相対的な投資収益見通しの改善が続き、逆に世界経済が一向に回復しないため長短金利が反転・上昇することもなく、結果的に株式市場への資金流入が続くことになります。

 逆に本当に世界経済が拡大するなら世界的な金利低下傾向も終わり、株式市場がバブルになることはありません。

 昨年11月のトランプ当選をきっかけに、米国だけでなく世界の株式市場が急上昇した理由は、トランプの経済政策で本当に世界経済が拡大すると考えたわけではなく(もしそうだったら世界的な金利上昇で株価上昇が止まります)、世界の株式が「バブル初期」に向かう1つのきっかけになったにすぎません。

 その1つのきっかけにすぎないトランプの各政策がモタモタしたところで、すでに「バブル初期」に向かい始めた世界の株市市場への流れは簡単に止まりません。

 もし米国株がもっと低迷すれば、トランプは「もっと景気のよい大風呂敷を広げる」はずで、2019年末までにあと8回も利上げすると息巻いているFRBも「利上げのスローダウン」となるはずです。

 かくして「始まったばかりの株式バブル」はまだまだ続くことになります。

 もちろんバブルは株式市場だけではなくエネルギーを含む商品市場、不動産市場などにも波及するはずですが、株式市場以外は経済状況も反映するため、(都心の中古マンションなど特殊なものを除けば)まだまだ「バブル以前」となります。

 繰り返しですが、「バブル初期に入ったばかりの株式市場」が本当に反転してしまうケースは、世界経済が本当に活発化するかインフレが加速して、世界的な金利低下が終焉してしまう時だけです。

 今回も短期間・小幅の調整で済むと考えます。

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■闇株的見方 » 株式 | 2017.03.23
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アップルは「渡らざるを得ない橋」なのか?

2017年03月08日

アップルは「渡らざるを得ない橋」なのか?


 大変にわかりにくい表題で恐縮ですが、アップルはもちろん時価総額が世界最大(7300億ドル=83兆円)のアップル株式のことで、「渡らざるを得ない橋」とはウォーレン・バフェットが好んで投資する銘柄のことです。

 バフェット率いる投資持ち株会社のバークシャー・ハサウェイが、今年1月にアップル株式を7000万株以上買い増し、保有株数が1億3300万株となったようです。

 アップルの昨日(3月3日)の株価は139ドルなので保有時価総額も185億ドル(2兆1000億円)となり、アップルの第5位の株主となります。

 バークシャー・ハサウェイはアップル株式を昨年(2016年)3月に初めて981万株取得し、同年9月末には1522万株、12月末には5735万株保有と報告していました。

 そこから本年1月に大量取得した理由は、1月31日の決算発表前に「買いたくなった」とバフェットは話しています。そこで発表されたアップルの2016年10~12月期決算は売上高が過去最高の784億ドル(8.9兆円)、純利益も179億ドル(2兆円)と確かに絶好調でしたが、純利益は前年同期の184億ドルに届きませんでした。

 アップルの株価は、取得後の昨年5月に一時90ドルまで下落したもの、9月末が113ドル、12月末が116ドル、大量取得した直後の本年1月末が121ドル、昨日(3月6日)が139ドルと、確かにその間の上昇幅はNYダウよりも大きくなります。

 じゃあアップルはバフェットが好んで投資する「渡らざるを得ない橋」なのでしょうか?

 バークシャー・ハサウェイの代表的保有銘柄とは、クラフト・ハインツ、ウェルス・ファーゴ、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなどで、確かに「渡らざるを得ない橋」だと言われれば、そんな気もします。

 アップルも2007年にiPhoneを発売して以来、常にスマートフォン市場を席巻しており、収益面では競合他社を圧倒的に引き離す高収益を上げ続けています。

 ただ2016年の世界スマートフォン出荷台数は14億8000万台と、前年比3%増でしかなく、2015年の10%増、2014年の27%増から大きく減速しています。

 またアップルの2016年の市場シェアは14.6%でしかなく(トップはサムスンの21.1%)、華為(ファーウェイ、9.5%)、OPPO、Vivoなど中国勢に追い上げられています。中国勢は必ずしも格安スマホに特化しているわけではなく、それなりの高級品も揃えています。

 あまり知られていませんが、スマートフォンに限らずアップル製品の修理は、アップル直営店か同社と契約を結んだ正規の修理業者にしか認められていません。つまりスマートフォンなどアップル製品が故障した場合、ちょっとその辺の電気店で修理するというわけにはいきません。

