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中国経済のどこが問題なのか?

2017年05月09日

中国経済のどこが問題なのか?


 中国人民銀行は本日(5月8日)、4月末の外貨準備が3兆300億ドルとなり、3か月連続で増加したと発表しました。ようやく中国からの外貨流出に歯止めがかかったようです。

 中国人民銀行は2005年7月に人民元の対ドルレートを1ドル=8.28元から緩やかに上昇させる為替政策に転じ、2014年1月に1ドル=6.05元の高値まで誘導しました。

 一方で中国の外貨準備は2005年の8000億ドルから増え続け、人民元が上昇を止めた半年後の2014年6月に3兆9900億ドルのピークとなりました。つまり中国の外貨準備は「人民元が対ドルで上昇している間に増え続けていた」ことになります。

 中国人民銀行は貿易黒字や海外からの投資に伴い流入する外貨(ドル)を一元的に買い入れて見返りの人民元を中国国内に放出し、中国経済はその拡大する国内流動性で未曽有の経済発展を遂げました。つまり中国経済は、ドルを裏付けとした人民元を国内で流通させる「実質的なドル本位制」なのです。

 その後の人民元は1ドル=6.2人民元を挟んだ動きでしたが、中国人民銀行は2015年8月に「突然」1ドル=6.45元まで下落させ、その後も中断を挟んで2016年12月には1ドル=6.95人民元となってしまいました。

 その間に中国の外貨準備は減り続け、人民元が安値となった直後の本年(2017年)1月には3兆ドルを割り込んでしまいました。つまり中国の外貨準備は「人民元が対ドルで下落している間に減り続けた」ことになります。

 そもそも中国が2015年8月に「突然」人民元を引き下げた理由は、低迷する中国経済を貿易主導で活性化させるためだったはずですが、予想以上の外貨流出・人民元安・外貨準備急減、さらには中国経済への不安拡大・上海株式の急落などを招いてしまい、世界の株式市場にも「少なからず」の混乱が広がりました。

 2016年の1月早々にも全く同じことが繰り返され、2月中旬には世界中のほとんどの株式市場が安値(日経平均は14952円、NYダウは15973ドル)となってしまいました。

 さすがに中国政府も2016年半ばから資本規制を強化し、500万ドル以上の海外M&Aを事実上凍結したこともあり、現在は1ドル=6.9人民元を挟んで落ち着いており、外貨流出(外貨準備の減少)にも歯止めがかかっているように見えます。

 さてそれで問題は解決しているのでしょうか?

 まず外貨流出規制は中国の国内資金を再び国内不動産に向けてしまい、上海など大都市を中心に「すさまじい」不動産価格の上昇となっています。これを見て「中国の不動産はバブルであり、いずれ弾けて中国経済は大混乱に陥る」と心配されていますが、本当の問題はこれではありません。

 もともと中国のGDPに占める消費の割合は38%くらいで、総資本形成(官民の投資のことです)が46%くらいあります。「くらい」としているのは中国の国内経済統計はあまり信用できず、正確な数字を拾い出しても意味がなく傾向だけ把握できれば十分だからです。

 ちなみに日本のGDPは消費が56%、総資本形成が23%くらい、米国のGDPは消費が68%、総資本形成が17%くらいで、中国の経済は日米に比べて圧倒的に官民の投資(総資本形成)が大きいことになります。

 いくら中国のGDPが6%台後半だといっても、もともと中国は計画経済であるため、どうしても採算性のよくわからない投資を積み上げて「辻褄を合わせている」ことになります。いくら投資が多くても、それが付加価値の増大につながる「真面目な投資」であればいいわけですが、どう見てもそうではなさそうです。

 さらにその投資資金の大部分は外部負債を積み上げて(つまり借金で)賄っています。2015年末における中国の負債総額は168兆元(3120兆円)もあり、その時点で中国GDPの249%もあります。さらに直近でもGDP増加分の2.5~3倍のペースで負債総額が積みあがっています。

