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世界の取引所 その4  NYSEの決断

2011年07月11日

世界の取引所 その4  NYSEの決断

 最近、世界の取引所の統合に関するニュースがいくつか出ていましたので、久しぶりにこのシリーズを書きます。

 7月7日に、NYSEユーロネクストが臨時株主総会を開き、本年2月に合意していたドイツ証券取引所との合併案を賛成多数で可決しました。 途中、ナスダックOMXなどから敵対買収を仕掛けられたりしたのですが、無事合併出来ました。(ドイツ証券取引所側も13日までに株主の承認を得る予定です)

 まず、それぞれの取引所に上場している企業の時価総額合計はNYSE(ニューヨーク証券取引所)が14.8兆ドル(本年3月末現在。以下同じ)、傘下のユーロネクスト(パリ、アムステルダム、ブリュッセル、リスボンの4取引所)が3.2兆ドルで合計18兆ドルです。
 
 これに対してドイツ証券取引所が運営するフランクフルト証券取引所は1.6兆ドルしかありません。しかし、取引所自体の時価総額はドイツ証券取引所が150億ドルとNYSEユーロネクストの100億ドルを上回っているため、合併で出来る新会社の株主と取締役会の過半をドイツ証券取引所が握ることになるのです。

 NYSE側が、そこまでして合併したかったのは、ドイツ証券取引所傘下にデリバティブの世界最大規模の電子取引所であるユーレックスがあるからです。
 さらに、ユーレックスの傘下には、これも世界最大規模の現物株オプション取引であるISEもあります。

 ここで、ユーレックスはCME(Chicago Mercantile Exchange)と並ぶ世界2大デリバティブ取引所で、3番手以下で太刀打ちできるところはありません。

 また、ISE(International Securities Exchange)は米国にある全米最大の現物株オプション取引所で、指数オプションも入れるとCBOE(Chicago Board Options Exchange)に次ぐ全米第2位のオプション取引所でしたが、2007年4月にユーレックスに28億ドルで買収されていました。

 つまり、NYSEユーロネクストとドイツ証券取引所の合併は、証券取引所の規模・地域バランス、デリバティブを含めた品ぞろえなど、どれをとっても世界最強の組み合わせなのです。
 実質、新会社のイニシアティブをドイツ証券取引所側に渡しても、NYSEユーロネクストとしては進めたかった合併なのです。

 最近、シンガポール取引所に吸収合併される予定だったオーストラリア証券取引所と、ロンドン証券取引所に吸収合併される予定だったトロント証券取引所が、ともに国策を理由として合併を取り消しているのと好対照です。

 いずにしてもNYSEユーロネクストとドイツ証券取引所の組み合わせに対抗出来る組み合わせは、実現するかどうかは別にすればCMEとナスダックOMXとロンドン証券取引所の組み合わせしかありません。
 
 CMEはユーレックス以上の世界最大のデリバティブ取引所であり、ナスダック(上場企業の時価総額合計4兆ドル)にOMX(スェーデン、フィンランド、デンマーク、バルト三国の6証券取引所)にロンドン証券取引所(時価総額合計3.9兆ドル。傘下のイタリア証券取引所を含む)と規模・地域バランス・品ぞろえも理想的になります。
 また、OMXは世界最大の取引所システムの開発・運営会社でもあります。

 この2大グループが出来てしまいますと、世界の取引所の統合は勝負がついてしまい、後はローカル取引所になってしまいます。

 日本でも東京証券取引所と大阪証券取引所の合併が検討されているようですが、双方の思惑に大きな開きがあり、簡単に行かないと思われます。
 東京証券取引所の上場企業の時価総額の合計は3.9兆ドルと、ロンドン証券取引所(イタリア証券取引所を含む)とほぼ同じなのですが非上場であり、上場している大阪証券取引所はデリバティブ取引所と、新興市場取引所(傘下のジャスダック)を標榜しているようですが、いかんせん自身の時価総額が1000億円強(12億ドル)と如何にも貧弱です。

 もうひとつ日本の証券取引所の問題は、日本ではまだPTS(私設取引システム)のシェアが3%程度なのですが、欧米は4~5割あります。つまり、これから日本の取引所から株式取引が大きく流出する可能性があるのです。
 特に現在でも出来高の6~7割が外人による取引のため、外人がお役所的な日本の取引所を嫌い、本格的な外資PTSが上陸してきたら、もっと深刻な収入減少に見舞われることになるのです。

 証券取引所といえどもお役所ではなく、民間企業でお客様に利便性を提供する努力をしなければならないのです。
 時々出てくる東京証券取引所社長の不遜な発言は、これを理解しているとは思えません。

 このシリーズの過去の記事もご参照ください。
 3月11日付け「世界の取引所 その1」Chicago Mercantile Exchange
4月5日付け「世界の取引所 その2」NYSEユーロネクストとナスダックOMX
 4月12日付け「世界の取引所 その3」アジアの証券取引所

平成23年7月11日
 

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■日本 » 日本の株式 | 2011.07.11
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