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北朝鮮情勢を巡る問題の本質

2017年08月17日

北朝鮮情勢を巡る問題の本質


 北朝鮮情勢については8月14日夕方に配信したメルマガ「闇株新聞 プレミアム」に詳しく書いてありますが、その後の情勢変化も加えて、やや違った観点から解説します。

 その観点とは、日本政府の対応があまりにも他人任せで当事者意識がなく、大半のマスコミは相変わらず勝手な論評を繰り返すだけで、日本全体としての対応を誰も真剣に考えていないところです。

 今回の北朝鮮情勢の緊迫は、8月8日にトランプ大統領が「北朝鮮がこれ以上米国を脅かせば、世界が見たこともない炎と激怒で対応する」と述べたことに対し、その数時間後に朝鮮人民軍が「中距離弾道ミサイルでグアム周辺を炎で包み込む作戦を検討しており、8月中旬にも金正恩委員長に報告して実行命令を待つ」と応戦したところから始まりました。

 そこから日本の報道では金正恩、トランプ、さらに習近平がどうする?といった勝手な推測を垂れ流し、日本の株式市場も米国の株式や為替に追随して一喜一憂するだけで、肝心な「日本としてどう対応すべき」との議論がすっぽりと抜け落ちています。

 しかも日本の報道では、なぜか重要な情報を「意識的に無視している」としか思えないところもあります。

 その最たるものは、8月11日の環球時報が「北朝鮮が米国およびその同盟国を先制攻撃した場合は中国は静観すべきで、逆に米国およびその同盟国が北朝鮮を先制攻撃した場合は(北朝鮮のために)介入する」とハッキリ書いていますが、日本ではほとんど報道されていません。

 環球時報とは中国共産党機関紙・人民日報系のタブロイド紙で、中国共産党の(つまり中国政府の)正式コメントと考えるべきです。つまり4月上旬の米中首脳会談における「習近平が金正恩を説得して押さえ込み、トランプは対中貿易赤字批判を封印する」など、とっくに消えており、それをいまだに期待しているのは日本のマスコミだけとなります。

 今回の北朝鮮情勢緊迫化の背景には、さらに強化される北朝鮮に対する経済制裁と、8月21日から31日まで実施される米韓合同軍事訓練があり、金正恩には「それらに対する牽制材料はできるだけ膨らませておきたい」との思惑があり、トランプには「国内問題では何を言っても批判されるため、米国民を守るための戦争ネタが唯一支持率を回復させる」との思惑があります。
 
 ただ8月14日には朝鮮人民軍首脳の報告を受けた金正恩が「しばらく米国の出方を静観する」と答え、トランプも軍事に関してはさすがにマティス国防長官、マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官、新任のケリー首席補佐官などホワイトハウスの軍人出身者(マクマスターだけは現職兼任)を飛びこえて暴走はできず(ツイッターや発言もギリギリその範囲内でコントロールされています)、結論的にはこのまま何も起こらないと考えます。

 それでは何が問題なのか?というと、冒頭で書いた日本政府の当事者意識のなさとマスコミの勝手な論評です。

 仮に今回は何もなくても、北朝鮮が米国と「対等な軍事強国」あるいは「対等な核保有国」としての立場を確立する目標に対しては着実に前進していることになり、1~2年のうちに北朝鮮は日本にとってもっと脅威となってしまいます。

 つまりここで日本として明確な戦略をもって北朝鮮対策を確立しておかないと、完全に手遅れとなってしまいます。習近平も北朝鮮に親米政権ができてしまうことは絶対に避けるはずで、プーチンも虎視眈々と状況をうかがっており、最も地勢リスクを抱えている日本だけが「のほほん」と他人任せにしておいていいはずがありません。

 最大の地勢リスクを抱えているのは韓国だろう?と思われるかもしれませんが、韓国はすでに親北朝鮮というより北朝鮮そのものの文在寅政権となり、(よくも悪くも)韓国経済をリードしているサムスングループの実質トップである李・副会長を刑務所送りにしようとしており、また相変わらず慰安婦問題を喧騒しているだけで、いざというときに味方であるかどうかはわかりません。

 ここで最近の安倍政権がすっかり弱体化してしまい、どこに遠慮したのか8月15日には閣僚が誰一人として靖国神社に参拝していません。これは民主党の菅政権以来のことで、自民党政権では「あの親中の福田康夫政権」でも若干の閣僚は参拝していました。「そんなこと関係がないだろう?」と思われるかもしれませんが、すでに極めて異常な状況となります。

