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SMBC日興証券・インサイダー事件の「読み方」

2012年06月29日

SMBC日興証券・インサイダー事件の「読み方」

 少し時間がたっているのですが6月25日に、SMBC日興証券の元執行役員が同証券の取り扱ったTOBなどの未公開情報を伝えたとして、実際にインサイダー取引を行った投資家とともに逮捕されました。

 金融商品取引法違反の容疑なので証券取引等監視委員会がまず調査したのですが、今回は最初から刑事告発を目的とする「特別調査課」が出動し、容疑のインサイダー取引が行われた上場会社の所在地を管轄する横浜地方検察庁が逮捕したものです。

 逮捕されたSMBC日興証券の元執行役員は三井住友銀行からの出向で(先月に懲戒解雇となっているのですが、本件とは別の理由のようです)、銀行時代の顧客への「損失補填」のために複数の銘柄のインサイダー情報を伝えていた「弁解の余地のない悪質な犯罪」と言えます。

 ただ現在の金融商品取引法ではインサイダー情報を伝えただけでは犯罪にならず、実際のこの元執行役員は自らインサイダー取引を行っていたわけではなく、また収益の分配を受けていたわけでもありません。

 そこで、この元執行役員が「過去の損失補填」のためにインサイダー情報を伝え、自らも「損失補填が行われた」という意味では経済的利得を得ていると「認定」したのですが、かなりの「無理筋」ではあります。

 AIJ投資顧問事件でも問題となったのですが、金融商品取引法だけでは摘発できない又は微罪にしか問えない「悪質なケース」が出てきているため、金融庁や証券取引等監視委員会が何とか拡大解釈して適用範囲を広げようとした「努力」の結果です。

 2つの矛盾するポイントがあります。

 1つは、事件そのものは弁解の余地のない悪質な事件ではあるものの、現行の金融商品取引法では少なくともこの元執行役員は罪に問えなかったものを「とにかく逮捕した」わけで、これには素直に評価できます。

 もう1つは、現在の金融商品取引法を金融庁と証券取引等監視委員会が「どんどん拡大解釈」して、その気になれば誰でも逮捕できる「万能の武器」に仕立て上げていくのではないかという懸念です。これは今までもはっきりとその兆候があります。

 とはいっても最終的に有罪かどうかを判断するのは裁判所なのですが、証券取引等監視委員会の「告発」を受けた裁判は、すべて有罪判決となっているのです(注)

(注) 証券取引等監視委員のHPには、平成5年以降に告発した金融商品取引法違反(2007年以前は証券取引法違反)142件の裁判結果が掲載されているのですが、公判中の数件を除いてすべて有罪判決が出ています。つまり130連勝以上を続けているのです。

 気の早い話なのですが、もしこれで元執行役員が起訴されてそのまま裁判で有罪となれば(間違いなくなるのですが)、そこからは新たな「判例」となって今後はインサイダー情報を伝えただけの者も(普通は証券会社の役職員です)、いつでも逮捕できるようになるのです。

 逆に言えば、本件はその「判例」作りのための「格好の事例」だったようです。

 こうやって「与えられた武器(金融商品取引法)」をどんどん磨いて、誰でも逮捕できる「万能の武器」にしてしまうのも、検察庁(証券取引等監視員会は委員長も捜査幹部もすべて検察庁の出身者か出向者です)の得意とする手法なのです。

SMBC日興証券のインサイダー事件を、最近の増資インサイダー事件と並列に並べて「止まらぬ不祥事」などとする報道が目につくのですが、「全く異質な事件」です。

 少なくとも金融庁や証券監視委員会の「目的」は全く違い、増資インサイダー事件の方は、はっきりと「野村証券に引導を渡してメガバンク傘下に入れる」ためです。これについてはまた詳しく書くことにします。


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■闇株的見方 » 社会 | 2012.06.29
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官僚組織の「三種の神器」

2012年06月28日

官僚組織の「三種の神器」

 消費増税法案の可決から一夜明けたのですが、本日(6月27日)の日本経済新聞朝刊に吉川洋・東京大学教授の「消費増税はあくまで一里塚」とのコメントが掲載されています。吉川教授は自民党政権時に社会保障国民会議の座長を務めています。

 かいつまんで引用しますと「消費税を上げても景気を冷やす作用はそれほど大きくない。2007年1月にドイツが付加価値税を16%から19%に引き上げた際も、ドイツ経済への影響はほとんどなかった。日本では1997年に消費税を3%から5%に引き上げた後、景気が悪化したが、主因は金融危機だと分析している」だそうです。

