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Jトラストの大型ライツイシューがスタート

2013年05月29日

Jトラストの大型ライツイシューがスタート

 5月14日に、最大1130億円が払い込まれるJトラスト(大証2部上場・コード8508)の大型ライツイシューが発表されました。

 5月30日現在のすべての株主に、行使価格1800円の同株数の新株予約権を無償で割り当て、その新株予約権が5月31日から7月23日まで大証で取引され(コード・85089)、権利行使期間が7月5日から7月30日までとなっています。

 Jトラストの発行済み株数は6281万株(自己株を除く)なので、6281万株の新株予約権が発行され、すべて1株=1800円で行使されると1130億円(発行コスト控除前)の巨額資金調達となります。

 また現社長の藤澤氏は3005万株(47.8%)を保有する大株主です。

 さて昨日(5月27日)は、このライツイシューの権利付最終日で、引け値が2310円でした。本日(5月28日)は権利落ち日で2310円と1800円の中間値である2055円が理論値となり、引け値が2046円でした。

 Jトラストの株価は、ライツイシューの発表前日の5月13日の引け値が4195円(高値4560円)だったので、引け値で計算して昨日(5月27日)までに1184億円の時価総額が吹き飛んでいます。

 仮に全額が権利行使された場合の1130億円よりも多い時価総額が既に失われていることになるのですが、Jトラストの株価は昨年11月中旬が1200円台、本年3月中旬でも1800円台だったので、最近の株価の値上がり分が(最大で)Jトラストに払い込まれると考えれば「悪い話」ではありません。

 さて理論的には5月31日から取引できる新株予約権の価格は、その時の株価から1800円を引いた価格になるのですが(株価が1800円を下回ってもオプション価値があるためゼロにはなりません)、いずれにしても1130億円が「すんなり」と払い込まれる環境でもなさそうなので、新株予約権にはかなりの「売り圧力」がかかり理論値を下回って取引されることが予想されます。

 最大のポイントは、3005万株を保有する藤澤氏の考え方です。全額を権利行使すれば541億円も必要となります。もともとこの3005万の取得コストが6億5000万円ほど(平成25年2月4日提出の大量保有変更届より)の藤澤氏としては、出来るだけ自己資金を使わず、出来るだけ持ち株比率を維持し、かつJトラストにも出来るだけ大きな資金が払い込まれる方法を模索するはずです。

 さてどうするのでしょうか?

 藤澤氏が5月14日のライツイシューの発表以降に持ち株を売却しているかどうかは分かりませんが、本日(5月28日)現在では大量保有変更届は提出されておらず、多分売却していないと思われます。

 他人(藤澤氏)の損得勘定を考えても意味が無いのですが、大型ライツイシュー(しかも大株主がいる)のケース・スタディとして考えてみましょう。

 株価は、もともと本年3月以前は1800円以下だったので、そこから上は「なかったもの」と考えます。だとすると1円も権利行使されないのですが、それでも本年3月中旬以前の状態に戻るだけなので「別に誰も損をしていない」ことになります。

 要は、それより少しでもプラスになる方法を考えればよいのです。

 例えば株価が1800円を下回ったらタダ同然となる新株予約権を買い集め、もし新株予約権の取引期間中に株価が上昇すれば、新株予約権と保有株式を比較して有利な方(多分株式の方)を売却してしまいます。

 そのまま株価が1800円を下回ったままなら損失となるのですが、だとすると新株が発行されないので需給関係は悪化せず、株価が1800円を下回ったままということもないはずです。

 最終的には株価が1800円を少しでも上回り、権利行使が(自分の分も含めて)少しでも行われれば「よし」と考えているような気がします。

 藤澤氏に本来割り当てられる3005万株の新株予約権については、自分の持ち株比率が低下しない程度に行使するはずですが、権利行使が大量に行われるほど株価が高く維持されていれば、ある程度の持ち株比率の低下は容認すると思われます。


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■闇株的見方 » 株式 | 2013.05.29
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最近何をしていた? 証券取引等監視委員会の特別調査課

2013年05月28日

最近何をしていた? 証券取引等監視委員会の特別調査課

 証券取引等監視委員会の特別調査課とは、刑事告発を目的として犯則事件の調査を行うところで、強制捜査権限があります。

 その特別調査課が久々に強制捜査に乗り出したようで、お決まりのマスコミへのリークが先週末の5月25日に出ていました。

 リーク記事によりますと、株式会社三栄建築設計(東証1部上場・コード3228)の60%以上を保有する大株主の代表取締役が、自社株を不正に釣り上げた疑いがあるとして金融商品取引法違反(偽計)の疑いで強制捜査を受けたと報じられています。

 容疑が株価操作ではなく偽計になっているのは、犯罪の構成要件が非常に緩やかで、間違いなく有罪に持ち込めるからです。

 報道を読む限りでは、どの部分が偽計(投資家を欺くこと)に該当しているのかがよくわからないのですが、まあ何とでもなるのでしょう。
 
 これを受けて本日の三栄建築設計の株式はストップ安(300円安)の1079円となり、この代表取締役の持株の時価総額が1日で39億円も「目減り」してしまったことになります。

 証券取引等監視委員会の特別調査課が刑事告発に持ち込んだ最新の事件としては、4月30日のイー・アクセス社員のインサイダー取引事件があるのですが、ここ1年の間では、昨年12月のセイクレストの現物出資制度を悪用した偽計事件、昨年6~10月にかけてのAIJ投資顧問とアイティーエム証券関連の事件、そして昨年8月のSMBC日興証券・執行役員のインサイダー取引事件があるだけです。

 それから本年のゴールデンウィーク直前に発覚した1300億円が消えたMRIインターナショナル事件を担当すると報道されているのですが、自ら摘発した事件でもない海外案件なので「ほとんどやる気がない」と思われます。

 証券取引等監視委員会の組織図によりますと、特別調査課の人員が104人もいて、はるかに忙しそうな開示検査課(課徴金を科すところです)の42人の2.5倍もいます。

 確かに刑事告発は少ない方が良いともいえるのですが、それにしても104人もいて毎日何をしているのだろうと思ってしまいます。冒頭にも書きましたように、特別調査課が強制捜査に乗り出すときは必ずマスコミにリークするので、本当にここ1年で取り扱った事件は、ここに書き出した事件だけなのです。
 
 まあ水面下ではいくつか調査しているのだと思いますが、何しろ証券取引等監視委員会がスタートして以来、刑事裁判に持ち込んだ事件はすべて有罪となっているため、無罪になるリスクのない事件を意識的に選んでいるともいえます。

 無罪になるリスクのない事件とは、すなわち悪質な事件だと思われがちですが、実は全く違います。本件もそうですが「偽計」に持ち込めると100%有罪になります。従って最近は粉飾決算でも架空増資でも、すべて「偽計」にしてしているはずです。

 また逆に、非常に悪質な事件でも、少しでも無罪になるリスクがあると刑事告発しません。「闇株新聞 the book」にも取り上げた昭和ホールディングスなどは、会社の支配権を取った株主が増資で払い込んだ額の何倍もの金額を会社から持ち出していたのですが、2年も前に強制捜査を受けたものの、いまだに何の沙汰もありません。

 繰り返しですが、刑事告発は少ない方が良いともいえるのですが、本誌が知っているだけでも「驚くほど悪質な事例」が数多く放置されています。

 本日取り上げた三栄建築設計が、悪質ではないというつもりは毛頭ないのですが、たとえ裁判で無罪になる可能性はあっても、もっと果敢に取り組んでほしい悪質な事例が多数あることは事実です。


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■闇株的見方 » 株式 | 2013.05.28
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