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日銀の追加金融緩和と「通貨の信認」

2012年10月31日

日銀の追加金融緩和と「通貨の信認」

 10月25日付け「大変危険な政府の日本銀行への過剰介入」で、ここからは日本銀行と通貨(円)の信認を守ることが重要と書いたのですが、やや分かりにくい説明でご批判を頂きました。

 また「通貨(円)の信認」の定義は?とのコメントも頂いていました。白川総裁は以前「物価の安定」と「金融システムの安定」を挙げられていたようですが、あまりにも教科書的な答えです。

 今のところ「海外投資家が取得したい通貨」と考えます。その辺のところをもっと深く考えようと、昨日から「国家と通貨あれこれ」シリーズを始めました。

 直観的には、ここまで来たら闇雲な金融緩和より「通貨(円)の信認」を守る方がはるかに国益に結びつくと考えています。

 さて本日(10月30日)日銀が、政府の予告通りに追加金融緩和を発表しました。

 まず買入等の基金を11兆円増額して91兆円とし、増額分は利付国債(残存年数3年未満)と短期国債を5兆円ずつ、あとはETFや社債などが1兆円で、全体の買入れ期間を2013年末までとしています。

 これらの数字はほぼ予想通りで、価格変動リスクのあるETFも5000億円だけで全く問題ありません。

 さらに「貸出増加を支援するための資金供給の枠組みの創設」を導入します。具体的には今後の検討のようですが、基本は貸出を増加させた金融機関が希望すれば、ネットの貸出し増加額までを貸出時の基準金利(現行は0.1%)で最長4年まで貸し付けるものです。

 これは景気対策の観点から「大変評価」出来ます。かねてより今回の金融緩和は、変化の兆しが見え始めた銀行の貸出し姿勢を本格的なものにする可能性があり、意外に効果があると書いてきました。10月19日付け「日銀が検討している追加金融緩和の意外な効果」に書いてあります。

 これは日銀が銀行のために、資金調達のリスクを丸抱えして厚い利ザヤまで保証することに外ならないのですが、こうでもしないと銀行は積極的に貸し出さないものです。

 従って間違いなく効果が出ます。貸し出しが増えて景気が少しずつ明るくなるはずで、多分先行して株高・円安になると考えます。

 ところが同時にもう1つ発表された「デフレ脱却に向けた取り組みについて」は問題です。

 白川日銀総裁・前原経済財政担当大臣・城島財務大臣が連名で発表したもので、要するに政府と日本銀行が「一体」となって、デフレからの早期脱却や持続的経済成長への復帰に最大限の努力を払うというものです。
 
 これは日銀とその金融政策の独立性を損ない、同時に日銀は政府の意のままに動くとのメッセージを内外に発信してしまいます。確かに海外でもFRBやECBが政府と協力して経済問題に対応していることは間違いないのですが、中央銀行の独立性には細心の注意を払っています。

 まさに「日銀と通貨(円)の信認」ひいては「日本の国益」を大いに損ねてしまった暴挙で、センスを疑います。

 これは日本銀行と財務官僚の暗闘に、民主党政権の大臣が2人も(うまく乗せられて)加担してしまったのです。

 前原大臣は先日、海外メディアに「日銀の次期総裁は、能力があれば元官僚でも構わない」と発言していました。前回の日銀総裁選で当時野党だった民主党が、大本命だった武藤敏郎副総裁(当時)を元官僚と言うだけの理由で拒否した「埋め合わせ」をするつもりのようです。

 だとすると白川総裁の任期は来年4月までなので、少なくとも前原大臣は来年3月頃まで居座るつもりのようで、そうなると野田政権も続いていることになります。

 でも次期日銀総裁の座を奪還することが悲願の財務官僚は、その辺まで協力するのでしょうね。そういえば自民党も特例公債法案だけは通すと言い始めています。

 また財務官僚の「1人勝ち」となりそうです。


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■闇株的見方 » 経済 | 2012.10.31
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「国家と通貨」あれこれ  その1

