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ソニー・ゴールドマン・オリンパス

2014年01月29日

ソニー・ゴールドマン・オリンパス


 別に「連想ゲーム」ではありませんが、最後まで読んでください。

 1月27日にMoody’sが、ソニーの発行体格付けと長期シニア無担保社債格付けをBaa3からBa1に引き下げ、要するに投機的あるいはジャンク債格付けとなりました。S&Pはまだ投資適格のBBBですがアウトルックは「ネガティブ」で、Fitchではすでに投機的のBBマイナスとなっています。

 ソニーといえば2012年12月に1500億円の新株予約権付社債(転換価格957円)を発行したのですが、その75%の1125億円をゴールドマン・サックスが一旦販売したヘッジファンドから買い戻してリパッケージしています。

 その仕組みは改めて繰り返しませんが、ゴールドマン(の組成したSPC)が提出した大量保有報告書および変更報告書を辿っていくと、ゴールドマンは資金負担を肩代わりしたヘッジファンドから年間4%ほどの「金利」を徴収しています。

 2013年5月28日にヘッジファンドに売り戻した単価が89.96(株価で860.96円)、同年11月28日は91.98(株価で880.26円)なので、その単価差は年率4%(額面に対して)、途中償還までの3年間で12%にもなるはずです。この単価差はもちろん全額がゴールドマンの収益となります。

 それに対してゴールドマンのコストはこの1125億円の調達金利だけで、これは全額「ゴールドマンに都合のよいときだけ利用される」三井住友銀行が「超プライムレート」で提供しているはずです。変動金利だと思うので年利0.5%、3年間で1.5%程度でしょう。円LIBORが突如上昇すれば別ですが、そんな心配はいりません。

 つまりどう考えてもゴールドマンの利益は年間3.5%、途中償還までの3年間で10.5%となります。当初の残高が1125億円であり、昨年末の時点で572億円に半減しているので収益の絶対額を計算するのは難しいのですが、50億円以上にはなるはずです。

 もちろんこれはその後のソニー株価の上昇は一切関係なく、逆にソニー株価が低迷していれば転換が遅れるため、かえってゴールドマンの収益は大きくなります。

 それではそのゴールドマンの収益50億円はどこから出てきたのでしょう? それは「公募増資だと増資インサイダーなどイメージが悪いので、御社(ソニー)にふさわしくないですよ」とでもゴールドマンに囁かれて、まんまと新株予約権付社債にしてしまったからです。

 実際に新株予約権だけを有償で発行して、行使されるまでは三井住友銀行から同じ「超プライムレート」で資金を調達していれば、ソニーに(発行手数料以外に)その50億円が残っていたのです。

 ゴールドマンとはそれほど油断も隙もない会社で、ソニーとは(だから格下げされたとはいいませんが)それほど「おおらかな」会社なのです。

 そのゴールドマンのことで、今でも不思議に思っていることがあります。

 それは2011年10月14日にオリンパスのウッドフォード社長(当時)が解任され事件化していくのですが、実はその前日の10月13日にゴールドマンは自己勘定でオリンパスの株を83万株も空売りしていたことです。

 これはその後も全く問題にならなかったのですが、ゴールドマンのオリンパス株の空売りはピークで194万株になり、同年11月9日にほとんど買い戻して22億円の利益を上げていたはずです。ゴールドマンはどうしてウッドフォードの解任を知ったのでしょう?

 ウッドフォードは1000万ポンド(当時の為替で12.4億円、現在の為替なら17億円)の退職金をせしめて、誰からも非難されずに帰国しました。

 オリンパス事件は、もうすっかり「終わったもの」として忘れ去られています。

 オリンパス事件で「指南役」とされた何人かの裁判が「ひっそりと」始まっています。誰も注目していませんが、いろいろと「興味ある事実」が明らかになりつつあります。

 その中には今まで決して表に出ていなかったウッドフォードや、ゴールドマンなど外資系金融機関の「トンでもない事実」もたくさんあります。

 やはりオリンパス事件とは、その「ほんの1部」が事件化しただけで、その闇はもっともっと深いのです。

 その辺りをまた明らかにする機会が出てきたようです。


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■闇株的見方 » 株式 | 2014.01.29
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中国工商銀行と理財商品