 わかりやすく言うと最近の中国経済は地道に付加価値を積み上げているわけではなく、官民を挙げて不動産(だけではありませんが)投資にのめり込み、しかもその資金は安直に負債(借入れ)で賄っているだけとなります。

 そして曲がりなりにも中国経済の信用の裏付けになっている外貨(ドル)は、ここ2年ほどの間に1兆ドルも「逃げ出している」ことを忘れてはなりません。中国経済はここ2年ほどの間に想像以上に劣化していると考えるべきです。

 地道に外貨を稼げなくなり安直な投資(投機)に走るようになった中国経済は、人民元を多少下落させたところで「ちょっと前までの勢い」を取り戻すことはできません。

 人民元の下落はその「中国経済凋落の始まり」を象徴しているはずです。


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■闇株的見方 » 経済 | 2017.05.09

日銀の次期審議委員の顔ぶれから感じること

2017年04月20日

日銀の次期審議委員の顔ぶれから感じること


 政府は昨日(4月18日)、日銀の金融政策決定会合に投票権のある審議委員のうち、7月23日に任期切れとなる佐藤委員と木内委員の後任として、三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員の片岡剛士氏と三菱東京UFJ銀行取締役(元副頭取)の鈴木人司氏を充てる人事案を国会に提示しました。

 国会(衆参両議員)の同意が必要ですが、両院とも自民、公明の与党が過半数を占めるため問題がなさそうで、9月20~21日の政策決定会合から出席することになります。

 日銀の金融政策は、年8回開催される(2015年までは年14回も開催されていた)金融政策決定会合において、日銀総裁、副総裁(2名)、審議委員(6名)の計9名による多数決で決められます。

 過去には2016年1月29日の政策決定会合で、マイナス金利導入を巡る評決が5:4となったことがありますが、そこで反対した白井委員と石田委員はすでに退任しており、今回は佐藤委員と木内委員が退任するため全員がいなくなります。

 佐藤委員はモルガン・スタンレーMUFG証券出身、木内委員は野村證券金融経済研究所出身で、ともに債券市場など金融市場の現場感覚があるはずで「異次元」量的緩和を含む大規模な金融緩和に反対することも多かったのですが、今回揃って退任となります。

 またこれで6名の審議委員はすべて黒田総裁就任後(つまり第2次安倍政権発足後)に就任していることになります。

 さて審議委員に就任予定の片岡剛士氏は、明らかに「アベノミクス擁護派」で、大規模な金融緩和を推進する「リフレ派」と言われています。もう1人の鈴木氏の方はよくわかりませんが、結果的に金融政策決定会合は「リフレ派」がさらに優勢となります。

 本誌は日銀総裁や副総裁を含む投票メンバー全員がそれぞれの専門知識をもとに徹底的に議論を戦わせ、その時点における最良の金融政策を必死になって模索するわけではなく、最終的には(少数の反対があるとしても)事務局が作成する原案通りに粛々と決定してしまうものと思っています。

 しかし3月28日付け「どうなるポスト黒田日銀総裁」にも書いたように、黒田総裁の就任直後の2013年4月に導入された「異次元」量的緩和以来、金融政策の主導権を握っていた「リフレ派」はすでに勢いを失い、日銀主流派が主導権を取り戻しているはずです。

 そこで2016年9月の「総括的な検証」で、長期金利(10年国債利回り)をゼロ近辺に釘づけるイールドカーブ・コントロールが加わり、実質的な量的緩和縮小が始まっていると考えます。

 日本ではいつまでたっても経済活動が本格的に活発化しないため、放っておいても10年国債に限らず国債全体の利回り水準は低下するため、結果的に国債買入れ額が減少するからです。本日(4月19日)の10年国債利回りは5か月ぶりにゼロまで低下しています。

 本誌は常に、景気回復でも物価上昇でも効果が期待できないだけでなく、将来的には弊害も多い現在の量的緩和など「さっさ」と半分くらいにしてしまうべきと考えていますが、そのためにイールドカーブ・コントロールという「もっとわかりにくい」理屈を持ち出したことにも不安を感じています。

