Archive

広告

野村証券の病巣  その2

2011年11月08日

野村証券の病巣  その2

 昨日の続きです。

 1997年5月に、「野村証券の歴史で、初めて営業現場を知らない社長」になった氏家純一ですが、それでは専門とされる「海外部門」で実績があったかのでしょうか?
実際は、就任直後にそれまでトップを務めていた米国野村証券が外人に任せていた不動産証券化事業で数千億円の損失を出し、社長就任後も「アジア危機」「ロシア危機」「ヘッジファンド危機」などすべての国際金融危機で巨額損失を出すという「偉業」を成し遂げたのでした。

 しかしまあ、氏家もシカゴ大学博士課程卒業という「学歴」があり、2003年4月にその後を継いだ古賀信行も東京大学法学部出身でMOF担(大蔵省担当)が長く、それぞれ一応「野村証券の顔」としては恥かしくなかったことと、野村証券の看板である「強力な営業組織」も消滅していたわけではなかったため、何とか業界トップとしての体面を維持していました。

 しかし2008年4月に突然古賀が退任し、後任社長に現任の渡部賢一が就きます。古賀に特段の失政があったわけではなく、また渡部は古賀のわずか1年後輩で若返りとも言えず、しかも神戸大学出身の渡部の経歴は企画や主計などで、およそ外部から見て意味の分からない社長交代でした。多分、密室のクーデターだったのでしょう。
 氏家の方は、引き続き会長として代表権を維持し、本年3月までその地位にありました。

 ここから野村証券の一層の迷走が始まります。

 つまり営業部隊はもちろん、株式や債券などの商品部門や国際部門など主要業務に一切地盤の無かった渡部は、ナンバーツーに指名した柴田拓美・現COOなどの一部側近を徹底的に重用する「側近政治」を始めます。

 尚、柴田は当時も今も大赤字の「ホールセール部門」を率いています。

 そして渡部は、社長就任直後に金融危機はあったものの2009年3月期に7000億円もの巨額損失を出し、2009年3月と10月に2回にわたって15億5000万株の公募増資を行い(それまでの発行株数は21億株でした)合計7400億円を瀕死の株式市場からかき集め(平均単価が約480円で、現在の株価は290円ほどです)、極めつけは、僅か700億円弱の収益しか上げられなかった2010年3月期に3億円近い個人報酬をせしめたのです(柴田も2.5億円)。

 しかし、こういう社長が出た場合の最大の問題は、「自身の特色を出して長期政権や、より高額の報酬を得る」ために、「側近だけと相談して、必ず自分がろくに理解していない危険な事業」にのめり込み、そして「必ず大失敗」することなのです。

 典型例は2002年にメリルリンチのCEOのなったスタンレー・オニールですが、これは2月4日付け「野村証券「社長」の話  その2」に書いてあります。

 そして渡部とその側近にとっての「危険な事業」は、もちろんリーマンの欧州・中東部門の継承なのですが、そもそも高給を保証した外人部隊に、さらに「成果連動型」の報酬体系を導入しているのです。

 これは渡部に限らず、そもそも素人のトップが、自分が理解できない業務の「専門家」と称する外人部隊を「成果報酬」で集めると、外人が高額報酬を求めて「とんでもないリスクをとっている」のに、それを全く理解していないトップがチェックできず、結果必ず巨額損失が発生するものなのです。

 今回の野村証券の「ホールセール部門」の損失は、欧州問題の状況からして、まだほんの一部が出ているだけだと思われます。

 また野村証券は今回の決算発表で、「リーテイル部門(個人営業部門)が、円高や株安で個人の投資意欲の減退で黒字が減少し、ホールセール部門の赤字を補いきれなかった」というニュアンスの説明をしています。

 継承したリーマンの人材を使った「ホールセール部門」は渡部・柴田の生命線なのですが、最初からリーテイル部門の収益を踏み台にした「保身のための博打」であることを物語っているのです。

 次回はこのシリーズの最終回として、銀行の証券業務進出と証券行政について書きます。

 それから、たまたまなのですが日経新聞の「私の履歴書」に、野村証券元副社長で米国野村のトップを長く務められた寺澤芳男氏が執筆中です。そこで寺澤氏と同期で、創世記の野村証券の国際部門を共に支えた江頭啓輔氏のことも出ています(11月7日)。
 多分、個人的な能力は江頭氏の方が圧倒的にあったはずなのですが、つまらないスキャンダルで野村を追われてしまいました(多分西武グループ入りしたはずです)。

 寺澤氏の方は、仕事はほとんどせずにNY生活を満喫し(確かNY名誉市民になったはずです)、退社後は国際機関(MEGA)のトップや参議院議員をされていました。

 多分、野村証券で(報酬は別にして)一番楽しい人生を送られた方です。

平成23年11月8日

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:5 | TrackBack:1
■企業 | 2011.11.08
無料メルマガ配信(不定期)
↓↓↓
メルマガ購読・解除
 
関連記事
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

10月 | 2011年11月 | 12月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム