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シリアへの軍事攻撃に対する米国の基本的な考えとは?

2013年09月02日

シリアへの軍事攻撃に対する米国の基本的な考えとは?


 シリア内戦で、アサド政権が国際法で禁じられている化学兵器(毒ガス)を自国民に使用したとして、オバマ大統領が「人道的見地から攻撃する」と宣言してから数日がたちました。

 外国への攻撃には国連安保理の決議が必要ですが、常任理事国のロシアと中国が反対に回るため決議できず、とにかく「人道的な正当性」を強調しておく必要があります。

 ところが今回の「化学兵器」は、2003年にイラクを攻撃した時の「大量破壊兵器」と同じで決定的証拠がなく、前回はブッシュ政権に賛同して派兵した英国議会も今回は武力行使を否決してしまいました。

 2003年の時点では、イラクに石油利権を確保していたロシア、中国、フランスが国連安保理で反対に回ったのですが、今回はシリアの旧宗主国・フランスは武力行使に積極的なようです。

 さてオバマ大統領の発言の背景には、常に戦争をビジネスチャンスと考える軍産複合体と、原油価格を上昇させたい石油産業(米国は世界有数の石油産出国となりました)の「強い思惑」が反映されていることは間違いありません。

 しかしもっと根本には、オバマ政権発足以来の中東情勢を巡る「基本的な読み違い」があるような気がしてなりません。

 まず米国の中東における最大の盟友はイスラエルとサウジアラビアのはずです。しかしシリアと国境を接しているイスラエルは、米国がシリアに軍事攻撃をかけるとたちまち危険が迫ります。

 またアサド大統領周辺はシーア派に属するアラウィー派で、シーア派国家のイランと親密です。つまり米国の敵・イランをさらに刺激してしまうことになりますが、この辺りまでは誰が考えても同じです。

 オバマ政権は、穏健派イスラム原理主義のムスリム同胞団と、トルコのエルドアン政権を支持してきました。これがサウジアラビアとの関係が悪化する原因となります。
 
 エジプトではムバラク政権が倒れたあと、ムスリム同胞団がエジプトを民主化に導くと「勝手に」期待してしまいました。穏健派とはいえイスラム原理主義集団であるムスリム同胞団に、エジプト全土を民主化する力があると考えたところが間違いでした。

 結局、いままで米国との関係が悪くなかったはずのエジプト軍が出てきて、しかもそれを米国の盟友であるはずのサウジアラビアが支持し、完全に米国の立場がなくなってしまいました。

 そもそもサウジアラビア王室はワッハーブ派で、スンニ派最大の守護者を自負しています。そこへ同じスンニ派のムスリム同胞団を米国が支持したことは「裏切り」にみえたはずです。

 トルコの方はもっと複雑で、エルドアン首相はスンニ派の中心がイスタンブールにあったオスマン帝国の復活を願っており、このエルドアン政権を米国が支持することは、やはりサウジアラビアにとっては「裏切り」にみえたはずです。

 かくしてオバマ政権は、イラン、イラクは当然のことながら、イスラエル、エジプト、サウジアラビアとの関係までぎくしゃくし、中東における存在感がすっかりなくなってしまっています。自国の石油生産が増加し、中東を相対的に軽視してきたツケともいえます。

 そこへ新たにシリアを攻撃しようとしているのです。

 複雑怪奇の中東情勢と、イスラム教各宗派の「相関図」を十分に理解しているわけではありませんが、「あまり良い結果」になるとは思えません。

 少なくとも中東のどこからも支持されるはずがないからで、仮に勝利を収めたとしても、その後がうまくいくとも思えないのです。

 日本では、米国が攻撃を開始したらすかさず「支持声明」を出すことを約束したようです。依然として中東の原油に依存している日本として、少しくらいは国策的に考えてみたのでしょうか?


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■闇株的見方 » 社会 | 2013.09.02
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