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旧・内務省の亡霊が支配する日本  その1

2012年03月21日

旧・内務省の亡霊が支配する日本  その1

 本誌では何度も、いろんな事件(経済事件だけとは限りません)の背景を考える時には官僚組織の理解が不可欠であると書いてきました。

 官僚組織とは、701年に藤原不比等(注)によって制定された大宝律令でその原型が作られ、以来1300年以上にもわたって生き続けているのです。日本に議会政治が導入されてから122年目、自由民主党政権が出来てから57年目、現在の民主党政権はわずかに3年目で、全く「ケタ」が違うのです。しかし、この辺から書くと長くなるので省略します。

(注)教科書では編集責任者が皇族の刑部親王となっています。「権威」を借りる体質はそのころからあったのです。藤原不比等については昨年5月16日付け「書き換えられた歴史・藤原氏の正体  その1」、5月17日付け「同、その2」、5月18日付け「同、その3」に書いてあります。

 別に今の官僚組織まで藤原氏が牛耳っているわけではないのですが、その体質・考え方・生き方などは見事に1300年以上受け継がれてきているのです。

 現在の最強の官僚組織とは、国家の資金を扱う旧・大蔵省と、独立した公訴権を持つ検察庁(法務省)であることは間違いなく、経済事件を考える時には常に頭に入れておかなければなりません。また、この両者の「関係」が常に微妙に変化していることも重要です。昨年9月6日付け「旧・日債銀の経営陣への無罪判決とその背景  その2」にその一端を書いてあります。

 オリンパス事件は、この両者の関係だけでほぼ説明がつきました。つまり旧・大蔵省の意向により傘下のメガバンク(特に三井住友銀行)の貸付債権の保全を最優先としたのです。事件は「一部経営陣と外部の指南役」の仕組んだ事件として、オリンパスの経営権は見事に銀行出身者を中心とした社外取締役が握りました。検察庁も「海外の報道によって発覚した」責任を追及されることもなくメンツを保てたのです。

 さて、ここからが本題です。

 AIJ投資顧問事件では、事件そのものは非常に単純なのですが、事件化して1ヶ月もたつのに「関係者」は自由に歩き回り、「近々、強制捜査」と「予告」だけが出てくる異常な状態が続いています。

 これについては3月14日付け「AIJ投資顧問へやっと強制捜査の意味するもの」でも書いたように、証券取引等監視委員会から「登録取り消し」の行政処分の勧告を待って(3月23日予定)登録を取り消し、金融庁の「直接監督下」から外してから「刑事事件化」するためなのですが、実はそれだけでも全部は説明できません。

 ここは、旧・大蔵省と検察庁以外に厚生省(現在は厚生労働省)を考慮に入れて考えなければならないのです。

 厚生省は、戦前まで「官庁の中の官庁」と言われて絶大的な権力を保持していた旧・内務省の「本流」なのです。普通、旧・大蔵省である財務省や金融庁、あるいは検察庁と比べると、厚生省(厚生労働省)の力は落ちると考えられています。

 ところが、そうでもないのです。だから旧・内務省について理解しておく必要が出てくるのです。

 旧・内務省の詳しい解説は次回にするとして、非常に象徴的な現在進行形の「事件」を1つだけ挙げておきます。

 昨日(3月19日)、政治資金規正法違反で検察審査会の起訴決議により強制起訴されていた小沢一郎・元民主党代表の裁判が結審しました(判決は4月26日)。

 これについては、ちょっとした事情があるためコメントしませんが、そもそも強制起訴を決めた検察審査会へ提出した捜査報告書に明らかな虚偽が含まれていたことが明らかになってきています。しかしこれに対する検察庁の対応が、2010年9月の郵便不正事件で証拠を改竄した担当検事を逮捕した時の「迅速さ」「深刻さ」と全く違い、問題視する気配すら見えないのです。

 どちらもその背景(どこまでが了承していたかなど)は絶対に明らかにされないとしても、問題の重要性・悪質性は全く同質のものであるはずです。

 その対応の違いは、郵便不正事件はターゲットが厚生労働省(繰り返しますが厚生省は旧・内務省の本流なのです)の高級官僚であったのに対し、小沢一郎氏は高級官僚ではないところから来ているのです。

 確かに小沢氏は有力政治家で、官僚組織が「仮想敵」とみなしていることも重要なのですが、そもそも郵便不正事件では検察庁が「高級官僚」を「被害者」にしてしまい、さらにその高級官僚が厚生労働省であったことが検察庁の「迅速に」かつ「全面的に非を認めた」ことの根本的理由だと思うのです。

 「全面的に非を認めた」といっても実行者の元・担当検事と元上司(2人)だけを切り捨てて組織としての検察庁を守っただけなのですが、高級官僚ではない小沢氏に関しては「全く同質の改竄事件」であるにもかかわらず、全く気にしていないのです。

 「いくらなんでもそんな」と考えられると思いますが、もっと旧・内務省について考えてみる必要がありそうです。次回へ続きます。

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