 たくさんありすぎるので具体的には別の機会に書きますが、最近の安倍政権の弱体化に合わせて親中国、親北朝鮮の勢力があちこちで蠢き始めている状況が「ハッキリと」見えます。

 つまりこの「北朝鮮に対して日本が自ら確固たる戦略を示すべき重要な時期」であるにもかかわらず、その肝心の日本が明らかに腰砕けとなっており、間違いなく1~2年の内にもっと驚異となる北朝鮮に対して(日本における行動も含めて)ますます何の対策も打てないことになります。

 日本にとってそれが「最も深刻な北朝鮮問題」であるはずです。


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■闇株的見方 » 社会 | 2017.08.17

積水ハウスが嵌まり込んだ海喜館の怪

2017年08月04日

積水ハウスが嵌まり込んだ海喜館の怪


 大手住宅メーカーの積水ハウスが8月2日午後4時、「分譲マンション用地の購入に関する取引事故につきまして」なるIRを発表しました。

 分譲マンション用地を70億円で購入したものの、所有者側の提出書類が真正なものではなく当該登記申請が却下され、以降、所有者と連絡が取れない状況に至ったというものですが、驚くべきことはすでに購入代金のうち63億円が支払い済みだったところです。

 要は積水ハウスが、その土地の所有者でもなんでもない「なりすまし」が提出した偽造のパスポートや印鑑証明などを見抜けず売買契約を締結し、手付金や購入代金を騙し取られたという典型的な「地面師」の事件です。

 地面師とは、ハコ師(すり)やゴト師(パチンコのイカサマ師)などと同じもう絶滅種に近い古典的詐欺師ですが、実は昨年あたりから結構あちこちで暗躍しています。ただ地面師に新規参入者がいるわけではなく、だいたい昔からの地面師がどこからともなく現れてグループを組み、またどこかへ消えてしまう繰り返しのようです。

 この積水ハウスを嵌めた「地面師」グループも、実はもうほとんど特定されており実名もわかっていますが、捜査の妨害にならないようにここではすべての登場人物をイニシャルとします。また「地面師」グループには弁護士も司法書士も関与しているものですが、通常は「私も騙された」と逃げ切ってしまいます。

 ただ今回のようにここまで綺麗に成功し、しかも購入代金のほとんどを騙し取られるケースはほとんどなく(というより通常の注意力で取り引きを行えば絶対に起こりえません)、もう少し「奥行きが深い事件」である可能性もあります。

 積水ハウスのIRでは具体的な取引内容がほとんど明らかにされていませんが、「舞台」は都内・五反田の目黒川沿いにある約600坪の土地で、数年前まで海喜館という旅館がひっそりと営業していました。土地の形状は長三角形で両側道路が狭く容積率がそれほど大きくならない可能性もありますが、JR五反田駅から徒歩3分で眺望もよくマンション用地として70億円は妥当な価格だと思われます。

 ところがこの土地は過去に何度も「地面師」が暗躍した有名物件でもあり、だから大阪の積水ハウスが巻き込まれたのかもしれません。

 この土地の所有者は海喜館の女将でもあったEさんですが、実はこのE一族はこのあたりの大地主で(一族間の主導権争いも結構有名ですが)、このEさんの自宅もすぐ近くにあります。つまりEさんの「なりすまし」は、本物のEさんのすぐ近くで仕事をしていたことになりますが、積水ハウスがほんの少し確認作業を行っていれば未然に防げたはずです。

 そして本年4月24日、この土地にIKUTA HOLDINGSなる会社が所有権移転仮登記、積水ハウスが2番所有権移転請求権の移転請求権仮登記を、それぞれ登記しています。当事者が売買契約しているならわざわざこんな仮登記を打つ必要はなく、当時から都内の不動産業者の間では不自然だと言われていました。

 このIKUTA HOLDINGSは実体のない完全なペーパーカンパニーで、なんとその登記住所が某元国会議員の事務所となっていました。これも積水ハウスが通常の確認作業を行っていれば未然に防げたはずです。

