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また急落した日経平均 高止まる国債利回り

2013年05月31日

また急落した日経平均 高止まる国債利回り

 ソフトバンクの201億ドルのスプリント・ネクステル買収を、米外国投資委員会(CFIUS)がいくつかの条件付で承認したのですが、本日はこちらの話題にします。

 本日(5月30日)の日経平均は737円安の13589円となり、ちょうど1週間前の5月23日につけた高値の15942円から14.7%もの下落となりました。

 FRBがQE3を縮小するという懸念もあるのですが、NY株式がそれほど下落しているわけではないので、やはり日銀の「異次元」金融緩和をはじめとする安倍内閣の経済政策に対する「不安」が出始めたからと言えます。

 最大の「不安」は国債利回りの上昇です。

 本日午後5時現在では、10年国債利回りが0.90%で、株式市場の急落にもかかわらず前日の0.93%から、それほど低下していません。

 10年国債利回りは、「異次元」金融緩和の発表前日の4月3日が0.55%で、5月初めでも同じくらいでした。もちろん日銀による長期国債を中心とした「異次元」買入れは、発表の通り月額7兆円を超えるペースで実行されており、また1年物の資金供給も弾力的に行われています。

 このままでは住宅ローン金利や、企業への貸出金利が上昇してしまうことになるのですが、日本株とくにREITの投資魅力も国債との比較で大きく損なわれることになってしまいます。

 それ以外に、経済回復に不可欠な銀行の貸出姿勢にも影響が出て来ることになります。

 2013年3月期には、三菱UFJが3223億円、みずほが2204億円、三井住友が1138億円の債券売買益を計上していました。これらメガバンクの3月末時点の保有国債の平均残存年数は、三井住友銀行だけが短期化を進めて2年以下、三菱UFJとみずほは逆に長期化を進めて4年程度になっていたと思われます。

 3月末と本日の利回りを比べれば、2年国債が0.05%から0.15%へ、3年国債が0.06%から0.19%へ、4年国債が0.1%から0.28%へと、それぞれ約3倍に「急上昇」してしまっています。

 4月は、メガバンクを含む大手銀行が国債(短期国債を除く)を約2.7兆円売り越しているのですが、地方銀行は大幅に買い越しています。

 つまり銀行の収益にも大きな影響が出てきて、期待されている「リスクを取って貸し出しを増やす」わけにはいかなくなる恐れも出てきます。

 ところで昨年の10年国債の最高利回りは3月中旬の1.05%でした。その時は当時の日銀が「1%の物価上昇の目途(目標ではありません)」を表明し、日経平均の高値が10255円、ドル円が84円と、一時的に株高・円安となっていた時期です。

 現在はそれよりはるかに円安・株高となっているため、別に10年国債利回りが0.9%でも1.0%でも「何も心配は無い」はずです。

 そうならないのは、日銀が「異次元」金融緩和の発表時に「国債利回りを全期間にわたって低下させる」と強調してしまっていたからです。

 もっと深刻な問題は、国債利回りは(これからの)物価上昇あるいは目標としている2%の物価上昇を織り込み始めているのかもしれません。実際には3月の消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合指数)は前年同月比で0.5%のマイナスとなっているのですが(注)、国債利回りだけが実際の物価上昇に先行して上昇を続けるかもしれないことです。

(注)4月の物価上昇率は、5月31日の早朝に発表されます。

 そして国債利回りの上昇は、日本株の投資魅力を減退させ(つまり下落させ)、銀行の貸出姿勢を減退させ、実際の物価を下落させ、当然に実体経済の回復を遅らせることになります。そして市場がこれらをすべて認識するまで、国債利回りの上昇は続くのかもしれません。

 6月3日(月曜日)に配信する有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」では、前回に引き続き、この「異次元」な金融情勢について「異次元」に考えてみることにします。


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■闇株的見方 » 経済 | 2013.05.31
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新株発行を巡る「影響が大きい」裁判所の判断

2013年05月30日

新株発行を巡る「影響が大きい」裁判所の判断

 JASADQ上場のソーシャル・エコロジー・プロジェクト(以下「ソーシャル」・コード6819)が5月14日に取締役決議した新株発行に対し、株主が「不公正な増資」であるとして発行差止め仮処分を申請していたのですが、昨日(5月28日)東京地方裁判所がこれを却下しました。

