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本当に心配になってきた国債利回りの低下 その3

2014年12月26日

本当に心配になってきた国債利回りの低下 その3


今週はこの話題だけになってしまいますが、非常に重要で奥行きが深い話題なので、もう1回だけ続けます。

 本日(10月25日)は10年国債利回りが0.31%と、「異次元」量徹緩和が導入された直後の2013年4月5日の0.315%を下回る史上最低利回りとなりました。

 また本日実施された2年国債入札では、平均落札利回りがマイナス0.003%と、初めてのマイナス利回りとなりました。わずかですが政府(旧大蔵省)に国債発行益(?)が発生することになります。

 さて本誌は「円を国際通貨にするために海外投資家の国債保有を推進するべき」と主張していたのではないか?とのコメントをいただきました。

 「今はそう考えていないのか?」という意味だと思いますが、本誌はもとより1000兆円をこえる公的債務を「少しばかり」減らすために増税して日本経済を大不況に陥れてしまうのではなく、円を国際化して海外での円の流通量や保有額を増やせば、その運用手段として日本国債の海外保有が増えるので「財政破綻」の心配は無用になると考えています。

 今でもそう考えていますが、残念ながら政府や日銀が低金利と円安に拍車をかけ、円の価値がどんどん目減りしてしまう政策を強行しているため、こんな日本国債を「進んで」保有してくれる外国人投資家などいるはずがありません。ますます日本の公的債務は国内資金でファイナンスしなければなりませんが、その肝心の国内資金が低金利と円安を嫌ってどんどん海外に流出してしまっているのが現状です。
 
 じゃあもうお手上げで日本はいずれ「財政破綻」してしまうのか?ですが、それでも方法がないわけではありません。

 低金利の方は日銀の「もっと異次元になった」国債買入れだけではなく、日本の潜在成長率がどんどん低下してインフレ率もどんどん低下しているため、簡単に海外投資家を引き付けるような高金利にはなりません。

 それでも円を(海外投資家家からみて)値上がりさせればよいだけで、具体的には「円を毎年2~3%の割合で円高」にすれば、日本国債は米国債よりも「高利回り」となります。

 現在の「2%の物価上昇目標」は円の価値を年2%ずつ目減りさせる政策に外ならず、今の日本には「弊害」でしかありませんが、これは別の機会に詳しく書くことにして次に進みます。

 国内資金の海外流出が進み日銀当座預金が取り崩されても、日銀は日銀券を発行すれば保有国債を売却しなくても済むはずでは?とのコメントもいただいていますが、これは間違いです。

 銀行は当座預金残高の一部を日銀券に交換することはできますが、国内資金(預金)が海外に流出して当座預金残高を取り崩してしまうと、その分を日銀が日銀券で補填してくれるわけではありません。

 日銀は国債を銀行から買い入れるときもその代金を銀行の当座預金勘定に入金しており、それを資金が余っている銀行が「放置」しているだけです。また国債も政府が発行して民間の銀行などが一旦引き受け(代金を支払い)、それを日銀が買い入れて(代金を支払って)います。

 つまり日銀は政府にも銀行にも、日銀券を「無償」で交付することはありません。

 この唯一の例外が短期国債で、日銀は短期国債を直接引き受けることができますが、これは短期国債が基本的に同一年度内に償還されてしまうので問題がないとされています。1年以上の国債を日銀が直接引き受けると「無償」の日銀券が政府に交付されることになり、ハイパーインフレになるかどうかはともかく、財政規律が目茶苦茶になり日本の(日本国債の)国際的信用が一気に失われます。

 最後に「低金利」のメリットと考えてもよさそうなものを1つだけ挙げておきます。

 本年11月時点ですが、米国株のPERが18倍、PBRが2.9倍、配当利回りが1.9%、10年国債利回りが2.2%でした。これに対して日本株のPERが16倍、PBRが1.5倍、配当利回りが1.7%、10年国債利回りが0.4%でした。

 ここから何かを結論づけるつもりはありませんが、日米の10年国債利回りを比べると日本株が(とくに配当利回り)が大変に「お得に」みえます。単に日本企業が「必要以上に配当を支払っているだけ」かもしれませんが、これが低金利の唯一のメリットです。



