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AIJ投資顧問へやっと強制捜査の意味するもの

2012年03月14日

AIJ投資顧問へやっと強制捜査の意味するもの

 AIJ投資顧問事件については、証券取引等監視委員会(以下「証券監視委員会」)が今月下旬にも金融商品取引法(以下「金商法」)違反で強制捜査することを決めたと大手新聞各紙が報道しています。各紙の報道内容がほぼ同じなので、これは当局から提供された「リーク」記事です。

 本件については、捜査機関の「あまりにも悠長な対応」と「強制捜査を事前に自らリークすること」を不思議に思っていたのですが、やっと謎が解けました。

 AIJ投資顧問は3月23日まで営業停止で、それが終われば証券監視委員会(開示調査課)が金融庁に「免許取り消し」を勧告し、多分即時に「免許取り消し」となります。

 強制捜査するということは、証券監視委員会で犯則事犯を扱う特別調査課が出てきて東京地検特捜部(以下「特捜部」)へ告発して刑事事件化します(実際は容疑が固まった時点で逮捕し、起訴直前に特捜部の意向を十分に反映した内容の告発を行います)。

 つまり「免許取り消し」処分を下して金融庁の監督下から外したあとで刑事事件化するためなのです。

 あくまでも金融庁の監督下ではない「悪いAIJナントカ」を刑事事件化するのです。

 結局、金融庁の責任逃れ以外の何物でもないということです。あまり「悠長」だと「残余資産が隠匿される」などの批判が出てくるため、強制捜査を「予約」したわけです。

 考えてみれば本件は、捜査すればするほど「金融庁の監督責任」が出てくるのでこういう「配慮」になるのですが、その後は「大半のまともな投資顧問会社」や「真面目に新規参入しようとしている投資顧問会社」や「年金運用そのもの」への規制が滅茶苦茶に厳しくなり、金融市場の発展の「新たな阻害要因」となるはずです。

 さて何はともあれ刑事事件化するのですが、その容疑としては「契約に関する偽計」を初適用するようです。これは金商法で禁止されている投資一任契約に際して虚偽の説明をすることで、罰則としては3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。

 かねてより、すぐに適用(つまり逮捕)出来るのは同じ金商法違反の「事業報告書の虚偽記載」だと指摘していたのですが、それだと6か月以下の懲役または50万円以下の罰金と非常に軽いので、やや重い「契約に関する偽計」としたのでしょう。つまり予約通りに強制捜査を行い特捜部が逮捕・起訴しても、課せられる「最高刑罰」が3年以下の懲役(普通、執行猶予です)または300万円以下の罰金にすぎないのです。

 明らかに「詐欺」だと思われるのですが、「詐欺」は金商法違反ではなく、今回は金商法違反事件として証券監視委員会と特捜部が出てくるので、あくまでも最終目的は金商法違反の「契約に関する偽計」での逮捕・起訴だけなのです。

 つまり「詐欺事件」にするためには警視庁が最初から捜査しなければならないのですが、金商法違反で特捜部が逮捕した容疑者は、なかなか警視庁は手を出せません。また証券監視委員会と特捜部が押収した資料も見せてもらえません。

 また金商法違反で特捜部が逮捕・起訴した事件を、警視庁が別の容疑で逮捕・起訴することも非常に稀です(注)。

 オリンパス事件では、確かに特捜部が警視庁と協力した「珍しいケース」で、実際に横尾容疑者ら3名は警視庁が逮捕しています(再逮捕の容疑は金商法違反ではなく詐欺容疑です)。しかし、これは当初から反社会勢力の関与が疑われていたからの協力で、AIJ投資顧問では行われません。

 そう断言できる理由は、「詐欺事件」や「反社会勢力の関与した事件」となるとますます金融庁の監督責任が追及されるからで、あくまでも金融庁の管轄下の証券監視委員会の権限である金商法違反のみでの逮捕・起訴にとどめて、詐欺や反社会勢力の関与は捜査すらしないはずです。

 オリンパス事件とAIJ投資顧問事件の最大の相違点がここで、監督責任のある官僚組織(この場合金融庁)があるのとないのとでは対応が大違いなのです。

 ついでに言いますと、オリンパス事件の容疑(横尾容疑者らの詐欺容疑は除いて)は金商法違反の有価証券報告書の虚偽記載です。これは最近事件化した同じ金商法違反の偽計(昨年のNESTAGE、井上工業、最近のセラーテムなど)と並んで、罰則が10年以下の懲役または1000万円以下の懲役と「非常に重い」のです。

 批判を覚悟で言いますと、オリンパス事件にしても、NESTAGE、井上工業、セラーテム事件にしても、あくまでも株式市場の中の事件で、あえて「被害者」を探すと「株式市場の参加者」となるのですが、もとより株式市場は「自己責任」のはずです。

 AIJ投資顧問事件の「被害者」は本来株式市場と何の関係もない多数の「年金加入者」で、その資産である年金が2000億円も「消滅」したのです。従ってオリンパス事件に比べてその社会的被害は比べ物にならないほど大きいのですが、その罪がオリンパス事件に比べて「格段に軽い」のです。

 金商法は、本来はもっと自由であるべき株式市場を「いたずらに厳しく取り締まる」ために旧証取法に比べて格段に整備・強化されたもので、そこへ本来想定されていなかった金融庁の監督責任にかかわる事件が出てきてしまうと、そもそも適正な条文が用意されておらず、それに官僚(金融庁)の責任逃れが重なると非常に不公平・不条理なことになってしまうのです。

(注)その非常に稀なケースが最近ありました。井上工業架空増資事件(金商法違反・偽計)では関与が少ないと起訴を免れた「神商」の関係者が、金融業の無資格営業で警視庁に逮捕された事件です。海外逃亡していた実質経営者の永本壱柱(本名:ソン・イルジュ)も3月10日に帰国し逮捕されました。警視庁の「執念」が実ったようですが、「容疑」そのものは微罪のため今後の成り行きが注目されます。
 「神商」の活動?の一端については、昨年6月2日付け「まだある株式市場のとんでもない話」に書いてあります。


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