 そこは4月12日付け「実は日銀の量的緩和はすでに縮小し始めている」にも書いているので繰り返しませんが、そこへ今回の審議委員の指名で金融政策決定会合がまた「リフレ派が優勢」となることは違和感があります。

 新たな審議委員は政府(つまり官邸)が決めるため、少なくとも安倍首相は4年も量的緩和を続けて消費税が8%になった以外は何の効果もない「リフレ派」および陰で操る旧大蔵省をあまり信用していなかったはずですが、「何らかの反撃」が加わったことになります。

 黒田総裁自身も含む旧大蔵省は、日銀総裁の椅子を取り戻すために掲げた政策がたまたま「リフレ派」だったというだけですが、やはりその「リフレ派」が間違いでしたとなると次期日銀総裁の椅子が危うくなるため、もう一度「リフレ派」で戦わざるを得ないとなったような気がします。

 そうしているうちに聞こえてきた次期日銀総裁の有力候補は、旧大蔵官僚で「リフレ派」との触れ込みで内閣参与となり、見事にスイス大使兼欧州金融経済特命大使(聞きなれないポストですが)に大出世している本田悦朗氏だそうです。

 どうもポスト黒田は、まだ本田氏であるかどうかはわかりませんが再び旧大蔵官僚となり、掲げる金融政策は「相変わらずのリフレ派」となりそうな予感がしています。


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■闇株的見方 » 経済 | 2017.04.20

実は日銀の量的緩和はすでに縮小し始めている

2017年04月12日

実は日銀の量的緩和はすでに縮小し始めている


 FRBはリーマンショック直後の2008年11月から2014年10月まで断続的に米国債とMBS(住宅ローン担保付き証券)を買い入れ、総資産を9000億ドルから4.5兆ドルまで5倍に拡大させました。いわゆる量的緩和です。

 FRBは2014年10月に新たな買入れを停止した後も、保有債券が償還になるとそっくり再投資しているため、現在も総資産は4.5兆ドルに維持されています。その再投資を「年内にも」停止し、利上げと並行して保有資産の縮小に踏み切るようです。

 ここでFRBは米国経済や金融市場に与える影響を和らげるため、利上げも保有資産の縮小も「十分に」時間的余裕をもって市場に認識させ、またそうする根拠も「十分すぎるほど」市場に向けて発信しています。

 翻って日銀では、白川・前総裁の時代から償還期限の短い国債を中心に買い入れる量的緩和は行っていましたが、黒田総裁となった直後の2013年4月から「異次元」量的緩和に踏み切り、2014年10月にさらに量的緩和を追加して現在に至ります。

 日銀の総資産は、「異次元」量的緩和に踏み切る直前の2013年3月末の164兆円から、2017年3月末の490兆円まで、4年間で3倍になりました。保有国債でみると2013年3月末の125兆円から2017年3月末に417兆円と、4年間で3.3倍になっています。

 現在の日銀は保有国債を年間80兆円増加させることを「目標」としていますが(2014年10月までは50~60兆円増加)、これは短期国債を除いた国債保有残高のことです。

 この短期国債を除いた国債保有残高の推移を見ると、2013年3月末が91兆円、2014年3月末が154兆円(前年比63兆円増加)、2015年3月末が220兆円(同66兆円増加)、2016年3月末が302兆円(同82兆円増加)、2017年3月末が377兆円(同75兆円増加)となっており、概ね「目標」に沿って増加しています。

 黒田総裁は就任以来「2%の物価上昇」が実現するまで「異次元」量的緩和を継続すると何度も繰り返しています。現在の物価上昇は生鮮野菜を除く消費者物価指数の前年比であるなら、本年1月に久々のプラスとなりましたが2月も0.2%上昇でしかありません。

