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米国債の格付け見通し引き下げ

2011年04月20日

米国債の格付け見通し引き下げ

 4月18日に米国有力格付け機関のStandard and Poor’s(S&P)が、米国債の格付け見通しを「安定的」から「Negative(弱含み)」へ引き下げました。 

 これは米国債の格付けが、現在のAAAから「向う2年以内に3分の1以上の確率で引き下げられる可能性がありうる」ということのようで、実際格下げの方向で見直しに入る「クレジットウォッチ」とは違い、格付けの変更の中ではもっとも軽微なものです。

 何かと米国関係には甘い米国格付け機関が、率先して格付けの変更を行ったということは驚きをもって受け止められました。

 実は本年1月に、もうひとつの米国有力機関のMoody’sも、格付け見通しを「安定的」に据え置いたものの、今後2年以内に見通しを「Negative」にする可能性が高まっている、というコメントを出していたのですが、これは実際の格付け見通しの変更ではなかったため、市場では無視されていました。

 両格付け機関とも、「ホワイトハウスと議会が中長期的な米国財政赤字と債務の削減について合意できない可能性がある」ことを理由にあげています。

 米国の財政は、クリントン政権後期の1990年代終わりころは黒字でした。当時の財務長官であるロバート・ルービンのもとで、財政規律の強化、海外資本の流入促進による長期金利引き下げ(つまりドル高政策。クリントン政権前期の1995年までのドル安政策を転換した)、民間投資を刺激して経済成長を高め税収増加を図る、などの経済政策が成功したからです。

 実際は、冷戦終了による軍事費の減少(平和の配当)、ITバブルの絶頂期の経済好調による税収拡大、特に日本からの資本流入による金利低下、などラッキーな面があったことは否めません。

 余談ですが、ロバート・ルービンは1990年からGoldman Sachsの共同会長で、1995年に財務長官になりました。退任後はシティバンクの経営執行委員会委員長を務めていましたが、ご存知のとおりシティグループは金融危機で実質国家管理となってしまいました。

 そのときのブッシュ政権下の財務長官は、これまたGoldman Sachs会長だった、ヘンリー・ポールソンでした。つまり、民主党のクリントン政権でも共和党のブッシュ政権でも財務長官はGoldman Sachsの会長経験者だったのです。

 財務長官時代の実績はルービンの方が評価されているようですが、時代が良かったからとも言え、実際その後ルービンが経営に深くかかわったシティグループは、いまだに国家管理下にあります。

 個人的には、金融危機を泳ぎきったブッシュ大統領・ポールソン財務長官・バーナンキERB議長などの功績は非常に大きいと思っています。最近「ポールソン回顧録」という本が出ており、読んでみると当時報道されていたことと随分ニュアンスが違うことがあります。この辺のことも近々まとめて書きたいと思います。

 米国財政赤字に話を戻しますと、ブッシュ政権になると共和党の本質なのですが、「財政黒字を国民に還元する」と大減税を行ったところに、ITバブルがはじけて景気が低迷して税収が落ち、同時多発テロで軍事費が増大して、さらにクリントン政権時の財政規律に関するか各種ルールが失効して歯止めがかからなくなり、2002年には早くも財政赤字に転落してしまいました。

 そうは言っても2005年頃までは、景気回復と住宅バブルによる税収増加で赤字幅は減少していたのですが、2008年に金融危機が始まり4600億ドルもの財政赤字となり、その後は1兆5~6000億ドルというとんでもない財政赤字が毎年続いているわけです。

 現在の米国経済も、金融の量的緩和というカンフル剤を打ちながらようやく回復の兆しが見えてきたところなので、ここで緊縮財政に踏み切るわけにもいかず、その辺を格付け機関が懸念したわけです。

 不景気ということでは米国の大先輩である日本では、1990年代から何度も財政再建の名のもとに積極財政を打てず、金融政策のみに依存しした結果、金融政策の景気回復機能がまったく損なわれ、結果景気がいつまでたっても上向かず、税収不振からますます財政赤字が膨らむという悪循環を繰り返しています。

 ここで、米国にとって重要なことは「たかが格付け機関の言うことより、経済回復のほうが重要」という世論が形成されるのか、「やはり財政再建に取り組まなければならない」となるのかです。難しいのは、来年に迫った大統領選挙の材料に使われそうなことです。

 日本経済の長期の低迷は、財政再建を強いる米国格付け機関の陰謀であるなどと言うつもりはありませんが、日本の経験から「緊縮財政は財政赤字を拡大させ、まずます経済を低迷させる」のです。

 欧州(ユーロ圏)では、はっきりと経済成長より財政再建を重視しているため、ここで米国も同じように財政再建を重視することになると、世界の経済のエンジンが中国をはじめとする経済発展国と資源国に握られてしまい、世界の政治がますます混沌とするのです。

平成23年4月20日

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■世界経済 | 2011.04.20
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