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あまりにも未熟でモラルが低い仮想通貨取引所はどうすべきなのか?

2018年02月21日

あまりにも未熟でモラルが低い仮想通貨取引所はどうすべきなのか?


 1月26日に(当時の時価で)580億円分もの仮想通貨・NEMが消えてしまった(要するに誰かに盗まれた)事件から3週間以上が経過しました。

 2月13日から円資金の顧客への払い出しが再開されていますが、これはもともと顧客が預けていた取引に使わない円資金が払い出されているだけで、肝心の消えてしまったNEMへの円資金での返金はもちろん、そのほかの仮想通貨全般の取引も、移管も、払い戻しも止まったままです。

 そこにきて同じように大手の仮想通貨取引所・販売所であるZaifにおいても2月16日、何と21億ビットコイン(現時点のビットコインの総発行量は1680万ビットコインしかないはずですが)が価格ゼロで売りに出され、すかさずすべて(いくら買っても必要資金はゼロです)買い占めた個人投資家がユーチューブに登場しています。Zaifでも大半の仮想通貨の取引や、払い出しが止まったままになっているようです。

 こちらの方はコインチェックのように仮想通貨が外部に流出してしまったわけではなく、被害は限定的なものとなりそうです。またZaifはテックビューロが運営しており、そのテックビューロ自身も昨年10月にICOで100億円の資金調達に成功しています。

 この2つの事例だけで決めつけるつもりは全くありませんが、どうも拡大する仮想通貨全体は、「できるだけ手っ取り早く大儲けしてしまおう」と考える集団でしかなく、顧客の資産を想定外のリスクから守らなければならないという「最低限のモラル」ももちあわせていない若造(失礼!)の集まりであるとしか思えません。

 すべてではないもののかなりの取引所が、自社と顧客の仮想通貨を(顧客ビジネスを行うにあたり)最低限必要な分別管理もしていないような気がします。

 さらに仮想通貨取引所との看板を掲げていたとしても、実際に取引所で売買されるほど流動性がある仮想通貨はビットコインくらいで、残る仮想通貨は取引所が販売所も兼ねており、流動性の少ない仮想通貨は取引所が自ら保有する仮想通貨を顧客に(手数料をたっぷり乗せて)販売しているようです。

 つまり取引所部門と自己売買部門が「同居」していることになり、日本に限らず世界の証券会社では絶対に許されません。

 ところが昨年後半から仮想通貨全般の価格が急上昇したため、(本来はタダ同然の価格で仕入れた仮想通貨をすべて販売してしまったあとも)そんな高値でも買ってくれる顧客がいるので「つい」手持ちのない仮想通貨でも高値で販売したところ、そこから価格がもっと上昇して二進も三進も(にっちもさっちも)行かなくなっていたと考えます。

 これは2014年6月に発覚したマウントゴックス事件でも、フランス人の元社長が当時1~2ドルだった顧客のビットコインを「くすねて」いたところ、その価格が1000ドルをこえたため破綻しただけです。外部への流出もあったようですが、それがすべてではないはずです。

 このような状態はコインチェックだけではなく、同じような状態となっている仮想通貨取引所・販売所があるはずです。金融庁は現時点で16の仮想通貨取引所と販売所を登録していますが、コインチェックを含む16の取引所・販売所は登録前の「みなし取引業者」としたままです。

 金融庁も人数が限られているため、登録済みも含めて32もの取引所・販売所をすべて立ち入り検査することができず、かといって放置しておくこともできず、とくに「みなし取引業者」から問題が噴き出て来ないよう、祈るように待っているはずです。

 日本以外のほとんどの先進国では、仮想通貨そのものは禁止していませんが、取引所やICOなど問題が起こりそうなところだけを規制しています。ICOとは、日本において同じことを金融市場で行えば明らかに犯罪となるものの、仮想通貨で行えば(すぐに法定通貨と交換できます)全く問題がないため、一般投資家が大損する前に禁止してしまうべきです。

 日本において仮想通貨とは、この辺を含めて丁寧な顧客保護に努めなければ、どこかでもっと大問題が起こってしまうはずです。


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■闇株的見方 » 経済 | 2018.02.21

何かが変わり始めた世界の金融市場

2018年02月16日

何かが変わり始めた世界の金融市場


 この辺は毎週月曜日配信のメルマガ「闇株新聞 プレミアム」に毎週のように書いていますが、とくにリーマンショック以降の「常識」が変化しているところを中心に解説しておきます。


