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ブラックマンデーから30年

2017年10月18日

ブラックマンデーから30年


 明日はブラックマンデー(1987年10月19日)からちょうど30年目となります。NYダウがたった1日で508ドル(22.6%)も急落し、たちまち世界の株式市場も急落となりました。

 本誌を書き始めて約7年となりますが、まだブラックマンデーについて1度も書いたことがなかったため、ブラックマンデーに至った当時の背景を検証してみます。

 NYダウが1987年10月19日に急落したため、翌20日の日経平均も急落しました。前日の25746円(終値、以下同じ)から21910円まで3836円(14.9%)もの急落となりました。下落率、下落幅とも現在まで破られていません。

 昨日(2017年10月17日)の日経平均は11連騰中で21336円となりましたが、まだブラックマンデーで急落した水準より少し安いことになります。

 日経平均は1984年に10000円を突破したあとも上昇を続け、ブラックマンデーの少し前には26646円と、当時の史上最高値を記録していました。

 それでは当時のNYダウの水準はどうだったのでしょう?

 ブラックマンデーの前営業日の10月16日が2247ドルで、それが当日に508ドル(22.6%)下落して1739ドルとなりました。

 ケタを間違えているわけではありません。当時のNYダウは現在の10分の1以下でした。NYダウは30銘柄で構成されていますが、常に成長力のある銘柄に頻繁に入れ替えているため、米国株式市場全体より大きく上昇しているはずです。

 現在もNYダウを構成する30銘柄のうち、何と18銘柄がブラックマンデー後に構成銘柄となっています。さらに2銘柄がブラックマンデーのあった1987年に構成銘柄となっています。本年1月27日付け「祝2万ドル! NYダウ」にも書いてあります。

 そうは言ってもブラックマンデーからNYダウは10倍になり、日経平均はやっと当時の水準に追い着こうとしています。

 それではブラックマンデーに至った背景とは、何だったのでしょう? 

 1985年2月に1ドル=260円をこえた「行き過ぎたドル高」を、協調介入で強引に押し下げようとした同年9月22日のプラザ合意は劇的な効果がありました。問題はそこからドル安が止まらなくなってしまいました。
 
 そこで1987年2月のルーブル合意で「行き過ぎたドル安」を止めようとしましたが全く効果がなく、同年末には1ドル=120円になってしまいました。当時の米国は(現在もそうですが)大幅な貿易赤字と財政赤字を抱えていたのでドル安が止まらず、そこに猛烈なインフレと長期金利上昇が加わってしまいました。

 そうなると米国からの資本引き上げも加速し、ブラックマンデーまでの半年間で10年国債利回りが7%から10%まで上昇していました。まさに当時の米国は最悪の経済状況だったことになります。

 そうなると処方箋は、まず利上げでドル安とインフレを止めなければなりませんが、これ以上の景気後退も避けたい米国は、何と日本と西独(当時)に利下げを要請します。

 日本はそれに従って公定歩合を史上最低(当時)の2.5%まで引き下げましたが、西独は聞き入れません。それどころかインフレ回避のため1987年9月に利上げしてしまいました。つまりドル安を止めるためには米国も利上げしなければならなくなり、そこですでに下落に転じていた米国株が一気に崩れてしまいました。

 一方で日本株は急落翌日に2037円高となり、半年後の1988年4月には急落前の水準を回復していました。さらに日銀が1989年5月まで利上げを躊躇していたため(まだ米国の利下げ要請を守っていたため)猛烈なバブルとなり、日経平均も1989年の大納会に38915円の史上最高値となりました。

 この辺が振り返って考えるブラックマンデーの背景です。少なくとも現在の世界を取り巻く経済・金融情勢とは全く違うため、ブラックマンデー型の株価急落は考えられません。

 本誌は数週間前に日本株の中期見通しを数年ぶりに修正し、警戒レベルを引き上げるべきと考えていますが、その背景は「気になる材料が揃ってきたこと」と、「市場から弱気がほとんどいなくなったこと」と考えます。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.10.18

絶好調の米国株式市場で「ちょっと気になる」ニュース

2017年10月17日

絶好調の米国株式市場で「ちょっと気になる」ニュース


 CEOが交代したばかりのゼネラル・エレクトリック(以下、GE)は10月9日、トライアン・ファンド・マネジメント(以下、トライアン)の最高投資責任者(CIO)であるエド・ガーデン氏が同日付けで取締役に就任したと発表しました。

