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もう一度だけユダヤ人とユダヤ教について

2012年09月26日

もう一度だけユダヤ人とユダヤ教について

 本日(9月26日)こそヨム・キプール(大贖罪日)なので、もう一度だけユダヤ人とユダヤ教について考えます。その理由は世界の政治・経済を考える時、同根の「一神教」であるユダヤ教・キリスト教・イスラム教と、それぞれの歴史的関係を「公平に」理解しておく必要があると強く感じるからです。

 キリスト教では、神の天地創造に始まる「旧約聖書」とイエスとその弟子の伝道活動に
ついての「新約聖書」をあわせて「聖書」とするのですが、ユダヤ教では新約聖書を認めず(従ってイエスを神とも救世主とも認めず)旧約聖書に該当する分を「聖典」とします。「旧約聖書」と「聖典」は順序が違うだけで内容は全く同じです。

 このユダヤ教の「聖典」の最初に出てくるモーセ五書が「トーラー」と呼ばれ、唯一の神(ヤハウェ)の権威の源泉であり、またユダヤ教徒の生活の根幹をなすものです。613もの規律が決められています。

 この「トーラー」の最初の部分が「創世記」で、天地創造・アダムとイブの楽園追放・大洪水とノアの方舟と続きます。ノアの方舟の話は繰り返しませんが、聖書が絶対と信じるキリスト教・福音派の人々は「実話」と信じ、人工衛星を使って方舟の残骸を探しているそうです。

 何でもトルコとイランの国境にあるアララト山の頂上近くが「有望」らしいのですが、このアララト山の写真が日本の1000円札に刷り込まれているのをご存知でしょうか?

 「創世記」に話を戻しますが、そのノアの11代目の子孫であるアブラハムに神(ヤハウェ)が「カナン(イスラエル)の全地を与える。そこで子孫を大いに増やせ」と告げます。かくして今のイスラエルは「神がユダヤ人に与えた地」となり、アブラハムはユダヤ人の始祖となるのです。

 だいたい紀元前18世紀くらいのことのようで、これが現在も続くパレスチナ問題の遠因なのですが、この時アブラハムは故郷であるメソポタミアの都市国家「ウル」を捨てて、甥のロトだけを連れてカナンに向かいます。

 「ウル」はシュメール人の建設した都市国家ですが、アブラハムがカナンを目指したころはバビロニア帝国のハンムラビ王が治めていました。アブラハムは実在の可能性が無い「聖典」上の人物ですが、実在したハンムラビ王と同時期の時代に「生きて」いたことになります。

 さらに言えば、シュメール人がメソポタミアの地に「突然」登場するのが紀元前3800年頃で(天地創造が紀元前3761年とされています)、紀元前3500年ころに(ノアが方舟を造ったような)大洪水に見舞われたことも発掘で分かっています。つまりユダヤ教の「聖典」も、同じものである「旧約聖書」も、メソポタミアの史実から来ているような気がします。

 さてカナンの地でアブラハムは妻サラをめとるのですが子供ができません。そこで妻サラが奴隷女ハガルを差し出して生まれた息子がイシュマエルです。ところがその後に妻サラとの間に息イサクが生まれると、アブラハムは(多分サラにそそのかされて)イシュマエルと母親ハガルを砂漠に捨ててしまいます。

 このイシュマエルが生き残ってアラブ人の始祖となり、そのイシュマエルの子孫がイスラム教の開祖・ムハンマドとされています。つまりアラブ人はユダヤ人の子孫と言うことになるのですが、アブラハムと同時期に実在したハンムラビはアラブ人(正確にはアムル人)なので、別にユダヤ人の子孫でも何でもありません。

 またアブラハムはある日、神に試されて「息子イサクを生贄にするように」と言われて実行しようとします。そこで神に絶対的な信仰を認められるのですが、イスラム教ではこの時にアブラハムが生贄にしようとしたのはイサクではなくてイシュマエルだったとされています。

 ユダヤ教徒とイスラム教徒の根本的憎悪が分かるような気がします。先日のユダヤ系米国人の作ったムハンマドを冒瀆する映画が反米デモを引き起こした背景には、こういう歴史的憎悪があるのです。

 さてキリスト教とユダヤ教の違いは、もちろんイエス・キリストの存在です。キリスト教は父(ヤハウェ)・子(イエス)・精霊(弟子たちに降臨)を三位一体として「唯一の神」であると教えます。ユダヤ教はもちろんヤハウェだけを絶対信仰します。

 キリスト教では、イエスはユダヤ人であるものの堕落したユダヤ教を批判して熱狂的に受け入れられ、ユダヤ教の指導者たちに恐れられ最後はユダに裏切られて磔にされます。つまりキリスト教徒にとってユダヤ人は、イエスを認めないばかりか処刑に関わった憎むべき敵として2000年が経過しているのです。

 歴史的に見て世情が不安になるとユダヤ人が権力者から迫害の対象になります。11世紀の第一次十字軍による虐殺や、1492年のイベリア半島からの追放令、そしてナチスによるホロコーストなどです。
 
 キリスト教(カトリック)が、ローマ帝国やフランク王国をはじめ欧州の権力者とともに大きくなって行ったこともあるのですが、ユダヤ教とキリスト教の埋めようもない溝が感じられます。

 明日からは現実の世界に戻ります。自民党総裁選か「円高」についてです。

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■その他 | 2012.09.26
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