「常識」 その1) 金融政策が引き締められている国の通貨が強い

 とくにリーマンショック以降、金融政策が引き締められている国の通貨が強いことは常識でした。逆に金融政策が緩和的である国の通貨は弱いはずでした。

 現時点では米国(FRB)は年3回のペースで利上げが行われると考えられており、またFRBは昨年(2017年)10月から保有資産の縮小に踏み切っています。

 それに対して日銀は現在の金融緩和・量的緩和を継続しており、どう考えても緩和が修正されるとは思えません。

 しかし円相場は昨年(2017年)11月上旬の1ドル=114.73円から円高となり、ついに本日(2月15日)は一時1ドル=106.18円と、昨年以来の円高となりました。

 ところが本日(2月15日)の米国長期金利(10年国債利回り)は2.93%と、2014年1月以来の高水準となっています。一方で日本の10年国債利回りは日銀がゼロ近辺に抑え込んでいるため、日米の長短金利差は拡大する一方ですが、円相場は円高となっています。

 これは円高というよりもドル安で、ドルの水準を現すICEドルインデックスは、米国株が上昇し米国長期金利も上昇していた昨年(2017年)11月上旬から突然下落に転じ、NYダウが史上最高値(1月26日の26616ドル)をつける前日(1月25日)に一時88.25と2014年以来の安値となり、昨日(2月14日)も89.00と回復の兆しが見えません。

 少なくともリーマンショック以降の金融引き締め=通貨高、あるいは金融緩和の継続=通貨安という「常識」は、もう使えなくなっている可能性があります。


「常識」 その2) 景気見通しが好調な国の長期金利は高く、株価も高い

 とくに米国では、長期金利(10年国債利回り)の水準は長期債券の需給関係ではなく、米国経済の見通しに大きく影響されていました。リーマンショック以降、FRBが主に長期債を買い入れる量的緩和を継続している時期は、米国経済の見通しが改善するため長期債利回りは上昇しており、逆にFRBが買入れを終了させると米国経済の見通しが悪化するため、長期債利回りも低下していました。

 一般的に米国経済の見通しが改善するときは株高であるはずで、米国長期金利上昇=米国株高=(ついでに)日本株高、逆に米国経済の見通しが悪化すると、米国長期金利低下=米国株安=(ついでに)日本株安となることが「常識」でした。

 日本の長期債(10年以上の国債利回り)も基本的には日本経済の見通しに影響されるはずですが、ここまで日銀が「異次元」に日本国債を買い続けていると、長期債の需給関係が日本経済の見通しより国債利回りに大きな影響を与えることになります。

 ところが2月2日に米国長期金利(10年国債利回り)が2.84%まで上昇したもののNYダウが666ドル安となり、翌月曜日の2月5日にはさらに1175ドル安となってしまいました。この時は発表されたばかりの雇用統計で平均賃金が前年同月比2.9%上昇となり、賃金インフレが「急に」懸念され始めたからです。

 しばらくは株式急落で10年国債利回りが2.70%まで低下したものの、2月8日には与野党の議会指導者が歳出上限を2年間で3000億ドルも拡大することで合意したため、昨年末の大型減税と合わせて財政赤字急拡大=国債の大量発行との連想で米国長期金利が大幅に上昇しました。

 本日(2月15日)の米10年国債利回りも2.92%程度と上昇を続けており、少なくとも米国長期金利の上昇=米国株高=(ついでに)日本株高という「常識」も、もう使えなくなっている可能性があります。

 だいぶ「はしょって」書いたので、ややわかりにくかったかもしれませんが、リーマンショック以降の「常識」である金融引き締め=通貨高、あるいは金融緩和継続=通貨安、さらには経済見通しの改善=長期金利上昇=株高、あるいは経済見通しの悪化=長期金利低下=株安などが、そろそろ使えなくなっていることは理解しておくべきです。

 さしあたっては日銀の金融緩和・量的緩和継続は円安材料ではなくなる恐れがあることになります。


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■闇株的見方 » 経済 | 2018.02.16

たまには日本の経常収支をじっくりと眺めてみよう

2018年02月09日

たまには日本の経常収支をじっくりと眺めてみよう


 財務省は本日(2月8日)、2017年12月と2017年通年の日本の経常収支を発表しました。そこで「せっかくの機会なので」2017年通年の経常収支をじっくりと眺めてみることにします。