 そして決済日の6月1日、積水ハウスは自社の司法書士が登記書類を持ち込んだことだけを確認して、売買代金70億円の大半(たぶん63億円で残る7億円は登記完了後だったはず)を支払ってしまったはずです。これも常識では考えられない支払い条件ですが、この時点の積水ハウスは「なりすまし」所有者の気が変わることだけが心配で(そういう演技をしていたのでしょう)、上記の仮登記が逆に安心のよりどころだったのでしょう。

 そして積水ハウスは6月9日に法務局から登記申請却下の連絡を受け、さらに6月24日には自社が購入したはずの土地が2人の男性に相続登記されている事実を知り、ようやく騙されたとわかったものの公表せず、8月2日にやっとその一部だけをIRしたことになります。

 相続登記ということは本物の所有者であるEさんは(たぶん契約日には)亡くなっていたはずですが、相続した2人の男性もE姓ではなく不気味さが残ったままです。ここもまだ「奥行きが深い事件」である可能性はあります。

 事件そのものは「なりすまし」のK(女性)、主犯格の別K、D、Iなどはすでに特定されており、国外逃亡していてもそれほど遠くない時期に逮捕できるはずです。しかし63億円は絶対に戻ってきません。

 さてここから注目すべきは積水ハウスの今後の対応で、もし「再発防止のための第三者委員会の設置」くらいでお茶を濁して事件の真相をこれ以上公表しないのであれば、逆にもっと「奥行きが深い事件」だった可能性が強くなります。

 何度も書いているように、いくら百戦錬磨とはいっても通常の「地面師」だけではここまで綺麗に仕上げられないからです。

 さて本日は緊急アンケートでリクエストが多かった「積水ハウスが嵌まり込んだ海喜館の怪」としましたが、来週早々にはもう1つの「ビットコインの分裂騒動でわかったこと」も書くことにします。

 たくさんのリクエストありがとうございました。



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■闇株的見方 » 社会 | 2017.08.04

習近平は何を考えている?

2017年08月01日

習近平は何を考えている?


 7月28日午後11時42分ころ北朝鮮はICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行い、日本の排他的経済水域内に落下しました。ICBMの発射実験は7月4日に続いて2回目ですが、今回は高度約3800キロまで到達したようで通常角度で発射すれば1万km前後の飛行能力となり、いよいよ米国本土も射程圏に入った可能性があります。

 4月6~7日の米中首脳会談で、トランプが習近平に金正恩の過激な行動を抑えるように要請したはずですが、一向に効果が出ていません。またトランプも習近平が行動を起こさなければ自ら金正恩を襲撃する(斬首作戦)と言っていたはずですが、それも自身の内政混乱でそれどころではなさそうです。

 そもそも北朝鮮とは旧ソ連(スターリン)がモスクワに匿っていた金日成に建国させた傀儡国家であり、毛沢東の中国共産党とは「同列」であるとの考えが金一族にはあります。これは旧ソ連が消滅した後も基本的には同じで、とくに金正恩は習近平に全く遠慮する気配がありません。

 つまりトランプの要請はそもそも意味がなく、習近平もとりあえず貿易問題などで時間稼ぎをしただけだったことになり、かくして金正恩の傍若無人は続くことになります。

 その習近平は7月30日、中国人民解放軍の創立90周年(8月1日)を記念する軍事パレードを内モンゴル自治区で行い、兵士を閲兵しました。この創立記念日に合わせた軍事パレードは初めてで、習近平はすぐ後に予定されている共産党長老らとの北戴河会議、さらに本年秋の中国共産党全国代表大会(以下、共産党大会)に向けて一層の権力強化をアピールしたものと思われます。

 ここで注目すべきは、30日の軍事パレードで閲兵する習近平に「主席」という呼称が使われていたことです。習近平は国家主席ですが、この「主席」とは党主席のことを指し、中国の歴史上でも党主席は毛沢東しかいません。

 共産党がすべてを支配する中国では、共産党における役職がすべてに優先します。習近平の現在の国家主席とはあくまでも共産党中央政治局の(具体的には常務委員会の)トップでしかなく、その任期も2期10年とされています。ところが党主席となると毛沢東以来の共産党そのもののトップとなり、その任期も終身と考えられます。

 つまり党主席とは国家主席と全く重みが違う役職となります。同じように共産党における役職が優先する例として、北京市のトップは北京市長ではなく北京市共産党委員会書記であり、外交のトップは王毅外交部長(外務大臣)ではなく楊潔チ(ようけっち)共産党中央外事工領導弁公室主任であるなどがあります。