 ソフトバンクでスマートフォンを買って「ちょっと壊れた」場合、ソフトバンクの販売店に行っても「アップルに持っていけ」とそっけなく言われるだけで、すぐに新機種への乗り換えをしつこく勧められます。本誌はそれで解約して二度とソフトバンクとは契約していませんが、アップル製品だとドコモでも同じはずです。

 実は米国では、電子機器を修理する機会を求める「公正な修理法案」が一部の州で提出されており、明らかにアップルをターゲットにしています。

 つまりアップルとは確かに「作り上げられた渡らざるを得ない橋」ではあったものの、徐々に「渡らざるを得ないわけでもない橋」となっていくような気がします。

 アップルは、トランプ大統領の掲げる大型法人減税あるいは海外にある現金を米国内に還流させる際のさらなる減税措置の恩恵を最も享受できる企業とバフェットが考えたような気がします。純利益も海外にある現金も最大級だからです。

 さらにバフェットもバークシャー・ハサウェイの「有り余る現金」の受け皿となるには、時価総額が世界最大で収益も(とりあえず)絶好調のアップルにも投資せざるを得なかったとも考えられます。

 バフェットは2011年になってからIBMへの投資を始めましたが、その理由も今回のアップルと同じようなものだったはずです。そして現在までのIBMの投資パフォーマンスは「凡庸」そのものです。

 いろいろな意味で今後が注目されるバフェットのアップル株への投資です。

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■闇株的見方 » 株式 | 2017.03.08
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祝2万ドル! NYダウ

2017年01月27日

祝2万ドル! NYダウ


 1月25日のNY株式市場ではダウ工業株30種平均(以下、NYダウ)終値が20068.51ドルと、史上初めて2万ドルを突破しました。

 NYダウは1896年以来ずっとダウ・ジョーンズ社が算出・公表していましたが、2010年にその所有権が約6億ドルで各種株価指数先物を取り引きするCMEグループに売却されています。

 さてNYダウは、リーマンショックを挟んで2007年10月9日の高値・14164ドルが2009年3月9日に安値・6547ドルとなり、昨日・2017年1月25日が20068ドルとなりました。

 ちなみに日経平均は、リーマンショックを挟んで2007年7月9日の高値・18261円が2009年3月10日に安値・7054円となり、本日・2017年1月26日が19402円となりました。

 NYダウは、リーマンショック直後の安値から3.06倍になり、日経平均は2.75倍になっています。これだけ見るとあまり遜色がありませんが、2000年初めのITバブル時の高値はNYダウが11722ドル、日経平均が20833円なので、その期間でみると差は歴然となります。

 よく言われることですが、各国の株式市場はその国を代表する優良企業の集合体であるため、その国の実体経済より株式市場は大きく拡大(上昇)するものです。その中でもNYダウは、米国というより世界を代表する先端企業の中からたった30社だけを厳選し、さらに頻繁に入れ替えるため、余計に大きく拡大(上昇)することになるはずです。

 リーマンショック以降に限れば、そんなNYダウに比べても日経平均の上昇幅は遜色ないことになります。

 それでは現時点のNYダウ採用銘柄の「顔ぶれ」を見ておきましょう。間違いなく米国だけでなく世界を代表する先端企業から厳選された30社となります。ティッカーシンボルのアルファベット順で、特定していなければNYSE(NY証券取引所)上場です。

 アップル(IT、ダウ採用が2015年、NASDAQ上場)、アメリカン・エキスプレス(金融、1982年)、ボーイング(航空機、1987年)、キャタピラー(重機、1991年)、シスコシステムズ(IT、2009年、NASDAQ上場)、シェブロン(石油、2008年)、デュポン(化学、1935年)、ウォルト・ディズニー(娯楽・メディア、1991年)、GE(総合電機・金融、1896年)、ゴールドマン・サックス(金融、2013年)

 ホームデポ(小売り、1999年)、IBM(コンピューター、1979年)、インテル(半導体、1999年、NASDAQ上場)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(医薬品、1997年)、JPモルガン・チェース(金融、1991年)、コカ・コーラ(飲料、1987年)、マクドナルド(外食、1985年)、スリーエム(化学、1976年)、メルク(医薬品、1979年)、マイクロソフト(ソフトウェア、1999年、NASDAQ上場)

 ナイキ(スポーツ用品、2013年)、ファイザー(医薬品、2004年)、P&G(日用品、1932年)、トラベラーズ(保険、2009年)、ユナイテッド・ヘルス(保険、2012年)、ユナイテッド・テクノロジーズ(航空宇宙・防衛、1939年)、ビザ(その他金融、2013年)、ベライゾン(通信、2004年)、ウォルマート(小売り、1997年)、エクソン・モービル(石油、1928年)
 