 まず2017年通年の経常収支は21兆8742億円の黒字となり、この黒字は2007年通年の24兆9490億円に次ぐ黒字額となります。

 日本経済は東日本大震災に見舞われた2011年以降に貿易収支が赤字転落し(2016年通年にやっと黒字回復)、2014年通年の経常収支はわずか3兆9215億円の黒字まで減ってしまいました。当時は日本の経常収支が赤字になるのではと心配されていました。

 さてその発表されたばかりの2017年通年の経常収支は、貿易収支が4兆9308億円の黒字(内訳は輸出が77兆1955億円、輸入が72兆2647億円)、サービス収支が7061億円の赤字となっており、合計した貿易・サービス収支は4兆2246億円の黒字となりました。

 ちなみに久々の貿易黒字(5兆5251億円)となった2016年通年は、輸出が68兆9797億円、輸入が63兆4546億円だったため、2017年は世界経済の回復による輸出増と、日本経済の回復による輸入増というより原油など資源価格の上昇と為替が(2016年に比較して)円安だったため、輸出額・輸入額がともに増加しているようです。

 また2017年のサービス収支は7061億円の赤字となり、比較可能な1996年以降で最小の赤字額となりました。とくに旅行収支が1兆7626億円と過去最大の黒字となったことが影響しています。

 2017年通年の経常収支に戻りますが、第一次所得収支(以前は長期資本収支と呼んでいました)が19兆7397億円と2015年通年に次ぐ黒字となり、第二次所得収支(以前は移転収支と呼んでいました)は2兆902億円の赤字となっています。

 ここまでが経常収支の構成項目となります。簡単に言うと日本の経常収支は、海外からの受け取り収益である第一次所得収支が巨額黒字で、貿易収支は海外景気や原油など資源価格や円相場により変動するものの黒字が定着し、最近は旅行収支も黒字定着してサービス収支の赤字が大幅に減少していることになります。

 2017年の経常収支は、ドイツが2533億ユーロ(2017年の年平均に近い1ユーロ=1.16ドルで換算すると2938億ドル)と突出していますが、日本の21兆8742億円も同じく1ドル=112円で換算すると1953億ドルとなり、中国の1720億ドルの黒字を上回ります。

 やはり中国経済の高度成長を牽引していた経常収支の黒字が、日本を下回っているとなると気になります。ちなみに2017年の米国は4600億ドル、英国は900億ドルほどの経常収支赤字だったはずです。

 さて日本に話を戻しますが、経常収支と一緒に金融収支も見ておく必要があります。つまり日本が稼いだ外貨がどのように使われているかも大変に重要だからです。

 まず直接投資ですが、日本企業による対外直接投資が18兆4905億円の取得超過、海外企業による対内直接投資が2兆615億円の取得超過であるため、差し引きすると16兆4290億円の資金流出となります。

 証券投資では、本邦投資家の海外証券投資は海外株式・海外ファンド持分が11兆1784億円の取得超過、対外中長期債投資が7978億円の処分超過となっており、これに対して海外投資家の対内株式・投資ファンド持分が1兆8684億円の取得超過、対内中長期債投資が10兆8860億円の大幅取得超過となっています。

 これに短期債投資や金融派生商品投資やその他投資(後述)などを加えると17兆1077億円の資金流出となります。一応は稼いだ外貨(経常収支の黒字)の範囲内に収まっていますが、海外投資家の対内中長期債投資が大変に大きいことは注目しておく必要があります。

 ところで2016年通年では、経常収支が20兆3421億円の黒字でしたが、金融収支はこれをはるかに上回る28兆6985億円もの資金流出となっていました。別に経常収支の黒字の範囲内に資金流出が収まっている必要はありませんが、その差額だけ日本では外貨(ドル)が不足することになります。

 金融収支の中にある「その他投資」は2017年が6509億円の流出でしたが、2016年には13兆9166億円の流入超過となっていました。この「その他投資」とはほぼ邦銀による外貨借入と考えられ、2016年には14兆円近くも「不足する外貨」を借り入れていたことになります。