 中国の人口は13~14億人と言われますが、その中で共産党員が8900万人います。さらにそこで政治を行う中央政治局の上部は、現在205名いる中央委員と170名いる中央委員候補(中央委員になる候補者ではなくこういう役職名です)、さらにその上に25名いる政治局委員、さらにトップに7名いる常務委員となります。常務委員の7名は政治局委員の25名に含まれます。

 7名の常務委員も序列が決まっており、もちろんトップは総書記と国家主席と中央軍事委員会主席を兼ねる習近平となります。習近平のこれらの役職はすべて中国共産党の職務執行上の役職であり、共産党長老の差配をうけることにもなります。したがって習近平は共産党そのもののトップである党主席の地位を得ようとしており、わかりやすく言えば中国共産党という組織の「雇われ社長」から「オーナー社長」になりたいわけです。

 もちろんそのためには本年秋の共産党大会で政治局トップの常務委員会を完全に支配しなければなりません。再任も含めて常務委員は共産党大会時点で67歳以下でなければならないと規定されています。またその定員は7名と決まっているわけではなく、胡錦濤時代は9名いました。

 本来であれば本年秋の共産党大会で現在の常務委員のうち、習近平と李克強を除く5名が定年で退任となり、政治局委員の中から後任が選ばれることになります。さらに今回は習近平体制の2期目となるため、ポスト習近平候補として10歳ほど若い常務委員が2名選ばれるはずで、先日解任された孫政才も政治局委員でその有力候補でした。

 こういった習近平の思惑を考え、本年秋の共産党大会で明らかになる常務委員の顔ぶれを習近平、李克強、王岐山、王滬寧、栗戦書の5名と予想します(あくまでも現時点における本誌の勝手な予想です)。

 69歳の王岐山は規定では退任となりますが、習近平の盟友で腐敗摘発に剛腕を発揮しており、次回(2022年)の共産党大会で習近平自身が居座るためにも規定は撤廃して残留させたいはずです。

 実は王岐山にも不正蓄財のうわさが海外(米国)から出ていますが、これは海外投資に積極的な海航集団の「隠れた大株主」ではないかというものです。先日その海航集団が株主リストらしきものを公開しており、これで幕引きとなるはずです。

 また王滬寧(おうこねい)は江沢民、胡錦濤、そして習近平と歴代トップの「知恵袋」であり、栗戦書(りつせんしょ)は共産党中央弁公庁主任(日本の官房長官に相当する要職)で、もちろんともに政治局委員です。

 確実視されている54歳の胡春華は見送られると考えます。ライバルの孫政才が失脚しているため、常務委員としてしまうと唯一のポスト習近平候補と周りが見てしまうからです。さらにこの胡春華や江沢民派を排除するためにも、常務委員の総数を7名から5名に減らしてしまうと考えます。

 さて実際はどうなるでしょう?


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■闇株的見方 » 社会 | 2017.08.01

中国国有企業9割不正 反腐敗へ異例の公表

2017年07月13日

中国国有企業9割不正 反腐敗へ異例の公表


 表題は本日(7月12日)付け日本経済新聞朝刊1面トップの見出しです。

 日本経済新聞社まで、本年秋に迫った中国共産党大会に向けて勢力拡大を図る習近平の「プロパガンダ」を請け負ったのかと思うような記事ですが、要は日本の会計検査院に当たる中国審計署が最近公表した中国国有企業大手20社への調査結果で、その9割にあたる18社で不正計上が発覚したというものです。

 またその18社による売上高の水増しは、2015年までの数年間の合計で2000億元(3兆円)に上るそうですが、そんな控えめなものではないはずで「氷山の一角」です。

 しかしこの18社の中には中国石油天然気集団公司(中国最大の石油・天然ガスの生産・供給および石油化学製品の製造・販売グループ)、中国化工集団公司(中国最大の化学グループで本年6月にスイスの農薬世界大手を5兆円で買収)、東風汽車公司(上海汽車、第一汽車と並ぶ中国3大自動車製造会社グループで日産やホンダとも合弁)、中国宝武鋼鉄集団有限公司(2016年10月に宝鋼集団と武漢鋼鉄集団が統合した中国最大級の国有鉄鋼製造グループ)、中国船舶重工業集団公司(世界有数の船舶製造グループ)などが含まれています。