 さらに黒田総裁は最近、2%の物価上昇が「安定的に実現するまで」と言い始めており、仮に上昇率が2%に届いてもしばらくは「異次元」量的緩和を継続することを意味します。つまり日銀は当分の間、現在の量的緩和を縮小するはずがないと考えてしまいます。

 ところが黒田総裁はそう言っていますが、実は日銀はすでに国債買入れを(量的緩和を)縮小し始めています。

 日銀の保有国債には償還があるため、追加量的緩和となってから保有残高を年間80兆円増加させるためには年間110~120兆円(月間9~10兆円)の国債を買い入れる必要があります。2016年8月までは月間10兆円近い国債を毎月買い入れていました。

 ところが直近の買入れペースが続くと、新年度入りした4月の買入れは8兆3000億円ほどにしかなりません。保有国債の償還額が正確に分かりませんが、たぶんこのペースが続けば今年度の日銀保有国債は60~65兆円くらいしか増えないはずです。

 つまり日銀はすでに(FRBより早く)量的緩和の縮小に踏み切っていることになります。

 そのからくりは2016年9月に導入されたイールドカーブコントロールです。日銀は10年国債利回りをゼロ近辺に「釘付け」して、その10年国債利回りを基準に国債イールドカーブを全体的に「上がりもせず下がりもせず」コントロールすることにしています。

 日本経済はトランプ効果もなく低迷が続くため国債利回りが全体的に上昇するはずがないので、イールドカーブを「上がりもせず下がりもせず」全体的にコントロールすると、結果的には国債買入れが減額することになります。

 3月28日付け「どうなる黒田日銀総裁?」にも書いたように、日銀内では金融政策の主導権が2016年9月にリフレ派から日銀主流派に移っており、そこからは「根拠不明だけでなく将来の評価損などの弊害しかない量的緩和などさっさとやめてしまうべき」と考えているはずです。

 しかしいっぺんに量的緩和を縮小してしまうと市場へのショックもあるため、わざわざイールドカーブコントロールという「もっとわかりにくい理屈」を考え出し、ともかく量的緩和を「そろり」と縮小させようとしていると考えます。

 本誌も以前から量的緩和は即刻大幅減額するべきと主張しているため、それはそれで好ましいとは考えますが、それなら「量的緩和は何の効果もないため縮小します」とはっきり公表するべきです。

 そこだけはFRBの市場との「十分すぎるほどの対話」は見習うべきで、日銀主流派のエリートが「日銀は金融市場をすべてうまくコントロールできるから市場は黙って従っていればよい」と考えているなら、近い将来に市場が大きく混乱するような気がします。

 円安=株高の唯一の根拠である日銀の量的緩和が十分な説明もなく「いつのまにか縮小していました」では、市場が混乱しないはずがありません。


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■闇株的見方 » 経済 | 2017.04.12

どうなるポスト黒田日銀総裁?

2017年03月28日

どうなるポスト黒田日銀総裁?


 やや気が早い話ですが、黒田日銀総裁の任期が約1年後の2018年4月8日に終了します。水面下ではすでにポスト黒田となる日銀総裁の椅子を巡る「駆け引き」が始まっていますが、その基本的構造を解説しておきます。

 ポイントが2つあり、1つ目は日銀総裁を巡る旧大蔵省と日銀プロパーの「争い」です。

 もともと日銀総裁は旧大蔵省OBと日銀OBが交互に就く「たすき掛け人事」でしたが、1997年に改正された日銀法で廃止され、速水優氏、福井俊彦氏、白川方明氏と3代続けて日銀OBが総裁となっていました。

 ところが旧大蔵省は武藤敏郎・元事務次官を副総裁に送り込み、そこから総裁に「内部昇格」させようとしましたが民主党(当時)の反対で国会承認されず、いったん2008年3月20日に副総裁に就任していた日銀OBの白川方明氏が同年4月9日に日銀総裁となりました。つまりここで旧大蔵省は日銀総裁の椅子奪回に失敗しています。

