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闇株新聞 the book
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2012年11月12日
11月8日に発表された2012年度上半期(4~9月)国際収支速報によりますと、モノやサービス、配当、利子など海外の総合的な取引状況を示す経常収支は2兆7214億円の黒字と、前年同期比で41.3%の減少となりました。
経常収支の内訳は貿易収支が2兆6191億円の赤字、サービス収支も1兆6791億円の赤字、それに移転収支が4828億円の赤字で、(海外からの)所得収支だけが7兆5024億円の黒字となっています。
日本の経常収支は、暦年ベースで2007年に24.9兆円とピークをつけ、2008年が16.7兆円、2009年が13.7兆円、2010年が17.9兆円、2011年が9.6兆円と逓減していたところ、本年になって(最終値は4~5兆円?)急減していることになります。
早くも「評論家」の間では、2016年いや2014年にも経常収支の赤字が定着し、日本から資金が流出して国債利回りが急騰すると「心配」してくれています。
財務官僚にとっては、民間にだけ緊縮財政を押し付け、あわよくば消費税の再引き上げに持ち込もうとするための「格好」の材料が1つ加わったことになります。
それほど心配なら、せっかくなので赤字国債法案を不成立にして、その分を今年度予算の減額、公務員のリストラ、埋蔵金の拠出などで凌ぐべきなのですが、何故か赤字国債法案だけは無条件で「こそこそ」と成立させるようです。
貿易収支が赤字になった理由は、海外特に中国の経済不振と円高による国内企業の輸出不振であることがはっきりとしているのですが、本日はこの構造をどう打破するかではなく、もっと基本的なことを考えます。
ここ10年の経常収支の黒字が累計で150兆円以上あったのですが、これが無くなりさらにマイナスになって行くと国内から資金が流出することになり、1000兆円もある国債残高のファイナンスが出来なくなるとの議論は、無用の混乱を招くだけです。
例えば米国の経常収支は常に巨額赤字で、ピークは2006年の8000億ドル、2010年以降も4000億ドル台の赤字となっています。でも誰も心配していません。
ドルは国際通貨(基軸通貨)なので常に資本が流入しているからです。資本が流入していると言うことは、ドルが世界中で流通しているため結果としてドルの取得・保有が増え、その運用として米国国債の取得・保有が増えることを意味します。
つまり円を国際化して、世界の金融市場での役割を増大させれば、国債の海外での消化も自然に増えるのです。いろいろ理屈をつけて日本の財政が破綻すると喧噪する前に、円の国際化を進めることが国益に叶っているのです。
出来たら日本の経常収支の赤字が定着する前に進めておくべきです。そう考えると悠長に構えていられません。
11月9日付け「一層強化されそうな世界の金融緩和 その弊害は?」で書いたのですが、世界には国際通貨がドルとユーロの2つしかなく、そのうちドルが3分の2、ユーロが4分の1を占めており、2つで90%になります。
そしてドルもユーロも問題含みです。大きな問題は、これからも強力な金融緩和が行われて世界中に大量供給されていくことと、その結果発行元であるFRBもECBも資産内容が劣化していくことです。
例えば米国は世界最大の金の公的保有国で8133トン(36兆円)を保有しているのですが、これはFRBの資産ではありません。つまり金はドルの価値の裏付けになっておらず、代わりにMBS(つまり米国不動産)が大量に裏付けになっているのです。
同じようにユーロ圏ではドイツが3396トン(15兆円)、イタリアが2451トン(11兆円)、フランスが2435トン(11兆円)も保有しているのですが、これもECBの資産ではありません。つまり金はユーロの価値の裏付けにはなっておらず、これから南欧国債が大量に価値の裏付けになって行くのです。
因みに日本の公的保有は765トン(3.4兆円)ですが、これとは別に日本銀行は簿価で4400億円ほどの金地金を保有しており、円の価値の裏付けになっています。この金地金は時価評価していないようで、実際の価値はもっとありそうです。
ただ公的保有(外為資金特別会計)の765トンの金は日本で保管されているわけではなく、米国のフォートノックスかNY連銀の地下金庫(たぶんこちら)に入っているはずです。見たわけではありませんが「日本の金だよ」と書いてあるだけだと思います。
いずれにしてもドルもユーロも問題含みのため、円の国際化も含めて日本がとるべき有効な方策は結構あり、しかも大きなチャンスでもあるのです。
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