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円高に対する国家戦略とは  その1

2011年11月01日

円高に対する国家戦略とは  その1


 本日(10月31日)早朝のアジア市場で、円が一時75円32銭と史上最高値を更新し、それを受けて政府・日銀が午前10時半頃から為替介入を行いました。ドル・円が一時79円50銭、ユーロ・円が111円30銭まで円安となったのですが、海外時間に入ってからは、それぞれ78円、109円前後まで後退しています。

 まあ、米国FOMC(11月1~2日)の前には介入は出来ないだろうという市場の「油断」に対し、多分財務大臣が存在感を出すために踏み切ったのでしょう。

 国内のFX投資家に「定期的に絶好の売り場を提供」しておけば、また円高になった時に外貨買いをしてくれるので、全く意味がないわけではないのでしょう。

 しかし、「単に円高が進んだから」とか「メンツを保ちたいから」介入するのではなく、そろそろ介入も含めた為替に関する「国家戦略」を明確にするべきなのです。

 なぜなら、為替介入も原資が政府短期証券(つまり国債)であるため、復興資金まで増税で賄おうとするほど国債発行を削っている財務省が、勝手に乱発できるものではないのです。また、介入の「効果」あるいは「利益」が目に見える形で国民に還元されなければならないのです。

 介入については、後でもう少し詳しく考えますが、それではここでどういう「国家戦略」が必要なのでしょうか?

 最も重要なことは、現状は「放っておいても円高」になるということで、「放っておいても世界の資金が円に向かっている」状態だということです。

 はっきりと言って、こういう時は「円高の流れを止めよう」などとは考えずに、「まず円高のメリットをとる」さらに「将来、円安に転じた時に利益が国民に還元される」ことを考えるべきなのです。

 それは何度も言っていることなのですが、円建て国債を海外向けに発行することです。

 これだけ世界が「円」を求め、世界が安全資産としての「国債」を求めている中で、格付けは多少落ちると言っても、巨大な発行額と十分な流動性を保ち、かつ国際市場における残存額がまだまだ少ない(それでも直近では急増しており86兆円になっています)日本の国債に対しては、世界中から非常に大きな需要があるはずなのです。

 因みに、日本の国債発行額は本年3月末現在で758兆円、それに政府短期国債が111兆円です(政府の債務は、これに借入金55兆円を加えた924兆円で、確かにGDPの2倍あります)。

 しかし、世界の債券市場の規模は70兆ドル(5500兆円)もあり、中央銀行の外貨準備だけでも9.3兆ドル(725兆円)もあるのです。世界の債券市場は十分に大きいのです。

 別に、わざわざ海外向けに国債を新規発行しなくても、日銀保有の国債を直接海外に売却してもよいし、外為資金特別会計で発行する政府短期証券(為替介入の原資です)を借り換え時に直接海外にオファーしてもよいのです。

 もちろん、こうしても国債発行残高そのものが減るわけではないのですが、日銀保有の国債が減れば、日銀は新たに市中から国債を買い入れる余裕が出来、新たな資金を市中に供給する量的緩和を進めやすくなるのです(因みに、量的緩和は為替介入と違い国民負担がありません)。

 外為資金特別会計は独立した勘定なので、政府短期証券を海外に持ってもらったからと言って負債勘定がなくなるわけではないのですが、やはりその分市中にある国債残高が減ることになるため、復興資金を増税で賄わなくても新規国債を発行する余裕が出るはずなのです。

 実は、財務省が緊縮財政を強いるのは予算配分権を持つ財務省の発言権を強化するためであり、別に国内に国債の引き受け余力がなくなっているわけでも何でもありません。

 市中には、銀行を中心にリスクを取れない資金が大量にあり、国債の消化には何の問題もないのです。

 しかし、国債の保有先を海外に広げることは「円の国際化」につながり、ぜひ必要な「国家戦略」なのです。

 もちろん、際限なく国債残高が増えると国家がデフォルトするというヒステリックな批判が出るのですが、そもそも国家のデフォルトとは外貨建ての国家債務が多いところに経済危機などで自国通貨が急落して、外貨建ての債務が急に膨らむから起こるのです。(ギリシャは逆に通貨を切り下げられないので、経済が破綻してデフォルトするのですが)。

 だから円建て国債を海外投資家に保有してもらうことには何の問題もないのです。

 それどころか、「いつ」とは言えなくても日本の国力からして、そう遠くない将来に円は弱くなるはずです。だから海外向けに円建て国債を発行するときに、それで得られる資金の一定割合を政府が外貨で保有しておけば、償還時に負担が軽くなるのです。
 つまり、為替が75円の時に75兆円の国債を海外向けに発行し、半分を使って半分を外貨に換えて保有していたとします。為替が150円になるとこの半分の外貨で全額が償還できるので、使った半分はタダになるのです。

 もっとも、現在日本は外為特別勘定に1.1兆ドルもの外貨をため込んでいるため、特に新規に外貨を取得する必要はありません。ただ海外投資家が円建て国債を取得するときには、ある程度の「新規の円買い需要」が発生します。

 この辺をどうするかは、次回に書きます。

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■為替・金融 » 国債 | 2011.11.01
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