 また日用品大手のプロクター・アンド・ギャンブル(以下、P&G)は10月10日に株主総会を開催し、同じトライアンを主宰するネルソン・ペルツ氏が株主提案していた同氏の取締役就任を否決したと発表しました。

 ここでトライアンとは2005年にこのネルソン・ペルツ氏、エド・ガーデン氏らが立ち上げた投資ファンドで、運用資産は100億ドル(1兆1000億円)を超えています。米国でも最大級のアクティビスト(物言う株主)とされており、かなりの大企業でも果敢に投資した上で、大胆な事業再編案やリストラ案を提案して株価上昇を狙う投資手法となります。

 そのトライアンが、GEには取締役を送りこむことに成功し、P&Gには失敗したことになります。逆に言えばGEはトライアンの要求を受け入れ、P&Gは拒絶したことになります。

 トライアンは2015年からGEに投資しており、合計25億ドル(2800億円)を投入してGEの約1%を保有しています。しかしGEの株価は年初から27%も下落しており、トライアンの持ち株も含み損となっています。

 GEの新CEOであるフラナリー氏は、このままでは株主である機関投資家がかなりトライアンに賛同して今後の経営がやりにくくなると考え、早めに要求を受け入れたはずです。また今後もトライアンの提言や要求を、ある程度は受け入れた経営となるはずです。

 一方でトライアンは本年に入ってからP&Gを大量に買い増し、合計35億ドル(3900億円)を投入してP&Gの約1.5%を保有しています。P&Gの株価は年初から5%上昇していますが、同期間におけるS&P500の12%上昇、同業・ユニリーバの29%上昇と比べれば「かなり」見劣りします。

 P&Gは株主総会における委任状争奪となり、P&Gの合計4割を保有する機関投資家や大手株主アドバイザーがトライアンを支持するなど拮抗していたはずですが、結果は否決でした。

 トライアンは早速、独立した機関による票数確認を要求しています。また今回の委任状争奪を巡るキャンペーンに、P&Gとトライアン双方が合計で6000万ドル(67億円)を費やしたそうです。

 またトライアンのこれまでのアクティビストとしての活動は、ハインツ(ケチャップで有名)、ペプシコ、BNYメロン(大手の銀行持ち株会社です)、デュポンなどに投資して、同じような提案・要求を繰り返しています。BNYメロンには取締役1名を送り込みました。
 
 さてここからが本題です。

 確かにトライアンはGEに25億ドル(2800億円)、P&Gに35億ドル(3900億円)と、巨額資金をつぎ込んでいますが、対象が大企業であるためそれぞれ1%、1.5%の株式を保有しているだけです。
 
 それにも関わらずGEは委任状争奪の前に要求を受け入れ、P&Gは株主総会の委任状争奪で(今のところ)拮抗しているところまで漕ぎつけました。

 アクティビストの提案・要求とは、突き詰めれば投資している企業の株価を「手っ取り早く」上昇させるためであり、その企業の長期展望はあまり気にしないものです。

 しかも同じように目先の株価上昇を求める機関投資家が比較的簡単に賛同するため、自らはそれほど大量の株式を保有する必要はありません。

 ということはアクティビストを含む株主が、比較的簡単に上場企業に提案・要求を受け入れさせられるようになり、(今でもその傾向がありますが)ますます上場企業は目先の業績や株価を重視する経営となってしまいます。

 つまり上昇を続ける米国株式市場では、今後ますます「将来の株価上昇まで先取りする」ことになりそうです。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.10.17

アサツーDK・ベインキャピタル・WPP

2017年10月04日

アサツーDK・ベインキャピタル・WPP


 久々の3点セットですが、正確に書くと「アサツーDKのサラリーマン経営陣・ハゲタカのベインキャピタル・根回し不足のWPP」となります。

 もちろん「東芝のサラリーマン経営陣・ハゲタカのベインキャピタル・根回し不足のWD」と対比させています。たぶん似たような混乱が起こると感じます。

 国内3位の広告会社であるアサツーDK(以下、ADK)は10月2日、ベインキャピタルがTOBを実施して非上場となると発表しました。

 TOB価格は直前の終値である3170円に約15%のプレミアムを加えた3660円、TOB成立の最低買入れ株数は議決権の50.1%、上限は定めておらず最大買収金額は1517億円となります。