 2012年12月に自民党が政権に復帰して第2次安倍内閣になると、経済回復を最優先課題とする安倍首相の「意気込み」に乗じて、旧大蔵省OBの黒田東彦を「見事に」総裁に押し込みました。旧大蔵省は1998年3月に退任した松下康雄氏以来、久々に日銀総裁の椅子を奪回したわけです。

 「そんな大げさな」と思われるかもしれませんが、最上級天下り先(日銀総裁)を確保する官僚組織(旧大蔵省だけではありませんが)の執念はこんなものです。

 そして2013年4月8日まで任期のあった白川前総裁を同年3月20日に辞任させてまで、同日に黒田総裁を誕生させています。2013年3月20日に就任した黒田総裁の任期(5年)が2018年4月8日までと微妙にヅレているのは、こういった事情です。

 ところで黒田総裁の誕生には「理論武装」も必要でした。それが浜田宏一氏を中心としたリフレ派理論であり、日銀はどんどん資産を購入してマネタリーベースをどんどん拡大させれば経済が回復するというものでした。

 リフレ派からは浜田宏一氏のほかに旧大蔵省OBの本田悦朗氏が内閣官房参与となり、学者の岩田規久男氏が日銀副総裁となり、就任直後の黒田総裁が早くも2013年4月4日に「異次元」量的緩和を発表しています。

 ここで旧大蔵省OBの黒田総裁がもともとリフレ派だったというわけではなく、旧大蔵省がOBを日銀総裁の椅子につけるための「理論武装」がリフレ派であり、それが安倍首相の「意気込み」にもピッタリだったというだけです。

 ただ「異次元」量的緩和の導入直後は確かに市場心理を劇的に改善させたことは事実で「その時点」では決して間違った政策ではなかったはずです。ただ旧大蔵省の目的が「消費税率を当時の5%から10%に引き上げるためだけだった」ことがまもなく露呈します。

 そして2つ目のポイントは、金融政策の主導権を巡るリフレ派と日銀主流派の「争い」です。

 2013年4月の「異次元」量的緩和導入に続き、2014年10月に追加量的緩和、さらに2016年2月にはマイナス金利導入と、リフレ派によるカンフル注射が立て続けに打たれましたが、日本経済は全く回復しませんでした。

 そこで日銀内ではリフレ派が勢力を失い、金融政策の主導権を日銀主流派が取り戻し、そこで出てきたのが2016年9月の「総括的な検証」だったはずです。

 「総括的な検証」では、基本的にリフレ派の導入した金融政策の枠組みは残し、10年国債利回りをゼロ近辺に「釘付け」する政策だけが加えられました。これも大変に問題がある政策であるとは感じますが、「市場はすべて日銀がコントロールできる」と考える日銀主流派の特色がよく出ています。

 日銀主流派とはあまり顔が見えてきませんが、雨宮正佳・理事や加藤毅・企画局長(今月就任)といった日銀エリートのことです。

 リフレ派を代表する浜田宏一氏も遅ればせながらシムズ理論を持ちだして「目からウロコが落ちた」などと仰っていますが、もはやリフレ派に出番はないはずです。リフレ派で最も焼け太ったのがスイス大使に栄転された本田悦朗氏のようです。

 さて1年後に任期の切れる黒田総裁の後任は、この2つの「争い」を念頭に置いて考える必要があります。その時点ではまだ総裁任期が残っている安倍首相が旧大蔵省とは距離を置いているため、現時点では日銀プロパーの雨宮理事が「本命」と考えます。

 そこから旧大蔵省がどのように「巻き返すのか?」が注目されます。

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■闇株的見方 » 経済 | 2017.03.28

ところで米国の債務上限引き上げはどうなっている?

2017年03月22日

ところで米国の債務上限引き上げはどうなっている?


