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世界の取引所 その2 NYSEユーロネクストとナスダックOMX

2011年04月05日

世界の取引所 その2
NYSEユーロネクストとナスダックOMX

 4月1日に、米ナスダック市場を運営するナスダックOMXグループが、先物取引に強い米インターコンチネンタル取引所(ICE)と組んで、ニューヨーク証券取引所を運営するNYSEユーロネクストに買収提案すると発表しました。
 買収金額は113億ドル(約9500億円)で、2月に合意しているNYSEユーロネクストとドイツ証券取引所の合併に対する敵対買収となります。

 もし、この敵対買収が成功すると両市場に上場している企業の時価総額が21兆ドルと、世界の株式時価総額の3分の1を超え、また米国内ではほとんどのシェアを持つことになるため、独禁法上簡単に認められるとは思いませんが、注目してみましょう。

 しかし、世界の取引所はここ10年くらいの間に、非常にダイナミックな合併・統合を繰り返しており、証券取引所だけでなく金融先物取引所、商品取引所を巻き込んで、多分近いうちに世界で5つくらいに統合されてしまうような気がします。

 過去の合併・統合の歴史を振り返ってみましょう。

 まず、ユーロネクストとは2000年9月にパリ、ブリュッセル、アムステルダムの3証券取引所が合併し、2002年にリスボン証券取引所とロンドン金融先物取引所(LIFFE。日本の国債先物やユーロ円金利先物も上場されている)が加わりました。
 2006年6月にニューヨーク証券取引所を運営するNYSEと合併し、NYSEユーロネクストとなりました。(発足は2007年4月)

 上場している株式の時価総額はニューヨーク証券取引所が14兆ドル、ユーロネクストが3.1兆ドルで、合計すると17兆ドル強と世界最大ですが、NYSEユーロネクスト自体の株式の時価総額は100億ドル弱と、合併で合意しているドイツ取引所の150億ドルより少なく、世界の取引所では第4位となっています。
 
 そのドイツ証券取引所ですが、フランクフルト証券取引所(上場している企業の時価総額は1.5兆ドル)に加え、傘下にデリバティブの世界最大規模の電子取引市場のユーレックスがあります。
 ユーレックスは1998年にドイツ証券取引所とスイス証券取引のそれぞれ傘下にあった金融先物取引所が合併してでき、金利・株式・株価指数・ボラティリティ・コモディティ・クレジット・気象など非常に多種のデリバティブを扱っており、Chicago Mercantile Exchange (CME)と並ぶ世界有数のデリバティブ取引所です。

 またユーレックスは2007年12月に世界最大級の現物株オプション取引所である米国のISEも傘下に入れています。
 NYSEユーロネクストがドイツ証券取引所と取締役の過半を渡してでも合併したかった理由は、ユーレックスを手に入れてCMEに対抗したかったのと、ISEを手に入れて米国現物株オプションに手を広げたかったからで、非常にシナジー効果のある合併案なのです。

 一方、ナスダックOMXの方ですが、アップルやマイクロソフトなどのハイテク企業が上場するナスダック市場が、2007年5月に北欧やバルト諸国の7証券取引所を運営するOMXを合併し、合計上場企業の時価総額が4兆ドルと世界第2位の取引所となっています。

 OMXの最大の価値はシステム開発部門で、世界の50カ国以上で60を超える取引所・決済機関にシステムを提供しており、世界の取引所のシステムのデファクトスタンダードを握っているのです。日本の大証にも提供しています。

 ところが、ナスダックOMXは収益基盤がいまひとつのようで、時価総額も50億ドルとNYSEユーロネクストの半分しかありません。そこでICEと組んでの今回の敵対買収となるのです。
 ナスダックは2007年にロンドン証券取引所にも敵対買収を仕掛けて失敗しています。また、今回逆にロンドン証券取引所がナスダックOMXを敵対買収するという噂もあります。
世界第2位のハイテク企業の取引所と世界最大の取引所システムを持つナスダックOMXは、今後の世界の取引所の統合の目となるはずです。

 そのICEですが、アトランタに本社をおく、エネルギーや農産品の電子取引所を世界で運営する新興の会社です。
 主な取引は、エネルギー関連では原油・軽油・天然ガス・石炭・電力・排出権など、農産品ではココア・コーヒー・綿花・砂糖など、さらに通貨・株価指などで、最新鋭の電子取引システムが自慢のようです。

 こうして見ていくと、NYSEユーロネクストとドイツ証券取引所の合併は(繰り返しですが、新会社の役員会はドイツ証券取引所の方が多数を握るのです)、規模、地域のバランス、デリバティブや現物株オプションなどの品揃えなど、どれをとっても世界最強の取引所グループとなります。

 最終的にはナスダックOMXとICEの、NYSEユーロネクスト買収案は、無理が多く実現は難しいと思います。

 それでは、ナスダックOMXはどうすればよいのでしょう。
 どちらが仕掛けるかどうかはともかくとして、欧州で唯一残った有力証券取引所であるロンドン証券取引所とは統合した方が良いと思います。しかしかつてロンドン証券取引所傘下にあったLIEEF(金融先物取引所)はユーロネクストに取られており、これでもグループ内にデリバティブ取引所がありません。
 
 そこで全米最大のデリバティブ取引所で、かつ自身の時価総額も200億ドル近くあるCMEの傘下に入った場合のみ、NYSEユーロネクストに対抗できると思います。

 そうすると、欧米を巻き込んだ、証券・商品・デリバティブを網羅する世界の2大取引所グループが出来上がるのです。

 長くなってしまいましたので、東証・大証を含むアジアの取引所については、また別の機会に書きます。

 3月11日付け「世界の取引所 その1」 でCMEのことを詳しく書いてありますのでご参照ください。


平成23年4月5日

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■日本 » 日本の株式 | 2011.04.05
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