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官僚組織について その1

2010年10月23日

 官僚組織について? 相場に何の関係があるの? と皆さんは思われるでしょう。ただ私の長い経験から、官僚組織について理解しておくことが、相場のことに限らず、経済全般を理解するのに役立つことが多いのです。

 まず、最初に日本を動かしているのは誰だと思いますか? 総理大臣?国会(議員)?いや憲法に主権在民と書いてあるのだから国民? どれも部分的には正解なのですが、実質的に日本を動かしている、つまり最高権力者は官僚組織なのです。いくら総理大臣が代わろうとも、政権が交代しようとも、最高権力者は官僚組織なのです。官僚組織が、時と場合によって、総理大臣や国会や、時には国民などの法律的な権力者の立場を借りて、日本を思うままに動かしているのです。そんな馬鹿な、と思うでしょうが、もう少し我慢して読んで下さい。

 わかりやすい例を挙げましょう。日本がこれだけ景気が悪いのに、積極財政をとれないのは国債発行残高を含む公的債務残高が900兆円くらいになっており、緊縮財政を取らなければならない、という財務省の説明を受けているからで、結果、景気がどんどん悪くなっていくのです。ところがマクロ的には、積極財政で一時的に公的債務が膨らんでも、それで景気が浮揚すれば結果的に税収が増え、公的債務も減るかもしれません。ところがなぜが、こういう声が全く上がりません。これは予算分配権を持つ財務省が、緊縮財政にし、自身の発言権をより強固にしようとしているのです。財務省にとっては、日本経済より財務省の発言力の方が大切なのです。

 もうひとつ、民主党政権の目玉であったはずの「子供手当」もいつの間にかしりすぼみになっています。これは財源の問題もあるのですが、手当てが直説国民に支払われるより、各種補助金や外郭団体を通じた予算などにして、関係省庁に認可・分配権を残しておきたいからなのです。

 官僚組織について考えるととき以下の点が重要です。

① 官僚組織は、古く律令時代(七世紀)から、脈々と受け継がれてきました。これだけの間かかって作り上げた組織力、張り巡らされた利権、時の権力者をうまく操るノウハウなどは、たとえ政権が代わろうともびくともせず、実質支配を続けているのです。ところでこういった官僚組織の基盤を作ったのは教科書では聖徳太子と教えていますが、実際は大伴金村、物部守屋、蘇我馬子などの朝鮮半島からの帰化人です。この辺のことは非常に大切なことなのですが、また別の機会に書きます。

② 官僚が大事にするものの順番は、ア)自分 イ)自分の属する省 ウ)官僚組織全体(外郭団体やOBも含む)、そして最後に エ)国(国民)となります。また、ア)と イ)
の間に派閥が入ることもよくあります。官僚組織では派閥は学閥のことが多いです。

③ 官僚は、選挙で選ばれるわけでもなく、一部の例外を除いて外部から罷免されることもありません。従ってミスを起こしても、まず、ア)自分 イ)省 ウ)官僚組織全体の順番で利益を守るために動きます。エ)の国(国民)の利益を守るために動くことは、全くありません。

④ 官僚組織は派閥(学閥)争いも多いところです。その官僚組織を内部で牛耳っているのは、依然として東大閥です。よくキャリアとノンキャリアの区別が言われますが、実際は東大閥(ときに京大閥も含まれることがある)と、東大以外のキャリアと、ノンキャリアの三層構造なのです。今回の検察庁のごたごたは、これを理解しておかなければ分かりませんが、後で詳しく書きます。

⑤ 官僚は、強大な権限に比べて、顔や名前が表に出ることは、一部の例外を除いてありません。つまりマスコミとか外部から監視されることなく、従って批判されることもほとんどなく、ネットに書かれることもなく、ア)自分 (派閥) イ)省 ウ)官僚組織全体 のために日々切磋琢磨しているのです。ここでも国(国民)ためということは全くありません。そもそも最高権力者であるにもかかわらず、「官僚」と言っても名前とか顔が思い浮かぶことはほとんどないでしょう? 金正恩だってちゃんと名前と顔が国民の前に出てきたではありませんか。官僚一人ひとりに聞くと、必ず国(国民)のための働いているという答えが返ってきます。官僚一人ひとりは、そこまで自覚していないかもしれませんが、一人ひとりが本能で行動すると、全体として見事に書いてきたような行動になるのです。