 この意味もよく考える必要がありますが、本日は数字がたくさん出てきたので、この辺にしておきます。


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■闇株的見方 » 経済 | 2018.02.09

米10年国債利回りの2.75%は重要なポイントだった その2

2018年02月07日

米10年国債利回りの2.75%は重要なポイントだった その2


 コインチェックから流出した(当時)580億円相当の仮想通貨NEMに、北朝鮮が関与している疑いがあると韓国の情報機関・国家情報院が伝えています。

 「さもありなん」ですが、日本では不思議に北朝鮮の名前が出ると当局もマスコミも動きが鈍くなるため、本日は昨日に続いて「実経済の異変」についてです。

 昨日(2月5日)のNYダウは、史上最大の下げ幅となる1175ドル安の24345ドル(終値、以下同じ)となりました。午後には一時1597ドル安まであり、2010年5月6日の「フラッシュ・クラッシュ」の再現とも思われました。

 実際に「恐怖指数(VIX)」が先週末比3倍近い38まで上昇したため、株式などリスク資産を減らす動きが下落を加速させました。

 NYダウは1月26日に26616ドルの史上最高値となっていたため、たった1週間ちょっとで2271ドル(8.5%)も下落したことになります。

 それを受けて本日(2月6日)東京市場では、日経平均が朝方から1000円をこえる下落となり、やはり午後に一時1604円安まであり、終値は1071円安の21610円となりました。

 日経平均の直近の高値は1月23日の24124円だったので、やはり1週間ちょっとで2514円(10.4%)も下落したことになります。

 ちなみにDAXは日本時間本日(2月6日)午後10時現在で12384ポイントとなっており、やはり史上最高値となった1月23日の13559ポイントから1175ポイント(8.6%)の下落となっています。

 紙面の関係でこれだけにしますが、要するに「世界同時株安」となっています。

 その理由ですが、少なくとも各国の経済情勢や企業業績が大きく落ち込んでいるわけではなく、むしろ「良好な状態」を維持しているように見えます。

 昨日付けの「同題記事」に書いた通り、米国長期金利(10年国債利回り)が「好ましい金利水準」と「好ましくない金利水準」の境目とされる2.75%を先週末(2月2日)に一気に上回ったため、株式市場にも混乱が及んだと考えられます。

 「それだけの」理由しかありません。そして昨日も株式市場が混乱すれば10年国債利回りが「真っ先に」低下するので、それほど心配がないと書きましたが、現時点ですでに2.70%まで低下しています。

 つまり米国だけでなく「世界同時株安」を引き起こした(と思われる)米10年国債利回りの2.75%をこえる上昇は、すでに解消されていることになります。

 また米国市場では、早くも当日(2月5日)就任したばかりのパウエルFRB議長が、利上げが始まっている金融政策を「修正」してくれるとの期待感まで出ています。実際に確実とみられていた3月の利上げも、すでにその確率が70%以下となっています(今後のドル安・円高要因ではあります)。

 これは実際にパウエル新議長がそう動いてくれるという意味ではなく、米国の金融市場が「FRBは米国経済や株式市場を壊すはずがない」と勝手に期待しているだけですが、それだけ(議長が交代しても)FRBへの信頼が維持されていることになります。

 したがって昨日も書いたように、今回の世界株式市場の急落は短期間で終わると考えます。

 もちろんもう少し長期的に考えれば、財政赤字拡大と相変わらずのトランプ政権の迷走などによる米国への信認低下による「悪い金利上昇」と「悪いドル安」に見舞われて株式市場にも悪影響が出るはずですが、まだしばらく時間的猶予があるはずです。

 それでは米国株の急落以外に「もっと」悪材料が少ないと思われる日本株はどうなるのでしょう?とりあえずは米国株が反発すれば「何事もなかったように」追随することになりそうです。

 しかし現在の日銀の「長短金利操作付き量的・質的緩和」とは、10年国債利回りゼロ近辺(たぶん上限は0.1%)に押し込めるものであり、足元の消費者物価がすでに前年比で1.0%まで上昇しているなかでは「とても正当化できない」「どこかで必ず歪(ひずみ)が出てくる」ものと考えます。

 しかし日銀は黒田総裁が「次」の旧大蔵省OBと交代しても、現状の金融政策を絶対に修正しないため(旧大蔵省に限らず官僚は絶対に間違いを認めないため修正できない)、現在の金融政策が延々と続くことによる「弊害」に備える必要があります。

