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ISIS(イスラム国)の行方

2014年08月28日

ISIS(イスラム国)の行方


 日本では「イスラム国」という名称で呼ばれていますが、これは世界的に使われているIslamic State of Iraq and Syriaの直訳で、「国」と呼ぶにはややニュアンスが違います。したがって本誌はISISで統一することにします。

 ここのところ数々の残虐な行動が報道されているISISとは、2000年頃にヨルダン人のアブー・ザルカーウィーが設立したテロ組織が前身で、2004年頃にはウサマ・ビン・ラディン率いる国際的テロ組織・アルカイーダと合流したのですが、2006年頃には分裂していました。

 ISISはイスラム教・スンニ派とされており、2010年頃から指揮をとるアブー・バクル・アル=バクダディをカリフとして、世界中のイスラム教徒はバグダディに忠誠を誓うべきと主張しています。

 カリフには、イスラム教の開祖・ムハンマドの教えを正しく引き継ぐ者(スンニ派)、あるいはムハンマドの血筋を引く者(シーア派)との違いがあります。ところがISISはスンニ派でありながら、バグダディはムハンマドの子孫であるとの矛盾する主張をしており、単にイスラム教を勢力拡大やリクルートに利用しているだけのテロ組織なのでしょう。

 ちょうど毛沢東が共産主義を利用して中国人民を掌握し、いまだに中国共産党が中華人民共和国を支配し続けていることと似ていなくもありません。

 しかしISISは、間違いなく「前例がないほど資金力と近代兵器と残虐さ」を備えたテロ組織で、イラク北部ではイラク中央銀行の支店を襲撃して4億ドルを手に入れ、クルド人が住む地域の油田から収奪した原油をスポット市場で換金し(だから原油価格が下落している)、新たな人材と武器を確保してさらに拡大しています。

 オバマ大統領はようやく8月14日に、スンニ派を弾圧してISISが勢力を拡大する下地をつくってしまった無能のマリキ首相を辞任させ、イラク北部への空爆を指示しましたが、全体的に及び腰の感は否めません。

 昨年もオバマ大統領はイラクの隣国・シリアで、反政府軍に毒ガス兵器を使ったとして一旦は空爆を指示しておきながら取り消す失態を演じており、中東全域における影響力の低下が目につきます。

 しかし突き詰めて考えれば最大の原油産出国であり長く欧米石油メジャーと親密な関係を保っていたサウジアラビアと米国との関係が、「ギクシャク」しているところに行き当たります。

 サウジアラビアは、イスラム教・スンニ派の最大の盟主であり(サウジアラビア王室はスンニ派でも最も戒律が厳しいワッハーブ派です)、イラン・イラクを中心とするシーア派とは絶対に相容れません。

 しかし米国はシーア派のイラク政府(マリキ辞任のあとはアバディ第1副議長を首相に任命しました)最大の後ろ盾であり、さらに最近はシーア派の盟主であるイランとの対話も始めてしまいました。

 これはサウジアラビアにとって見過ごすことのできない事態であり、昨年10月には国連安全保障理事会の非常任理事国を辞退してしまいました。

 サウジアラビアでは本年4月に、22年間も駐米大使を務め諜報部門のトップだったバンダル王子が更迭されたのですが、これは米国政府の圧力だったと考えられます。このバンダル王子こそアルカイーダやISISの最大の支援者であると同時に、米国政府の中東政策における最大のアドバイザー(悪くいえば情報提供者)だったはずです。

 そのバンダル王子を、米国政府がサウジアラビア王室に圧力をかけて解任させた理由は、同時多発テロにも何かしらの関係があったと米国政府が考えたのではなく、逆にバンダル王子を介して米国政府とアルカイーダが「何かしらの繋がりがあった」と勘繰られることを恐れたとも考えられます。

 しかしそのバンダル王子が(解任直後に毒殺されそうになったとの噂まであります)、6月にアブドラ国王に助言を与える極めて影響力が大きな「国王顧問」として復活していました。

 つまりサウジアラビア王室が、その頃からISISを強力に支援し始めたと考えるべきです。ISISがイラク北部で「急に」勢力を拡大し、「独立」を宣言した時期に符合します。

 つまりISISはサウジアラビアという強力な後ろ盾を得ており、中東情勢はサウジアラビアと米国の「ギクシャク」が想像以上に大きく、さらに混沌とすると考えるべきです。


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■闇株的見方 » 社会 | 2014.08.28
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日本円が国際化しない意味