 これを頭に入れた後に、具体的な例を書いていきたいと思います。まず、最初は官僚組織の中で、とりわけ強大な権力を持つ、検察庁についてです。

 検察庁は、国家行政組織法上、法務省に置かれた「特別の機関」で、最高権力者は法務大臣のはずですが、実際は検事総長をトップとする中央集権的な官僚組織となっています。
その検察官は、一人ひとりが、逮捕、拘留、起訴等を独占的に行う強大な検察権を行使できる「独任官庁」であり、同時に「検察感同一体の原則」で組織全体が一つの方向に動く強大な組織で、まさに官僚組織の中の官僚組織なのです。つまり、強大な検察権を一人ひとりが持つ検察官が、検事総長をトップとして組織全体が一つで動き、
逆に外部(国民)のチェックがほとんど入る余地のない最強の官僚組織なのです。

 難しく言うと「国民の負託を受けた国会議員で構成される国会に対して連帯責任を負う内閣を構成する一人の法務大臣が、個別の事件においてのみ検事総長を指揮できる。」つまり検察が暴走しても、法律的に歯止めをかけるのは、この「指揮権」だけなのですが、これは戦後一回だけ使われただけで(それで助かったのが当時自民党幹事長だった佐藤栄作元首相)、今後使われる可能性はほとんどありません。つまり一度、検察庁から睨まれると、絶対に助からない恐ろしい組織なのです。

 検察庁の歴史については、書面の関係で詳しくは書けませんが、戦前にこの強大な検察庁の基盤を作った最大の功績者が思想系検察の大御所の平沼騏一郎検事総長(その後首相)です。思想系検察と言うのは、軍国主義に走る日本に反対する人々をきびしく弾圧していった組織のことです。歴史のことはいずれ書くつもりですが、私は日本を無理な戦争に追いやった最大の戦犯はこの官僚の平沼騏一郎だと思っています。(二番目が近衛文麿、三、四がなくて五番目位に東条英機。つまり官僚、政治家、軍人の順番なのです。)

 もちろん敗戦で検察庁の組織も瓦解したのですが、しっかりとGHQの勢力争いに乗じて権力を取り戻すのです。(GHQのマッカーサー司令官の下で、ケージス率いる民政局とウイロビー率いる参謀第二部の勢力争い。時の政界、経済界、官僚全てがこの二派に分かれてスパイ小説さながらの暗闘を繰り返した、日本現代史の恥部ともいえる時代。結局、参謀第二部が吉田茂を担いで、民政局が支持する時の芦田内閣を昭電疑獄で吹き飛ばし、勢力争いに決着をつけ、吉田茂が長期政権を維持するわけです。検察庁もしっかりと協力して芦田元首相を逮捕するが、結局無罪となった。)

 また、検察庁は戦前から内部の勢力争いが激しいところです。戦前から戦後にかけては思想派と経済派の争いが続き(平沼騏一郎の流れを引く思想派は戦前の遺物と思われるが、しっかりと戦後も長く主流派として残っていた)、その後は赤レンガ派と現場派の争いが現在を含めて続いています。東大閥を中心とした現場でなく法務省勤務の長いエリートを赤レンガ派といい、おもに地方大学や私学出身で捜査の現場で長く働く検事を現場派といいます。現場派から検事総長になったのはロッキード事件で実績のあった吉永祐介氏(岡山大学卒)ただ一人です。

 きりがないので、そろそろ検察庁の証拠隠滅事件について書こうと思いますが、それ自体はまだ全貌が解明されていないため、(まあ、全貌はともかく真相は永久に国民に知らされることはないと思いますが)私の思いつきで書くつもりはありません。ただ。今までに十分ヒントは買いてきたのですが、以下のことは言えると思います。

① 前田恒彦元検事は実績を挙げていたが地方の広島大学の出身でした。ついでに言うと厚生省の村木氏も実績を挙げていましたが、女性でありしかも地方の高地大学の出身でした。つまり、この二つの事件の本質は同じで、東大閥とその他のキャリアの暗闘が基本にあります。検察庁では、先程書いた赤レンガ派と現場派の暗闘です。

