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ヘッジファンドの巨人たち(2013年)

2014年04月25日

ヘッジファンドの巨人たち(2013年)


 毎年この時期に書いているヘッジファンド主宰者の高額所得ランキングです。2013年はあまり「波乱」がなかったのですが、毎年書いているテーマなので今年も続けました。

 これはヘッジファンドの収益ではなく、あくまでも個人の所得ランキングです。普通はヘッジファンドの主宰者は個人資産の大半を自分のファンドにつぎ込んでいるため、その値上がり益もカウントされます。

 昨年1位は、久々に「大御所」ジョージ・ソロス氏の40億ドル(4000億円!)です。昨年前半に日本経済のマクロ・トレードで巨額利益を上げたようですが、ファンド全体の収益が55億ドルだったので、要するにほとんどが自分の資産だったようです。

 第2位が、2012年にトップ(22億ドル)だったアパルーサ・マネジメントのデビット・テッパー氏の35億ドルです。やはり昨年前半に金融株・航空株で巨額利益を上げたようです。

 第3位が、SACキャピタルのスティーブ・コーエン氏の23億ドルですが、コーエン氏は過去から延々と続くインサイダー疑惑があり、昨年秋に資産運用業務の禁止と10億ドルの罰金を支払って米国当局と和解しました。ただ自分や親族の資産運用は続けるようです。

 第4位が、2010年に史上最高の49億ドルを稼いだポールソン・アンド・カンパニーのジョン・ポールソン氏の19億ドルです。ポールソン氏のファンドは2010年以降は悲惨な運用状況だったのですが、浮上したようです。

 ただヘッジファンドの成功報酬(運用益の20%)は、一旦ファンド価値が減少するとその水準を回復してからでないと新たな成功報酬が発生しないため、大きくファンド価値を減少させたポールソン氏は、ちゃっかりと新たなファンドに乗換えさせて成功報酬を稼いだようです。まあ投資家が納得すればよいのですが、やや信義上の問題があります。

 あとは第5位がカール・アイカーン氏の17億ドル、第6位がクォンツ型の代表・ルネサンス・テクノロジーのジェイムス・シモンズ氏の11億ドルと長老(どちらも70歳をこえています)の常連が続き、第7位がシタデルのケネス・グリフィン氏の9億ドルでした。

 シタデルは金融危機で大きくファンド価値を減少させて、数年間は成功報酬を受け取っていなかったのですが、2012年にファンド価値を完全に回復させてランキングに復帰していました。グリフィン氏はポールソン氏と違って「律儀」なようです。

 2013年のヘッジファンド高額所得ランキングの上位には「新顔」がおらず、消えているのは2011年にトップ(39億ドル)だったブリッジウォーターのレイモンド・ダリオ氏くらいです。

 ただ2013年はS&P500が31%以上値上がりしたのですが、ヘッジファンド全体の平均収益率は7~8%(集計方法によってややばらつきがありますが、運用報酬などを差し引いた投資家の手取りです)だったようです。つまり高い運用報酬(2%)と成功報酬(20%)を取りながら、タダみたいな運用報酬のインデックスファンドに大きく負けていたことになります。

 ヘッジファンド全体の平均収益率がS&Pを下回るのは2009年から5年連続で、その間の累計でS&Pの収益率を97%下回っている(たぶん再投資込みの複利利回りです)との試算もありますが、それでもヘッジファンドの運用資産総額は増え続けて2兆5000億ドルになっています。

 ただ明らかにヘッジファンド業界は「粗製乱造」で、損失を出して消えてしまうファンドも多いようです。2013年は1060のヘッジファンドが新たにスタートし、904が消えてしまったそうです。

 世界のヘッジファンド業界は大きな「まがり角」に来ているような気がします。

 ところでどのヘッジファンドにとっても、最高の情報は「当局」からの情報です。そう考えると「当局そのもの」がヘッジファンドを作れば「世界最強のヘッジファンド」になるはずです。

 日本でも公的年金(GPIF)の日本株組み入れ比率を引き上げるくらいで大騒ぎするより、いっそのことGPIFそのものを巨大な(128兆円あります)ヘッジファンドにしてしまえば、間違いなく「世界最強・最大のヘッジファンド」となると思うのですが・・・


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■闇株的見方 » 経済 | 2014.04.25
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祝上場! 西武ホールディングス