 TOB(非上場化)の目的は「再上場までの間に遅れているデジタル化対策を急ぐ」となっており、当然にADK経営陣はTOBに賛同しています。

 ADKのIRには、こういうTOBの決まり文句である「目先の決算や株価に影響されない大胆な経営で企業価値を増大させる」といったニュアンスで書かれています。また最初から比較的短期間での再上場を想定しているようです。

 ADKは1998年に世界最大の広告会社であるWPP(英国)と資本提携しており、現在でもWPPはADKの25%を保有する筆頭株主です。またADKも同時期にWPPの2.4%を取得していますが、当初は両社がともに300億円で相手会社の株式を取得していました。

 為替変動もありますが、現時点でADKが保有するWPP株式の時価総額は640億円、WPPが保有するADK株式の時価総額はTOB価格で計算しても378億円しかありません。

 確かにADKは2014年頃からWPPに提携解消を申し入れていたようですが、今回のTOBはWPPが全く承諾していない「見切り発車」のようです。提携契約書には合意なしでも一方が通知すれば12か月後に解消できると書かれているそうですが、普通の契約なら例外規定が必ず盛り込まれているはずで、最初から喧嘩を売るようなTOB発表は「まるで東芝とWD」となります。

 東芝の記事に何度も書いているので簡単にしますが、ベインキャピタルが買い付け会社を通じて最大1517億円を出資するわけではなく、自己資金による出資はせいぜい3割(つまり最大で450億円ほど)しかなく、残りは買い付け会社が銀行(三菱東京UFJ銀行のようです)から最大1000億円超を借り入れて賄います。

 そしてTOBが成功してADKが非上場となると、この買い付け会社をADKと合併させてしまいます。つまりその1000億円超の借り入れはベインキャピタルではなくADKがせっせと返済することになり、買収資金の3割しか出さないベインキャピタルはADKの全株式を握り、再上場益を独り占めすることになります。

 ベインキャピタルに限りませんが、こういうハゲタカファンド(正確にはLBOファンド)が日本企業を手に入れてしまうと、その最優先課題は再上場による売却益の確保でしかなく、企業価値の増大などは期待できません。

 報道では売り上げが10倍あるWPPとの間に経営スタイルや価値観の違いが出ていたそうですが、かといって負債を最大1000億円も押し付けられ再上場益しか目的がないベインキャピタルの傘下となる道を、ADKのサラリーマン経営陣が選んでしまったことになります。

 業績が上がらないと(というより再上場が遅れると)即刻クビとなることも知らないようで「まるで東芝」です。それでも日経新聞は「ADK、広告世界大手から独立へ」と好意的に報道しています。

 さらに改めて考えると「TOB価格が安すぎる」はずです。6月30日現在のADKの純資産は1080億円ですが、882億円ある投資有価証券にはこのWPP株式だけでなくかなりの含み益があるはずで、TOBの最大金額(全株取得金額)の1517億円は「実質純資産だけ」となります。ADKの収益力(今年度の純利益予想が55億円)や、のれん代や各種無形資産は「ゼロ評価」となります。

 本日(10月3日)のADK終値は3800円と早くもTOB価格を上回っており、市場もTOB価格が安すぎる(TOB価格の引き上げか対抗するTOBが予想される)と感じているようです。少なくともWPPは3660円のTOBには応じないはずです。

 やはりベインキャピタルが主導権をとった東芝の半導体事業の売却でも、2兆円のうち2120億円しか出資しないベインキャピタルが(どうでもよい当初の議決権ではなく)新規上場時にどれだけの株数を保有することになっているのかは、当分は絶対に発表できない「とんでもないもの」となっているはずです。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.10.04

日本株の基本見通しを数年ぶりに修正する6つの理由

2017年09月29日

日本株の基本見通しを数年ぶりに修正する6つの理由


 9月18日に配信したメルマガ「闇株新聞 プレミアム」のメインテーマで、表題にあるように日本株の中期見通しを数年ぶりに修正しています。といっても日本株がすぐに急落するとも、また日本株を取り巻く諸環境がすぐに急変するとも考えておらず、実際に9月18日以降の日経平均は「やや上昇」しています。

 また数年ぶりというのはアベノミクスがスタートした2012年12月以来ではなく、民主党政権末期の閉塞感の中で日経平均が8000円台、円相場が1ドル=77~80円だった2012年の夏以来となりますが、基本的にそこから現在に至るまで日本株については「強気」を基本線としていました。

 それを修正するということは、少なくとも「強気一辺倒」ではなくなり、状況によっては警戒レベルを引き上げる必要があることになります。「その程度」のことなので、まだあまり大騒ぎする必要も感じていません。