② 検察庁の最大の目的は、今も、発覚時も、そして発覚する前も、強大な検察庁の権力を守るためで、明日から何も変わらずその権力を行使する事です。さしあたって検事総長を民間からなんてことになったら大変なので、検事総長は絶対に辞任しないはずです。

③ 検察庁も、もちろん官僚組織なので、優先順位であるア)自分 イ)省、この場合は、
法務省ではなく検察庁の方 ウ)官僚組織 の順番で行くと、前田元検事がア)の自分の実績のためだけにこの事件を単独で起こしたということは、非常に違和感があります。自分の事を最優先に考えるということは、あくまでも組織(検察庁)の一員として、その価値観の中で認められることが最優先だからで、全く単独でやってしまって、その後上部に報告したという順番では絶対にないはずです。

④ 今回、最高検が異例の速さで、表に出て来ているのは(最高検が逮捕したのは初めてのケースだと思います)、本当に最高検は事前に知らされていなかった可能性はあります。
それではどこまでが事前に知っていたのか? 少なくとも検察組織の「見立て」「シナリオ」にある、元特捜部長と副部長が知っていたが、握りつぶして上に報告しなかった、というのも非常に違和感があります。そもそも取り調べ中にも関わらず、前田元検事を含む取り調べの状況等が、日々、マスコミを通じて懇切丁寧に解説されます。これこそ検察の権力を守るために慎重に考えだされた「見立て」「シナリオ」で、マスコミはチェック機能なしに世論を誘導するお手伝いをしているのです。

⑤ 逮捕されている特捜前部長と副部長の上司である大阪地検と大阪高検の責任者の処分が早すぎます。早く辞職させて切り離して、今の「見立て」どおりで行くつもりなのでしょう。前田元検事を内部で告発したことになっている国井検事まで減俸処分になっているのは、いかにも公平感を出すためだジェスチャーだと思われます。
(最高責任者の検事総長は、事件の終息をしっかりと見極めて、説明責任を果たすためと辞任を否定しているのに、もっと見極めて、説明責任を果たすべき直属の上司が、何も言わずにさっさと辞職してしまったのです。もちろん退職金は出ます。検事長で8000万円くらいでしょう。)

 前田元検事は、検察庁の「見立て」に従ったのですが、元特捜部長と副部長は、この「見立て」に従わず全面否認しています。こうなると元特捜部長と副部長は、検察組織の利益を危険にさらす「敵」ということになり、徹底的に糾弾してくるはずです。さしあたっては、何か「余罪」をでっちあげて、「こんなに悪い奴だった」ということをリークしてくる事が予想され(注)、それにマスコミが唯々諾々と乗っかって報道するはずです。前田元検事の方は、すっかり「見立て」に乗り、今は検察組織の利益を守る立場にあるため、裁判でも寛大な判決になるはずですが、元特捜部長と副部長の今後は非常に厳しいと思われ、私としても個人的に応援したいと思っています。

(注)元大阪高検公安部長の三井環氏が、調活費の流用問題(本来、情報提供者への謝礼等に使われるべき、当時年間6億円程あった調活費が、ほとんどすべて検察庁の私的な飲み食いに流用されていた)を、テレビで告発しようとして、その朝、住民票を区役所からだまし取った、という奇怪な罪状で逮捕され、結局1年8カ月の実刑となった事件。この時、検察庁の最高幹部が調活費問題のもみ消しのために、時の首相の小泉純一郎の力を借りたとされ、なぜかその後、小泉の政敵である鈴木宗雄、村上正邦、村岡兼造などが次々奇怪な罪状で逮捕されたり起訴されたりして、みんな有罪となっています。この辺のことは三井氏の最近の著書に詳しく出ています。

 やや、書きすぎたかもしれませんが、このシリーズはまだまだ続きます。特に今起こっている諸問題を理解するには歴史から理解しなければならないと思っていますので、できるだけ関連する歴史にも触れていくつもりです。
 でも次回は、このテーマではお休みして、また相場、特に為替と金利のことを書こうと思います。

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■日本 » 政治 | 2010.10.23
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エクイティファイナンスの裏側----儲けたのは誰だ? Part3