 本誌も初めてじっくりと眺めたのですが、この30社です。

 この中に1999年以降の採用が13社、2008年以降に限っても8社あります。またNASDAQ上場企業も4社あります。

 つまりNYダウ採用銘柄とは、米国だけではなく世界の先端企業から30社だけを厳選し、さらに頻繁な入れ替えが行われていることが「改めて」わかります。

 くどくなりますがリーマンショック以降に限れば、そんなNYダウと比べても日経平均の上昇幅が遜色ないことになります。

 少し考えさせられてしまいますが、この辺はまた別の機会にします。

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■闇株的見方 » 株式 | 2017.01.27
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またまた出没した空売りファンドに慌ててはいけない

2016年12月15日

またまた出没した空売りファンドに慌ててはいけない


 日銀の金融政策については、本日(12月14日)のFOMCも取り入れて明日書くことにして、本日はこの話題です。

 12月13日にマディー・ウォーターズなる空売りファンド(表面的には調査会社)が、日本電産を「ハリボテの広報活動によって誇張されてきた銘柄」とする売り推奨レポートを公表しました。

 あらかじめ自己ポジションで空売りしてから過激なレポートで売り煽り、株価が下がったところでさっさと利益を確定する手法は、本年夏以降日本にも出没している類似ファンド(後述)と同じです。

 日本電産の株価はレポート公表前日終値の9888円から、12月13日の公表直後に一時9301円まで5.9%下落しましたがすぐに反発し、本日(12月14日)終値は10100円となっています。ちなみにマディー・ウォーターズの設定する日本電産の目標価格は4764円だそうです。

 また同じ12月13日にはウェル・インベストメンツなる空売りファンド(同じく表面的には調査会社)が、空気圧制御システムのSMCを「グローバルな連結監査能力がない小規模な監査法人が見抜けない疑わしい財務諸表」とする売り推奨レポートを公表しました。

 やはりあらかじめ自己ポジションで空売りしてから過激なレポートで売り煽るスタイルです。

 SMCの株価は公表前日終値の29495円から、12月13日の公表直後に一時26355円と10.6%も下落し、そこから反発していますが本日(12月14日)終値も27185円と公表前日を下回ったままです。ウェル・インベストメンツの設定するSMCの目標株価は4484円だそうです。

 さてこれらの空売りファンドは、ほぼ間違いなく公表直後の株価下落局面で利益を確定してもう逃げ出しているはずです。それぞれのレポートにある「ハリボテの広報活動」や「小規模の監査法人が見抜けない疑わしい財務諸表」の正当性とか、中・長期的な株価水準などには全く関心がなく、自らが売り煽ったレポートによる刹那的な株価下落だけが目的と考えておくべきです。

 ただここのところ株式市場が上昇しており、全体的に「高所恐怖症気味」であるタイミングも狙ったものだったのでしょう。

 悪質な「風説の流布」です。日本人が同じことをやれば即座に証券取引等監視委員会の調査対象になるはずですが、海外ファンドなので「やりたい放題」のままとなります。

 またこういう空売りファンドは比較的小規模で資金量もリスク許容範囲も限られているため、貸株を調達して売却する「裸のポジション」は取れず、株価下落による利益だけを受け取れてリスクが限定されているデリバティブを、コストを支払って購入しているケースがほとんどです。

 つまり時間が経過すればするほどコストがかかることになるため、どうしても逃げ足が速くなります。

 7月に伊藤忠を売り推奨したグラウカスも、8月にサイバーダインを売り推奨したシトロンも同じで、とっくの昔に(おそらくレポート公表直後の下落場面で)利益を確定して逃げ出しています。

 テレビドラマではありませんが、まさに「逃げるは恥だが役に立つ」投資スタイルなのです。
 
 これは「買い」から入って対象会社に無理難題を押し付けるアクティビストなるファンドでも基本的に同じで、長期的な経営方針に口を出しているように見えても、その実態は刹那的な株価上昇だけが目的で「いつの間にか」逃げ出しています。

 前回の伊藤忠やサイバーダインも同じでしたが、今回の日本電産やSMCも「日本企業の会計・財務の問題点が海外ファンドによって暴かれる」との好意的な評論も目につきます。
 
 会計や財務に不正を抱えていても良いという意味ではありませんが、こういう空売りファンドを過大評価したり、その売り煽りレポートに慌ててはいけないことだけは、肝に銘じておくべきです。

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■闇株的見方 » 株式 | 2016.12.15
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