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雪国まいたけの「ますます奇怪な」TOB

2015年03月26日

雪国まいたけの「ますます奇怪な」TOB


 本日(3月25日)付け朝日新聞(朝刊)・新潟版に、雪国まいたけの創業者である大平喜信氏のインタビュー記事が掲載されています。

 大平氏については、コンプライアンス上の問題があるとして2013年11月に雪国まいたけの代表取締役を追われていたのですが、今回は取締役の追加選任を求めた臨時株主総会の開催許可を新潟地方裁判所・長岡支部から得ていました。

 大平氏は、その時点で資産管理会社分などを合わせて雪国まいたけ株式を2350万株(発行済み株数3889万株の60.4%)保有しており、臨時株主総会さえ開催されれば大平氏の株主提案は問題なく承認されるはずでした。

 ところが大平氏らはこの2350万株のうち2130万株を第四銀行ら数行に借入れの担保として差し入れていたのですが、その株式が2月23日に突然に担保権行使され、すべて奪われてしまいました。さらにご丁寧に第四銀行ら数行は担保権行使で取得した株式をすべてベイン・キャピタルのTOBに応募してしまいました。

 大変に問題がある取引ですが、なぜかマスコミを含む世間一般の評価は「コンプライアンス上の問題がある大平氏の影響力を排除するために、海外ファンドの(要するに禿鷹ファンドです)べイン・キャピタルがTOBで傘下に入れてしまうことは好ましい」という奇怪なものばかりです。

 そういう中で「少なくとも大平氏の言い分も聞いてみよう」というマスコミ人として至極当然な行動をとる記者が「まだ朝日新聞にもいたのか!」と驚いたのですが、大変に重要な事実が語られているにもかかわらず朝日新聞は当然のように全国版には掲載せず地方版(新潟版)に押し込めてしまいました。

 ここからは朝日新聞・新潟版のインタビュー記事をベースに、本誌独自の取材で得た情報を付け加えます。

 まず大平氏が臨時株主総会の開催を要求した経緯は、2013年11月に代表取締役を辞任した後、コンプライアンス重視のためやらで自薦他薦で入り込んできた現経営陣の行動に不信を抱いたからです。

 具体的には会社のクレジットカードを私的に使っているとか報酬額をお手盛りで引き上げておきながら大平氏らの帳簿閲覧請求に応じないため、やむなく大平氏らが臨時株主総会を招集して取締役を増員してチェック機能を果たそうとしたようです。

 ここで「そんなことは単なる証拠のない言いがかりではないか?」との意見も出てくると思いますが、こう考えてください。

 大平氏は創業者であり(少し前まで)資産管理会社などを入れて発行済み株数の6割以上を保有していました。その大平氏のインセンティブとは雪国まいたけの業容を拡大し企業価値を最大化することにほかならず、これは見事に一般株主や株式市場さらには日本経済と「利害が完全に一致している」ことになります。

 逆に、コンプライアンス重視のためやらで自薦他薦で入り込んできたサラリーマン現経営陣のインセンティブとは必ずしも同じものではなく、中には一般株主や株式市場さらには日本経済の「利害に反する行動をとる」ものがいてもおかしくありません。

 つまり行き過ぎたコンプライアンス重視は、こういうふうに企業価値を棄損していることもありうるのです。

 そこで問題の2月23日早朝に、数行の銀行が差出人となり「担保権を実行する」と書いた消印のない封筒を大平氏の自宅郵便受けに投げ込んでいき、同日午前8時にはメインバンクである第四銀行の担当者が同じ文書を持参したそうです。

 確かに同日の午前7時に、べイン・キャピタルがTOBを計画して雪国まいたけがそれを検討しているとのIRが出されており、これで第四銀行らが担保権行使による雪国まいたけ株式取得がインサイダー取引に当たらないとしているようです。

 しかし実際には第四銀行らは2月20日にベイン・キャピタルとの間で「TOB応募予約契約」を締結しており、これを「インサイダー取引ではない」とするには、かなりの無理があるはずです。

 まあ金融庁・銀行・会社(雪国まいたけの現経営陣)らが、コンプライアンス重視の名目のもとに「問題なし」としてしまったのでしょうが、じゃあ仮に本誌が同じことをやったら間違いなく「その翌日に強制捜査」となっていたでしょう。

