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「日銀券ルール」を超えた日本銀行の長期国債保有

2012年08月17日

「日銀券ルール」を超えた日本銀行の長期国債保有

 日本銀行が本年8月10日に発表した営業毎旬報告では、日本銀行保有の長期国債残高が80兆9697億円となり、日銀券発行残高の80兆7876億円を「初めて」上回りました。

 正確に言うと日本銀行の同日現在の国債保有残高は、資産項目の長期国債が66兆4709億円で短期国債が13兆2369億円、別枠の資産買入れ等の基金の長期国債が14兆4988億円で短期国債が4兆5579億円、それらの合計が98兆7646億円となっています。

 この日本銀行の資産項目と資産買入れ等の基金の長期国債の合計が初めて日銀券残高を超えたことになり、「もう日銀は長期国債を買えない」「だから増税や社会保障の切り詰めが必要」といった理屈になって行くと思うのですが、これは財務省の理屈です。

 日本銀行の方は「これ以上国債は際限なく買えない、従って量的緩和も際限なくできない」との理屈に使われることになります。

 そもそも長期国債の保有額だけを日銀券発行残高の範囲内に抑えると言う「日銀券ルール」は、最初の量的緩和が始まったばかりの2001年8月に長期国債の買入れを増額した際に(と言っても月額4000億円を6000億円に増額しただけで、その後も何回か引き上げられて2009年3月以降は月額1兆8000億円になっています)日本銀行が際限なく国債を買い入れると「財政規律が緩む」として「日本銀行がわざわざ作った自主ルール」なのです。

 要するに政府に対しての「際限なく買わないぞ」という意思表示だったわけですが、実は2002年9月末(それ以前は長期国債と短期国債の残高内訳が発表されていません)の毎旬報告では長期国債が53兆2600億円・短期国債が30兆3696億円で合計国債保有額が83兆6297億円で、日銀券発行残高が67兆1463億円でした。
  
 つまり短期国債を加えた日本銀行国債保有残高は「大昔から」日銀券発行残高を超えているのです。中央銀行としての日本銀行が、日銀券(お札)という負債に見合う資産として国債を保有することは「極めて健全」なのですが、なぜか「長期国債」だけに「日銀ルール」をかけて「わざわざ制限」してしまったのです。

 それから2010年10月から導入された資産買入れ等の基金による長期国債保有は「長めの金利に働きかけることを目的とした臨時の手段であり、通常の国債買い入れとは分別管理されている」という意味不明の理由で「日銀券ルール」の適用外としています。
 
 従って本年8月10日現在では、資産買入れ等の基金の長期国債を除外すれば日銀券発行残高を上回っていないので「問題なし」としているのですが、だいぶ支離滅裂になってきています。

 ここで日本銀行が長期国債を際限なく買入れると、金利上昇リスクを抱えることになり中央銀行の資産として「好ましくない」という理屈は出てきます。

 そこは8月10日付け「日本銀行の困った体質」にも書いたのですが、日本銀行が年間21兆6000億円買い入れているはずの「長期国債」のかなりの部分が残存年数3年未満で(もちろん10年以上の国債も少しは買い入れているのですが)、資産買入れ等の基金の「長期国債」も本年4月に残存年数が3年未満になったのですが、それまではすべて2年未満だけが対象でした。

 つまり日本銀行の言う「長期国債」とは、発行時に短期国債でなかったというだけの意味で、決して「(償還期限の)長い国債」のことではないのです。

 従って日本銀行の金利上昇リスクはほとんど心配する必要はありませんし、「出口戦略」を心配しなくても、そのうちすべて償還になってしまいます。だいたい日本銀行はここ10年で資産買入れ等の基金も入れると軽く100兆円を超える「長期国債」を買い入れている計算になるのですが、「長期国債」の保有額は2002年の53兆円から直近の80兆円と、僅か27兆円しか増えていないのです。

 ついでに言いますと、その間に短期国債の保有額が30兆円から18兆円弱へ「減って」おり、国債保有総額でみると2002年の83兆円が直近の98兆円へと15兆円しか増えていないのです。ほとんどミステリーです。

 現在のペースでは、日本銀行の長期国債取得は資産買入れ等の基金を含めて年間43兆円ほどになり、今年の長期国債の市中消化額の44.2兆円に接近するので「財政規律が緩む」と言うのは、ほとんど意味のない議論なのです。

 そもそも日本銀行の量的緩和とは、預金総額が直近の589兆円に対して貸出総額が420兆円しかない全国銀行を相手に(証券会社や短資会社も相手です)、利回りが0.1%に張り付いた残存年数3年未満の国債を、同じく0.1%の当座預金と「スケジュール通りに交換しているだけ」で、そこには市場原理も何もなく実体経済に「何の影響もない」のです。

 だったらどうすればよいのか?は次回にします。

最後に、昨日付け「現職官僚が靖国神社に参拝した!」に対し、「それではA級戦犯が日本国民に与えた甚大な被害の責任を追及しないのか?」というコメントを頂きました。

 決してそう考えているわけではありません。しかし当面は中国政府や韓国政府が「日本は戦争犯罪人を祀るような侵略国家である」と、明らかに「現在の日本」が攻撃されて「国策が損なわれている」のです。その理由のかなりの部分は、現在を含む戦後の政権担当者の「弱腰」にあると思っているからです。

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■闇株的見方 » 経済 | 2012.08.17
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