 まあ東京大学教授のご意見なのでコメントすることも憚(はばか)られるのですが、まず1997年に消費税を引き上げたので景気が低迷し、銀行の貸付し資産が劣化して不良債権が積み上がり金融危機となったのです。いくら銀行でも最初から不良資産を作るために融資をしたわけではなく、想定以上の景気低迷によって不良資産が積み上がったためで、金融危機だけが突然発生したのではないのです。

 2007年のドイツの付加価値税の引き上げについては、2007年あたりは米国発の金融危機の起こる前で、世界経済が直近では一番活況な時だったので悪影響を吸収できたのです。その頃は日経平均でも18000円台でした。

 もう1つ、ドイツに限らず欧州諸国の付加価値税は一般的に高いことがよく引き合いに出されるのですが、それは高い付加価値税を前提にした社会の収益分配構造になっているからです。本日は詳しい説明は省きますが、日本の消費税とはそもそも比較すべきものではないのです。

 今回の日本の消費増税とは、2007年当時と一変した経済環境の中で、欧州諸国の収益分配構造と全く違う「まるまる消費者の負担増加となる消費増税(しかも倍増!)」を強行することになり、経済(特に消費)に壊滅的な悪影響となることは明らかなのです。

 1997年当時は現在よりはるかに経済が好調であった上に、増税に先行する3年間に恒久・特別合わせて年間5.5兆円もの減税を行っていたのです。それでも3%から「わずか2%」引き上げて5%にした結果が「金融危機」だったのです。

 まあ吉川洋・東京大学教授が、わずか15年前のことを「お忘れ」になっているとも考えにくいので、財務官僚のためのコメントを日本経済新聞がわざわざ掲載したことになります。何度も書いているのですが「官僚組織」が日本人を支配するために「マスコミ」をコントロールしておく必要があり、「マスコミ」もそれに十分に応えているのです。

 この「マスコミ」に「金融」と「ライフライン」を加えたものが「官僚組織が日本人をコントロールするための三種の神器」なのです。

 「ライフライン」の代表が電力会社です。だから東京電力の株主総会がいくら紛糾しようとも「税金投入」「値上げ」「地域独占の堅持」「(東京電力だけではないのですが)原発再開」となるのです。何か起こっても「電力」なしでは生活できず、また外国から「日本の発電・送電事業の市場開放」を言われることもないからです。

 JALの破綻処理は「ライフライン」ではなかったので、ほぼ民間に任せて一応は成功しました。しかし「典型的なライフラインである東京電力の処理」には、どこまでも官僚組織が関与して利権を囲い込み、値上げも含めた国民負担がどこまでも積み上がることになるのです。

 「金融」についてですが「官僚組織による金融支配」は(これを金融行政とも言うのですが)どこまでも銀行が中心にあります。つまり銀行(特にメガバンク)に利権を集中させ、その銀行をコントロールすることによる支配体制なのです。

 例えば消費者金融(サラ金)は、社会問題を起こしても高収益事業であることは間違いないため、結局すべてがメガバンクの傘下に入り、拒否した武富士は潰れました。

 従って主要な証券会社は、「聖域」の外資系証券と注文執行だけに特化しているネット証券会社などは除いても、すべて銀行傘下に入れてコントロールするのが「官僚組織による金融支配の正しい姿」となるのです。

 本誌で何度も書いているように「野村証券をメガバンク傘下に入れる」まで「増資インサイダー」でも何でも出てくるはずですが、これについては次回にします。

 最後に6月26日付け「2人の大物官僚について」の最後で書いた通り、陸山会事件の検察審査会への報告書に虚偽を書いた田代政弘・特捜部検事(当時)は本日(6月27日)正式に嫌疑不十分で不起訴となり、減俸(20%を6ヶ月。これは予想より厳しい)の行政処分のみとなりましたが、同日辞職しました。

 早稲田大学卒の「現場派」検事の田代氏だけが詰め腹を切らされ、実質的に主導した佐久間達哉特捜部長(当時)ら「赤レンガ派のエース」が揃う上司は、当然不起訴ですべて戒告・訓告・厳重注意(違いが良く分からないのですが、要するに口頭で注意を受けるだけ)のみの軽微な行政処分だけでした。

 最後に「現場派」で「つなぎ登板」していた笠間治雄検検事総長が辞任して完全に幕引きとなるはずです。笠間検事総長の辞任と言っても、最初から「赤レンガ派」のエースである小津博司・東京高検検事長に禅譲することが決まっていたもので「使える首(笠間氏)は有効に使う」だけなのです。


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