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官僚組織の「三種の神器」

2012年06月28日

官僚組織の「三種の神器」

 消費増税法案の可決から一夜明けたのですが、本日(6月27日)の日本経済新聞朝刊に吉川洋・東京大学教授の「消費増税はあくまで一里塚」とのコメントが掲載されています。吉川教授は自民党政権時に社会保障国民会議の座長を務めています。

 かいつまんで引用しますと「消費税を上げても景気を冷やす作用はそれほど大きくない。2007年1月にドイツが付加価値税を16%から19%に引き上げた際も、ドイツ経済への影響はほとんどなかった。日本では1997年に消費税を3%から5%に引き上げた後、景気が悪化したが、主因は金融危機だと分析している」だそうです。

 まあ東京大学教授のご意見なのでコメントすることも憚(はばか)られるのですが、まず1997年に消費税を引き上げたので景気が低迷し、銀行の貸付し資産が劣化して不良債権が積み上がり金融危機となったのです。いくら銀行でも最初から不良資産を作るために融資をしたわけではなく、想定以上の景気低迷によって不良資産が積み上がったためで、金融危機だけが突然発生したのではないのです。

 2007年のドイツの付加価値税の引き上げについては、2007年あたりは米国発の金融危機の起こる前で、世界経済が直近では一番活況な時だったので悪影響を吸収できたのです。その頃は日経平均でも18000円台でした。

 もう1つ、ドイツに限らず欧州諸国の付加価値税は一般的に高いことがよく引き合いに出されるのですが、それは高い付加価値税を前提にした社会の収益分配構造になっているからです。本日は詳しい説明は省きますが、日本の消費税とはそもそも比較すべきものではないのです。

 今回の日本の消費増税とは、2007年当時と一変した経済環境の中で、欧州諸国の収益分配構造と全く違う「まるまる消費者の負担増加となる消費増税(しかも倍増!)」を強行することになり、経済(特に消費)に壊滅的な悪影響となることは明らかなのです。

 1997年当時は現在よりはるかに経済が好調であった上に、増税に先行する3年間に恒久・特別合わせて年間5.5兆円もの減税を行っていたのです。それでも3%から「わずか2%」引き上げて5%にした結果が「金融危機」だったのです。

 まあ吉川洋・東京大学教授が、わずか15年前のことを「お忘れ」になっているとも考えにくいので、財務官僚のためのコメントを日本経済新聞がわざわざ掲載したことになります。何度も書いているのですが「官僚組織」が日本人を支配するために「マスコミ」をコントロールしておく必要があり、「マスコミ」もそれに十分に応えているのです。

 この「マスコミ」に「金融」と「ライフライン」を加えたものが「官僚組織が日本人をコントロールするための三種の神器」なのです。

 「ライフライン」の代表が電力会社です。だから東京電力の株主総会がいくら紛糾しようとも「税金投入」「値上げ」「地域独占の堅持」「(東京電力だけではないのですが)原発再開」となるのです。何か起こっても「電力」なしでは生活できず、また外国から「日本の発電・送電事業の市場開放」を言われることもないからです。

 JALの破綻処理は「ライフライン」ではなかったので、ほぼ民間に任せて一応は成功しました。しかし「典型的なライフラインである東京電力の処理」には、どこまでも官僚組織が関与して利権を囲い込み、値上げも含めた国民負担がどこまでも積み上がることになるのです。

 「金融」についてですが「官僚組織による金融支配」は(これを金融行政とも言うのですが)どこまでも銀行が中心にあります。つまり銀行(特にメガバンク)に利権を集中させ、その銀行をコントロールすることによる支配体制なのです。

 例えば消費者金融(サラ金)は、社会問題を起こしても高収益事業であることは間違いないため、結局すべてがメガバンクの傘下に入り、拒否した武富士は潰れました。

 従って主要な証券会社は、「聖域」の外資系証券と注文執行だけに特化しているネット証券会社などは除いても、すべて銀行傘下に入れてコントロールするのが「官僚組織による金融支配の正しい姿」となるのです。

 本誌で何度も書いているように「野村証券をメガバンク傘下に入れる」まで「増資インサイダー」でも何でも出てくるはずですが、これについては次回にします。

 最後に6月26日付け「2人の大物官僚について」の最後で書いた通り、陸山会事件の検察審査会への報告書に虚偽を書いた田代政弘・特捜部検事(当時)は本日(6月27日)正式に嫌疑不十分で不起訴となり、減俸(20%を6ヶ月。これは予想より厳しい)の行政処分のみとなりましたが、同日辞職しました。

 早稲田大学卒の「現場派」検事の田代氏だけが詰め腹を切らされ、実質的に主導した佐久間達哉特捜部長(当時)ら「赤レンガ派のエース」が揃う上司は、当然不起訴ですべて戒告・訓告・厳重注意(違いが良く分からないのですが、要するに口頭で注意を受けるだけ)のみの軽微な行政処分だけでした。

 最後に「現場派」で「つなぎ登板」していた笠間治雄検検事総長が辞任して完全に幕引きとなるはずです。笠間検事総長の辞任と言っても、最初から「赤レンガ派」のエースである小津博司・東京高検検事長に禅譲することが決まっていたもので「使える首(笠間氏)は有効に使う」だけなのです。


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■闇株的見方 » 社会 | 2012.06.28
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