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これはドル高・円安になる?

2011年11月28日

これはドル高・円安になる?

 先週末(11月25日)に「ドイツ国債札割れの意味」を書いたところ、読者の方から「ドイツ国債の札割れは珍しいことではなく、今回だけ大騒ぎする意味が不明だ」との御意見を頂きました。

 そこで、もう一度考えてみました。

 確かにドイツは、プライマリーディーラーの資格維持のために入札で一定の実績を上げなければならない米国や、常に金融庁の顔色を伺う銀行や証券会社が参加する日本と違って、入札への参加義務がゆるく「札割れ」も珍しいことではありません(本年に入って9回目だそうです)。

 「札割れ」の後講釈は色々あるのですが、もっとも大きいのがドイツ国内の銀行が域内問題国の国債を大量に保有しているため、来る銀行の資本増強(狭義の中核自己資本比率を9%超)に際して公的支援が必要となる可能性あり、それがドイツの財政状況を悪化させると言うことのようです。

 そもそも、財政赤字問題を抱えているのは日本も米国も同じなのですが、今までは日本国債・米国国債と並んでドイツ国債は世界の投資資金にとって「最後の安全資産」だったのです。

 これは、株式などのリスク資産からの「逃避」もあるのですが、圧倒的に大きいのが「ユーロ圏の債務問題国の国債からの逃避先」であったはずです。

 非常に乱暴な言い方なのですが、ギリシャやイタリア等の国債がいくら売り込まれても、その資金がドイツ国債に向かっている限りは債券市場全体としては、かろうじて平静を保てるのです。つまりユーロ圏の債券市場全体から投資資金が流出しているわけではないからです。

 最大の問題は、入札直前のドイツ10年国債の利回りが1.9%程度だったところ(9月には1.6%台まで低下していました)週末(11月25日)には2.25%まで上昇し、つられてイタリア10年国債が7.23%、スペイン国債が6.63%、AAAのフランス国債まで3.66%と
軒並み上昇(価格は下落)してしまっていることです。

 当然、ユーロ圏各国の国債がさらに値下がりすることは、欧州各国の銀行の資本不足額が大幅に増加することに加え、ドイツ国債まで値下がりすれば今度はドイツの銀行の資本不足の増加幅も巨額となってしまうのです。

 週末現在で、ドイツ銀行全体の資本不足額が、当初の52億ユーロ(5500億円)から120億ユーロ(1兆2400億円)に増加したとの試算もあり、さらなる財政負担の増加懸念から一層のドイツ国債利回りの上昇、ユーロ圏全体の国債利回りの上昇、ユーロ圏全体の更なる財政負担の増加懸念と言う「負のスパイラル」に入ってしまうのです。

 週末の、日本国債も1.03%と約1カ月ぶりの水準まで売られました(11月には0.94%まで低下していました)。

 まあ、日本国債の引受市場も流通市場も、銀行とほとんど銀行傘下に入った証券会社のサラリーマンディーラーによって支配されているため、ひと度「悪材料」が出るとすぐにパニックになってしまうのです。

 日本国債の利回りは、もっと上昇します。これは理論ではなくサラリーマンが支配する日本の国債市場の「特異性」によるのです。

 そこへ行くと米国国債市場はもう少し厚みがあり参加者も多岐にわたっているため、暫くは一番落ち着いた値動きとなると思われます。週末も10年国債の利回りが1.96%と比較的落ち着いていました。

 世界の投資資金から見ると、債券投資は利回りを求めるのではなく為替の見通しも含めた「どちらがより安全か」という視点で選ばれているのです。

 つまり、ユーロ債券市場から投資資金(債券投資だけの資金に限ってもいいのですが)が一番流出することは間違いないのですが、日本国債市場からも結構流出して、消去法で米国国債に向かうと思います。

 だから通貨は強い順番にドル・円・ユーロとなり、円はドルに対しては円安になります。

 円とユーロの関係は、ドル・ユーロと円・ドルのどちらが大きく動くかによりますので、ユーロに対しては円高というのは間違いないのですが、どれくらいのスピードかというと予測が難しいです。

 週末いろいろ考えた結果が、表題の「これはドル高・円安になる?」なのです。
 ちょうど、ヘッジファンドなどが一番参考にしている120日移動平均が77.80円くらいで、時価とほぼ同じになっています。また海外の円・ドルのポジションも結構ドルショートになっているようです。

 ここで財務大臣が好きな「介入」をすれば、間違いなく効果がありますよ。

 でも「介入」も立派に国民負担なので、増税などの他の「国民負担」との兼ねあいや、「介入」を行う外為資金特別会計で利益が出た時の「国民への還元方法」などを決めてからにしてほしいと思います。

 まあ、外為資金特別会計のコストはドル換算で100円程度なので、当分利益は出ませんけどね。

 11月1日付け「円高に対する国家戦略とは  その1」、11月2日付け「円高に対する国家戦略とは  その2」も御参照下さい。

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■為替・金融 | 2011.11.28
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