 しかし日本ではその具体的な「弊害」と「そうなる時期」と「対処法」が複雑すぎて、なかなか思いつきません。米国と同じようにしばらく時間的猶予がありそうですが、この状況は頭に入れておかなければなりません。


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■闇株的見方 » 経済 | 2018.02.07

米10年国債利回りの2.75%は重要なポイントだった

2018年02月06日

米10年国債利回りの2.75%は重要なポイントだった


 米国の長期金利と株価の関係については本日(2月5日)配信のメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で詳しく解説してありますが、重要なところなのでポイントを絞ってここでも解説しておきます。

 本日(2月5日)の日経平均は592円安の22682円(終値、以下同じ)となり、直近高値となった1月23日の24124円から、短期間で1442円(6.0%)も下落してしまいました。

 その理由は先週末(2月2日)の米国市場でNYダウが665ドル安の25520ドルとなり、史上最高値を更新していた1月26日の26616ドルから、もっと短期間で1096ドル(4.1%)も下落したからですが、さらにその理由は米国長期金利(10年国債利回り)が2.84%まで上昇していたからです。

 米国長期金利は金融政策でも需給関係でもなく、米国経済の見通しに大きく影響されるもので、つい最近まで米国経済見通しの改善=長期金利の緩やかな上昇=米国株高=ドル高=日本株高という公式が有効でした。米国長期金利の代表が10年国債利回りなので、ここからは「米10年国債利回り」とだけ書いていきます。

 ここで米10年国債利回りの緩やかな上昇=ドル高の公式は、すでに昨年(2017年)11月上旬から「崩れて」おり、ドルの水準を示すICEドルインデックスは2014年以来の安値となっています。

 そして今度は米10年国債利回りの緩やかな上昇=米国株高=日本株高という公式まで「崩れて」しまったことになります。本誌でもたびたび米国長期金利と日本株の連動性について書いていますが、最近までは米10年国債利回りが緩やかに上昇すればドル高(円安)となり、ほぼタイムラグなしに日本株も上昇していました。

 米10年国債利回りは、2016年11月の大統領選直前は1.6%台でしたが、トランプが当選するとその経済政策への期待が集まり同年12月中旬には2.6%まで上昇していました。しかしすぐにメッキが剥げたため、昨年(2017年)9月上旬には2.03%まで低下していました。
 
 今回の世界的な株価上昇は、その昨年9月上旬をスタートラインとしており、米10年国債利回りの緩やかな上昇=米国株高=日本株高という「公式」がつい最近まで有効でした。

 ところが先週は米10年国債利回りの急激な上昇=かなりの米国株安=かなりの日本株安となってしまいました。確かに米10年国債利回りの上昇も「緩やかな」ではなく「急激な」ものでしたが、つい最近までの動きとは正反対となりました。

 その理由は、米国市場では昨年末頃から10年国債利回りには「好ましい金利水準」と「好ましくない金利水準」があり、その境目が2.75%であるとのコンセンサスがほぼ出来上がっていました。

 そして先週末(2月2日)、10年国債利回りがその2.75%を一気にこえたため、株式市場に混乱が広まったことになります。「好ましくない金利水準」とは、高すぎて経済活動にブレーキがかかるだけではなく、財政赤字拡大などによる米国への信認低下も暗示している金利水準とも言えます。

 それではなぜその境目が2.75%なのかですが、これは2%弱といわれる米国の潜在成長率と、これも2%弱の予想インフレ率の合計から、米国債の流動性や信用力に対するプレミアム(0.5~1.0%と言われています)を差し引いた数字です。

 つまり米10年国債利回りが2.75%をこえると、米国経済にいろいろ不都合が生じるということになりますが、そんなに科学的な数字ではありません。

 また、そんなに気にする必要もありません。つまりここからさらに米国株式が下落するとか、米国経済にとって不都合が生じるなら、その米10年国債利回りが真っ先に低下するはずだからです。

 そのうちFRBの利上げペースも減速予想が出てくることも考えられ、あわせて米国株には(日本をはじめ世界の株式にも)好材料となるはずです。

 しかしこれはあくまでも目先だけで、長期的に米国は財政赤字拡大などによる信認低下から「悪い金利上昇」や「悪いドル安」となる可能性もあるため、米国株式だけでなく世界の株式にとっても予断を許さないことになります。


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■闇株的見方 » 経済 | 2018.02.06
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