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日本の国債市場の話   その2

2010年12月01日

昨日に引き続いて、日本の国債市場の話です。

日本国債の流通市場は、日本の金融機関のエリートサラリーマン(と自分で思っている人たち)しか参加していません。つまり思考回路が非常に似通った人たちばかり参加している、世界でも稀有な市場なのです。

まず、日本の金融機関のエリートサラリーマンは、損をしたときに言い訳ができるように動きます。だから、まず頭で考えて理論的に正しいように見える方向にしか動きません。さらに、一人だけ冒険をして儲けてもあまり評価されませんが、みんなで損をしても、それほど非難されません。(評価する上司も、全く同じ思考回路の持ち主です)

さらに、常に大量のポシションを抱えているので、常に高所恐怖症で、ちょっとしたニュースですぐに売ろうとします。

今年の6月から10月にかけて、93円台から80円すれすれまで円高が進み、米国の10年国債の利回りも3.4%台から2.4%台まで急速に低下した時、理論的に考えれば日本の10年国債の利回りは1%を大きく割り込むことが当然予想されました。過去二回の1%割れの1998年と2003年よりも、はるかに条件が揃っていました。

ところが、日本の金融機関のエリートたちは、頭ではどうしても、巨額の財政赤字と国債の大量発行のことを考えてしまい、思い切って買い進められず、10年国債の利回りは、9月にようやく1%割れが定着したのでした。(最低利回りは、10月初めの0.82%)

しかし11月に入って、米国の追加金融緩和で米国国債の買い入れが発表になったものの、懐疑論が出て国債利回りが上昇し始めると、日本国債もパニック的な売り物になり、あっという間に1.2%近くまで来てしまいました。

 日本の金融機関のエリートの話はこれくらいにして、それでは日本国債の流通利回りはどうなっていくのでしょうか? 代表的な銘柄として10年国債に絞って考えてみましょう。

 まず、日本国債の発行残高は、今後も増え続けます。しかし、まだ家計の金融資産の大部分が各金融機関へ預金等で預けられ、そこで安定的に国債を保有するという構造は、まだしばらく続きます。従って経済環境から考えて、国債の流通利回りが急上昇するということは絶対にありません。これは国民、金融機関それぞれの行動パターンが、今後急激に変わるということは、考えられないからです。

 例えば、国民がすべて金融機関から預金等を引き出して、箪笥に入れておくとか、突然狂ったように預金等を引き出して、バブルになるまで日本株や、不動産を買いあさったり、円安になるまで、外国株や不動産などの海外資産を買いあさるなどという、行動パターンの急激な変化が起こる可能性は、全く考えられないからです。

 それは、日本人という、非常に保守的な人種の行動パターンが、日本国債市場という、これまた外国人に影響される可能性が非常に小さい、日本人のみによって形成される市場で、大きな構造変化を引き起こすという可能性が、限りなく小さいからです。

 確かに、米国国債の利回りが上昇し始めたとか、ユーロ圏のギリシャや、アイルランドなどの国債の利回りが急上昇したからと言って、日本国債に与える影響は心理的なものにすぎません。これらの国債の利回り上昇によって、日本の国債利回りを上昇させるという資金の流れの変化は全く起きないのです。

 それより問題は、日本は世界で一番早く、1990年代から金融緩和を行い、預金金利も国債利回りも低いままで10年以上たってしまったのです。この間、1400兆円ともいわれる国民金融資産からの収益も、不当に低いままに放置されていたのです。その国民金融資産の運用を委託されていたはずの金融機関も、いつの間にかリスクをとることを忘れ、安全運転で低い収益で満足するようになっていったのです。

 逆説的な言い方ですが、金融緩和をして預金金利や、国債の利回りを低く保っていたから、日本の成長率が低いままになってしまったのです。

 実は、米国は、バブル以降の日本の金融政策をよく研究しており、金融緩和が経済成長を引き起こすとは必ずしも考えていません。従って、今回の米国の金融緩和を主導したバーナンキFRB議長への信認は、かなり低下しているようです。
 
 最後に、急上昇しているユーロ圏のギリシャ国債やアイルランド国債などはどう考えればよいでしょうか? 先週も書きましたが、ユーロ圏はユーロ信認の基本になっている参加国の財政規律を守らせるために、資金援助を行いました。従って脱退規定のないユーロ参加国の国債利回りは、時間はかかっても収斂していくはずです。特にアイルランド国債は魅力的に見えます。(11月25日、26日の「アイルランド」と「アイスランド」その1、その2をご参照ください。)

平成22年12月1日

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■日本 | 2010.12.01
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