2014年04月24日

祝上場! 西武ホールディングス


 本日(4月23日)、西武ホールディングス(以下「西武HD」)が東京証券取引所第1部に再上場しました。2004年12月に上場廃止になって以来、9年4か月ぶりの再上場となります。

 4月21日配信の有料メルマガ「闇株新聞 プレミアム」にも過去の経緯をかなり詳しく書いています。本日の記事は少し重複しますが「今後」についての記事です。

 西武HDは上場に際し、発行済み株数の8.13%に相当する27,826,000株を1株=1600円で売り出し、新株発行は行いませんでした。

 本日の取引は、寄り付きが売り出し価格と同じ1600円で、直後に1565円まで売られましたが、徐々に買い戻されて1770円の高値引けとなりました。出来高は売り出し株数の約半数の13,846,200株もありました。

 終値で計算した時価総額は6055億円で、電鉄会社では東急の8137億円、近鉄の6806億円、阪急阪神の7056億円、小田急の6559億円に次ぎ第5位に相当し、東武鉄道の5377億円、京浜急行の4638億円、京王電鉄の4621億円などを上回りました。また本日の電鉄株全般は総じて上昇となっています。

 さて、とりあえず祝上場!と書いたのですが、同時に西武HDの後藤社長ら現経営陣にとっては「気の休まらない」日々が始まったことになります。

 そもそも西武鉄道(当時)は、堤義明会長(当時)の資産管理会社であるコクドやプリンスホテルら上位10位までの持ち株比率が上場廃止基準の80%を大きく上回っていたにもかかわらず、1億株以上を12000人もの従業員らの名義を借りて上場を維持していたため、2004年12月に有価証券報告書の虚偽記載(大株主の状況や株主構成など)で上場廃止となりました。

 ワンマン経営者の堤義明会長(当時)は同容疑で逮捕されたのですが、その混乱に乗じてメインバンクのみずほコーポレート銀行(以下「みずほ銀行」)が後藤高志副頭取(現・西武HD社長)らを送り込み、取締役会を支配してしまいました。

 後藤社長は西武鉄道、コクド、プリンスホテルなどを合併させて持ち株会社化し、同時に1600億円もの資本を外部から導入し(ついでに3200億円もあった貸付金をせっせと回収し)、堤義明氏の持ち株比率を14.95%まで薄めて影響力を奪ってしまいました。

 ここでずっと「蚊帳の外」に置かれていたのが1000億円(持ち株比率32.4%、コストは1株=919円)も出資したサーベラスでした。いつまでたっても出資金を回収する機会が訪れず、経営合理化案を株主提案しても取り上げられず、とうとう昨年の株主総会前にTOB(1株=1400円)で持ち株比率を引き上げ、同時に独自の取締役候補を擁立する株主提案を行いました。

 結果的にTOBで持ち株比率は36.48%まで引き上げられ、株主総会で重要議案を否決できる33.4%以上を確保してしまいました。また株主提案は否決されました。

 ところが再上場の際の売り出し価格が1600円となったため、サーベラスは「低すぎる」と一切の売り出しを取り消し、再上場後も36.48%の大株主のままです。また「すっかりおとなしくなっていた」堤義明氏も、資産管理会社のNWコーポレーションは14.95%の大株主のままです。

 今回の再上場で農林中央金庫、政策投資銀行、UBS証券など、後藤社長にとって「身内」だった株主が売り出してしまいました。みずほ銀行の持ち株は2.08%に過ぎません。つまり再上場後は、後藤社長(みずほ銀行)とサーベラスと堤義明氏の三つ巴の争いが始まることになります。

 サーベラスは1株=2000円以上となれば市場で売却するようですが、株価が低迷すれば「株主としての行動」を起こすはずです。また堤義明氏も基本的には売却意向ですが、混乱に乗じて会社を掌握していた後藤社長とみずほ銀行は「大変に憎い相手」なので、サーベラスと共同歩調を取ることも考えられます。

 ただ西武HDの2014年3月期の予想純利益は最近下方修正されて163億円となり、時価総額トップの東急の500億円に比べて「かなり見劣り」がします。

 つまり「サーベラスの持ち株比率を引き下げるだけが目的」だった再上場が、「身内の持ち株比率だけを引き下げてしまった」後藤社長ら経営陣にとって、株価も株主の変動も「毎日気にしなければならない」再上場を果たしてしまったのです。

 この辺りを頭に入れて明日からの株価をみてください。


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■闇株的見方 » 株式 | 2014.04.24
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