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米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その1

2012年08月27日

米国金融危機で「あまり説明されていない」救済劇  その1

 リーマン・ブラザーズが破綻するなど米国発の金融危機がピークを迎えた2008年9月からほぼ4年がたちました。

 当時の米国では数多くの金融機関に対する破綻処理や民間による救済合併があったのですが、今から考えてみると「最初から税金を使って(つまり公的資金で)救済することになっており、民間企業を一切関与させなかった」金融機関が3つあったと思います。

 その3つとはFNMA(ファニーメイ)、FHLMC(フレディマック)、AIGです。これらの救済劇の内幕は何故かあまり明かされていません。そこで米国発の金融危機から4年たった今、改めてこれらの救済劇を振り返ってみたいと思います。

 一方、2008年3月にJP Morganに救済合併されたベアー・スターンズ、2008年9月15日に破綻したリーマン・ブラザーズ(注)、同日バンカメに救済合併されたメリルリンチなどは民間企業による救済劇であったため、その経緯は比較的よく知られています。

(注)リーマンも破綻するその日まで英国・バークレイズによる救済合併が期待されていました。当時の社長が先日のLIBOR不正操作事件で辞任に追いやられたボブ・ダイヤモンド前CEOです。交渉経緯などは省略しますが、そこで米国金融界の中で英国金融当局・バークレイズ・ダイヤモンド氏に対する「不信感」が残ったことは事実で、LIBOR不正操作事件摘発の遠因となっているのかもしれません。

 この3社のうち、まずFNMAとFHLMCから始めます。この2社は別会社なのですが、業務内容などすべてが似通っているため同時に解説します。そして2社同時にリーマン破綻の1週間前の2008年9月8日に国有化されています。

 FNMA(Federal National Mortgage Association)は1938年に米国内の住宅供給を目的として設立された政府系金融機関で、1968年に民営化されて株式公開しました。FHLMC(Federal Home Loan Mortgage Corporation)は1970年に設立された民間企業で、業務内容はFNMAと全く同じものでした。

 つまり両社とも純粋な民間会社なのですが(FMNAは政府系金融機関が民営化されたもの)、何故かGSE(Government Sponsored Enterprises・政府支援法人)という「極めて曖昧」な位置付けとされていました。これらの債務は、法的には何ら根拠がないものの「暗黙の政府保証」が付けられていると理解されていたのです。

 これは米国内だけでなく日本や中国を含む国際債券市場でも「理解」されており、この2社の発行する社債は米国国債とほとんど変わらない利回りで流通していました。

 さらにこの2社は紛れもない金融機関なのですが、なぜか商業銀行に比べて「驚くほど低い自己資本比率」しか求められていませんでした。これは巨大なレバレッジ取引を可能とします。また当局による監督体制も全く十分ではありませんでした。

 なぜこういうことが長年続いてきたのかと言いますと、この2社が行う政府関係者の天下り受け入れ・多額の政治献金・活発なロビー活動などの成果でした。日本の特殊法人みたいなことが米国でもあったのです。

 かくしてこの2社は、巨額の住宅ローン債権(モーゲージ)の保証による保証料と証券化の手数料、米国国債並みの利回りで調達した豊富な資金を使って自ら巨額の住宅ローン債権(モーゲージ)を保有する値鞘で、巨額の利益を上げていました。
 
 2008年には、これら2社の合計で全米の住宅用モーゲージの約半分を保有もしくは保証しており、その額は4兆4000億ドルにも上っていました。そのうちのかなりの部分は証券化され、格付け機関の「甘い」格付けで世界中の機関投資家に販売されていました。

 ITバブルの崩壊に加えて2001年9月11日の同時多発テロによる景気後退を回復させるための低金利は、米国に空前の住宅ブームを引き起こしたのですが、その原動力は信用力の乏しい低所得者を対象にしたサブプライムローンでした。

 つまりサブプライムローンは2004年~2007年の短期間で急増し、残高が1兆3000億ドルにもなっていました。当時の全米のモーゲージ残高(住宅だけでなく商業用も含む)は13兆ドルにも上り、当時のGDPの14兆ドルと比べても「非常に巨額」であることは明らかです。またそのうち6兆6000億ドルほどが証券化され「誰が保有しているのか分からない」状態になっていました。

 こういう中で2006年の年末頃から不動産市況に翳りが見え始めます。特にサブプライムローンの延滞率が急上昇し、住宅の差し押さえが続きます。サブプライムローンの融資額の多かった貯蓄貸付組合の経営不安が囁かれ始めたのですが、この時点ではFNMAやFHLMCの経営まで傾くとは誰も夢にも思っていませんでした。

 そして2007年8月9日に最初の火の手が欧州から上がるのですが、続きます。

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■為替・金融 » ドル | 2012.08.27
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