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安倍晋三とヘンリー・クラビス

2013年09月30日

安倍晋三とヘンリー・クラビス


 訪米中の安倍首相のスケジュールで、最も気になったのがハドソン研究所に招かれた昼食会でした。ハドソン研究所は大変に米国政府に近い(というよりもそのものの)シンクタンクだからです。

 そこで話し込んだのがKKRの共同創業者で最高経営責任者のヘンリー・クラビス氏だったようです。KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)とは、カーライル、ブラックストーンと並ぶ世界最大のプライベート・エクイティ・ファンドです。

 KKRといえば、1989年に世界の金融市場を巻き込んで争奪戦となったRJRナビスコを252億ドルで競り落として一躍有名となり、ヘンリー・クラビス氏は当時から指揮を執り続けている米国金融界の「超大物」です。

 9月24日付け「軍産複合体の正体 その2」で取り上げたカーライルや、創業者が元商務長官だったピーターソン氏のブラックストーンに比べると、KKRは比較的「民間色」の強いファンドといえます。

 またKKRは昨年8月に経営危機に陥っていたルネサスエレクトロニクスへの出資に前向きだったのですが、結局は官民ファンドの産業革新機構が出資してしまいました。クラビス氏は安倍首相に「もっと(我々)ファンドの資金を活用するよう」求めたようです。

 安倍首相がどのように感じたのかは不明ですが、これは「大いに利用すべき話」です。

 その前に「本誌は外資が嫌いなのではなかったか?」ですが、正確にいうと「日本経済に何の付加価値もない外資が日本市場を食いものにすること」さらに「日本の当局の恐るべき無知と意味不明な遠慮で、呆れるような暴挙を認めてしまっていること」に強い怒りを覚えているだけです。

 古くは8兆円も公的資金を投入した日本長期信用銀行を僅か10億円で無名のリップルウッドに売却してしまったことや、中国のインチキ企業をいくつも東証などが上場させて巨額の資金調達のあと文字通り「消えてしまった」ことや、最近では日本郵政の巨額資金と店舗網を「がん保険の専門企業でも何でもないアフラック」に提供してしまったことなど、いくらでも出てきます。

 つまりリップルウッドは何の経営能力もないので買収した新生銀行(旧・日本長期信用銀行)は今も迷走を続け、文字通り消えてしまったインチキ中国企業は問題外であり、がん保険はアフラックでなければ提供できないものではなく日本の保険会社の収益機会を奪っているだけなのです。

 しかしKKRは間違いなく世界で超一流のファンドなので、その事業再生ノウハウは大いに日本経済再生の参考となり、その他の「超一流」ファンドや日本企業や日本の再生ファンドなどを巻き込んで公平な競争となれば、日本経済のエネルギーとなるはずです。

 そもそも日本の金融市場に「超一流」ファンドや「超大物」が積極的に接近してくることは非常に珍しいのです。もちろんその背景には、リーマンショック以降続く世界の金融緩和による投資資金の余剰と運用競争の激化と、行き過ぎた新興国市場への投資の見直しなどがあるはずですが、日本経済にとって間違いなく「大いに利用すべき話」なのです。

 安倍首相の唱える「第3の矢」には、各方面の思惑ばかりが先行している官民ファンドが「山ほど」出てくるのですが、これでは本当の企業価値の向上や日本経済の活性化に結びつきません。

 KKRはインテリジェンスを325億円で買収したのが日本における唯一の投資実績で(テンプホールディングスに510億円で売却済み)、今回パナソニックからヘルスケア事業を1650億円で買収する予定です。つまり今まで日本市場ではほとんど活動しておらず、まさにこれから積極的に投資しようとしているのです。

 それでは日本で事業再生や企業価値の向上に成功しても、KKRが儲かるだけではないのか?ですが、パナソニックが売却するヘルスケア事業には、パナソニックが2割出資します。つまりパナソニックは今後も投資収益の2割を「黙って見ているだけ」で受け取れるのです。