2010年10月17日

3回にわたって書いてきたエクイティファイナンスの裏側の最終回です。ここでは日本の銀行のエクイティファイナンスについて書いてみます。前回までに書いてきたのは、公募増資にしろ、新株予約権付転換社債にしろ、大型のファイナンスで海外が絡むものはほとんどヘッジファンドに収益源になっていて、日本の一般投資家がババをつかまされていると書いてきました。ところがその最たるケースが日本の大手銀行のエクイティファイナンスなのです。

 日本の銀行と言えば1990年代にバブル時代の清算で大きな損失を出し、公的資金の世話になりました。また結局つぶれてしまって税金で補てんをしたケースもありました。また自己資本比率を上げるために、永久劣後債とか優先出資証券とかの発行を余儀なくされ、その引き受け手となった主に米国の投資銀行やヘッジファンドを、例によってボロ儲けさせたことなど、書きたいことが山ほどあるのですが、やや古い話なのでここでは省きます。

 ここでは三大メガバンクの最近のエクイティファイナンスと、それに関連した「けしからん話」を書いていきます。

 リーマンショックから現在までの約2年間で、日本で最も大量にエクイティファイナンスを行ったのが銀行です。三大メガバンクのエクイティファイナンス(ほとんどが公募増資)をまとめてみましょう。

1) みずほフィナンシャルグループ

① 平成21年7月1日発表で普通株上限30億株。発表時の発行株数は112億株。
国内向けが15億株で主幹事が野村証券。海外向けが15億株で主幹事がJPモルガン。
株価推移は、発表前が250円台、発表の7月1日の引け値が231円、値決めの7月15日の引け値が190円、それで発行価格184円で払い込み価格176.40円と決定。

株価はすぐに200円台回復。発表後の一ヶ月間の出来高累計46億株
調達金額は5263億円。手数料228億円(注1)

② 平成22年6月25日発表で普通株上限60億株。発表時の発行株数155億株。
国内向けが30億株で主幹事が野村証券。海外向けが30億株で主幹事がJPモルガン。
株価推移は、発表前が150円台、発表の6月25日の引け値が153円、値決めの7月13日の引け値が135円、それで発行価格130円で払い込み価格125.27円と決定。

株価はすぐに140円台回復。 発表後一カ月間の出来高累計65億株
調達金額7480億円。手数料283億円。(注1)

(注1) 発行価格と払い込み価格の差額が幹事証券の手数料相当額となります。

 2回のファイナンスで1兆2743億円を調達し、支払った手数料も2回分で511億円と巨額です。その間に発行株数は当初の40%も増加しました。2回ともちょうど半分が海外向けであり、その期間の株価推移や急増している出来高を見ても、ヘッジファンドに格好の儲け場所を提供したことは確かのようです。

 ヘッジファンドの儲け方ですが、新株予約権付社債のように長期にわたって儲けられるわけではなく、増資発表時に(あるいは発表前のプリマーケティングのうちに)借株を手当てしてあらかじめ売却して値段を下げて値決めを低くしてサヤを抜くか、あるいは値決め後の払い込み前までに株価が戻れば、これまた借株を売却してサヤを抜きます。国内の投資家が株券を受け取ったころには、すべて終わっているのです。

 国内の幹事団には、当然みずほ証券が入っていますが、海外の主幹事のJPモルガンは、みずほグループとそれほど親密ともいえないため、単に巨額の手数料を支払っただけで、見返りメリットを何も得ていないようで、いかにも海外戦略が一貫していない「みずほ」グループらしいといえます。海外での販売は、別にみずほグループの収益性とか成長性などを説明する必要は一切なく、ヘッジファンドが勝手に流動性と借株で手当てできる株数を見て買いにくるわけで、JPモルガンでなくてもだれでもできます。

 株価は、平成22年10月15日の引け値で116円です。別にこの間分割も何もしていないので、増資に応じてそのまま保有している投資家や、以前からみずほ株を保有している投資家は含み損を抱えてしまっていることになります。

