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野蛮な来訪者 MBOについて その3

2011年02月10日

野蛮な来訪者   
MBOについて  その3

 ここのところ何回か書いていますMBOについてです。
なぜ注目しているかと言いますと、現在の日本の株式市場に間違いなく起こり始めた構造変化だからです。そしてこれまで日本の株式市場に起こった構造変化は、例外なく当局に潰されてきました。
しかし、この構造変化は当局が潰しません。その理由は、銀行が主導権を握っているからです。

表題の「野蛮な来訪者」というのは、原題をBarbarian at the Gateといい、「RJRナビスコの陥落」という副題がついています。

これは1988年の当時世界最大規模のLBO(注1)であったRJR ナビスコの争奪戦について書かれており、文字通り米国金融界のメジャープレーヤーが全員参加で争ったLBOで、最終的にKKR(注2)が勝者となったのですが、総額251億ドルというのは長く記録となっていました。

(注1) 株式の公開買い付けをTOBと言います。TOBのうち会社の現経営陣が外部から資金を調達して行うのをMBOといい、先日の幻冬舎とかCCCがこれに当たります。一方、全く外部の投資家が、会社の資産等を担保にして資金を調達して会社を買収するのをLBOといい、RJRナビスコがこれに当たりますが、米国はこのタイプが最も多いようです。いずれにしても会社は買収後非上場となります。

(注2) 1976年創業のLBOファンドの老舗。KKRは創業者のコールバーグ、クラビス、ロジャースの頭文字で、全員破綻したベアースターンズの出身です。RJRナビスコ買収当時は、コールバーグはすでに引退しており、当時も今もヘンリー・クラビスがトップです。LBOの最大金額の記録は、2007年にKKR自身がTXU(テキサス州の電力会社)の450億ドルのLBOで更新しました。

 「野蛮な来訪者」は、残念ながら絶版になっていますがAmazonでは買えるようなので、是非読んでみてください。

 内容を簡単にご紹介しておきますと、二流菓子メーカーのカナダ支部長にすぎなかったカナダ人のロス・ジョンソンという男が、何故か昇進を繰り返し、まずその二流菓子メーカーのCEOになり、それを大手のナビスコに売却して、しばらくしてナビスコのCEOになり、今度ナビスコがRJR(レイノルズという煙草メーカー)に買収されると、まずCOOになり、いつの間にか巨大企業のRJRナビスコのCEOになりました。
 RJRナビスコの煙草部門は潤沢な現金収入があり、ロス・ジョンソンは使いたい放題に使います。そして取締役を抱き込み自由気ままな経営をしていました。米国の会社の取締役会はCEOを除けば、大半が社外取締役でCEOを監視するからです。

 そんなロス・ジョンソンはある時、MBOの誘いを受け、その気になります。きっと非上場化することで、もっと自由に現金を使えるとでも思ったのでしょう。 
そのMBOが発表されたとき、KKRのクラビスが「奴め、RJRナビスコをかすめ取るつもりだ!」と叫んで、すぐさま対抗LBOに取り掛かります。

 結局最終的な参加者は、ロス・ジョンソン側がシェアソン・リーマン・ハットン(当時はアメリカンエキスプレス傘下で、こういう名前でしたが、その後のリーマンブラザースです)とソロモンブラザース(これも今はなく、現在はシティーグループ傘下です)。

 KKR側が、ドレクセル・バーナム(これも今はありませんが、マイケル・ミルケンが率いるジャンク・ボンド・チームは圧倒的シェアを持っていました)、モルガンスタンレー、ワッサースタイン・ペレラ(ファーストボストン出身のLBOファンド)、メリル・リンチ。

 これに、後から買収合戦に参加するのがファーストボストンと、英国のフォーストマンリトル(ゴールドマン・サックスがアドバイザー)

 さらにRJRナビスコの社外取締役が雇った行司役が、老舗のディロン・リードとラザール・フレール。それに有名な弁護士であるマーチン・リプトンとジョセフ・フロムなどなど。

 結局、251億ドルをかき集めたKKRチームの勝利となりますが、KKRが投資した自己資本は15億ドルだったと言われています。主要参加メンバーが、シンジケート・ローンやジャンク債や、つなぎ融資等で数多くの銀行や証券会社、保険会社等などから広く資金を集め、KKRや主要メンバーは莫大な手数料も受け取りました。
 当時、バブルで資金の余っていた日本の銀行や機関投資家も争って参加したようです。

 さて、ここで何を言いたいのかと言いますと、CCCのMBOには、みずほコーポレート銀行と三井住友銀行が1000億円のローンをつけたので、初めて出来たのです。正確な貸し付け条件が分からないのですが、変動金利で、かなりのスプレッドのようです。(4%程度?)
 しかも、シンジケートを組み、自分の資金は少なく出すだけで、莫大な手数料を取るようです。

 つまり、現在一番資金量があり、足元の収益も好調で、何より当局に睨まれる心配のない銀行が、こういった形で株式市場に入り込んできたのです。
 正確に言うと、株式市場から数少ない優良企業を引っ張り出して、手の内に入れ、新たな収益源にしはじめたのです。

 銀行が、その潤沢な資金で、株式市場を活性化し、日本経済を回復させる事を一切行わず、こういう形で株式市場に関与しはじめたのです。

 まさに「野蛮な来訪者。Barbarian at the Gate」なのです。
 この点については、まだまだ書いていきます。

平成23年2月10日

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■闇株的見方 » 株式 | 2011.02.10
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