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ユーロを取り巻く漠然とした不安

2011年10月14日

ユーロを取り巻く漠然とした不安

 欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充策が、一度否決されたスロバキアで週内にも可決される見込みで、これによってギリシャなどへの支援継続と欧州銀行への資本強化などが可能になり、危機対応への余力が確保されることになります。
もっともユーロや欧州株式は先取りして先週から上昇していました。

 ユーロは、8月下旬の1ユーロ=1.45ドル台から10月4日の1.32ドル割れまで下落したものが1.38ドル台を回復しています。
 対円でも、8月下旬の112円台手前から10月4日の101円割れまで下落したものが、一時107円を回復しました。
対ドルでも対円でも、この間の下げ幅のほぼ半分を回復したわけです。

 しかし依然として解決方法としては、問題を抱えたユーロ構成国を支援し、同時に問題国の債権を大量に抱えた銀行の資本を増強させて、現状のユーロの仕組みを維持することを大前提としています。

 このための処方箋は実は1つしかなく、ユーロを安くすることによって、比較的余力のあるドイツ・フランス・オランダなどが牽引して経済成長することなのです。

 事実、直近発表された8月のユーロ圏17か国全体の鉱工業生産は前月比1.2%のプラスで、8月の大半は1ユーロ=1.45ドル近辺だったことを考えると、9月以降の鉱工業生産はユーロ安のメリットを受けてもっと好調だった可能性があります。

 ただ、9月のユーロ圏の消費者物価指数が前年比3%と上昇しており、ここにユーロ安が加わるとさらに上昇する恐れがあります。

 ユーロの行く末で重要なのは、安定化基金の拡充策や銀行の資本強化などの対処療法ではなく、ユーロ安を維持できるほど物価が安定しているかどうかなのです。

 物価上昇の方が目立つと、ユーロ安や金融緩和にストップをかけざるを得なくなり、それがユーロ圏全体の成長を損ない、構造的問題がどんどん大きくなっていくのです。

 要するに、ユーロ圏も(物価がこれ以上上昇しないという条件が付くのですが)、米国や中国やその他の新興国などと同じく、通貨の引き下げ競争に参加することになるのです。

 だから何もしていない円が、もっともっと円高になる恐れが強いのですが、これについては改めて書くことにします。

 さて、ユーロとはノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデルなどが主張する「最適通貨圏」の理論を基本にしています。

 「最適通貨圏」とは、個々の通貨を持つよりも、単一の通貨による単一の金融政策で経済運営を行った方がメリットの大きい経済圏のことを言います。

 単一通貨導入のメリットは、域内での為替リスクがなくなることや、市場統合がすすみ経済規模の拡大や効率化が進むことや、単一通貨が国際通貨として地位が向上するなどが考えられます。

 もちろん問題点は、単一通貨が導入された地域では、各国間の不均衡がひとたび発生すれば、各国間で為替相場の変動や金融政策の変更による調整が不可能なことで、まさに今、目の前で起こっていることなのです。

 そこでマンデルは、こういった問題が起きないような「最適通貨圏」の条件として、各国経済が同質的・類似的であること、貿易面で市場が十分に解放されていること、労働力の移動が自由であること、財政を通じた資金の再配分が可能なことを挙げており、その結果、単一通貨ユーロが誕生したのです。

 マンデルの「最適通貨圏」は、単一通貨導入のメリットと、それが可能となる条件を挙げていますが、どう読んでみても現在のユーロを取り巻くような事態が発生した場合の処方箋がありません。

 やはり経済学は「いざという時に、何の役にも立たない」学問で、どうもその「学問」のみから生まれたらしい「ユーロ」の行く末は不安だらけなのです。

 9月15日付け「劇的に劣化する通貨・ユーロ
 10月12日付け「ノーベル経済学賞について」などを御参照下さい。

平成23年10月14日

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■為替・金融 | 2011.10.14
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