2) 三井住友フィナンシャルグループ
 平成21年5月と平成22年1月に、なんと同じ期に2度も大量の普通株を発行しています。当初の発行株数7億8908万株に対し、2億2900万株(発行価格3928円、払い込み価格3766円)と3億6000万株((発行価格2804円、払い込み価格2702.81円)の普通株を発行し、なんとこの間に発行株数は当初の66%もの増加となっています。そのうちの半分が海外向けで、詳しい説明は省きますが、やはり同じようにヘッジファンドが儲けた形跡がはっきりとあります。

 ちなみに平成22年10月15日の引け値は2388円でした。

 この2回での調達金額は1兆8340億円に上がり、支払った手数料も738億円になります。このうち2回とも海外分はGoldman Sachs International が主幹事となっており、Goldmanの日本法人も国内分の幹事団に入っています。実は三井住友銀行とGoldmanは古くから大変親密なのですが、国際ビジネスで、特にユダヤ系と「親密」ということは、言葉通りの「親密」ということは絶対にないと言い切れます。

 とくに1990年代の金融危機の時以来、住友銀行(当時は三井銀行と合併前)は、何度か自己資本比率を引き上げるために優先株などを海外で発行していますが、その引き受け先は必ずGoldman Sachsでした。合併して三井住友フィナンシャルグループとなった後、2003年1月に次のような優先株発行を含む合意をIR発表しています。その内容とは、

① Goldmanは、三井住友フィナンシャルグループの転換型優先株式を1503億円購入する。条件は、利率4.5%で、転換価格は下方修正のみ、発行後25年経過して未転換のものは強制転換する。など

② 三井住友フィナンシャルグループはGoldmanが顧客に対して行う信用供与について10億ドルを目途に信用補完を行う。

③ 三井住友銀行の不良債権処理および財務基盤拡大のため、 Goldmanの専門性を利用して両社で業務協力を幅広く行う。
 
 これは、①については転換型優先株式と言うのは今の新株予約権付社債と同じで、向こう25年間も、転換価格は株価が下がったら下げるけど、上がっても上げないので、1503億円相当の三井住友銀行の株式の売買でいくらでも儲けて下さい。しかも金利も4.5%も付けましょう。というものです(その辺は、前回の新株予約権付社債を使ったヘッジファンドの儲け方を参考にしてください。本合意では、儲けるのはヘッジファンドではなく、Goldmanそのものです。)事実発行後に株価は約半分になった後、約10倍になり、そのあと5分の1くらいになっているので、普通にやっていても数千億円くらい儲かっているはずです。

 ②については、10億ドルの信用供与というのは、日本と違って信用度の違いが金銭的に計算できる米国のビジネスでは、とんでもなくGoldmanに有利となり、③では日本のビジネスとって一番おいしい不良債権処理のビジネスを、ほぼ独占的にGoldmanにだけ渡したということになります。ちなみにこの時のGoldmanの代表が、後の財務長官のポールソンで、三井住友銀行の頭取が、後の日本郵政社長の西川善文氏でした。

 これは三井住友フィナンシャルグループが株主等のために最良の方法を模索した結果だとはとても思えません。偶然かどうか、住友銀行副頭取だった足助明朗氏が2002年から2010までGoldman日本法人の取締役会長に天下って(?)いました。


3) 三菱UFJフィナンシャルグループ
 平成20年12月と平成21年12月に2回の普通株の発行をしています。当初の発行株数103億株に対し、それぞれ10億株(発行価格417円、払い込み価格399.8円)と25億株(発行価格428円。払い込み価格412.53円)の普通株を発行し、この間に発行株数は当初の34%の増加となりました。海外向けは全体のちょうど半分です。
 ちなみに平成22年10月15日の引け値は385円です。2回の調達額の合計は1兆4311億円で、支払った手数料合計は558億円です。やはり主幹事は国内分が野村証券で、海外分はMorgan Stanley です。海外分はヘッジファンドが儲けたはずだということは、今更繰り返しませんが、この海外分の巨額の手数料を受け取ったMorgan Stanleyについて、是非お話ししておかなければならないことがあります。

 平成20年9月22日のIRで、三菱UFJフィナンシャルグループは、米国Morgan Stanleyの議決権の約21%を90億ドルで取得する。出資形態は30億ドル相当の普通株式(一株=25.25ドル)と、60億ドル相当の永久優先株式(転換価格31.25ドル)と発表しています。さらに、議決権の10%以上を保有する限り取締役1人を派遣する権利を有する、とだけ付け加えています。

