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株式市場のルールは公正か?  その2

2010年11月05日

 ご存知のように、株式市場に関する様々なルールは近年ますます厳格化され、罰則規定も強化されています。それでは、それらの厳格化されたルールは、それなりに公正に運用されているのなら良いのですが、実態は目を疑うようなことがまかり通っているのです。本日はこのシリーズの二回目で、「売れない不動産が株券に化けた」です。

 粉飾決算やインサイダーと並んで、株式市場の重大な犯罪とされているのが「架空増資」です。本来は「上場会社が、資本が充実していないのに株券を発行する」ことを指します。以前は、「増資資金が払い込まれた上場会社が、その資金をすぐに払い込んだ者に返却し、結果株券だけがタダで渡される」等の典型的なケースのみが摘発されていたのですが、最近では「増資資金が払い込まれた企業が、その資金を会社の資本が充実しないような取引に使った場合」も「不公正ファイナンス」として同じように摘発するという、かなり恣意的な方向に行ってしまっています。この「会社の資本が充実しない取引」の認定の根拠が非常にあいまいのため、増資をした企業の日々の経営に大変なリスクが出てくるわけですが、この辺のことはいずれもっと詳しく書いてみようと思っています。
  
 しかし、「明らかに資本が充実していないのに、株券が発行されている」に限りなく近い取引なのに、全くおとがめがなく、堂々と行われているのが「不動産を使った現物出資です」。明らかに会社の資本となるような優良な不動産を取得しているのなら何の問題もありませんが、明らかに怪しいケースがあるのです。

1. エル・シー・エー ホールディングス(東証2部上場。コード4798)
 
 経営コンサルタント企業のようですが、「ロシア戦略プロジェクト」など怪しげな事業に数多く手を出し、毎年巨額の赤字を出し、平成20年5月決算時に債務超過となり、平成21年5月までに解消しなければ上場廃止となるところでした。それまでも第三者割当増資や新株世予約権の発行や、借り入れの株式化(デッドエクイティスワップ)等を繰り返していましたが、猶予期限の直前の平成21年5月に軽井沢の分譲別荘地、底地権(意味不明)、クラブハウスを持つ地主(だと思われるが)と、北海道帯広市の土地と建物を所有する(だと思われるが)有限会社の不動産会社を相手に、合計1億1662万株の新株(一株=25円)を発行して、これらの物件を取得しました。つまり増資の払い込みに現金ではなくこれらの物件が使われたのですが、実にこれらの物件の価値を29億円として、それに見合う株券を発行したのです。それまでのこの会社の発行株数は7102万株だったので、発行株数が一気に2.6倍になりました。
  
 これで、この会社は無事に債務超過を脱出したのですが、果たしてこれで「資本が充実して株券が発行されたと言えるのでしょうか?」、「本当に29億円も価値のある物件だったのでしょうか?」。 

 ちょっと考えて分かることは、「売れない物件を抱えていた人が、債務超過を解消しなければならない上場企業にこれを売却し、一応換金性のある上場企業の株券を取得した。」と言うことで、事実これらの「株主」は、持株のかなりの部分をすでに売却しているようです。もっと現実的には、「売れない不動産を抱えていた人」と「債務超過を解消しなければならない上場企業」を結び付けて、それなりの収益を挙げた人間がいるということのようです。
 
 エル・シー・エー ホールディングスは、1年後の平成22年5月期に再び債務超過になり再び平成23年5月までに解消できなければ上場廃止となります。発行株数は直近で2億4000万円くらいに膨らんでいますが、時価は2円程度で、時価総額は東証の上場廃止基準の6億円を下回っています。また、せっかく手に入れた29億円もの価値のあるはずの物件の大半が、わずか3億円弱の税金の滞納で差し押さえられているようです。

2. セイクレスト(ジャスダック上場。コード8900)

 やはり債務超過で、平成22年3月期までの解消しなければ上場廃止になっていたセイクレストは、猶予期限の直前に福島市の不動産会社が所有している(とされている)和歌山県白浜町の別荘分譲地約84,000平方メートルを取得し、その不動産会社に530万株(一株=400円)を発行しました。つまり21億2000万円の価値のある株券を発行したのですが、そのうちの20億円はこの物件の現物出資となっています。それまでの発行株数は319万株でしたので、実に2.66倍になったのです。

 これで、セイクレストは債務超過を脱出したのですが、不思議なことにその不動産会に割り当てた株券の大半がその後2カ月くらいの間に売却されて、株価も80円台まで急落しました。3月に20億円の価値があるはずの土地を手に入れて株券を大量に発行したはずなのに、2カ月後に逆に時価総額が減ってしまったのです。また、不動産取得コストとして1億円も支払っていたり、その他不透明なことが山ほどあるのですが、ここでは省略します。

 この場合も、「売れない不動産を抱えていた人」と「債務超過を解消しなければならない上場企業」に巧みに取りいって、それなりの収益を挙げた人間がいるようです。もっとも本当に20億円の土地だったら、株券をたぶん半値以下で処分しているはずなので利益どころではないはずです。たぶん、本当の土地の価格は半値よりもはるかに安かった、というよりほとんどタダに近かったということなのでしょう。だから、株券をたたき売っても、もともとコストはほとんどタダのため、いくらかでも売却代金が入れば大半が儲けということなのです。

 それ以外にも、いくつかの同じようなケースがあるのですが、とりあえずこの辺にします。ただ、これらは、「資本が充実していない増資」を徹底的に摘発しているはずの当局が、完全に見逃しているケースです。適当な不動産鑑定評書が提出されて、とりあえず形式が整っているから「シロ」と言うことなのでしょうが、これからもずっと見逃していくのか興味を持って見ていきたいと思います。
 
このシリーズは、もう一回書きます。今度は「一夜明けたら株価が10倍」です。いずれにしても、非常に悪質と思われるのに、なぜか当局が全く気にしていないケースが数多くあるので、皆さんに少しづつお知らせしようと思います。別シリーズで書いている「官僚について」(10月23日)や、銀行のファイナンス(10月17日。アーカイブを見て下さい。)などともあわせて、日本の株式市場だけでなく、日本経済全体の本質的な問題点を指摘しようと思っています。大手マスコミが報じない問題点を、決してゴシップ記事ではなく、真剣に書いていきたいと思っています。しばらく覆面で書くことをお許し下さい。

もちろん、相場についても、できるだけタイムリーに、独自の角度から解説・予想をしていきます。また覗いて下さい。

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■闇株的見方 | 2010.11.05
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