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あの事件はどうなった  その5

2010年12月21日

あの事件はどうなった  その5 「元検事総長の威光。少額の課徴金で済んだアーバンコーポレーション」


 実は、本日は大林検事総長の辞任のニュースを受けて、「官僚組織について」シリーズを書こうと思っていたのですが、記録を読み返しているうちに、元検事総長の名前も出る、有名な事件を思い出しましたので、急遽こちらを書くことにしました。

 広島に本社を置くアーバンコーポレーション(以下、アーバン)は2008年8月13日に民事再生法の適用を申請し、破綻しました。

 ところが、そのわずか1カ月半前の6月26日に、BNPパリバを引受先とする300億円の転換社債(転換価格344円)の発行を決議していました。当時から、その発行が不成功に終わる懸念が囁かれていましたが、7月11日に「予定どおり5000万円の発行諸経費を差し引いた299億5000万円の入金を確認した。調達資金は短期借入金などの債務の返済に充てる」とのIRが出され、市場も安心して株価も268円まで急上昇しました。

 ところが、この転換社債はBNPパリバとの間に開示されていないスワップ契約があり、実際にアーバンが手にできたのは92億円であったことが漏れ伝わってきます。

 これだけでは解りづらいのですが、要するにこういうスキームだったのだと思います。確かに一旦BNPパリバは300億円をアーバンに支払います。しかしすぐ全額をスワップ契約の担保として預かります。たぶん実際はアーバンの銀行口座には入らなかったのだと思います。そしてBNPパリバは転換社債を少しずつ転換して、転換価格を下回っていようがお構いなしに売却します。そして売却分だけをアーバンに支払い(そこでも手数料を取っていたはずですが)、損失分を預かり金から相殺していったのだと思います。
 さらに、アーバンの民事再生後はスワップ契約の解約違約金として、さらに58億円を徴収していったようです。これは上記の92億円も、将来の損失に備えて全額アーバンに支払わず、留保していたことになります。

 別にスワップ契約でも何でもなく、単に転換した株をたたき売って、売れた分だけ支払うという馬鹿でもできる契約だったようです。しかし問題はBNPパリバも、この契約を開示しないようにアーバンに働きかけていたことです。

 これは金融商品取引法上、「虚偽の事実を公表して、相場の維持・上昇を図った」という「偽計」に当たります。教科書に載せてもいいような典型的なケースです。

 偽計取引に関しては、ライブドアが、子会社のライブドアマーケティングの株式交換による子会社の取得に際して、事実と違う公表をしたとして堀江元社長を含む5名が逮捕され、堀江元社長を含む2名が実刑判決を受けています。これによってライブドアは即刻上場廃止になり、多くの株主が損害賠償を堀江元社長らに求めることになるのです。

 アーバンの場合は、それが原因かどうかは分かりませんが、倒産して多くの株主に迷惑をかけたわけですが、その直前に「299億5000万円が入金された」とうい開示をしたことは、まさに重大な偽計なのです。

 しかし、これに対する金融庁(証券取引等監視委員会)の処分は、転換社債発行時の臨時報告書の虚偽記載として150万円(間違いではありません!)の課徴金の納付命令を出しただけです。もちろん誰も逮捕されていません。

 あと1000万円くらいの課徴金がかかっていますが、これは後から分かった有価証券報告書の虚偽記載に関してで、「偽計」に対する課徴金は150万円です。そもそも、同じ「偽計」なのに、逮捕されるケースもあれば、課徴金のケースもあり、どこで違いが出るのかも分かりません。

 似たような偽計取引なのに、課徴金で終わった日興コーディアル事件ですら、粉飾した決算数字を使って500億円の社債発行を行っており、その「発行登録対補書類」の虚偽記載として500億円の1%に当たる5億円の課徴金納付命令を出しているのです。

(この辺のことは、11月17日付けの 「あの事件はどうなった? その2」
「ライブドアより、はるかに重大事件なのに、何故か課徴金で終わった日興コーディアル」を読み返して下さい。)

 さて、どこに検事総長が出てくるのでしょう。

 実はアーバンの取締役に元検事総長の土肥孝治氏が就任していたのです。もちろん、この転換社債の発行決議をしていた時も、その任にありました。民事再生申請時に「病気により」退任されています。

 この課徴金150万円という、株式市場を馬鹿にしたような軽い処分は、機関決定時に元検事総長委が取締役会のメンバーであった事とは、決して無関係ではないはずです。

 土肥氏は、関西勤務が長く、京大卒ですが現場が長く「赤レンガ派」ではなかったようです。「現場派」から初めて検事総長になった吉永祐介氏の後をついて検事総長になるのですが、吉永氏がぐずぐず時間稼ぎをして有力後継者であった「赤レンガ派」の根来泰周氏が定年を迎えてしまたため、検事総長になりました。

 在任中は、総会屋グループへの損失補てん事件で、野村証券など大手証券の首脳を次々と逮捕したり、過剰接待事件で大蔵省・日銀の首脳を辞任に追い込むなどして、「検察不況」を引き起こしたと言われました。

 今でも、関西検察のドンと言われています。

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■闇株的見方 » 株式 | 2010.12.21
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