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野村証券首脳の大罪

2012年02月03日

野村証券首脳の大罪

 まだチャート分析の途中なのですが、本日はこの話題です。

 昨日(2月1日)、野村ホールディングスが2011年4~12月期の連結決算の最終損益が104億円の赤字だったと発表しました。10~12月期の最終損益が178億円の黒字となり、460億円の大赤字だった7~9月期に比べれば改善したのですが、「すかいらーく」の売却益が300億以上あったことを考えるとあまり誉められたものではありません。

 またいつも大赤字の海外部門は、10~12月期も193億円の大赤字を出しています。

 昨年11月にMoody’sが格付けを現在のBaa2から引き下げ方向で見直すと発表しているため、何が何でも10~12月期を黒字化する必要があり、相当「無理をした」決算だったはずです。とりあえず株価は300円(20円高)まで上昇しました。

 さて、野村証券(この名称を使います)が窮地に陥った最大の原因が、2008年に破綻したリーマンブラザースからの欧州・アジア・中東の事業買収であることは間違いありません。しかしなぜこういう「暴挙」に出てしまったのかは、昨年11月7日付け「野村証券の病巣  その1」、11月8日付け「野村証券の病巣  その2」、11月11日付け「野村証券の病巣  その3」に、歴史的背景を含めて詳しく書いてありますのでぜひ読んでみて下さい。

 要するに営業現場にも商品本部にも海外部門にも、何の地盤も実績もない渡部賢一CEOが、「自分の長期政権と高額報酬」のために「一部の側近とだけ相談して」「自分もろくに理解していない危険な事業」にのめり込み「必ず大失敗する」典型例になったのです。

 そこで本日は、このリーマンブラザースの事業買収が「なぜこうも悲惨な結果になったか」を少し詳しく解説します。結論から先に言っておきますと、これは「たまたま」うまくいかなかったのではなく、「最初から必ず大失敗する」ものだったのです。

 野村証券は、リーマンブラザースの欧州・アジア・中東各部門の「人間」だけを高額・長期の報酬を保証して8000人も引き取りました。「会社を買うと資産の劣化が心配なので(優秀)な人間だけを手に入れた」と当時は胸を張っていた渡部CEOですが、高額報酬(平均4000万円)を長期(3年ほど)にわたって保証しているので、最初から「膨大な人件費負担」が確定しているのに対し、収入の方は「全く保障されていない」とんでもない「不良債権の固まり」だったのです。

 大体、米国の投資銀行(注)には「凄腕」がごろごろしていると考えられているようですが、実際は「本当に優秀」な人間は全体のせいぜい5%です。あと15%は「本当に優秀」な人間と一緒に働く限り「まあ優秀」な人間で、あと50%は「全く普通で言われたことをやるだけ」の人間で、残る30%は「ほとんど使えない」人間なのです。これは事務職などを除いた「前線で戦う」人間の話です。

(注)投資銀行(インベストメントバンク)はリーマンショックを挟んで、破綻(リーマン)、銀行傘下(ベアスターンズとメリル)、自ら銀行持ち株会社へ転換(ゴールドマンとモルガンスタンレー)と、すべて姿を消しました。

 つまり投資銀行に限らず米国の会社は、業務遂行のシステムが確立しているためこんな比率で十分なのです。「凄腕」ばかりだと会社がうまく回りません。また「ほとんど使えない」人間が30%もいるのは、米国企業は現場のセクションマネージャーに人を採用する権限がある程度与えられているのですが、大体が「全く普通」の人間であり自分より優秀な人間を絶対にとりません(とれません)。だからびっくりするくらい「使えない」人間がかなりの高給で雇われていることが結構あるのです。

 リーマンの社員の質が業界の平均よりどうだったかは議論しませんが(まあ破綻したので、それほど質が高かったとも思いませんが)、重要なことは、海外部門の社員の質が本社(NY)より高いことはあり得ず、また海外部門の業務は本社(NY)の各種サポートがあって初めて出来るものなのです。サポートとは商品開発・引き受け・トレーディング・リサーチなどで、本社が消滅したリーマンの海外部門が従来のように稼ぐことは絶対に不可能だったのです。

 さらに、リーマンに限らず「本当に業務を仕切れる」のは前述の一握りの「本当に優秀」な人間だけなのですが、実際にかなりの「本当に優秀」な人間が最初の段階から抜けていました。つまり「本当に優秀」がいないと「まあ優秀」な人間も「全く普通」の人間になり、これまた従来のように稼ぐことは絶対に不可能だったのです。

 つまり野村証券は、絶対従来のように稼げなくなっている「全く普通」の人間と、もともと全く稼げない「ほとんど使えない」人間を、従来通り(あるいはそれ以上)の高給を長期間保証して8000人も抱え込んだのです。

 もう1つ非常に重要なことは、米国投資銀行の本社の重要な機能はリスク管理で、どの会社も最先端のシステムで社員の行動を「監視」しているのですが、これまたリーマンは本社が消滅してなくなってしまいました。つまり社員の行動を全く「監視」出来ない状態で大量に抱え込んだのです。

 そこへ持ってきてリーマンの社員に更なる「成果報酬」まで約束したのです。つまりリーマンの社員が高額報酬を狙って「とんでもなく危険な取引」にのめり込み、本社(野村証券)がほとんどチェックできない状態だったのです。

 個人的には、かなりの確率で欧州部門に発見されていない損失があると思います。

 普通、トップが業務に精通していればこういう「暴挙」は行いません。どうしても海外業務を拡大したければ、一部の「本当に優秀」な人間をまず一本釣りして、十分な監視体制の下でチーム作りをさせるはずです。

 渡部CEOと柴田COOは最近になって、元リーマンの現場トップ2人を解雇しました。自らの責任を認めず現場に責任を押し付けたわけですが、これで現場が一層の「無法地帯」になることに気が付かないのでしょうね。

 最後に、ちょうど1年前になりますが、昨年2月3日付け「野村証券社長の話  その1」と、2月4日付け「野村証券社長の話  その2」の最後のところで、渡部・現社長はメリルリンチが身売りする元凶を作りながら驚異的な粘り腰で172億円の退職金をせしめたオニール・元CEOに非常に似ていると書きました。当たっていると思いますので、ぜひ読んでみて下さい。

平成24年2月3日

(ドル・円・ユーロインデックスのチャート比較 その2)の中で使いました写真が00時00から00時45分ぐらいまでの間、間違えた写真を掲載しておりました。
大変申し訳ありませんでした。

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