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国債についての「常識」のウソ その1

2012年02月08日

国債についての「常識」のウソ その1

 最近、新聞やテレビでやたら「国債」が取り上げられ、数々の「常識」が語られています。大半が消費税引き上げのために国民に解説される「常識」なのですが、明らかに間違っている「常識」がかなりあります。

 本日は、これらの「常識」のウソを解説します。

(その1)国債利回りが上昇すると財政負担が増えるというウソ

 消費税を上げなければ財政が破たんし、ギリシャ並みに国債利回りが上昇して一層の財政危機に陥り、年金や医療サービスなども破綻するということのようですが(まず、消費税を上げなかったら国債利回りが上昇するというのもウソなのですが、これは後回しにします)、仮に国債利回りが何らかの理由で上昇しても既に発行されている国債の利率は償還まで変わりません。だからこの分の財政負担(利払い)は一切増えません。
  
 もちろん新たに発行される国債は、その時の実勢に合わせた利率にしなければならないので、利回りが上昇していればその分の財政負担は確かに増えます。

 ここで何故か国債利回りが3.5%になったらという前提が使われるのですが、これは現在の利回りが約1%の10年国債のことだと思われるので2.5%の利回り上昇となり、国債発行残高が約1000兆円なので国債の利払いだけで20数兆円増えると堂々と言っているエコノミストがいます(実名をあげてもいいのですが、ご本人の名誉のためにやめておきます)。

 確かに10年国債の平均落札利回りから定数(0.2~1.03%)を引いた数字が利率になる15年変動利付国債が以前発行されていたのですが、2008年を最後に発行が取りやめになっており残存額も20兆円ぐらいしかありません。

 従って、国債利回りが上昇すると発行されている国債全額の利払いが増えるかのような「常識」はとんでもないウソなのです。

(その2)国債利回りが上昇すると国内銀行が巨額の損失を被るというウソ

 消費税を上げないと国債利回りが上昇し(これもウソなのですが後回しにします)、多額の国債を保有している銀行が巨額の損失を被り、預金に金利が払えないとか(いまでもほとんど払っていないのですが)預金の払い戻しが出来なくなるということのようですが、これもとんでもないウソです。

確かに何らかの理由で国債利回りが上昇すれば国債価格は下落します。しかし、その計算の前提があまりにも大げさなのです。

 ここでも何故か国債利回りが3.5%になったらという前提が使われているのですが、これも現在の利回りが約1%の10年国債のことだと思われるので2.5%の利回り上昇となります。これは大雑把に言って価格が18%下落することになり、直近の国内銀行の国債保有額が163兆円なので、その18%に当たる30兆円の評価損が出て国内銀行全体の自己資本が大半毀損するということのようです。

 そもそも国債利回りが3.5%ということ自体がナンセンスなのですが、仮にそうだとしても銀行が全額を10年債で保有しているはずがなく、現在の保有国債の平均残存年数が3年強しかありません。そうすると仮に10年国債利回りが2.5%上昇して3.5%になったとしても、現在の利回りが約0.25%の残存3年強の国債の利回りがどれくらい上昇するか考えればよいのです。

 幾らなんでも日銀が政策金利まで2.5%も上げるとは考えられないので、短期金利がゼロのままだとすると3年強の国債利回りは単純に期間按分して1.15%(0.9%の利回り上昇)、短期金利が0.5%になっていたとしても1.5%(1.25%上昇)にしかなりません。

 これでもあり得ない前提なのですが、仮に銀行保有の平均残存3年強の国債利回りが現在の0.25%から1.5%へ上昇したとしても価格は4%ほどの下落に過ぎず、163兆円の評価損は6.5兆円なのです。

 もっと現実的な計算では、多少国債利回りが上昇しても銀行の評価損はもっともっと少なく、びくともしません。

(その3)海外投資家の日本国債保有が増えると、「売りたたき」されて価格が暴落するというウソ

 現在の外人の日本国債保有は76兆円で、しかも大半が短期国債です。しかも保有している投資家は海外の中央銀行が中心です。

 本来は、財政問題とはまったく別に考えて海外における国債保有額の拡大と、保有先の多様化を図っておく必要があるのですが、この際に必ず出てくる「常識」がこれです。

 海外における国債の保有先は、世界の債券発行残高の約70兆ドル(5300兆円)を保有している中央銀行、民間銀行、年金、債券ファンドなどで保有した国債を売却することはあっても、わざわざ「売りたたく」ことは全く利益につながらず、あり得ません。

 確かにヘッジファンドの中には、日本国債の価格下落に賭けるポジションを取っているところは多いかもしれませんが、彼らは日本国債などはじめから1円も保有していません。

 従って、外国人投資家の日本国債保有が増えると「売りたたかれる」というのはとんでもないウソで、国策的にはもっと積極的に海外投資家の日本国債保有を増やす努力をしなければならないのです。

 まだまだ続きます。

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■日本 | 2012.02.08
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