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ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)について  その2

2011年01月26日

ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)について  その2

 1月24日の続きです。
 ソブリン・ウエルス・ファンドは長いので、「国家ファンド」で統一します。

 さて先回は、国家ファンドのベスト10をあげましたが、上位にはUAE(アラブ首長国連邦)が8750億ドル、シンガポールが2つ合わせて4900億ドル、ノルウェーが3500億ドル、クェートが2500億ドルと、シンガポールを除き比較的小国の産油国が目につきます。

 ノルェーが、ユーロはおろかEU(欧州連合)にも加入していないことなどを見ても、しっかりと国際社会に存在感を持ちたいという国が、国家ファンドを持っていることが分かります。
 お隣の韓国でも、韓国投資公社(KIC)が200億ドルですが、国家ファンドを持っています。

 注目は中国で、中国投資有限責任公司(CIC)は2007年9月に創設され、すぐに米国の買収ファンドのブラックストーンが上場するときに20億ドル出資し、モルガン・スタンレーにも50億ドル出資しました。ちょうどサブプライム問題が表面化していましたが、まだリーマンショックまで1年近くある時でした。
 現在、中国有限責任投資公司の話題はほとんど出てきません。やはり最初の投資がうまくいかなかったからだと思いますが、あの中国が単に投資してうまくいっていません、で黙っているはずがなく、何らかの見返りを要求しているのかもしれません。

 余談ですが、その1年後、本当にリーマンショックの真っ最中に、三菱UFJフィナンシャルグループがモルガン・スタンレーに1兆円(つまり中国の倍)も気前よく出資したのですが、貰ったのは取締役1人の席だけでした。三菱UFJは、その間国内の貸付を回収し続け、瀕死の株式市場から2回にわたり1兆4000億円も増資をかき集めていったのでした。
(平成22年10月17日付け、エクイティファンナンスの裏側 その3 を御参照下さい)

 さて、話を本題に戻しますが、国家ファンドはまさに国家財産を国家戦略のために使うもので、海外に多くの先例があり、資金以外に目立った「資源」のない日本こそ、真っ先に取り組まなければならないものなのです。

 ここから技術的なことを考えます。
 確かに、日本は外貨準備が1兆ドルあります。繰り返し言いましたように、この大半はFRBに預けられて、米国が好きなように使っているのです。

 外貨準備の仕組みですが、外貨準備は財務省が管理する外国為替資金特別会計の中で、為替介入などを通じて外貨(おもにドル)や金(きん)を保有し、資金については政府短期証券を発行して調達しています。まあ国が巨大なキャーリートレードをしているということなのですが、その政府短期証券は(日銀引き受けも認められているはずなのですが)必ず国民の財産で引き受けられているので、国民の財産の一部を国家が外貨で運用していることになります。
 だから外貨準備は、国民の利益のために使わなければならないのです。

 さて日本の外貨準備は1兆ドルあるのですから、全部使えばアブダビを抜いて、世界最大の国家ファンドになります。
もし、この1兆ドル(80兆円)で国家ファンドを作ると発表したとしますと、突然、世界の日本を見る目が変わります。つまり明日から世界中の要人から、とびきりの投資案件が持ち込まれるはずです。
誰でも資金を持っているところには、すり寄ってくるものなのです。それが世界最大の国家ファンドともなれば、ブローカーの怪しい話ではなく、世界の国家レベル重要な案件が持ち込まれるはずです。そこから日本の国家戦略を考え、じっくりと選べばよいだけなのです。
さらに言うと、80兆円の資金量だけ見せておいて、実際の運用は少しずつで良いのです。

つまり、世界の日本を見る目を変えさせ、再び世界の中心とまでは言えなくても、中心に近いところまで持っていくための1兆ドル(80兆円)は、決して大きすぎる金額ではありません。
銀行がタダみたいな金利しか支払わず、貸し出しを通じて日本経済の発展に寄与する事を全くせず、たんに巨額の金利収入をピンハネして高給を受け取っている、全く国民の利益になっていない銀行預金が564兆円もあるのです。80兆円は、同じ国民の財産なのですが、この銀行預金の僅か14%なのです。これで日本の評価が一変するのです。もちろん、この80兆円はいっぺんに使う必要は全くなく、鷹揚に構えているだけでよいのです。
 
 ましては、現在はリーマンショック以前に比べて2割以上も円高で、しかも世界の株式や不動産などの価格もかなり安いままなので、ここで国家ファンドを始めることは大きなアドバンテージなのです。
 リーマンショック以降上がっているのは新興国の株式・不動産と、金や食料品価格だけです。これらは逆に今度調整に入ると思われます。

 じゃあ、何を買えばよいのでしょうか? 国家戦略から考える必要があります。
 まず原油を含む資源会社、ヴァーレ、リオティント、特定できません海外に油田を持つ石油会社。難しいかもしれませんが海外の農地。移転不能の特許を持った会社、例えば日本の携帯電話会社が巨額の特許料を支払い続けているクアルコム(米国)など。
 いろいろ考えてみてください。楽しくなると思いますよ。どれも以外に資金がかからないものなのです。
 
 もちろん、誰がどのように投資決定するのかは大事な問題で、間違っても外人や官僚に任せてはいけません。新たな利権の場に絶対してはならないのです。
 
 現在の日本では、国家戦略なんて言葉が死語になっているようなので、あえて書いてみました。


平成23年1月26日

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■世界経済 | 2011.01.26
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