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流動性が「消えてしまう」恐怖

2011年10月03日

流動性が「消えてしまう」恐怖

 ドイツが欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充案を可決しました。
 現在4400億ユーロの基金を、すでに7800億ユーロまで拡大することは同意されており、さらにこれに与信機能を付けて2兆ユーロほどに機能を拡大するようです。

 まあ、雨漏りを洗面器で受けていたのをバスタブに替えたようなもので、根本的な解決までの時間稼ぎにすぎないと思います。

 一応これでひと安心と思ったのですが、週末(9月30日)のNY株式市場は240ドルも下がってしまいました。

 世界的不況とユーロ危機が重なって、世界的に株式市場から資金が逃げ出すことは当然で、本年3月からの半年で世界の株式時価総額が10.1兆ドル(約770兆円!)も減少し、47.6兆ドルなってしまいました。率にして実に17.5%もの急落です。

 当然、新興国の株式市場や為替市場も大きく値下がりしています。

 しかし最近、非常に気になっていることがあります。

 それは、世界の金融市場の流動性が減少し、「厚み」を失ってきているような気がすることです。実際、世界で最大のNY株式市場ですら、最近1日の値幅が急拡大しています。

 大体、株式市場の値下がりや新興国の通貨の値下がりは、先進国の経済が不振になれば当然予想されることなのですが、実際にはこれに流動性の「減少」を考慮しておかなければならないのです。実はこちらの方がはるかに「怖い」のです。

 具体的に言いますと、例えば株式市場などが値下がりしても十分な流動性が備わっていればポジションを手仕舞ったりヘッジしたり出来るのですが、市場によっては価格が下落を始めると流動性も一気に失われ、手仕舞おうと思っても全くできずに価格だけ急落し、想定もしていなかった損失を被ることがあるのです。

 2008年頃の金融危機の原因となったモーゲージ関連商品も、いったん相場が下落を始めると一気に流動性が失われ、売却しようにも価格だけ急落して全く売却が出来ずにパニックとなってしまったのがその典型です。

 特に、新興市場の株式や為替や、格付けの低い社債や、仕組み債券など本来は流動性が限られているものが、何かのきっかけでブームになって大量に販売され、それが一気に反転すると目も当てられないような「悲惨な」ことになるのです。

 過去、こういう場合に必ずこの「悲惨な」ものを大量に抱えているのが日本の投資信託で、今回も米国REITや、ハイイールドボンド(ジャンク債のことです)や、ブラジルやインドを対象にした投資信託が山のように日本で販売されています。

 わざわざ、米国のハイイールドボンド(これだけでも十分に危険なのですが)をブラジルレアル建てにして二重で大損するような仕組みにした投資信託まであります。

 これらは、市場が好調な時に適正な規模を考えずに大量に販売するからで、まったく過去の学習効果が見られないのです。
 7月27日付け「米国REITの落とし穴」にブラジルレアル建てのことも含めて書いてありますので、読み返してみてください。

 さて、流動性が「減少する」と思う理由はいくつかあります。

 まず、ヘッジファンドの大半が11月決算なのですが、今年は決算に合わせた解約(資金流出)がかなり出そうです。またゴールドマンサックスが傘下の主力ヘッジファンドを閉鎖しました。

 実は、ヘッジファンドを含む投資ファンドの最大の効能は、市場に流動性(厚み)を供給していることです。たとえば、ある投資対象が何らかの理由で急激に売られた場合、すかさず買いが入り価格は速やかに修正されるものです。
 ここで、ヘッジファンドを含む投資ファンドの残高やレバレッジをかける余裕が減少すると、修正されず価格が下がったままになり、またさらに減少した流動性の中で新たな売りが誘発されることになるのです。

 ヘッジファンドの残高減少以外に、銀行の格下げによる信用創造機能の減少、当局の投資に対する規制の強化など、金融市場から流動性を奪う要因はいくらでもあります。

 特に今回は、これらに加えて日米欧すべて財政赤字削減が大命題で景気刺激の余地が小さく、かつ投資に対する各種規制が強化されているため、ますます金融市場への参加が制限され始めていることもあります。
 米国の金融の規制強化については、ちょっと古いのですが2月15日付け「ウォールストリートの地殻変動 その1」と、2月17日付け「ウォールストリートの地殻変動 その2」に詳しく書いてあります。

 いずれにしても流動性が「急減する」リスクを考えておかなければならないのです。「急減する」だけでなく、文字通り「消えてしまう」ことが過去に何回もあったのです。

平成23年10月3日


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■闇株的見方 » 経済 | 2011.10.03
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