 これらは中国国有会社のなかでも中国政府(国務院)が直接所管する「中央企業」と呼ばれる大型国有企業で、その資本は中国共産党の国有資産監督管理委員会が独占保有し、その経営も中国共産党から任命された党幹部が行います。

 「中央企業」の中には中国石油天然気集団公司の子会社であるペトロチャイナのように「上場会社」もありますが、だいたいが資産や事業の「ほんの一部」を市場に売り出しているだけで、「中央企業」を含む国有企業のすべては中国共産党の所有財産となります。

 「中央企業」は徐々に再編が進んでおり現在は101社となっていますが、これに地方政府が所管する企業や、所有権と経営権のどちらかだけを中国政府や地方政府が所有する企業なども加えた「いわゆる国有企業」の総数は30万社に上ります。

 これは中国にある全企業1600万社の2%にすぎませんが、この国有企業が中国経済の約20%を動かしているとも言われています。改めて考えると中国共産党は「世界最大の企業グループの所有者」であり、中国共産党は常にその支配権(つまり利権の配分権)を巡って内部で暗闘を繰り返していることになります。

 しかし中国共産党としてもこの「巨大な財布」を完全なガラス張りにしてしまうはずがなく、ここは5年に1度の中国共産党大会に向けて習近平が綱紀粛正を前面に出しながら、これら国有企業(とくに規模の大きい中央企業)の主導権を一気に江沢民派から奪い取ってしまおうと画策していることになります。

 現在の中国共産党中央政治局常務委員の7名は、もちろんトップが習近平、No.2が首相の李克強ですが、No.3の張徳江、No.5の劉雲山、No.7の張高麗の3名は江沢民派です。

 そのうち張徳江は中国東北部・朝鮮半島の利権を完全に掌握しており、劉雲山は金正恩のカウンターパーティーです。この辺は4月14日付け「金正恩の命運を握る瀋陽軍区とは?」にも書いたように、習近平がほとんど切り込めていない利権となります。

 そして張高麗は、江沢民が支配する石油閥が必ず1名確保する政治局常務委員のポストについています。この辺は習近平が是が非でも江沢民派から奪い取っておきたい利権となります。

 習近平は、胡錦濤の流れを引く共青団の代表である首相の李克強ともしっくりせず、今のところ明らかな盟友はNo.6で綱紀粛正を任せる王岐山しかいません。No.4の兪正声も習近平と同じ太子党ですが、立場は中立です。

 そこで今秋の共産党大会では、内規の年齢制限(常務委員就任時に67歳以下)があるため習近平、李克強以外の5名は交代となります。習近平は内規を変えて王岐山を留任させ、李克強を祭り上げて後継首相に据えようとも考えているようですが、さすがに無理がありそうです。

 しかしこれは突拍子もない話でもなく、李克強は5年後の共産党大会でも67歳でさらに再任されてトップとなる可能性もあるため、ここで力を削いでおく必要もあるからです。

 さらにここにきて綱紀粛正の責任者である王岐山まで、不正蓄財のスキャンダルが米国に逃亡した中国人スパイに暴露されています。王岐山が今秋で引退するにしては不穏な動きになります。

 また今秋の共産党大会ではポスト習近平を争う2人の新任常務委員が昇格するはずで、少し前までならともに54歳の胡春華(広東省書記)と孫政才(重慶市書記)が「当確」と考えられていましたが、これもここにきて流動的となっています。胡春華は共青団、孫政才は江沢民に近いとされているからです。

 いずれにしても今秋の共産党大会まで暗闘は続くはずで、それに合わせて国有企業の不正ももっと出てくる可能性があり、日本経済新聞ももっと忙しくなりそうです。


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■闇株的見方 » 社会 | 2017.07.13

北朝鮮を巡る最新の国際情勢はどうなっている?

2017年07月07日

北朝鮮を巡る最新の国際情勢はどうなっている?