 また同年10月13日のIRで、議決権の21%を90億ドルで取得し、払い込みを完了したと発表しています。出資形態については、やや変更になっており78億ドルの転換型優先株(転換価格25.25ドル)と12億ドルの償還型優先株で、配当は両方とも10%となっています。さらに、よっぽど嬉しかったのか、議決権の10%以上を保有する限り取締役1人を派遣する権利を有すると、また付け加えられています。逆にいえば、90億ドル(当時の為替レートで1兆円以上)を支払って議決権の21%を取得しただけで、他に何もれなかったということになります。議決権の21%は実質的に何の影響力もないのです。

 ところが、この平成20年9~10月は、一体どういう時期だったかを思いだしてみましょう。そうです。平成20年9月15日にリーマンブラザースが破綻し、同日にメリルリンチもバンカメに身売りしました。さらに同年9月29日には米国の緊急経済安定化法案が下院で否決され、NYダウが777ドルも急落するなど、世界の金融市場が最も混乱していた時です。Morgan Stanleyの株価も9月29日に20ドルを割り込み、10月10日には一時9ドル台まで急落しました。Morgan Stanleyの剛腕John Mack社長も必死になってあちこちに増資の引き受けや身売り話まで持ちかけていたようです。

 三菱UFJフィナンシャルグループのIRを見ても、確かに当初30億ドルを予定していた普通株での出資はなくなり、転換型優先株の転換価格も25.25ドルまで引き下げられていますが、(株価は10ドルを割れていた!)、粛々と約束した90億ドル(一兆円以上)を支払い、取締役1人の派遣だけでひたすら舞い上がっていたとしか思えません。

 私は断言できる。この混乱の最中に一兆円以上使うのなら、Morgan Stanleyの全部を取れていたはずです。そしたらどうやら三菱UFJサイドの最大の目的のようであった取締役の派遣も、1人でなく何十人でも派遣でき、社長まで派遣できたのです。

 その直後の平成20年11月と、そのあとの平成21年11月の三菱UFJフィナンシャルグループの増資に際し、早速、海外分の主幹事をMorgan Stanleyにお願いし、巨額の手数料を支払ったのですが、(繰り返しですが、海外分はヘッジファンドが勝手に買ってくれるので、何の営業努力もいりません)、現在至るまでMorgan Stanleyに一兆円以上を差し上げたお返しと思われるメリットは何も得られていません。せめてもの慰めは、Morgan Stanleyの株価が、転換価格をかろうじて上回っていることぐらいです。
そういえば、そのころのMorgan Stanleyの日本法人の取締役会長は元住友銀行副頭取の堀田健介氏でした。(住友の天皇と言われた堀田庄三氏の息子)さすがに、現在は辞任されているようです。

 ところが、書きましたように三菱UFJフィナンシャルグループは、その後2回の増資で1兆4000億円以上を調達しているのです。半分は海外ですが、それとてヘッジファンドがいろんな形でとっくに売却している筈なので、ほぼ全額、日本の株式市場から出ているといえます。本来は日本経済に貸し出しの増加等を通じて資金を供給し、結果株式市場にその一部が回ってくるために、重要な働きをしなければならない三大メガバンクをはじめとする日本の銀行が、実際は貸出しを減らし続け、結果ただでさえも細ってしまっている株式市場から、リスクマネーを大量に吸収し続け、メガバンク筆頭の三菱UFJフィナンシャルグループに至っては、株式市場から吸い上げた資金から一兆円以上もMorgan Stanleyにプレゼントし、取締役1人だけやっと得たのです。

 思わぬ長文になってしまったので、この辺で終わりにしますが、これ以外にも銀行に言いたいことは山ほどありますので、また紹介したいと思います。日本経済、いや日本全体が良くならない最大の原因は、銀行組織と官僚組織にあると思います。その辺をヒステリックにではなく、事実のみを挙げて皆さんに紹介していきたいと思います。さしあたって次回は官僚組織について、いろんな角度から紹介していきます。まずは今騒がれている検察庁あたりから始めたいと思います。

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