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本当に心配になってきた国債利回りの低下 その2

2014年12月25日

本当に心配になってきた国債利回りの低下 その2


 昨日付け「同題記事」にいただいたコメントから、かなり説明不足だったと感じましたので続編です。

 まず本誌は今まで全く心配していなかった日本の「財政破綻」を急に懸念するようになったのは、ここ1~2か月の円安加速による国内資金の流出(国内資金の流出による円安加速かもしれません)により、今まで国内資金でファイナンスできていた1000兆円以上の公的債務が近い将来にファイナンスできなくなる恐れを感じ始めているからです。

 財政赤字がいくら大きくても、それは民間の需要不足を公的需要で補っている結果で、(効率が良いか悪いかの問題はありますが)それだけではあまりヒステリックになる必要はありません。怖いのはその公的債務を国内資金でファイナンスできなくなる事態です。

 このような状態を一般的に「財政破綻」といい、普通は公的債務や民間債務を海外資金に依存していた国が、何かしらの理由で海外資金が一気に流出してしまい急激な金利上昇(国債暴落)と通貨安そして株安に見舞われるケースです。

 先日のロシアは、そこまで海外資金に依存していたわけではありませんが経済制裁による外貨調達難と原油安で、その一歩手前となりました。

 日本の公的債務はもともと海外資金に依存していませんが、その大半をファイナンスしている国内資金が急激に海外に流出すれば、やはり同じ「財政破綻」となります。さらに政府も日銀も国内資金の海外流出(海外投資のことです)をむしろ奨励しているようにも思えるため、ますます不安になってきます。

 次に日銀当座預金の仕組みですが、直近(12月20日)の日銀は254兆円(202兆円の長期国債と52兆円の短期国債)を、90兆円の日銀券と175兆円の日銀当座預金でファイナンスしています(その他の勘定は省略しています)。

 ここで90兆円の日銀券は返済義務がなく日銀の資本に準ずると考えられますが、175兆円の日銀当座預金は預金者である銀行から要求されるといつでも支払わなければならない「他人の勘定」です。

 具体的には日銀が銀行から国債を買い入れると、その代金は銀行が日銀に保有する当座預金口座に入金されます。普通は銀行が新規の貸出しや国債買入れのために当座預金を取り崩すのですが、最近はどの銀行も資金が余っているため「当座預金に預けたまま」となります。
 
 日銀はこの当座預金残高に年率0.1%の利息を支払って「繋ぎ止めて」います。

 最近の国債利回りの急低下で、残存年数が4年以下の国債利回りが軒並みマイナスとなり、発行額の多い5年国債利回りが0.03%、7年国債でも0.09%です。

 つまり銀行は残存年数7年以下の国債をすべて日銀に売却してしまい、その代金を日銀当座預金に積み上げておけば、大変安直に収益が上がることになります。つまり日銀の「もっと異次元となった」量的緩和とは、銀行に手数料(0.1%の金利のことです)を支払っているので成り立っているのです。

 国内資金の海外流出が続くということは、銀行預金がどんどん引きだされて海外投資に回るということなので、銀行は貸出しや保有国債などのファイナンスができなくなり、さすがに当座預金残高を取り崩すことになります。

 そうなると日銀は、これ以上国債を「異次元」に買い入れることができなくなり、さらに保有国債を売却しなければならなくなります。銀行や機関投資家にも国債買入れ余力がなくなると、いよいよ日本中から国債の買い手がいなくなる「財政破綻状態」となります。この状態で海外投資家が日本国債を買い入れるはずがありません。

 繰り返しですが日本の「財政破綻」は財政赤字が膨らむからではなく、それを国内資金でファイナンスできなくなることをいい、10月末の追加金融緩和以来その可能性が格段に増大した、あるいは財政破綻までの時間が格段に短くなったと感じます。

 それでは日銀が日銀券を印刷して国債をいくらでも引き受ければよいのでは?

 これを「日銀引き受け」といい、日銀が何の対価もなしに日銀券を印刷して国債を引き受けることで、日銀が政府に購買力を無償供与することになります。さすがに最近では2008年頃のジンバブエくらいしか例が無く、当然にハイパーインフレとなりました。

 黒田日銀総裁が「物価上昇目標達成のためには何でもやる」といっているのですが、まさかこの日銀引き受けのことを考えているのでは?と本気に心配になっています。


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