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2011年11月29日
日米とも野球シーズンが終わったのですが、日本と米国の野球界では関心事が全く違うようです。
米国MLBでは12月初旬のFA(フリーエージェント)選手との交渉解禁に向けて水面下で駆け引きが始まっています。
MLBでは、契約期間が終わった選手はFAとして、ワールドシリーズ終了の翌日から一定期間は旧所属球団が独占交渉権を持つのですが、それ以降(今年は12月2日以降)は全球団との交渉が解禁されます。
一定以上の評価とされるFA選手を失った球団は、移籍先からドラフト1巡目の指名権を譲渡されるなど、非常にガラス張りの公平なルールの下で「自由競争」が行われるのです。
また、同じく12月上旬に全球団のGM会議があり、すでに来シーズンに向けての戦力構築が始まっているのです。
しかしどの球団もやみくもにFA選手を獲得するのではなく、各球団とも補強するポイントを絞って有力FA選手から順々に交渉していくので、「その他大勢」のFA選手との交渉はずっと後回しとなります。
先回も書いたのですが、今年の全FA選手のランキングというのがあります。分かり易く言えば獲得に必要とされる資金総額の予想ランキングなのですが、予想の最高額はワールドシリーズを制したカージナルスのアルバート・プーホルズ一塁手の2億2000万ドル(9年契約で172億円。この選手は入団した時はドラフト27巡目だったと思います)で、2位がブリュワーズのプリンス・フィルダー一塁手の1億9000万ドル(8年契約で148億円。かつて阪神に在籍したセシル・フィルダーの息子です)となっています。
5番目に1億ドルで日本のダルビッシュ投手がいます。もちろんポスティング移籍金を含んだ金額なのですが、これだけ高順位ということは各球団の交渉優先順位も高いため、早くMLB入りの意思表示をすることが「礼儀」となります。他のFA投手との交渉を待たせてしまうことになるからです。
残念ながらアスレティックスの松井選手の順位は70位くらいで、DHという選手が余っているポジションなので、来シーズンのキャンプ開始直前まで所属先が決まらないと思います。いずれにしても買い叩かれると思います。
一方、日本のプロ野球の最大関心事が、解雇された巨人軍の某球団代表と一応社会的影響力の大きい読売新聞との「子供の喧嘩」のようでは、今後も日本のプロ野球が面白くなる気配は全くありません。
MLBの現在の活動に比べて悲しくなるほどの「程度の低さ」です。
さらにDeNAの横浜球団買収まで雲行きが怪しくなっています。楽天だけでなく(楽天が泣きついた)巨人も反対に回り、株式のインサイダー取引の噂を立ててまで阻止しようとしています。
DeNAは断固として撤退すべきです。ドブに金を捨てることはやめるべきです。株価も上昇しますよ。
もう一つ日本のプロ野球で不思議に思うのは、その横浜球団の監督候補として新聞辞令が出ているK投手とか(もう一人元巨人軍のK投手もいたのですが)、そもそも今回の巨人軍騒動のきっかけとなったE投手など、コーチ経験もなく、ましては監督としての能力など全く未知数な人物の名前が出てくることです。
監督の能力というのは、選手との能力とは基本的に別のものなのです。
MLBでは、ワールドシリーズを制したカージナルスのラルーサ監督(シリーズ後に勇退を発表しました)のように、選手としての能力に早々と見切りをつけて監督としての修業を積んできた監督が多数います。
最後に、近年のMLBではセイバーメトリクス(選手のデータを統計学的に分析し、客観的評価に生かす手法)が急速に取り入れられてきています。
紙面がなくなってきたので詳しい説明は省きますが、2001年にMLB入りしたイチロー選手がその年に首位打者をとってMVPに選ばれたのに、2004年にシーズン安打記録を更新した時は意外に評価されなかったのも、その間にセイバーメトリクスの考えが浸透したからです。
サイバーメトリクスが最も重視するのがOPS(On-Base plus Slugging 出塁率プラス長打率のこと)で、イチロー選手は意外に低いのです。
同様にイチロー選手が本年、MLB入りして初めて守備のゴールドグラブ賞を逃したのも、セイバーメトリクスで守備での貢献度を数字で表すようになったことと無関係ではありません。
そういえば、「マネーボール」という映画が来ていますが、モデルのアスレティックスのビリー・ビーンGMは、セイバーメトリクスを考案したわけでもなく、最初に実践したわけでもなく、あくまでも「フィクション」として見ることをお勧めしします。
原作者のマイケル・ルイスは元ソロモン・ブラザースの債券セールスマンで「ライアーズ・ポーカー」という本を書いていますが、あることないこと自分の自慢話ばかりで、非常に「後味の悪い」本です。
私は「マネーボール」は見ません。
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