 ここまでの「強気」の基本的背景は、リーマンショック以降の世界的な金融緩和・量的緩和に関わらず世界経済は本格的に回復せず、それが世界の金融緩和・量的緩和を想定以上に持続させ、その結果として世界の株式市場をはじめとする金融市場に資金が集中していたからです。

 それでも世界の株式市場は、2015年8月と2016年1~2月の中国ショック(人民元の引き下げが中国からの資金流出を呼び中国経済に対する世界の不安が広がった)、2016年6月の英国ショック(国民投票でEU離脱を決定)などで大きく混乱し、日本の株式市場も大きく下落していました。

 ところが世界の株式市場は、だんだん悪材料に対する混乱が軽微なものとなり、2017年に入るとほとんど反応(下落)しなくなり、世界のほとんどの株式市場が歴史的な高値圏となっています。

 また本誌も「今年(2017年)はバブル元年」とたびたび書いてきました。実際に日本の株式市場も、最近の北朝鮮情勢の緊迫化にも「ほとんど」下落していません。

 それではここにきて日本株の基本見通しを修正した理由が6つほどありますが、個別にみると急に出現したものではなく、それぞれ「とりあえず株式市場を下落させるものではない」と判断されているものばかりです。

 しかし個別にみると心配する必要がなくても、それが6つも揃うと「さすがにちょっと警戒する必要があるのでは?」と考えるわけです。

 その6つを順番に見てみましょう。

 1つ目は日銀の量的緩和はすでに縮小となっていることです。日銀の保有国債残高は9月20日現在432兆円で1年前から40兆円しか増えていません。現在の量的緩和は日銀の国債保有残高を年間80兆円増加させることになっていますが(正確には短期国債を除く残高のことで少し違いますが)その半分しか増えていません。

 2つ目は足元の物価が不気味に上昇していることです。8月の企業物価が前年同月比2.9%と8年10か月ぶりの上昇となっており、早晩、消費者物価に跳ね返るはずです。しかも明らかに海外の資源高と昨年に比べての円安による典型的な「悪い物価上昇」となっています。日本経済は名目成長率も名目賃金上昇率も低いため、ここで「悪い物価上昇」となるとそれだけ実質経済成長率を低下させることになります。

 3つ目は日本企業の業績予想が強気一辺倒で、年度後半にかけて減益修正や減損処理が出てくると「途端に」日本株が割高に見えてくる恐れがあることです。またそもそも将来の収益予想を目いっぱい過大評価しているIT、AI、EV、仮想通貨関連なども、何かをきっかけに「途端に」高所恐怖症となる恐れもあります。

 4つ目は株式市場における日銀の存在感が大きくなりすぎていることです。年間6兆円のETF購入は、「下がったら日銀が買う」という市場参加者の安心感となっているはずで、日本株の水準をすでに割高にしてしまっている可能性もあります。

 5つ目は海外の識者(評論家ではありません)の間で、(米国株のことですが)歴史的に割高となっているとの警告が増えています。これは米国株が上昇している間は誰も気にしませんが、何かをきっかけに下落し始めると「途端に」気になるものです。そうなると日本株への影響も出ることになります。

 そして6つ目が北朝鮮に限らず世界の政治情勢がまだまだ混乱するはずであることです。

 繰り返しですが1つ1つ見ると気にする必要がなくても、それが6つも揃うとさすがに警戒レベルを引き上げる必要があると感じます。

 それでは「警戒レベルを引き上げる」とは具体的にどうすればいいのでしょう?

 株式市場に限らず相場で大きく損失となる最大の要因は「高値で買ってしまったから」ではなく、「下落し始めたとき安直に買い下がってしまうから」です。ここ数年間、常に「下落すれば買い下がる」が正解だったはずですが、そろそろ「安直に買い下がらずそこで冷静になる」ことが必要と考えます。

 当面はその辺だけ留意すれば大丈夫だと思いますが、この時点で本誌が「日本株の基本見通しを数年ぶりに修正している」ことは覚えておいてください。



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■闇株的見方 » 株式 | 2017.09.29

日本郵政の株式売り出しを考える

2017年09月13日

日本郵政の株式売り出しを考える


 日本郵政が昨日(9月11日)の引け後に「株式売り出し」と「自社株買い」を発表しました。「株式売り出し」は、2015年11月の新規上場に合わせて4億9500万株(発行済み株数の11%)を1株=1400円で売り出して以来となります。

 今回の売り出しは国内分が最大7億9207万株(万株以下は切り捨て、以下同じ)、海外分が最大1億9801万株、合計9億9009万株となり発行済み株数の22.0%に相当します。

 売り出し価格の決定は9月25~27日の「いずれか」で、払込日は価格決定の4営業日後となるため、最短で9月中に払込みが完了します。

 売り出し等の発表直前となった9月11日の終値が1321円で、通常であれば本日(9月12日)から海外募集分は貸株とセットにヘッジファンドの猛烈な売り叩きが始まり株価が急落するはずですが、さすがに日本郵政となれば「睨み」が効いているようで終値は逆に52円高の1373円となっています。

 売り出しと同時に発表した最大1000億円の「自社株買い」の影響もあるかもしれません。買入れ期間が9月13~22日と微妙に売り出し価格決定に先行していますが、この自社株買いは政府(財務大臣)保有株だけが対象で、市場の需給関係には関係がないはずです。

 今回はこの売り出しと自社株買いを合わせて1兆4000億円ほどが国庫に入り、全額が東日本大震災の復興予算に充てられます。復興予算の総額は4兆円となっています。

 さて現時点の日本郵政の政府(財務大臣)保有分は発行済み株数の80.49%であるため、今回の売り出しと自社株買いで57%前後となります。ここで2015年11月の新規上場時に政府は100%保有していた日本郵政株式の11%を売り出していますが、日本郵政は同時上場したゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式も売り出し、その売出し代金の7300億円に相当する政府保有分(8.52%)を自社株買いしたため、残りは80.49%となっています。

 つまり新規上場時に自社株買いと合わせて1兆4000億円が国庫に入っており、それに今回も1兆4000億円、さらに最終的にNTTと同じように政府保有分を33.4%まで下げるはずで、現在の株価が維持されれば復興予算の4兆円はクリアできます。

 ところで今回はゆうちょ銀行とかんぽ生命の売り出しを行いませんが、そもそも当初の郵政民営化法案では日本郵政の子会社である両社だけを上場させていずれ全株を売り出し、日本郵政は当面上場させないことになっていたはずです。ところが新規上場直前に急遽、日本郵政も含めた親子3社の同時上場となったため、そこに矛盾が残ったままとなります。

 現時点で日本郵政は、ゆうちょ銀行の74.15%(新規上場時の売り出しは9.2%でしたが、その前に1.3兆円で16.67%を日本郵政から自社株買いしているため)、かんぽ生命の89%(新規上場時の売り出しが11%だったため)を保有しています。本日(9月12日)終値で計算した日本郵政の両社の保有分時価総額は合計で5兆7874億円となります。

 これに対して本日の日本郵政の時価総額は(上昇したものの)6兆1785億円しかなく、単純に両社分の保有時価総額を差し引くと3911億円(1株=87円)しかありません。しかも日本郵政は上場会社として株価を維持するために、ゆうちょ銀行とかんぽ生命から合計で年間1兆円以上の代理業務手数料を吸い上げ、年間50円の配当(利回り3.78%、配当総額2250億円)を支払っています。

 もしこれから日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を1株も売り出さないならこれでいいのかもしれませんが、もし当初の予定通り両社の全株をいずれ売却してしまうなら、日本郵政の企業価値は大幅に減少することになります。

 もちろんゆうちょ銀行とかんぽ生命の売り出し代金は日本郵政に入りますが、まず間違いなく政府が何らかの形で吸い上げてしまいます。もし奇跡的に売却代金が日本郵政に残されたとしても、両社の収益や配当は計上できないことになり、その資金はまたオーストラリアの物流会社のように「ロクでもない海外企業の買収」に回されて消えてしまうことになりかねません。だったら政府が吸い上げた方がマシです。

 今から考えると国営企業でありながら日本国民への何の恩恵もないオーストラリアの物流会社を「とんでもない高値」で買収したことも、野村不動産を「勝手に」買収しようとしたことも、すべてゆうちょ銀行とかんぽ生命を売却した後の日本郵政の企業価値を(つまり株価を)維持するための「悪あがき」だったことになります。

 つまり日本郵政のトップも財務省など関係官庁も、これから株式を売り出す日本郵政の企業価値が近い将来に大きく棄損してしまう可能性があることを認識していることになります。

 そんな日本郵政株が、まもなく最大9億9000万株も売り出されます。


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■闇株的見方 » 株式 | 2017.09.13
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