 ソーシャルの経営に不満を持つ株主が、来る6月下旬の定時株主総会に独自の取締役と監査役の選任を株主提案していたのですが、ソーシャルが500万株の第三者割当増資を決議し(それまでの発行済み株数は2115万株)、さらにその新株に本年3月末だった基準日に遡って議決権を付与するというものです。

 この株主は30%を少し超える議決権を確保しており、株主提案が承認される可能性が強かったのですが、この新株発行と議決権の付与(株主総会の直前に取締役会決議するはずです)で、一気に絶望的になってしまいました。

 この裁判所の新株発行差止め却下の理由に、今後の株式市場に「非常に大きな影響を与えそうな」判断が3つも入っています。順番に解説します。

その1 「会社の支配権をめぐる争いがあり、その争いに重要な影響を与えることが明らかであるとしながら、新株発行を差止めなかったこと」

 従来は、会社の支配権をめぐる争いに重要な影響を与える新株発行は、裁判所によって差止められるという考えが株式市場の常識・良識であり、従って乱発されることはありませんでした。

 その常識・良識を欠いて強行したケースでは、2004年の宮入バルブ、2005年のニッポン放送(新株予約権)、2006年のサンテレホン(新株予約権)、2008年のクォンツ(現在は上場廃止)などで差止めが認められています。

 詳細は省きますが、ソーシャルの新株発行はこれらのケースに負けない「あからさま」なものだったのですが、何故かその差止め請求が却下されてしまいました。理由はソーシャルがわずか1億円の借金返済を迫られていると主張したからのようです。

 この影響は「何だ、会社の支配権を奪われそうになったら、いくらでも新株発行を強行して防げばよいのか」と安直に考えて実行する上場企業が増え、株式投資の重要な目的である「支配権の獲得」が実質的に不可能となることです。特に外国人投資家からみて日本の株式市場の魅力が大きく損なわれてしまうことになります。

その2 「新株の発行価格は過去6か月平均の10%引き以内であれば、合理性が無いとは言えないとお墨付きを与えたこと」

 ソーシャルの新株の発行価格は1株=53円で、決議前日の引け値の77円、その前日の90円に比べて「大変に有利な発行」です。しかし日本証券業協会の指針の「直近6か月以内の平均株価の10%引き以内」には、かろうじて収まっていました。

 これは非常に実務的な話になるのですが、例えば株価が急上昇したタイミングをとらえて過去6か月の移動平均の10%引きを発行価格とすると、時価に比べてかなり安い発行価格で新株発行が出来ることになります。しかし最近では、とにかく時価に比べてかなり安い発行価格は認めないという「指導」がされていたはずです。

 しかしソーシャルの発行価格に対して裁判所は「指針に該当していれば良い」と判断してしまったのです。これも「何だ、それで良いのか」と考え実行する発行会社が続出することになります。市場の健全化のために「指導」していた財務局や取引所の立場がなくなってしまったことになります。

 その3 「会社が、基準日を過ぎた後に株式を取得した株主に株主総会の議決権を認めるというのであれば、これは防げないとしたこと」

 ソーシャルは6月3日に発行される株式の引受者に、6月下旬の株主総会の議決権を与えることを「あらかじめ想定した」差止め請求も、裁判所がこのように却下してしまいました。確かに会社法124条4項にはそのような規定があるのですが、その趣旨は決して会社が支配権の争いを有利にするために恣意的に行うものではないと一般的には解されていました。

 しかしこれでは、会社は物理的な株主特定の手間さえ厭わなければ、好きな日の株主に株主総会の議決権を与えることを「防げない」ということになってしまい、悪用する会社が出てきて株主総会の公正さや権威が、大きく損なわれることになってしまいます。

 これら裁判所の「3つの判断」は、今後の日本の株式市場に大きな影響を与えることは間違いないと確信するのですが、その影響とは決して好ましいものではないはずです。

 「闇株新聞がこんなことを言っていた」だけでも覚えておいて頂きたいのです。


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■闇株的見方 » 株式 | 2013.05.30
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