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FRB利上げの最大の弊害とは?

2015年11月25日

FRB利上げの最大の弊害とは?


 FRBは12月15~16日に開催されるFOMCで、FF翌日物の誘導金利を現在の0.0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げるようです。

 FRBは昨年(2014年)10月28~29日のFOMCで資産買入れ(QE3)を完全に終了させており、そこから1年2か月で利上げに踏み切ることになります。また最後の利上げは2006年6月(5.0%から5.25%へ)だったので、新聞の見出し的に書くと9年半ぶりの利上げとなります。

 それではFRBはなぜ利上げするのでしょう?これは米国景気が過熱しているからでもインフレ懸念が高まっているからでも労働市場がひっ迫しているからでもありません。

 FRBはリーマンショック直後の2008年10月から2014年10月までの間に(主に)長期国債とMBSを断続的に買い入れており、そして買入れ終了後も全く売却せず償還分もすべて再投資しているため、直近(11月19日現在)で4.24兆ドルもの(主に長期)債券を資産として保有しています。

 そのうち(主に)長期国債が2.34兆ドルでMBSが1.75兆ドルです。FRBはその巨大なポートフォリオを1.40兆ドルのドル紙幣発行残高と2.61兆ドルのReserve Balances(日銀の当座預金残高のようなもの)でファイナンスしています。

 FRBはこのReserve BalancesにFF誘導金利の上限である0.25%の利息を支払って繋ぎ止めていますが、今回この利息を0.50%に引き上げることになります。

 FRBはQE3終了後の金融政策について「明確な優先順位」をつけており、保有資産の売却(出口戦略)より利上げを優先すると明言していました。つまり米国経済に資金需要が拡大する兆しが見えたとき、銀行がReserve Balancesを取り崩す可能性が出てくるのでFRBの保有資産を市場に売却して対応するのではなく、銀行がReserve Balancesを取り崩さないように利息を引き上げて繋ぎ止めると明言していたことになります。

 つまり債券市場がFRBの売却でパニックにならないよう十分に配慮していたわけで、これが今回のFRB利上げの「最大の理由」です。FRBは米国経済の過熱やインフレ懸念の高まりや労働市場のひっ迫を心配しているわけではないはずです。

 FRBは矢継ぎ早に利上げを行うとも思えませんが、とりあえずFF誘導金利の上限は0.50%となります。そうすると長期金利の基準となる米10年国債利回りはどうなるでしょう?

 本日(11月24日)は2.22%ですが、これが0.50%上昇するとは思えず、利上げで景気減速懸念も出てくるのでむしろ少し低下するような気がします。もし短期金利に連動して長期金利が「同幅でなくても」上昇するのであれば、これだけ12月の利上げが確定的になれば長期金利もそれなりに上昇しているはずですが、実際はそうなっていません。

 そうすると米国市場の長短金利差が縮小することになりますが、もっとわかりやすく言うと調達金利が上昇して運用利回りが低下することになり、米国経済全体の期待収益率が低下して経済活動を低迷させてしまうことになります。

 つまり長短金利差(利鞘)こそ経済活動のインセンティブであり、これが世界中で趨勢的に低下しているため世界経済も趨勢的に低迷する(あるいは因果関係がその逆)ことになります。

 本誌が日銀量的緩和に強く反対している理由がこれです。日銀の量的緩和で10年国債利回りは0.3%まで低下しており、一方で日銀当座預金残高を繋ぎ止めるため0.1%の付利を継続するため短期基準金利は0.1%となり、日本経済の長短金利差=利鞘(元本リスクがないものとして)は年率0.2%しかなくなっており、これで日本の経済活動が活発化するはずがありません。

 FRBに話を戻しますが、FRBの利上げはそのまま米国の利鞘を縮小させ米国経済に急ブレーキを掛ける恐れがあります。つまりFRBが短期金利を引き上げるので経済が低迷するのではなく、長短金利差(利鞘)が縮小するので経済が低迷することになります。

 そう考えていたら(日本ではほとんど報道されていませんが)NY連銀のダドリー総裁が、FRBの金融政策の「優先順位」を入れ替える可能性に言及していました。そうすると米国では短期金利の上昇ペースより長期金利の上昇ペースが上回る可能性が強くなり、米国経済の利鞘(収益率)低下と米国経済低迷の可能性を軽減します。

 日銀はもう2017年4月の消費増税は確定的だと安心しているだけではなく、少しくらいはFRBの「市場への配慮」を見習ったらどうでしょうかね?


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■闇株的見方 » 経済 | 2015.11.25
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