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あふれるドルの行方

2010年12月07日

あふれるドルの行方


 米国はリーマンショック以降の経済の落ち込みを緩和するため、未曾有の金融緩和に踏み切っています。今年11月初旬にも、FRB(米連邦準備理事会)は6000億ドルにも上る米国債の買い入れを含む追加金融政策を発表しました。先週末もFRBのバーナンキ議長が、更なる緩和の可能性を示唆したとかで、米国株式市場は雇用統計の悪化にもかかわらず上昇しました。

 それでは、米国の金融緩和がどの程度のものなのかを数字を挙げてみてみましょう。

 普通、金融の緩和度合いを測るのに、マネタリーベースが使われます。マネタリーベースとは、米国内の現金残高に金融機関の準備預金を足したもので、米国内の金融機関は、これをもとに信用創造をして経済が発展していく大変重要な数字です。

 このマネタリーベースは、2000年ころは6000億ドルくらいで、リーマンショック直前の2008年秋頃は8000億ドルくらいでした。ところが現在は2兆ドルにもなっています。いかにリーマンショック以降、FRBがなりふり構わず金融を緩和してきたかが分かります。

 米国内の金融機関が、このマネタリーベースを使ってどれほど信用創造しているかを、マネーサプライ(M2)で見てみましょう。M2は、2000年ころは4.5兆ドルくらいだったのが、リーマンショック直前の2008年秋頃は7.5兆ドルまで膨らんでいました。実にマネタリーベースの増加の10倍以上の信用創造ができており、経済活動が非常に健全であったと言えます。

 しかし、現在のM2は8.5兆ドルくらいで、その間のマネタリーベースの増加額にも足らないのです。これはリーマンショック以降、金融機関の信用創造機能が損なわれていることを示しています。

 もうひとつ言えることは、その間のマネタリーベースの増加が、貸し出しなどの増加に回らない分、有り余る資金が米国債や米株式、海外の債券や株式、金などの資源へと向かっていると言えます。

 ここからは、FRBがマネタリーベースを増加させようとする限り(つまり量的緩和を続ける限り)、また、マネタリーベースを増加させることをやめたとしても、それを減少させようとしない限り、世界の債券や株式、そして金などの資源は上昇を続けるはずです。
不動産については金融機関の貸し出しが不可欠なので、それほど期待できないかも知れません。

 これは、経済実態が上向かなくても、債券や株式市場が上昇することにより、資産効果からいつの間にか経済が回復していくことがよくあるので、今のところ正しい政策であると言わざるを得ません。

 世界の流動性を見るとき、米国のマネタリーベースに、米国外の中央銀行等が外貨準備として持つ米国債の残高を加えたワールドダラーが使われます。現在海外の中央銀行の保有する米国債残高は2兆5000億ドルにも上がり、これもリーマンショック以降1.8倍くらいになっています。

 つまり現在のワールドダラーも4兆5000億ドルとリーマンショック以降2倍になっているのです。

 ワールドダラーは2000年を100とすると、リーマンショック直前の2008年秋頃が180で、現在が360となっています。

 これに対して世界の名目GDPの伸びを見ると、リーマンショックまではワールドダラーの伸びときれいに一致していました。その後世界の名目GDPは増えていないため、ワールドダラーのみが2倍になってしまっているのです。

 ここから言えることは、世界の債券や株式や、資源などはバブルになるまで上昇するはずであるということです。そして多分、経済実態が自然に上向く前に、資産効果で世界的に経済が上向くという順番だと思います。

 しかし、これは例えば世界の株式市場が等しく上昇するということでは決してありません。当然世界の株式市場間で厳しい選別が行われます。少なくとも日本の当局が、日本の株式市場が活発になるように本気で取り組んでいるとは全く思えないため、今回も、その世界の流れ(まず株式市場等が上昇し、資産効果から経済が回復する)から取り残されてしまうのだと思います。

 あふれるワールドダラーの一部は、ドル以外の外貨に換えて投資されるため、ドルも長期的に弱含みとなります。その際も、ドルの受け皿が何かということは考えなければなりません。これも以前書きましたように、市場が大きく、米国ほど極端な金融緩和をしていないユーロしかないだろうと思われます。あとは豪州、カナダなどの資源国とスイス、シンガポールなどで政情が安定している国の通貨だと思います。

 ドルが、全体として長期的に弱含むとして、円に対してはどうなのでしょうか?

 私は、いくらドルが世界であふれているとしても、この閉塞感のある日本に更に大量の資金が流れてくるとはとても思えません。ドル円の最高値(79円75銭)の更新は、もうないと思っています。

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■為替・金融 » ドル | 2010.12.07
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