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2014年07月01日
6月26日にサハダイヤモンド(JASDAQ上場・コード9898)の定時株主総会が行われ、見かけ上は平穏無事に終了しました。しかし水面下では前代未聞の出来事が起ころうとしていました。
サハダイヤモンドは、2011年に中国のダイヤモンド販売会社・欧陸之星鑽石(上海)有限公司の支配下に入りました。欧陸之星鑽石とはベルギー本社の世界的ダイヤモンド販売会社Eurostarの中国法人で、その中国法人の代表者である姜(ジャン)氏がサハダイヤモンドの代表取締役社長を兼任して現在に至っています。
2012年3月現在の有価証券報告書では、欧陸之星鑽石関連とされる厳健軍氏が6497万株(発行済み株数の19.50%)、同じくEurostar HKが3183万株(同9.56%)と、合計で9680万株(同29.06%)を保有していました。
また翌2013年3月現在の有価証券報告書でも、Eurostar HKが3161万株(同9.49%)、厳健軍氏が1542万株(4.63%)、同じく関係者と思われる安東光輝氏(中国人です)が1200万株(3.60%)と、減ってはいるものの合計で5903万株(17.73%)を保有していました。
ちなみに2013年6月開催の株主総会では総議決権行使率が35%前後と、会社法で定められる最低議決権行使率の33.34%をわずかにこえ、やっと成立していました。
ところが今年の株主総会を控え、信託銀行から2014年3月現在の株主名簿を受け取ったサハダイヤモンドの担当者が「唖然」としてしまいます。
なぜならEurostar HKの保有株がわずか1483万株(4.45%)に減少しており、厳健軍も安東光輝も「きれいに」消えてしまっていたからです。もちろん姜氏は今もサハダイヤモンドの代表取締役社長であり、同氏の関係者がサハダイヤモンドの取締役の半数(3名)を派遣しています。
実はEurostar HKとは、欧陸之星鑽石(確かに英語名はEurostarです)とは何の資本関係もないペーパーカンパニーで、確かに姜氏は欧陸之星鑽石(上海)の代表者ですが、そこと親会社とされるEurostarとの資本関係も不明です。
要するにベルギー本社の世界的ダイヤモンド販売会社であるEurostarとの関係が不明な欧陸之星鑽石の代表がサハダイヤモンドの代表取締役社長を兼任しており、もっと関係がよくわからないEurostar HKとか、厳某とか、安藤某などがサハダイヤモンド株を大量に取得し巨額利益を上げていたことになります。
サハダイヤモンドの最近の株価は低迷していますが、彼らは2011年5月にEurostar (紛らわしいですが、ベルギー本社の世界的ダイヤモンド販売会社のことです)の名前を使ってサハダイヤモンドに接近し、6884万株の新株予約権(行使価格は5.2円!)を取得して行使し、同時に中国人投資家を動員して株価を94円まで急騰させました。
要するにベルギー本社の世界的ダイヤモンド販売会社であるEurostarとは何の関係もなさそうな「中国人グループ」が、サハダイヤモンド株で巨額の利益を上げていたことになります。
なにしろサハダイヤモンド社長と取締役の半数は、間違いなくこの「中国人グループ」であるため、持ち株の大半を売却してしまえばインサイダー取引などの「疑惑」が山ほど出てきます。
そこで冒頭の前代未聞ですが、ここまで「中国人グループ」の保有株が減少してしまっていると、昨年も35%しか議決権行使がなかったので、今年の株主総会では最低議決権行使率(33.34%)を下回り、株主総会が流会してしまうはずでした。
つまり「大株主グループが持株の大半を密かに売却してしまったので株主総会が成立しない」という前代未聞のことが起こるはずでした。
ところが大変に不思議なことに、個人株主からの議決権行使が「驚くほど」多かった結果、何とギリギリで株主総会が成立してしまい、代表取締役の姜氏の責任追及が行われず、表面的には何事もなく終了してしまいました。
しかし株主からは(別に本誌のサクラではありませんが)、社長である姜氏の関係者(?)が持ち株の大半を売却したことと、本日は詳しく書きませんがロシアのサハ共和国にある連結子会社に対する「債権放棄」について質問があり、姜氏は「取締役会で調査して回答する」というやや意味不明の回答をしていたようです。
あまり期待はできませんが、その解答とやらを待つことにします。
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