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JAL再上場について考える

2012年07月11日

JAL再上場について考える

 2010年1月に経営破綻(会社更生法申請)したJALが、今秋にも再上場するようです。

 先週に全日空が野村証券主幹事で増資を発表したため、その関連で少し取り上げたのですが、本件に関して「本当に書きたいこと」はこれです。

 JAL再上場については「評価できるポイント」と「評価できない(というより、なるほどなあと思う)ポイント」があります。後者から行きます。

 JALの経営破綻で、誰がどれだけの「負担」を強いられたのでしょうか?

 全従業員の3割に当たる1万6000人が整理され、年金は現役社員が5割、OBが3割カットされ(それでも平均年額583万円が433万円になっただけですが)、金融機関は総額5200億円もの債権をカットされ、すべての株主の株券は「紙屑」となりました(一応、商法上の債権の優先順に書いています)。

 それ以外に、利用者は国内45の不採算路線を廃止され、国税は向こう最長9年間にわたって(巨額の累積赤字があるため)税収を失います。

 これに対して現時点のJALの株主資本は、破綻時に資本注入した政府(企業再生支援機構)が保有する3500億円、それに2011年3月28日の更生手続き完了直前の同年3月15日(東日本大震災の直後です!)に、京セラほか8社が割当増資に応じた127億円がすべてです。

 つまり、JALの再上場で「メリット」を受けるのは、この「株主だけ」なのです。もちろん大半(96.5%)が政府です。

 あまり「公平」だとは思えませんが、これが今後の企業再生の「ビジネスモデル」になりそうです。つまり大型の経営不振企業に対して「100%減資で既存株主の権利を消滅させる」「民間金融機関の貸出債権を大幅にカットさせる」「法的整理の名のもとに従業員の雇用・年金、一般債権(売り掛けなど)も大幅にカットさせる」、しかる後に「各種ビジネス上のサポートを与えて」あるいは「今までの利権に加えて新たな利権も確保して」短期間で高収益会社に化けさせ「膨大な再上場益を確保するビジネスモデル」です。

 「主語」がありませんが、もちろん「政府」「官僚組織」および「一部の利権を分け与えられた民間人(企業)」です。

 しかし「各種ビジネス上のサポートを与える」ためには、それだけ「規制に守られた」「独占か寡占状態の」「特に外国から市場開放を求められない」業種の大企業でなければなりません。

 そう、真っ先に思いつくのが「東京電力」です。たぶんJALで味をしめたら「次」でしょうね。

 エルピーダメモリやオリンパスでは、世界中で競争しなければならないので「適当な候補」にならなかったのです。

 一方「評価できるポイント」も確かにあります。それは(公平であるかどうかはともかくとして)曲がりなりにも株式市場を有効利用した企業再生であり、仮に成功すれば政府・官僚サイドで株式市場に対する評価が変わってくるかもしれないことです。

 つまり政府・官僚組織からすれば株式市場とは、「常に怪しい輩(やから)が跋扈しており、常に監視していないと悪いことばかりするところ」なのですが「意外に旨味(うまみ)があったので、次ももっと株価が上昇するように優遇しよう」になるかもしれないのです。

 もう1つ「評価できるポイント」は、JALの再上場で仮に利益が出た場合は、一応「オール日本」の利益となることです。過去には日本長期信用銀行のように10兆円もの税金を付けて外人に「タダどり」され、その膨大な再上場益に対して税金すら徴収できなかった「犯罪的なケース」があるのです。昨年1月12日付け「あらゆる失政が凝縮された日本長期信用銀行事件 その1」、同年1月13日付け「同、その2」に詳しく書いてありますので、ぜひ読み返してみて下さい。

 最後にJAL再上場については、政府はもうすっかり儲かったつもりになっているようですが、実はそうでもありません。

 7000億円もの新株売出し(つまり政府出資分が倍になる計算)を行うようですが、こういう大型増資は結局、外人投資家(主にヘッジファンド)の貸株調達・空売り・売り出し株購入・貸株返却という「短期間で利益が確定できる」取引が大量に入らないと成功しないのです。

 当然ですがJAL株は現在取り引きされていないので、貸株も空売りも出来ません。

 主幹事から野村証券(大和証券も)を外すそうですが、(ヘッジファンド向けの安直な営業しかしたことがない)外資系証券と、(明らかに株式業務の実績に乏しい)銀行系証券だけだと、新株売出しは「かなり苦戦する」と思うのです。

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■日本 » 日本の株式 | 2012.07.11
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