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ウォールストリートの地殻変動  その1

2011年02月15日

ウォールストリートの地殻変動  その1

 先月、ウォールストリートの雄であるGoldman Sachsの昨年10~12月の業績が、前年同期比半減したとの報道がありました。

 昨年7月に成立した金融規制改革法案(ドッド・フランク法案)で、大手金融機関の自己勘定取引やファンド投資が大幅に制限される、いわゆるボルカー・ルールの影響が出始めたようです。

 Goldman Sachs は、自己資本を使った大胆な投資で巨額の利益をあげてきたのですが、2008年のリーマンショック後に銀行持ち株会社に業態転換し、公的資金を受け入れ(その後返済)、従ってボルカー・ルールの規制を受けたのですが、現場では腕利きトレーダーの退社も続いています。自己勘定での取引が制限され、巨額報酬が見込めなくなってきたからです。

 もう一方の雄の Morgan Stanleyも、やはり同時期に銀行持ち株会社となり、自己勘定取引から顧客ビジネスへの転換を図っています。2009年には公的支援で再生中のシティグループからリーティル型証券会社大手のスミスバーニーを買収し、顧客ビジネス重視を強調しました。

 逆に、こういった規制を受けないヘッジファンドへは、資金の流入が続いており、昨年末の運用資産総額が1年前に比べて20%増えて1.9兆ドルとなり、リーマンショック直前のピークをほぼ回復したようです。

 Goldman 等からの人材流入も続いているようです。

 昨年のウォールストリートで最高報酬を得たのが、ヘッジファンドのポールソン・アンド・カンパニーのジョン・ポールソン氏で、何と50億ドル(4100億円)となっています。 普通ヘッジファンドは、通常の運用報酬(年2%くらい)に加え、運用で増加した分の20%程度を受け取ります。ポールソン・アンド・カンパニーを主宰するポールソン氏は、その中の自分の取り分(いくらか知りませんが)の大半を自らのファンドの投資しているはずなので、その部分の値上がりも大きかったはずなのですが、それにしてもあまりにも巨額というしかありません。

 あと目についた高額報酬者は、クォンツ型ヘッジファンドのルネッサンステクノロジーを主宰する数学者のジェイムス・シモンズ氏、ムーア・キャピタルのルイス・ムーア・ベーコン氏(米国人のはずですが、何故か英国での所得となっています)、そしておなじみのジョージ・ソロス氏などです。

 ポールソン・アンド・カンパニーはタイプ別ではイベントドリブン型のヘッジファンドと言われています。大きな社会的変動や会社の破綻等に賭けて大きく収益をとるタイプのヘッジファンドです。

 2004年ころからずっと、サブプライムを含む住宅ローン市場の崩壊に賭けており、ポールソン氏は2007年にも40億ドルという巨額報酬を得ています。

 さて、このポールソン氏は、Goldman Sachsの元会長で前財務長官のヘンリー・ポールソン氏とは何の関係もないのですが、実は昨年、このポールソン・アンド・カンパニーとGoldman Sachsを取り巻く、ある事件がありました。

 昨年4月にGoldman Sachsが、複雑な住宅ローン関連資産を組み入れた債券(CDO)の販売に際し、顧客にリスクを正確に伝えなかったために10億ドルの損失を与えたという容疑で米国証券取引委員会(SEC)から証券詐欺で訴追されたのです。

 これだけでは何のことか分からないのですが、要はGoldmanがCDOを組成する際に、顧客であるポールソンの意向を取り入れていることを、顧客に説明しなかったということなのです。もっと分かりやすく言うと、住宅ローン関連資産の暴落に賭けているポールソンの取ろうとしているショートポジションの受け皿として、自ら組成するCDOを組成し、顧客に「ポールソンのショートポジションを買うことになる」と説明せずに販売した、ということなのです。

 CDOはリスクを自分で管理できるはずの機関投資家向け商品であり、さらに格付け機関がAAAに格付けしていたはずなので、Goldman だけの責任ということも無理があるのですが、結局Goldmanは5.5億ドルの和解金を支払いました。(内訳は2.5億ドルが顧客への弁済、3億ドルは財務省が召し上げました)

 ポールソン・アンド・カンパニーの方は、何の御咎めもなく、ポールソン氏は昨年50億ドルの報酬を受け取ったのでした。

 ただ、この事件は米国金融界の将来を非常に暗示しているのですが、これについては次回にします。

平成23年2月15日

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■世界経済 | 2011.02.15
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