2014年08月27日

日本円が国際化しない意味


 昨日付け「人民元が国際化する意味」の続編ですが、その昨日の記事に正確ではない部分がありましたのでお詫びして訂正させていただきます。

 ロシアが大量の米ドル売り・香港ドル買いを持ち込んでおり、それがハンセン指数を押し上げていると書いたのですが、香港上海銀行など香港の発券銀行がロシアの香港ドル買いに応じて香港ドルを発行すると必ずそれに見合う米ドルを買い入れなければならず、計算上はロシアが売却した米ドルを買い入れるため差し引きでは香港に資金は流入していません。

 つまりそれでハンセン指数が上昇していたわけではありません。

 さて本題ですが、自国通貨が国際化する(基軸通貨化するともいいます)意味を考えてみましょう。

 実物資産である金(きん)と同じように、ドルは国際通貨(基軸通貨)として世界中で抵抗なく受け取られ、交換され、保管(貯蓄)されています。つまり世界中どこでも単なる紙切れであるドルの価値が疑われていないことになります。ドル高になるかドル安になるかは全く違った概念です。

 このドルはFRBの永久債務であり、FRBは償還(返還)義務がありません。確かにFRBの資産には米国債やMBS(住宅ローン担保証券)がありますが、別にドルを持っていても担保の住宅を引き渡してくれるわけではなく、要するに「紙切れ」です。

 「そりゃ米国だから大丈夫だよ」と世界中が納得しているだけです。昨年4月に出版した「闇株新聞 the Book」には、もう少し理論的に解説してあります。

 最近はさすがにドルだけだと不安なので「一部はユーロにしよう」となり、ユーロもドルに次ぐ国際通貨(基軸通貨)となりましたが、間違ってもアルゼンチン・ペソやブラジル・レアルやトルコ・リラなどは国際通貨とはなりません。誰もその価値を(あるいはその価値が維持されることを)信用していないからです。

 それでも日本ではブラジル・レアル建てやトルコ・リラ建てなどの投資信託が溢れかえっています。販売している証券会社や銀行(それもメガバンク)の常識が「世界標準から大きく遊離している」ことになります。

 自国通貨が国際通貨(基軸通貨)であることのメリットは、世界中から財やサービスを「紙切れ」で買えることですが、同時に世界中にその「紙切れ」が蓄積されることになり、その運用のために自国の国債も世界中で買われます。国債ももちろん「紙切れ」です。

 つまり自国通貨が国際通貨(基軸通貨)となるメリットは計り知れないことになります。

 中国は1994年に人民元をドルに対して大幅に切り下げ(1ドル=5.4人民元から8.7人民元に)そこからドルに実質固定し、2005年からドルに対して緩やかに切り上げました。本年に入って少し方針変更したようですが「人民元は確実に値上がりするもの」とのイメージを世界に植え付けました。

 そして近年は、昨日も書いたように原油や天然資源を大量に輸入する中東や中南米や豪州に「人民元で受け取れ」とゴリ押しして認めさせ、最近もロシアへの経済制裁の隙をついてロシアからの天然ガスも人民元で決済しようとしています。

 中国政府も人民元の国際化(基軸通貨化)のために、このような努力をしているのです。

 それでは、最近は貿易赤字が定着し、国債残高が膨らみ続ける日本では、円の国際通貨化(基軸通貨化)は最優先で取り組むべき「国家プロジェクト」のはずです。

 しかしマネタリーベースを際限なく膨らませて円の価値を毀損させる金融政策を続ける国の通貨(円)が世界中で喜んで受け入れられるはずがなく、同じ円建ての日本国債が世界中で買われるはずがありません。日本国債の利回りが低いことは問題ではありません。

 2%の物価上昇目標も円の価値を2%ずつ減価させる政策に外ならず、円の国際化を妨げます。だったら「円を毎年2%ずつ上昇させる」とでも宣言すれば、世界中から日本国債が買われるはずで、弊害が目立つ日銀「異次元」量的緩和などは必要がなくなります。

 円はせっかく2年前の70円台から100円台まで円安となっているので、ここから年間2%くらい円高になってもまだまだ円安です。円安でも貿易収支が改善するわけではなく、むしろ円高と円の国際化のメリットを考えるべき時期に来ています。

 円安になると株高になるというのも決して健全な考え方ではなく、長い目で見れば緩やかな円高こそ外国人投資家の日本株買いを増やすような気がします。誰も指摘しませんが、「異次元」量的緩和を含むアベノミクスは、見直すべきタイミングに来ているのです。


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■闇株的見方 » 経済 | 2014.08.27
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