 さらに驚くべきことは、第四銀行らは高率の遅延損害金を加算していたにもかかわらず「株の担保行使価格が借金額を上回った」として315万株(約8億円)を返却してきたそうです。

 つまり第四銀行らは、十分に担保でカバーされている貸付金を「大急ぎで」担保権行使をして大平氏らの株式を取り上げ、開催許可の出ている臨時株主総会を無意味なものにしてしまったのです。

 朝日新聞・新潟版のインタビュー記事は、明日(3月26日)も掲載されるようですので、明日も続けます。また突然に10%超の大株主として現れた「別のファンド」の正体も明日です。


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■闇株的見方 » 株式 | 2015.03.26
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アジアインフラ銀行は中国「融資平台」の国際版

2015年03月25日

アジアインフラ銀行は中国「融資平台」の国際版


 いつも書くことですが、日本などの世界経済にとって中国経済をめぐる最大の恐怖は、成長率が7%程度まで鈍化することでも理財商品がデフォルトすることでもありません。

 中国とは共産党1党独裁の計画経済であるため、発表されるGDPなどの各種経済統計はすべて積み上げられた「目標数字」に過ぎず、誰も中国経済の本当の規模も成長率もわからないことです。

 最大の問題点は、その誰にもわからない中国の経済規模とくに需要を前提に世界中が設備投資や資源開発を行い、気が付けば世界中が過剰生産・過剰資源開発に陥ってしまっていることです。

 その中でも最も需要を読み間違えたのが当の中国企業であり、中国国内では報道されているよりもはるかに深刻な過剰設備・過剰生産・過剰在庫(そして過剰借入れ)に陥っているはずです。

 つまり中国経済とは、何をさておいても大至急でこれら「過剰」の受け皿を「世界のどこか」に作り出す必要があり、その「どこか」とはアジア諸国のことであるはずです。

 そういうところにアジアインフラ銀行の設立準備が進んでいます。

 アジアには同じような機能を持つアジア開発銀行(ADB)がありますが、その運営は日本と米国が主導権を握っているため(総裁も旧大蔵官僚の最上格の天下り先として確保されています)、中国としては自らが主導権を握るためにアジアインフラ銀行を新たに設立しようとしているのです。

 アジアインフラ銀行の構造は不明ですが、資本金1000億ドル(ADBは1650億ドル)の約半分を中国が出資し、たぶん高い格付けが取れるため債券発行や世界各国からの借入れでレバレッジをかけ、主にアジア各国のインフラ整備に資金を提供するはずです。

 その実態は、もちろんアジア諸国を中国経済にある数ある「過剰」の受け皿にするためであり、その資金を世界中から集めるためのプラットフォームです。まあ例えれば中国の不動産バブルや過剰設備を助長させた「融資平台」の国際版です。

 ただアジアにはADBがあるため、中国政府は盛んに「ADBには融資審査など運営面に懸念がある」などのネガティブキャンペーンを行っていますが、中国はその「懸念があるADB」から最大の(全体の25%以上の)融資・投資を受けいれています。

 中国人の自分勝手で厚かましいところは今に始まったわけではありませんが、そのアジアインフラ銀行に英国・ドイツ・フランス・イタリア・ルクセンブルク・スイスなどの欧州各国が参加を表明しています。

 またあろうことかオバマ大統領まで世銀やADBとの共同出資事業を提案し始めたようです。

 欧州各国の思惑は、中国とは距離も遠く政治的な軋轢は少ないため、アジアインフラ銀行に参加することにより中国マネーや中国市場とのつながりを強化するという純粋の経済的動機であり、オバマ大統領は米国内ではもう誰も相手にしないため思い付きで勝手なことをいっているだけで、さすがに米国の総意ではありません。

 さて我が国はどう対応すべきなのでしょう?

 「欧州各国が参加を決めているので日本も取り残されないように早く参加を表明すべきだ」とか「欧州と日本が参加すれば中国の思い通りに運営させない」など、恐るべきトンチンカンな評論が目立ちます。

 完全に無視すべきです。

 参加(出資)はもちろん、アジアインフラ銀行への資金提供(債権引き受けや融資)は一切行わないと表明すべきです。

 「我が国(日本)はADBの最大出資国として、アジア諸国の経済発展のために与えられた使命を今後とも懸命に果たしていくため」とでもしておけば、十分に納得できる説明となります。

 安倍内閣の、経済センスと国際的バランス感覚が問われます。


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■闇株的見方 » 経済 | 2015.03.25
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