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あの事件はどうなった  その6 「リクルート事件」の検証

2011年03月09日

あの事件はどうなった  その6 「リクルート事件」の検証


 今年になってから書いていなかったシリーズです。風化しつつあり事件の中から、今も考えさせられることの多い事件や、今考えると違った局面が見えてくる事件などを取り上げて、ご紹介しています。
 
 リクルート事件は、ロッキード事件と並び、現在の検察庁の大きな「資産」となっています。取り調べを担当した検事のその後の「出世」などを見ても、確かに検察庁がこの事件で国民の信頼を得て存在感を高めたことは事実です。それでは、それほどの重大事件だったのか? を考えてみたいと思います。
 
 リクルート事件は、昭和も終わりに近づいた1988年6月の朝日新聞のスクープ記事によって幕が下ろされます。

 川崎市助役が、リクルート傘下の不動産開発会社リクルートコスモスの川崎市内の再開発に関して便宜を図った謝礼として、リクルートコスモス株式の未公開株を譲渡され、約1億円の利益を得た、という内容です。典型的な公務員の汚職なのですが、不思議なことに事件そのものは不起訴となっています(つまり立件出来なかったということです)。
 
 しかし、それをきっかけにマスコミ各社の取材が過熱化し、未公開株の譲渡先が中曽根前首相、竹下首相、宮沢副総理・蔵相、安部晋太郎自民党幹事長、渡辺美智雄自民党政調会長(肩書きは全て当時)など、時の有力者全員を含む90名以上もの政治家をはじめ、高級官僚、NTT幹部、日本経済新聞社社長など幅広く広がっていることが分かりました。
 
 そうした最中の同年9月、国会でこの件を追求していた楢崎社民連衆議院議員に、リクルートコスモス社幹部が献金を申し入れるところを隠し撮りされ、日本テレビで放送されたことをきっかけに東京地検特捜部が乗り出し、事件化したのです。
 
 リクルートコスモスは1985年10月に店頭公開(今のジャスダック上場)していますが、その直前に江副浩正リクルート会長が、就職情報誌で急拡大した自社の社会的財界的地位を高めようと、有力政治家・高級官僚・通信業界有力者に未公開株を譲渡したものとされています。
 
 もちろん譲渡と言ってもタダだったわけではなく、大体3000円で譲渡され、公開初値が5270円でした。譲渡された株数は、前述の中曽根前首相が29,000株、その他の有力政治家が10,000株だったようです。
 
 ここで、上場前の未公株の譲渡が「賄賂」に当たるというのは、当時の検察の捜査着手の根拠、その後の裁判の判断の根拠(起訴された全員が執行猶予付きの有罪で確定)の大前提となっています。
 
 そもそも事件というのは、一過性ではなく普遍的な「悪」を取り締まるものでなければならないのですが、現在なら未公開株の譲渡が「賄賂」に当たるということは決してないと思います。従って全く一過性であり普遍的でない理由で起訴されたのです。

 これは未公開株の譲渡を受けたのが、政治家だけで90人に上り、時の大物政治家全員が含まれていたため、検察にとって格好の事件に見えたことと、今も続く「株式市場」に対する漠然とした不信感があったからです。
 
 しかし、その政治家に対しても藤波元官房長官と、公明党の池田議員という有力とは言い難い二人だけを、しかも在宅起訴しただけで、有力議員は軒並み取り逃がしたのです。
 
 結局、リクルート事件とはライブドア事件と同じで、時の目立つ経営者を潰そうという流れと、漠然として「怪しい」株式市場を捜査対象にしておこう、という今も続く流れの中でおこった事件なのです。
 
 リクルートは、何も未公開株の譲渡だけをしていたわけではありません。政治家に対しては合計40億円もの献金リストが同時に押収されていたはずで、その中では随分怪しいものもありました。検察が本当に有力政治家をターゲットにしたいなら、こちらの方がよほど「宝の山」だったはずですが、最後まで取り上げられませんでした。
 
 つまり、最初から株式市場、つまり未公開株の譲渡だけに的を絞った捜査だったのです。

 結局、リクルート事件も、今も続く検察による「都合のよいところだけをターゲットとして、あとは無視する」捜査で、そのターゲットはもちろん株式市場だったのです。
 
 江副浩正氏は昨年、「リクルート事件・江副浩正の真実」を出版しています。ただ関係者の間では非常に評判が悪いようです。全て自分は悪くない、全て関係者の責任である、としています。まあ、そういう「人となり」だったのでしょう。
 
 最後に、リクルート事件の産物で忘れてはいけないものがあります。
 
 多数の政治家に未公開株という「賄賂」が行われたため、政治改革論議が盛り上がりました。これ自体は結構なことなのですが、何故か途中で捻じ曲げられ出てきたのが「小選挙区比例代表制」という現在の衆議院選挙の原型でした。
 
 この小選挙区制のために、手っ取り早く票を集められる2世議員やタレント議員が増えてしまったことと、ちょっとした世論の変化によって極端に選挙結果が振れてしまうなど、現在の政治の混乱の原因になっているのです。

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■闇株的見方 » 株式 | 2011.03.09
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