 つまり日本の売り手や官民ファンドが、2~3割の株式を保有することを条件にすればよいのです。状況から考えると「多少の条件」なら呑むはずで、他の「超一流」ファンドも出てきて「もっとよい条件」になるかもしれません。

 高度の駆け引きが必要ですが、KKRが参入するだけで「投資対象としての日本市場」への世界的な関心を一段と高めるはずです。それだけでも「超大物」ヘンリー・クラビスの申し入れを「大いに利用すべき」価値があるのです。

 やや誉めすぎたのですが、KKRにとって本命は「東京電力」のような気がします。KKRが2007年に480億ドルと史上最高額で買収(LBO)したTXU(テキサスの電力会社)が破綻しそうになっており、このままだと巨額損失が出てしまうためクラビスはウルトラCを考え出す必要もあるからです。


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■闇株的見方 » 株式 | 2013.09.30
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有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」についてのお知らせ

2013年09月29日

有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」についてのお知らせ

 9月30(月曜日)の夕方に、予定通り配信します。

 予定内容です。


メインテーマ 1  リーマンショックからの5年間を振り返る  その2

 先週から書き始めたシリーズですが、もちろん「思い出話」ではありません。これからの世界の金融市場を考えるためです。

 先週はMBSについて、なぜリーマンショックが発生したのか? なぜFRBが今も大量のMBSを買入れているのか? そして問題が解決したのか? などやや詳しく解説しました。

 今週は、リーマンショック後の世界の金融緩和と、その効果および弊害についてです。もちろん世界の金融緩和は今も継続されているので、まさに「これから起こる」ことを考えます。

 簡単にいってしまえば、金融緩和に実体経済を回復させる機能が本当にあるのか? 株式や不動産などの資産価格が上昇しているので経済が回復していると錯覚しているだけではないのか? この状態で資金と資産の関係を考えると、当然に資産の収益率が落ちるのではないか? その資産の中に「国債」まで含まれるので、利回りと実体経済の関係が不明瞭になっている弊害とは? などです。

 またかなり「脱線」すると思うので、終わらないかもしれません。


メインテーマ 2  気になる企業について!!

 検察庁や特捜部の話では「ご興味」のない方もいらっしゃると思いますので、久々の「企業特集」です。予定は以下の通りですが、多少は入れ替わるかもしれません。

東京電力 
 軍産複合体(別にハゲタカでもよいのですが)が収益の上がる電力事業だけを狙うとすれば、既存の株主はどうなり、株価はどうなるのでしょう? 決して絵空事ではなく、突然進展した「再稼働のための審査請求」なども含めて考えます。

ソニー
 最近提出されたゴールドマン・サックスのSPCの大量報告変更届と、分社化が提案された映画部門の価値をディズニーなどと比較して、いろいろと考えます。

シャープ
 発表された増資IRをみて、その問題点と株価への影響を考えます。

サハダイヤモンド
 久々ですが、少々きな臭くなってきているので、少しだけ。


お勧め「映画」コーナー

 今週は「映画」です。


今週の相場観

 主に日経平均、為替市場(円相場)、国債市場についてです。


質問コーナー

 いただいたご質問にできるだけお答えします。



闇株プレミアムのお申し込みはこちらから → http://yamikabu-premium.com/index2.html


 今月(9月)に配信したメルマガのメインテーマだけご紹介しておきます。


9月2日号
メインテーマ1 エクイティファイナンスの変遷と当局の対応

メインテーマ2 検察庁・特別捜査部とは その2


9月9日号
メインテーマ1 エクイティファイナンスの変遷と当局の対応 その2

メインテーマ2 シリア情勢を考える


9月16日号
メインテーマ1 エクイティファイナンスの変遷と当局の対応 その3

メインテーマ2 検察庁・特別捜査部とは その3


9月23日号
メインテーマ1 リーマンショックからの5年間を振り返る

メインテーマ2 検察庁・特別捜査部とは その4(最終回)


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 無料購読期間がありますが今月は30日に課金されるのでご注意ください。
 
(無料購読期間は料金のお支払方法により違いますのでご注意ください。詳しくは「闇株新聞プレミアムメルマガのご案内」ページの課金システムをご覧ください。)

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