 北朝鮮は7月4日午前、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と思われる発射実験を行いました。高度2800kmまで上昇して日本の排他的経済水域に落下しており、発射角度を変更すれば6~7000km飛行可能で米国領(アラスカあたり)まで射程圏に入った可能性があります。

 ところで本年4~5月頃のドランプ大統領は、北朝鮮が核実験やミサイル実験を強行すれば軍事攻撃(金正恩斬首作戦)も辞さないと繰り返し強調し、4月6~7日の米中首脳会談でも習近平国家主席に金正恩を抑えるように圧力をかけたとされています。

 そこからどう見ても習近平がその通りに行動しておらず、それどころか発射実験と同日にはロシアを訪れておりプーチン大統領と「北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結するのと引き換えに米国が韓国と合同軍事演習を取りやめるべき」との共同声明を発表するなど、トランプは完全にコケにされています。

 「金正恩斬首作戦」を強行すると繰り返していた4~5月頃のトランプの勢いは、いったいどこへ行ってしまったのでしょう?

 その背景にあるのが米国の対中国政策が5月以降に「変化」していることです。もっと正確に言えばトランプ政権発足前後の状態に「戻っている」ことです。

 トランプ大統領は選挙中も当選直後も就任直後まで、徹底的に反中国を前面に打ち出していました。台湾総統と電話会談を行い、中国の為替管理国への指定も確実視されていましたが、これらはトランプ当選を金銭的にも戦術的にも支えた超保守派がホワイトハウスに送り込んだスティーブ・バノンが主導していたはずです。

 その超保守派の代表とは世界最強ヘッジファンドであるルネッサンス・テクノロジーズCEOのロバート・マーサーですが、この辺は2月23日付け「ケンブリッジ・アナリティカとは?」に詳しく書いてあります。

 ところがスティーブ・バノンのあまりにも超保守的な言動は徐々にホワイトハウス内でも疎まれるようになり、米中首脳会談のさなかにシリアをミサイル攻撃した4月6日ころには、完全にホワイトハウス外交政策の主導権をジャレッド・クシュナーなど側近に奪われていました。

 その影響でトランプ政権の対中国政策も「マイルド」なものとなり、中国と国境を接し関係の深い北朝鮮への対策も習近平に委ねた(米国は勝手に行動を起こさないことにした)はずです。

 ところがトランプ大統領が5月9日にコミーFBI長官を解任したあたりからロシアゲート疑惑の追及が強まり、5月17日にはロバート・モラー元FBI長官が特別検察官に指名され側近のジャレッド・クシュナーも捜査対象となり身動きが取れなくなってしまいました。

 ちょうどトランプ大統領がサウジアラビア、イスラエル、バチカンなどを初外遊していた5月下旬に再びハワイトハウスの勢力図が変わり、超保守派が押し込んだスティーブ・バノンが息を吹き返しました。そこで対中国政策が再び「強硬」に戻ったはずです。

 そこで6月29日に中国の(とりあえず北朝鮮との関係が深い)2法人・2個人を制裁対象に加え、6月30日に台湾への14億ドルの武器輸出を発表しています(オバマ政権時代にも台湾への武器輸出は行っていました)。

 そこから考えるとトランプ大統領は「北朝鮮に関しても中国を頼らない」となったはずです。それでは米国は独自に北朝鮮に再び圧力をかけて核・ミサイル開発を止めさせるのかというと、どうもそれほど単純でもなさそうです。

 ここからの米国の北朝鮮対策は、中国とロシアを両睨みにして考えなければなりません。もともとトランプ当選を金銭面・戦略面で支えた超保守派は最初から反中国ですが、そのためには(一時的かもしれませんが)ロシアの協力を得ていたはずです。

 トランプが共和党全国大会で大統領候補となる直前の2016年6月にトランプ陣営の選挙対策本部長(つまり資金担当)となったポール・マナフォートは、ロシアや親ロシア時代のウクライナのビジネスで巨額資金を得ており、さすがにそれが明らかになり同年8月に辞任するとその後任がスティーブ・バノンとなりました。

 つまりロシアゲート疑惑とはトランプ本人ではなくバックとなった超保守派に対するものであるはずですが、どうもその超保守派がホワイトハウスに送り込んだスティーブ・バノンが疎まれたため、仕掛けたマッチポンプだったような気がします。

 習近平がいち早くプーチンと共同声明を発表しているように、これからは米国・中国・ロシア・北朝鮮の微妙なバランスで考える必要があり、トランプは北朝鮮対策だけを優先できる状態でもありません。しばらく放置することになりそうです。


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■闇株的見方 » 社会 | 2017.07.07
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