 3月15日(先週水曜日)は米国連邦債務上限引き上げの「期限」でしたが、何の騒ぎもありませんでした。もちろん上限も引き上げられていません。
 
 債務上限引き上げは、過去にはたびたびホワイトハウスと連邦議会の政治的駆け引きの材料に使われたため難航し、実際にクリントン政権時の1995年12月16日~1996年1月6日とオバマ政権時の2013年10月1~16日に、いくつかの政府窓口が閉鎖されています。究極のチキンレースとなるからです。

 また同じくオバマ政権時の2011年8月5日には、債務上限を引き上げるための財政赤字削減計画が不十分だとS&Pが米国債格付けをAA+に引き下げてしまいました(現在もそのままです)。

 じゃあ、何で今回は大騒ぎにならなかったのでしょう?

 そもそも3月15日とは何の「期限」だったのかというと、オバマ政権時の2015年11月2日に成立していた「2015年超党派予算法」により債務上限が2017年3月15日まで「棚上げに」されていました。

 要するに「時間稼ぎ」だったわけですが、同時に2016年会計年度(2015年10月~2016年9月)と2017年会計年度(2016年10月~2017年9月)の予算まで承認していました。

 つまり本年3月15日までの債務上限は18兆1000億ドルの「まま」ですが、現時点における債務残高は20兆1000億ドルになっているはずです。

 さらに「2015年超党派予算法」には、「期限」とした2017年3月15日は新大統領の就任直後であるため(まさか当時は誰もトランプになるとは夢にも思っていなかったはずですが)、さらに「滑り止め」を加えていました。

 それが「何も対策がとられなければ、財務省のキャッシュバランス(現金残高)を約250億ドルまで縮小する」というものです。この250億ドルとは2013年10月に政府窓口閉鎖に追い込まれた時点の財務省のキャッシュバランスとほぼ同じで、それだけあれば米国政府が機能不全にならないギリギリの水準に設定したものです。

 一応財務省は最近の短期国債入札額を削減しており、直近のキャッシュバランスを昨年末の3700億ドルから3000億ドル弱まで削減していますが、本来はそれを250億ドルまで削減しなければなりません。
 
 それを知っているのか、あるいは意味を理解しているのかが不明なトランプ大統領は、その3月15日の翌日の16日に、国境警備強化やメキシコの壁建設などを含む300億ドルの2017年会計年度国防補正予算と、さらに国防関連予算を540億ドル(10%)増加させた2018年会計年度(2017年10月~2018年9月)予算教書を議会に提出しています。

 そもそもトランプ政権では、各閣僚(長官)の議会承認の目途がほぼついたものの、各省庁幹部の政治任用が進んでおらず、予算編成も含む行政執行能力がほとんど備わっていません。またすぐに備わる目途もついていません。

 予算関連では行政管理予算局(OMB)のミック・マルバニー長官は2月中旬に議会承認されていますが(51:49でしたが)、このマルバニー長官はもともと歳出増や債務上限引き上げに強硬に反対する超保守派であり、これもトランプ大統領の「一体何を考えて指名したのかが全くわからない」人事となります。

 つまり米国の債務上限引き上げは、もともとオバマ大統領の怠慢で1年半も「棚上げ」されている間に上限(18兆1000億ドル)を2兆ドルも超過してしまっており、その債務上限の引き上げを議会と折衝するにもトランプ政権では関連省庁の幹部・スタッフがほとんど揃っておらず、国防費大幅拡大と叫ぶトランプ大統領の指名したOMB長官は債務上限引き上げ反対派となります。

 少なくともこの状態で財務省のキャッシュバランスを3000億ドルから250億ドルまで削減しなければなりません。冗談ではなく(間違いなく近いうちに)短期国債を含む国債入札が困難になり、そのうちまた「米国がデフォルトする」と騒ぐ評論家が出てきて市場を混乱させることになりそうです。

 国債償還のための国債発行は可能であるため、償還ができない=デフォルトにはなりませんが、前回もそういう騒ぎになった2013年10月17日に「米国債はデフォルトなどしない」を書いていますので、心配な方は読んでみてください。

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■闇株的見方 » 経済 | 2017.03.22
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