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やはり回復している米国経済 しかし日本は?

2011年01月07日

やはり回復している米国経済 しかし日本は?

 明日(1月7日)の米国時間早朝に、注目の12月の雇用統計が発表になります。すでに先行して1月5日に発表されたADP雇用数(注)が予想の3倍近かったため、雇用統計も良い数字が期待でき、先行して米国株高、金利高、ドル高となってきています。

 本誌では、昨年末から繰り返し、量的緩和による「溢れかえるドル」がまず株式上昇をもたらし、それがまず消費や企業の活動を心理面から好転させ、さらに資産効果を通じて米国経済の上昇をもたらし、今年の早い時期から良好な経済指標が発表され始め、更なる株式上昇、ドル高をもたらすことを予想していました。(昨年12月24日付け「来年早々からドルは強くなる」、本年1月4日付け「今年はどうなる? その1」、1月6日付け「今年はどうなる? その2」をご参照ください)

 さて、実際の雇用統計は明日発表されるのですが、もし思ったほどいい数字でなくても、完全に米国内の心理状況が好転しているため、「ADP雇用数に含まれていない政府の雇用が遅れている」とか「年末に大雪が降ったから」などの後講釈が出てきて、結果的には、実際にどんな数字が出ても、米国株高、金利高(これはもちろん経済回復予想による良い金利高で、財政赤字拡大による悪い金利高ではありません)、ドル高の流れは変わらないと思われます。

 これも繰り返しになりますが、米国経済の回復の前提が「溢れかえるドル」と、昨年末のブッシュ減税の延長をオバマ政権が決断したため、現政権も「財政赤字削減より経済回復を優先する」という強烈なメッセージが発信されたことにあります。

 翻って、日本のことを考えてみましょう。
 
 日本も確かに昨年10月に、資金供給を35兆円まで増やし、うち5兆円は資産購入を行うという量的緩和に踏み切りました。
 その結果、金融機関の準備預金は昨年末で20兆円台に乗せ、マネタリーベース(現金通貨プラス準備預金)もようやく前回の量的緩和時(2001年3月~2006年3月)以来の100兆円台に乗せました。

 5兆円を上限とした資産購入は大半が短期の国債ですが、合計5000億円の上場投資信託(EFT)と不動産投資信託(REIT)が含まれています。これは限られた予算で株式市場や不動産市況を上昇させたいという意向があるようですが、中央銀行の資産を使って株式や不動産などのリスク資産を購入することは、あくまでも非常時の緊急措置に限られるべきで、平常時に単なる市況対策のために中央銀行の資産を使うということは、はっきりと「禁じ手」です。

 米国では、このマネタリーベースがリーマンショック前の8000億ドルから、現在は2
兆ドルへと2.5倍になっているのです。いかに日本に比べて強烈な量的緩和なのかが分かります。
 その米国でも、確かにリーマンショックのときはFRBが1兆ドル近いモーゲージなどの資産担保証券を購入しましたが、これはあくまでも非常時の緊急手段であり、決して平常時に市況対策のために購入したわけではありません。

 それでは、日銀も米国のように100兆円くらいの量的緩和を行えば、円・ドルレートも100円くらいになり、デフレも払しょくされて、株式も不動産も上昇するという評論家もいます。しかし、これは間違いです。
 日本では、前回の量的緩和の時も、その期間を通じて全国銀行の貸出総額が447兆円から409兆円と10%も減少していたのです。つまりいくら量的緩和をしても、日本の銀行の信用創造機能がマイナスのため、何の効果も期待できないのです。
 いかに、日銀がせっせと国債を購入してくれても、その資金で銀行はまた国債をせっせと購入するだけで、貸し出しに回すということは決してありません。

 前回の量的緩和時に確かに円安になったのは、リスクを取りたくない日本の銀行が、自分より格付けの良い外銀にタダ同然の金利で資金を大量に貸し出して、それを借りた海外勢がキャリートレードでその円を売ってドルなどを調達して、世界中に投資したからです。
 同じように、前回の量的緩和時に日本の株式や不動産も上昇したのは、その世界中に投資された資金の一部が日本に回ってきただけなのです。

 今回は、同じ量的緩和でも、日本の資金を使ってキャリートレードをしなくても、ドルそのものが溢れかえっていることと、まだ世界で多くの投資チャンスがあるわけではないので、急速に円安にはなりません(ただし、ドルが強くなることは間違いありません)。また、まだそれほど多くない世界の投資資金の一部が、わざわざこの閉塞感のある日本に回ってくることもあまり期待できません。

 つまり日本の、最強の官僚組織と最弱の政権与党(民主党)の組み合わせでは、米国のように思い切った経済対策が打てるはずがなく、出てくるのは財政再建、増税の話ばかりです。また、いくら日銀が大量の資金供給をしても、銀行の信用創造機能がマイナスであるため、実体経済が良くなることは全く期待できません。

 見てきたように前回の量的緩和時のように、海外勢のキャリートレードも、日本株買いも大しては期待できないため、急激な円安も株高もありません。

もうひとつ、日本は官僚組織と大手銀行が支配しています。彼らにとって株式市場は「怪しげな輩が、不正な手段を使って金儲けをたくらんでいる」ところであるらしく、「常に監視、規制、摘発を厳しくしなければならない」ところのようです。こういう日本の株式市場が本格的に上昇するはずがありません。

 昨年末から日本株式は値上がりしていますが、米国と状況が全く違うため、せいぜい高値が11,000円程度で、下手をするとこれが今年の高値なんてことになるかもしれません。

 御用心。

平成23年1月7日


(注)全米50万社、2400万人の給与計算を代行する民間会社であるADP(Automatic Data Processing)のデータを基に発表される雇用統計。必ず実際の雇用統計(第一金曜日に発表)の2日前に発表されるため最近注目され始めてきている。ただし民間分だけで政府分は含まれない。

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■日本 | 2011.01.07
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