2012年10月30日

「国家と通貨」あれこれ  その1

 スペインのカタルーニャ州や英国のスコットランドなどで分離独立の機運が高まっています。そもそも同じ国家の中に習慣も歴史も言語も宗教も違う民族が押し込まれているケースが多いので、独立の機運の高まりは自然なことだとも言えます。

 もし独立したら通貨はどうするのだろう?とつい考えてしまいます。そこで「国家と通貨」に関連する話題をいくつか書くことにします。

 まず本日は、見事に米ドルを使って成長した中国の話です。

 1997年7月に中国に返還された香港は、昔も今も独自の通貨当局(香港金融管理局)があり、独自の通貨・香港ドルが流通しています。

 そして香港ドルは昔も米ドルに連動しています。正確に言うと1983年以降に1ドル=7.8香港ドルでペッグ(固定)され、2005年5月以降は1ドル=7.75~7.85香港ドルの範囲内での変動制となっています。

 香港ドルの発券銀行である香港上海銀行、スタンダード・チャータード銀行、中国銀行(中国の商業銀行である中国銀行の香港法人)は、その発行額に見合う米ドルを香港金融管理局に預託する必要があります。

 つまり昔も今も、香港は実質的に「ドル本位制」なのです。

 香港ドルの価値を固定(2005年以降は範囲内に維持)するためには、香港の金利を米国金利と同水準に保つ必要があるのですが、歴史的には香港のインフレ率が米国金利より高かったため、常に香港の実物資産(代表が不動産)価格が上昇して香港経済の発展を支えました。

 1997年7月1日に香港が中国に返還された時、中国政府はこの仕組みを「そっくり真似た」のです。

 まず香港が返還された1997年7月当時は、人民元は国際市場でほとんど取引されておらず誰も本当の価値が分からなかったのですが、中国政府は人民元を香港ドルよりわずかに安い1ドル=8.28人民元で「勝手に固定」してしまったのです。

 香港ドルよりわずかに安くしたのは、中国の経済・金融市場が香港より未整備だったからでしょうが、じゃあこの水準が「公平」な人民元の価値だったのでしょうか?

それはその後の中国の爆発的な発展をみる限り「不当なほど割安」だったはずです。

 「不当なほど割安」な人民元のおかげで、中国は巨額の貿易黒字を稼ぎ、同時に海外から巨額の直接投資が持ち込まれました。同時に中国政府は厳格な為替管理を行い、溢れかえる外貨をすべて中国政府(中国人民銀行)が買い上げ、その対価である巨額の人民元を国内に供給して経済発展と社会資本の充実を図ったのです。

 つまり1997年7月以降、中国政府は実質的にドルが流通する香港の金融制度を「そっくり真似て」経済発展の起爆剤としたのです。1997年に8兆元だった中国の名目GDPは、2012年には52兆元となります。

 さらに香港ドルが変動制になった直後の2005年7月に、人民元の緩やかな上昇を容認する「管理フロート制」と同時に、ドルだけでなくユーロや円などにも連動する「通貨バスケット制」を導入し、人民元は2008年7月に1ドル=6.82人民元まで上昇します。

 これはさすがに不満が出てきた米国政府に対応したというより、流入する外貨がユーロを含む多様化してきたことと、さすがに外貨が流入しすぎて国内のインフレが深刻になったからです。

 その後の人民元は金融危機のため2010年6月まで1ドル=6.82人民元で再び「固定」され、最近は1ドル=6.30人民元あたりです。

 つまり少なくとも中国政府は香港が返還された1997年7月から、香港ドルが1ドル=7.75~7.85香港ドルの範囲で変動制となった2005年7月までは、実質ドル本位制である香港の経済・金融制度のメリットを大胆に取り込み、見事な経済発展を遂げたのです。

 その後は、特に2008年の金融危機以降は、ドルおよび米国経済の低迷とともに中国経済も曲がり角に来ているとも言えるのです。

 「国家と通貨」を考えるこのシリーズは続きます。


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