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2012年07月27日
野村ホールディングスの渡部CEOと柴田COOが「ようやく」辞任しました。本日(7月26日)の日経新聞朝刊に出ていた「新聞辞令」を見て、多分「一番びっくりした」のが渡部氏だったはずですが、1日で引導を渡されてしまいました。
これについては、またゆっくりと書くことにします。
本日は、昨日付け「新たな局面に入りそうな世界の金融政策」に頂いたコメントも反映しながら、書き足りなかったところを付け加えます。
昨日の記事で強調したかったことは、世界の金融緩和は「単純に資金を供給するだけ」では効き目が無くなっており「中央銀行の供給した資金が経済に行き渡るための方策」が重要になってきていることと、中央銀行の「その方向転換」が早ければ早いほど為替や株式への影響が大きく結果的に実体経済が回復することです。
「その方向転換」の代表が、まず中央銀行への預金金利をゼロにすることで、7月5日にECBが最初に踏み切りました。その結果、少なくともユーロは1ユーロ=1.25ドル台から昨日(7月25日)の1.20ドル台へ、対円では100円前後から昨日の94円まで「ユーロ安」となりました。
「ユーロ安」こそ、ユーロ圏諸国の抱える債務問題や高失業率に対する「ほとんど唯一の処方箋」で、そういう意味ではECBの決定は「劇的な効果」があったことになります。
FRBも7月31日~8月1日のFOMCでは、単なる追加量的緩和(QE3)ではなく、FRBへの預金金利(0.25%)の撤廃などを含む「貸出増進策」がとられる可能性があります。
一方、日本銀行では山口副総裁が昨日も「円高が日本経済にとって大きな下振れリスクと判断すれば追加の緩和を行う」と発言しているのは、見事に「認識のずれ」を表しています。
つまり「円高が日本経済にとって大きな下振れリスクと判断してから動く」のでは手遅れで、「積極的に円安・株高・市場心理の好転を呼び込む思い切った金融政策を海外の中央銀行に先駆けて行う」ことが必要な事態であることが「見事に理解できていない」のです。
もう1つ、金融緩和イコール量的緩和としか考えていないことも気になります。金融政策とは「量によって経済活動に直接影響を及ぼす効果」ではなく「市場心理を一気に好転させるアナウンスメント効果」がはるかに有効なのです。
日本銀行がすぐに行うべきは、日本銀行当座預金への付利(0.1%)の撤廃です。資産買入れ等の基金の残高目標を、現在の70兆円から100兆円に増額するよりはるかに効果があるはずです。残念ながらもう「量」は効かなくなっているのです。
ただECBはすでに撤廃しており、FRBも撤廃の可能性があるため、またしても日本銀行が「ビリ」になってしまう可能性があります(最後までやらない可能性もありますが)。
そこで次の「当座預金への懲罰金利(マイナス金利)」まで一気に行くべきなのです。
マイナス金利(例えばマイナス0.1%)の直接的波及効果を重視するのではなく、「日本銀行が世界に先駆けて打ち出した」という「市場心理を劇的に好転させるアナウンスメント効果」が必要なのです。
教科書的に考えれば、当座預金がマイナスになれば日本銀行の「買いオペ」や「資産購入」への応札が劇的に少なくなります。少しでも金利を生む資産を銀行が売却しなくなるからです。それはそれで市場金利(特に短期金利)が下がるので「円安」になります。
また銀行は当然のように当座預金を引き出して自行で保有することになります。まあさしあたって「少し期限の長い国債」を「思い切って」買ってみるくらいで、貸し付けに回ることはほとんどないでしょう。
つまり直接的な効果を期待しているのではなく、「日本銀行が世界に先駆けて積極的に動いた」ことが海外の投資家から評価され、「円安」「株高」となり「市場心理」が好転する可能性が重要なのです。
たまには世界をびっくりさせないと、永久に世界中から舐められてしまうものなのです。日本銀行が舐められるとますます日本経済が世界で存在感を失ってしまうのです。
逆に本日(7月26日)の欧州時間で、ドラギECB総裁が「ユーロを守るためにECBはあらゆる手段を取る用意がある」と発言した瞬間に株価が上昇し、スペイン国債の利回りが7.0%を割り込み、ユーロが96円台まで急伸したのも(これは多少痛し痒しなのですが)、ECBの存在感を見せつけたことになります。
最後にコメント頂いた日経新聞の「大機小機」ですが、結局何を言いたいのかが(掲載した日経新聞の思惑も含めて)良く分かりません。しばらく考えてみます。
今週は「近衛上奏文」は1回しか書けませんでしたが、次回は「二二六事件」です。再度調べ直しましたので来週早々に掲載します
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