2014年01月28日

中国工商銀行と理財商品


 日経平均やアルゼンチン・ペソの行方も気になりますが、やはり地理的に近いこの問題にしました。

 中国最大の中国工商銀行が販売した約30億元(510億円)の信託商品(理財商品)が、期限の1月31日に償還される目途が全く立っておらず、信託商品(理財商品)初めての大型デフォルトとなる可能性があります。

 問題の信託商品は2010年に、山西省の石炭会社・山西振富能源集団向けの資金を調達するために中誠信託有限責任公司が組成したものです。ところがこの山西振富は銀行免許を持たずに預金を集めたとして2012年に副董事長の身柄が拘束され、実質破たんしています。まあ大半の資金が「事業以外に」消えてしまっていたのでしょう。

 つまり「とっくの昔に」デフォルトすることになっていたのですが、騒ぎが大きくなったのは1月17日に中国工商銀行が「資金の返済に責任は無い」と発表してからです。そこから一気に中国工商銀行と、組成した中誠信託と、はては地元の山西省に対して、返還を求める騒ぎが大きくなりました。

 ここで理財商品とは、今回問題になっている信託商品も含めて、通常の銀行業務以外のルートで高利回りをエサに個人や企業から資金を集め、主に地方政府の不動産・インフラ事業に資金を供給するものであり、総残高は8兆元(136兆円)以上もあるといわれています。今回のように中国の大手銀行が堂々と販売しているケースが多いのですが、当然に預金ではないため銀行は元利払いに責任をもちません。

 ところが今回問題になっているケースのように、中国の大手信託会社が組成し、大手銀行が販売しているケース、あるいは今回は当てはまらないようですが資金の受け皿に地方政府が関わっているケースでは、大半の投資家が暗黙のうちに元本や利払いが保証されていると考えており、実際に大きなデフォルトが起こってしまうと総残高8兆元(136兆円)以上もある理財商品全体への信用が揺らぎ、大混乱となってしまいます。

 その引き金が1月31日に引かれる恐れがあるのです。

 1月24日になって、中国工商銀行が「償還に関し一定の責任を負う」とやや歩み寄り、1月28日に投資家に通知すると発表しました。これは中国工商銀行が自行の顧客である富裕層に多く販売しているため、何かしらの措置を取らざるを得ないと判断したのかもしれませんが、いまのところ詳細が全くわかりません。

 また本日(1月27日)になって、中誠信託が「投資家と合意に達した」と発表したのですが、償還の有無を含めてその詳細はもっとわかりません。

 さらに山西省政府が、破綻している山西振富の閉鎖されている鉱山の1つを、投資家への返済のために操業再開を認めたとも報じられています。

 要するに「信頼できる情報が何1つない」ことになります。

 似たケースでは、昨年1月に中信信託(CITICトラスト)が湖北省の鉄鋼会社向け融資を裏付けとした信託商品10億元(170億円)の一部元利払いが3か月遅れたのですが、最終的には地方政府が救済したようです。

 しかし今回の方が、金額も状況も「はるかに深刻」です。

 繰り返しですが、この問題の本質は「何となく保たれている理財商品の危うい均衡が、一気に崩れるきっかけになる可能性をはらんでいる」ことです。

 まあ一党独裁の中国政府としては、救済してしまった方が「はるかに安上がり」で、それなりの利権も維持されるので、今回は国営銀行ともいえる中国工商銀行に肩代わりさせてしまう可能性が強いのですが、問題が後ろに送られるだけです。

 思い起こせばサブプライムローンを含むMBS市場の崩壊は、2007年8月にBNPパリバが傘下の16億ユーロ(当時の為替で2600億円)のファンドを、MBS市場の流動性枯渇を理由に価格算出・解約・返金を一時停止(もちろん永久に停止となりました)したとこから始まりました。

 ところがリーマンブラザーズの破綻を含む金融危機が襲ったのは、そこから1年以上もたった2008年9月のことでした。

 中国の金融市場では、今回は問題を回避できたとしても「引き金は静かに引かれている」ことは忘れてはなりません。


「ブログ速達便からの加筆」

 この記事のアップ直前にBloombergが「新たな投資家と買い取りについて合意したのでデフォルトは回避できた」と報じています。もしその通りならば、記事中で指摘した「政治的判断」が働いたことになり、新たなモラルハザードとなります。


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■闇株的見方 » 経済 | 2014.01.28
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